原発事故子ども・被災者支援法方針案のパブコメ

9月 22nd, 2013 Posted by MITSU_OHTA @ 1:15:12
under 福島原発事故 , パブリックコメント , 原発事故子ども・被災者支援法 No Comments 

パブコメの締切は9月23日です。

【広めてください!】Q&A 何が問題? 原発事故子ども・被災者支援法 復興庁の基本方針案: 「避難の権利」ブログ
http://hinan-kenri.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/post-ae5a.html

e-Gov イーガブにある方針案PDFファイルは、テキストをコピーできない設定になっています。

パブリックコメント:意見募集中案件詳細|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=295130830&Mode=0

こちらはコピー可能です。→http://www.reconstruction.go.jp/topics/m13/08/20130830_kihonhousin.pdf

1ページ「支援対象地域」について

「その地域における放射線量が政府による避難に係る指示が行われるべき基準を下回っているが一定の基準以上である地域」(法第8条)を「支援対象地域」と規定しているというが、「一定の基準」を規定・定義しない限り、「支援対象地域」は決まりません。

従って、「福島県中通り及び浜通りの市町村(避難指示区域等を除く)」を「支援対象地域」とする根拠がない。せめて追加被ばく量が年1ミリシーベルト以上の地域を支援対象地域としてください。

2ページ「準支援対象地域」について

支援対象地域の定義がはっきりしていないのに、文字面だけ「準支援対象地域」を作っても、支援地域を拡大することにはなりません。まずは「一定の基準」を決めることです。

2ページ「健康上の不安を解消」について

これまでのパブコメで何度も指摘されているはずですが、「不安の解消」を目的にすべきではありません。不安の解消と健康被害の解消はまったく違います。健康被害の解消を目的にすべきです。

2ページ「被災者生活支援等施策に関する詳細は、関係府省の施策をとりまとめ、別途公表する」について

「別途公表する」ではパブコメにかける意味がありません。先に公表してください。

2ページ「1 汚染状況調査」について

他の項目すべてについて言えることですが、従来施策を「基本方針案」に盛り込んで説明する意義はあまりありません。新規施策を盛り込んでください。

3ページ「2 除染」について

除染の効果については疑問が呈されています。除染の効果の検証がまず先です。

4ページ「避難や屋外での運動の自粛など生活習慣の変化に伴う健康影響が指摘されていることから、被災地を含め、全国において健康診査や健康相談の機会を通じた生活習慣病対策を推進」について

「低線量被ばくによる健康影響および避難や屋外での運動の自粛など生活習慣の変化に伴う健康影響が指摘されていることから、被災地を含め、全国において健康診査や健康相談の機会を通じた生活習慣病対策を推進」と書き換えてください。

5ページ「地方自治体が策定する食品中の放射性物質の検査計画に係るガイドライン」について

国は地方自治体の行政に過度な口出しはしないでください。

5ページ「心の不調」について

9月21日のNHKニュースによれば、厚労省による福島第一原発労働者の健康調査分析の結果、白血球の数が多いなど再検査や治療が必要だという医師の所見が付いた人が284人と全体の4.21%で、事故が起きる前の平成22年と比べて3.23ポイント増え、4倍余りになったとのことです。

心の不調だけでなく、体の不調も考慮しなければなりません。

6ページ「高速道路の無料措置」について

移動支援は「高速道路の無料措置」だけですか。移動手段はほかにもあります。

7ページ「全国において、民間賃貸住宅等を活用した応急仮設住宅の供与期間を平成27 年3月末まで延長」について

延長期間が短すぎます。新規受け付けを認めてください。

7ページ「支援対象地域に居住していた避難者の公営住宅への入居の円滑化を支援」について

支援対象地域以外の避難者に対する手厚い住宅支援も必要です。家賃補助まで踏み込んでください。

7ページ「福島県からの避難者に対し、地元への帰還就職が円滑に進むよう支援」について

被災者支援法の趣旨に反し、避難の自己選択を無視して、帰還を促すものです。被災者の自主的な避難の形態に合わせた就業支援を行うこと。

7ページ「「福島避難者帰還等就職支援事業」により、避難者が多い山形・新潟・東京・埼玉・大阪の各都府県において、福島県へ帰還して就職することを希望する方のための相談窓口を設置」について

