7.7シンポ以後の市民の風の方針について
市民の風・選挙プロジェクトからの提案

2006年9月8日

選挙方針の論議をするに際しては、いくつかのポイントを確認しておく必要があります。市民の風は何をするのか、それをいつまでするのかという、基本点で す。

1.私たちは何をするのでしょうか

ひとことで言えば「平和への結集」を求める活動です。

1)政党、政治家、政治団体へ働きかけます

既存の政党(現時点で、政党要件をもっている政党ないし、国政選挙で候補者を擁立しようとしている政治団体)へ、平和への結集を要求し、努力を求める活動 を行います。

2)従来の意味での政党ではありません(政党にはなりません)

市民運動によって9条改憲反対を求めるだけではなく、国政レベルで9条改憲反対議員と政党を求める(議員を誕生させ、政党を支える)ことによって9条改憲 を阻むという活動です。新たに政党を作ることではありません。

3)市民の政治運動であり、政治的市民運動です

平和共同候補を求める運動は、日本の選挙制度の複雑さに応じて、具体的にいろいろなバリエーションを検討することができます。その方法は各地域によって異 なります。

4)選挙に関わる機能も求められます

政党結成を目的にはしませんが、候補者擁立や応援などの「選挙に関する政治的役割」を果たす可能性はあります。これは、従来は政党が主として担ってきた機 能ですが、部分的な役割としてではあるものの、市民グループがこのような政治的役割を果たすことは正当であると考えます。

5)これは新しい創造的な政治的試みです

市民が政党を結成せずに政治的運動を行うことは、いわば「非政党的・政治的市民運動」と言うことができるでしょう。これは、これまでの日本において、勝手 連などの例はありますが、さほど本格的に行われてはいません。私たちは、これを創造的な試みと考えて、市民の政治参加や政治の質的向上に寄与することを 願っています。

2.この運動は期限の明確化と大きなビジョンの双方が必要です

1)活動に期限を切ることで、市民運動としての役割を明確にします

「9条改憲の危険性」が迫るという情勢の下で、政党状況と市民的世論や政治意識を踏まえて、平和政党に結集の要望をするわけですから、恒常化することを求 めれば新たな政治団体を目指すことになります。したがって、設立目的に則って、ある一定の期限を切ることにより、市民運動としての役割と性格を明確にする ことが必要です。

2)参議院と衆議院、それぞれ各1回の選挙には取り組みます

そうは言いながら、選挙共同を軸とした市民の風は、少なくとも、参議院、衆議院(総選挙)の各一回は「平和共同候補擁立」を求める行動をとる必要があると 思います。つまり来年の参議院選挙だけではなく、次の総選挙までは活動を継続する必要があるということです。

3)全国選挙が担える組織体制をつくります

そのためには前項選挙が担える運動と組織を作ることが必要となります。各地で選挙を担うことができるグループの形成、各地のグループの連携、平和政党等と の話し合いのルールなど、どのように作るのかを早急に検討する必要があります。少なくとも、2〜3年は継続できる活動体制を作っていくことが必要です。

4)将来のビジョンが必要です

この運動の最大の目的は、9条改憲の阻止にあります。そこで、上記選挙が終了した後も、9条改憲が課題になっている間は何らかの形で運動を持続・発展させ る必要があります。6で一つのビジョンについて簡単に触れておきますが、これらについては、今後改めて議論します。

3.07年の参議院選挙関して

1)比例区選挙について

現状では比例区での平和統一リストを作成しての選挙は難しいと思われます。この課題についての政党の壁はとても高く、政党の看板を下ろしての「共通確認団 体」による「平和統一リスト」作成はきわめて困難です。

しかし比例区で「平和への結集」を実現することは論理的には不可能ではありません。「オリーブの木」方式であれば、比例区では各政党が、政党の看板を下ろ さずにそれぞれのリスト(平和連帯リスト)を形成して、同時に地方区で全国的に共同候補を擁立することが考えられます。

けれども、この構想もなお実現には相当の困難が予想されます。そこで、比例区選挙における平和共同リスト(平和統一リスト、平和連帯リスト)は大きな理想 としては考えられるものの、私たちは当面は選挙区での平和共同候補の実現に力点を置くことにします。

2)平和政党から比例区候補への協力要請があった場合

比例区選挙の場合、市民の風の会員や、多くの会員の支持を受けた候補者が、民主党や共産党や社民党やみどりのテーブルの政党候補者になった時、市民の風と してどう対応するのか、それぞれの会員の個別対応とするのか、グループとして動けるのかを明確にしておく必要があります。

3)選挙区選挙<1人区・2人区>

1人区と2人区では、自民党、民主党に対する第三の候補者として平和共同候補を擁立できたとしても議席を得ることは極めて難しいと思われます。この場合に は、9条改憲への賛否を候補者に問い、それぞれ支持を検討する方針(熟議投票)を採用するかどうかだと思われます。

ただ、小沢代表の民主党が、野党共闘による政権交代という方針を出し、その中に9条改憲反対などの私たちの基本理念が掲げられた場合には、民主党候補を平 和共同候補とするという選択肢も排除しないものとします。

4)選挙区選挙<複数区>
ここでは最も、平和への結集を求める活動の具体化が問われます。とくに3人区以上では可能性が大きくなります。(7選挙区あります)

9条改憲に反対する候補が複数当選するような選挙区があるならば、その場合の対応策も十分に検討する必要があります。

4.衆議院選挙(総選挙)に関連して――参議院選挙も衆議院選挙を念頭に置きながら

平和への結集にとって最も分かりやすいのは、衆議院の小選挙区制での選挙です。

今すぐ方針を具体化する事は必要ありませんが、参議院選挙の方針は、この総選挙の取り組みにプラスになるように検討しておくことが重要であると思います。

5.統一自治体選挙について――参議院選挙の前哨戦として共同候補の模索を

来年07年は統一自治体選挙の年でもあります。憲法改定は国政レベルの課題であり、自治体選挙の結果が直接影響を与えるものではありませんが、平和政党や 政治団体に働きかけ9条改憲に反対の立場の自治体首長や議員を多く作り出すことは、参議院選挙の成果につながる前哨戦として大きな意味があると思います。

6.平和への大結集にむけた、より広い市民の連合体について

市民の風がより重要な役割を持つためには、市民の風自身のイメージを豊かにしなければなりませんし、中長期的な日本政治に対する貢献のビジョンが必要で す。

イタリアのオリーブの木連合とか、イギリスのビック・テントとか、その経験を見ますと日本では、市民の連合のイメージをどう打ち出すのか、この点に、智慧 を絞る必要があると思います。

市民の風が、日本社会に多数存在するさまざまな市民運動団体と協力して、9条改憲が現実化する政治局面で、抵抗し反対するための共同の努力をするイニシャ チブを発揮し、結集する構想を立てる可能性が考えられます。