選挙権関連の格差は「定数配分の格差」だけではありません〜「0増5減」は無所属候補に対する差別を拡大する〜

選挙権関連の格差は「定数配分の格差」だけではありません
〜「0増5減」は無所属候補に対する差別を拡大する〜

2013年6月20日

 国会では「選挙区間での(有権者数当たりの)定数配分の格差」(メディア用語で「1票の格差」)を是正するための「0増5減」(与党案)や 「18増23減」(みんなの党案)などが議論されています。

 裁判所は選挙権関連の格差を<選挙区間>の「定数配分の格差」だけと判示したわけではありません。

平成23年(行ツ)第64号 選挙無効請求事件
平成24年10月17日 大法廷判決
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20121017181207.pdf
「憲法は,選挙権の内容の平等,換言すれば,議員の選出における各選挙人の投票の有する影響力の平等,すなわち投票価値の平等を要求していると解される」(7ページ)

 現行選挙制度は無所属候補の比例区への立候補を認めていません。その結果、政党候補は比例区の180議席と小選挙区の300議席を当選枠として確保できる一方で、無所属候補は小選挙区の300議席しか当選枠がありません。現行選挙制度は無所属候補(とその支持者)に対するあからさまな差別です。

 0増5減なる「格差」是正策は小選挙区の定数だけを削減するもので、無所属候補(とその支持者)に対する差別の拡大に他なりません。だからといって小選挙区と比例区で同議席ずつ削減すれば平等かといえば、そのようなことはありません。

 無所属候補の立候補権とその支持者としての主権者の選挙権を比例区で完全に認めないことは、一種の制限選挙であり、立場の違いによらず立候補権や選挙権を認めた上での「選挙区間での定数配分の格差」より重大です。あるいは、「政党候補(とその支持者)と無所属候補(とその支持者)の間での定数配分の格差」という点で、「選挙区間での定数配分の格差」と同じ構造を持っています。

 「選挙区間」での格差だけを問題にすればよい、という根拠はありません(日本国憲法第14条)。ある種の格差を解消しようとして別の格差を拡大するのは本末転倒というものです。

 メディアの中からも、選挙区間での定数配分の格差以外に、選挙権関連の格差があることを認める記事が出始めています。例えば、読売新聞は、自民党の細田博之衆議院議員が提案している衆院比例区「中小政党優遇枠」を評価するに当たり、<政党間>での「1議席あたりの<得票数>」の格差を用いています。

自民案、312万票と200万票が同じ議席数に
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/news/20130323-OYT1T00298.htm

 産経にいたっては、同案が「政党間での一票の格差」を新たに生み出し、「投票価値の平等」に反すると明確に書いています。

「選挙制度改革どこまで本気? 有識者に議論を委ねた方が…」:イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/642480/

 「政党間での一票の格差」は何も新しいものではなく、2012衆院選の比例区(全国集計)で、社会民主党は議員1人を当選させるのに自由民主党の4.87倍もの票が必要でした。「政党間での一票の格差」4.87倍は「選挙区間での定数配分の格差」2倍よりはるかに重大です。

細田案が浮き彫りにする「政党間1票格差」(社民党支持者の1票の価値は、公明党支持者の1票の0.45票分)の違憲性
http://kaze.fm/wordpress/?p=449

 また、参議院の選挙制度では、選挙区によって小選挙区制および中選挙区制という異なる制度を設定している点が、独自の問題となっています。これは選挙区によって死票率、従って1票の価値の格差を確率的に固定化する差別に他なりません。

 たとえ議員1人当たりの有権者数が多くとも(1票の価値が低いとされる)、1人区の小選挙区より、生票となり1票の価値を確保できる確率が高い5人区などの中選挙区を望む有権者は多いことでしょう。議員1人当たりの有権者数を選挙区間だけで比較しても、1票の価値を比較することにはならないのです。

 選挙区の定数削減が無所属候補(とその支持者)に対する差別を拡大することについては、既に今年3月、各党幹部・選挙制度担当者の方にお知らせしています。

「国民負担と引き替えの国会議員定数削減」「有権者の権利を縛るネット選挙法案」で各党議員に要望
http://kaze.fm/wordpress/?p=445

 今回また、その他の類型の格差とともにお示ししました。これらの格差を認識しながら放置・拡大する形の「選挙区間での(有権者数当たりの)定数配分の格差」是正だけに固執されるのであれば、新たな提訴が起こされるだけでしょう。

「平和への結集」をめざす市民の風
http://kaze.fm/

3 Responses to “選挙権関連の格差は「定数配分の格差」だけではありません〜「0増5減」は無所属候補に対する差別を拡大する〜”

  1. num100571krya Says:

    mns100571uttjr uXC2cT2 8UkB EmtMT1h

  2. Elulp Says:

    Hi, this is Jenny. I am sending you my intimate photos as I promised. https://tinyurl.com/yadxgrxz

  3. Elulp Says:

    Cryptocurrency rates are breaking records, which means you have the opportunity to make money on cryptocurrencies. Join our system and start making money with us. Go to system: https://tinyurl.com/ye7h7hmx

Leave a Reply