「「福島避難者就職支援事業」により、避難者がいる各都府県において、就職することを希望する方のための相談窓口を設置」に改める。

8ページ「避難住民の受入れに伴い、受入れ団体が負担する経費について、地方財政措置を行う」について

当該経費は東電に請求してください。

8ページ「避難指示解除準備区域の住民の帰還を促進するための取組」について

被災者支援法の趣旨に反し、避難の自己選択を無視して、帰還を促すものです。被災者の自主的な避難の形態に合わせた就業支援を行うこと。

9ページ「必要に応じ東京電力を指導」

東電が損害賠償・事故収束を担える存在でないことは明白です。損害賠償金は東電が負担しているのではなく、東電管内の東電利用者が負担しています。東電でなくとも損害賠償業務は可能です。

福島第一原発建屋への地下水流入は2011年から指摘されています。汚染水問題は今に始まったことではありません。

東京新聞:福島第一 建屋に地下水大量流入か 収束作業に難題:福島原発事故
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2011092002100008.html

東電を存続させることは東電の無責任を放置することです。東電は破綻させるべきですが、破綻させないで、指導もしないということは考えられません。

9ページ「福島県の全県民を対象とした外部被ばく線量調査や、事故時18 歳以下の子どもに対する甲状腺検査等必要な健康管理調査を継続する。また、個人線量計等による福島県及び近隣県の被ばく線量の推計・把握・評価を行う」について

内部被ばくも調査する必要があります。

9ページ「ホールボディカウンターによる内部被ばく測定」について

ホールボディカウンターでは放射性物質の体内分布を測定できないので、その影響を評価することはできません。内部被ばくの影響評価そのものを検討し直す必要があります。

9ページ「甲状腺検査等」について

国連人権理事会特別報告者が勧告しているように、放射線による健康被害の検査については、甲状腺だけでなく、血液や尿なども対象とする必要があります。

10ページ「被ばく量の観点から、事故による放射線の健康への影響が見込まれ、支援が必要と考えられる範囲(子ども・妊婦の対象範囲や負傷・疾病の対象範囲)を検討するなど、県民健康管理調査や個人線量把握の結果等を踏まえて、医療に関する施策の在り方を検討」について

まさに「負傷・疾病の対象範囲」が「一定の基準」とともに、本基本方針案で決定されるべき最重要課題なのに、これを今後の検討課題にすることは考えられません。法律制定から1年以上も経過しているのですから、先に検討して公表し、パブコメにかけてください。

10ページ「独立行政法人等の関係機関と連携して、被ばく線量評価の調査等を実施する」について

独立行政法人というのは放射線医学総合研究所などを指すのだと思いますが、低線量被ばくの影響をないとする前提に立たない研究者の参加が不可欠です。

10ページ「放射線による健康影響等に関する知識技能を習得するための研究」について

低線量被ばくの影響はないとする知識技能の習得を目的としないこと。

11ページ「県民健康管理調査をバックアップする福島県立医科大学の講座を支援し、リスクコミュニケーションの人材を育成」

低線量被ばくの影響はないとする知識技能の習得を目的としないこと。

11ページ「「東京電力福島第一原子力発電所事故を受けた福島県とIAEA との間の協力に関する覚書」に基づき、放射線モニタリング及び除染、人の健康、並びに緊急事態の準備及び対応等の各分野におけるIAEA の協力プロジェクトを実施」について

IAEAは原子力推進機関であり、人の健康を守る機関としては最もふさわしくありません。IAEAとは協力しないこと。

11ページ「(4)国民の理解」「放射線影響等に係る統一的資料」「リスクコミュニケーション」「コールセンター」「副読本」「説明会」および12ページ「パンフレット」「教材」「研修会」「説明会」について

低線量被ばくの影響をないとする前提に立たないことが重要。

12ページ「福島県立医科大学の放射線医学県民健康管理センターを活用し、福島県民健康管理調査結果の分析・評価」について

被曝線量と健康影響の相関関係をいますぐ調査すること。

12ページ「インターネットを活用した基準値の周知徹底」について

何の基準値なのか不明。

12ページ「放射線被ばくを懸念する国民の不安から、人権侵害が生じないよう啓発活動等を実施」について

「放射線被ばくによる健康影響から人権侵害が生じないよう、東電に対する啓発活動を実施」に変える。

12ページ「上記?に記載したもののほか、様々な被災者生活支援等施策が関係府省において実施される。このため、被災者が具体的な施策について把握できるようにするため、関係府省の各施策の概要、対象地域等を記した資料を別途とりまとめ、公表する。」

別途公表するのではパブコメにかける意味がない。まず公表してからパブコメにかけてください。

最後に全体について

原発事故被災者から意見を聞く機会を設けてください。パブコメ期間が短すぎます。パブコメを方針案に反映させるプロセスを明確にしてください。パブコメに係るファイルをコピー禁止設定にしないでください。

パブリックコメント:意見募集中案件詳細|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ
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太田光征