大飯原発3、4号機の再稼働はできない

福井県知事 西川一誠様
福井県原子力安全専門委員会委員の皆さま

[要旨]
・原発の通常稼働による健康被害を「安全性」論議に含めるべき
・福島原発事故の検証では、地震の影響(津波襲来前の放射線モニタリングポストの警報など)が未解明
・オール電化をいまだに進め、原発の再稼働は需給バランスに関係ないと明言する不誠実な関電と「安全性」論議は不可能

原発再稼働のことで日々悩まれていることと思います。

過酷事故が起こらなければ原発は安全だという前提で原発再稼働論議が進められていますが、私は違和感を覚えます。

15カ国の核労働者40万人以上を対象にした大規模な疫学調査で過剰死亡リスクが認められているし、米国の核施設周囲で乳がん発生率が上昇していることをJM・グールドが綿密な疫学調査で見いだしています。さらに、米国で8基の原発が閉鎖された後、各原発の風下ないし原発から64キロメートル内で地元産ミルク中ストロンチウム90濃度と乳児死亡率が急減したことをJJ・マンガーノらが実証しています。

低線量放射線による健康影響に関しては、こちらもご参照ください。

[仮称]松戸市放射能対策総合計画(案) に対する意見
http://2011shinsaichiba.seesaa.net/article/266897022.html

西日本は福島原発事故の影響をあまり受けていないため、原発の全基停止をこのまま維持すれば、健康被害が減少することが期待されます。

「過酷事故が起こらなければ原発は安全」という前提で原発再稼働を認めるとしても、福島原発事故の検証がまったくできていません。

福島原発事故では津波が来る前に、1号機から約1500m 離れたモニタリングポストMP3で警報が鳴り、1号機では15:37に全交流電源を喪失して約2時間後の17:50に、建屋入口で検出限界を超えるほどの放射能、「シューシュー音」が確認されています。

地震による配管損傷(破断)でIC(非常用復水器)が機能せず、炉心溶融へ至った可能性
http://www.liveinpeace925.com/nuclear/fukushima1_1_ic111029.htm

これらはすべて地震の揺れによる影響であると考えられますが、政府も国会も東電も原因を明らかにしていません。いくら電源を確保したところで、冷却系配管が破壊されれば、メルトダウン事故に至ります。福島原発事故の検証で一番重要な部分が欠落しているのです。

関電には誠実さがありません。東電でさえ緊急設置電源として221万kWを確保しましたが、関電はわずかに2万kWだけです。

【関電】準備してれば足りていた。わざと停電を長引かせることも!? (テレ朝モーニングバード、5月17日)
http://www.youtube.com/watch?v=RVBAUWGt9NM

さすがに東電は福島原発事故の後でオール電化の新規営業を中止しましたが、関電はいまだに続けています。

関西電力:オール電化住宅なお促進(毎日新聞、2012年05月05日)
http://mainichi.jp/select/news/20120505k0000e020162000c.html

また関電は、原発の再稼働は需給バランスに関係ない(経営のため)と明言しています。環境エネルギー政策研究所の飯田哲也氏は、中部・北陸・中国電力は猛暑でも電力供給力に900万kW、つまり原発9基分の余剰が生じるとみています。どうやったら関電管内で停電が起きるというのでしょうか。

電気が足りないから再稼働するのではない。関電が明言(テレ朝モーニングバード、5月3日)
http://www.youtube.com/watch?v=mXoeCl5zW9c

日本でまた原発事故を起こせば、日本に対する信用は完全に地に落ちます。「電気が足りなくなる夏季限定の再稼働」ではいつまで経っても変わらないでしょう。原発を安定的に稼働させるための方便です。

原発事故を起こした側の国や電力会社が原発の再稼働を主導することは非常識です。ドイツのメルケルは福島原発事故後に倫理委員会を立ち上げて原発全廃を決めました。

原発がなければ経済が成り立たないという主張は、エネルギー量にして石油より少ないウランが枯渇すれば経済が成り立たなくなるという主張と同じで、真に受けるわけにはいきません。

独ルブミンの原発跡地:風力発電設備企業などが進出し、寂れた町は少しずつ立ち直っていった
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/268717602.html
電力会社を追い出した町(NHK「時任三郎 エネルギーの旅」、2012年4月30日)
http://www.youtube.com/watch?v=8WknCBjM0fw

電力需給見通しをコロコロ変える不誠実な関電や、まともな原発事故検証もできない政府と原発の再稼働を議論できるでしょうか。まずは市民と向き合っていただきたいと思います。

2012年5月22日

太田光征

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