大義なき安倍解散に当たっての声明

(1) 第2次安倍政権の2年間

 沖縄の選挙結果に関係なく辺野古新基地を建設する方針を変えない安倍政権が、衆議院を解散して、消費税増税延期について選挙で民意を問うという。笑止千万である。

 安倍政権の立場としては、不景気には増税しないなどの措置を明記した消費税増税法をその通り執行すればよいのである。

「消費税率の引上げに当たっての措置」では、「経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる。」(社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律附則第18条)

 この2年間に安倍政権が行ってきた政治を振り返れば、立憲主義を軽視した上で、憲法の規定する平和主義を覆し、基本的人権を蔑ろにしようとするものであり、目に余るものがある。しかも特定秘密保護法の制定、集団的自衛権に関する憲法解釈の変更、武器輸出の解禁などはいずれも、2012年の衆院選でも2013年の参院選でも、自民党マニフェストの中に見当たらないものである。つまり、国民はだまし討ちにあったといってよい。これほど国民を愚弄する政権はかつてない。

 福島の原発汚染水が「完全にコントロールされている」との安倍首相による虚言はもはや誰も信じていない。これまた虚言の「100%安全」な原発などこの世界には存在しない。なのに、なぜ原発再稼働なのか。安倍政権は、自分が見たいものしか見ず、見たくないものは見ない妄想の世界に浸り、反知性主義に凝り固まっているのである。

 国民を不幸にする戦後最悪の安倍内閣を継続させてはならない。安倍政治を終わらせるよう、主権者は新たな営みを開始しよう。

(2) 民意を問おうにも問えない選挙法制

 本来、衆議院は平等な国民主権を保障するための公職選挙法改正と選挙制度改正を直ちに行った上で、その正当性を担保するために直ちに解散されなければならない。これが衆議院解散の唯一の大義である。

 そもそも投票価値(定数配分の格差ではない)と民意を切り捨てる小選挙区制をそのままに、消費税増税延期について民意を問うことなど不可能であり、違憲である。安倍政権は民意を問いたいのではなく、小選挙区制によって偽装勝利したいだけである。民意を確認したいのであれば、700億円もの税金で選挙をする必要もなく、世論調査を実施すればよい。

 選挙運動に参加する権利などの国民主権を奪う公職選挙法をそのままに選挙を行うことも、正当な選挙を規定した憲法に違反して違憲である。国会議員は定数配分の格差の問題ですら、その是正を怠って違憲議員の烙印を最高裁から押されている。

 いわゆる「0増5減」は衆議院の小選挙区の議席のみを削減するものであり、比例区に立候補できず(当選しにくい)小選挙区にしか立候補できない無所属候補の立候補権に対する差別(立候補枠や当選しやすさの格差)を拡大するもので、定数配分の格差の是正に幾分かは貢献するとしても、別の重大な格差を拡大するから論外である。「0増5減」は衆議院議員選挙に何らの正当性も与えない。

(3) 主権者が国会議員の上に立つために

 大義なき安倍解散にどう対応するか。主権者はあくまでも国会議員の唯一の権能が平等な国民主権を保障するための公職選挙法改正と選挙制度改正だけであると主張し続け、特に野党にこれらの改正を統一政策にするよう迫るべきである。

 ただし、消費税増税という負担を強いる代わりの「身を切る改革」と称しての議員定数削減は民意を切り縮めるものだから、必要がない。国会議員は沖縄に荷重な基地負担を強いているから、子どもの貧困率が過去最高になったから、定数を削減するのか。負担を強いるたびに定数を削減していたならば、身がもたないではないか。それとも基地負担などは増税負担より軽いとでも思っているのか。主権者の代理たる国会議員が主権者の民意を切り縮める定数削減が進まないことを謝る民主主義国家など、日本をおいてほかにない。民主主義をわきまえてもらいたい。

 選挙後は公職選挙法と選挙制度を直ちに改正してから直ちに衆議院を解散し、正当な選挙を通じて衆議院議員を選び直さなければならない。

2014年11月28日

「平和への結集」をめざす市民の風
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