やめさせよう“壊憲”を!みんなの力で 5.30改憲阻止シンポジウム

5月 31st, 2006 Posted by MITSU_OHTA @ 11:07:12
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昨日は東京の中野で開かれた「やめさせよう“壊憲”を!みんなの力で 5.30改憲阻止シンポジウム」に行ってきました。参加者は340名です。

発言者

河野達男氏 社会民主党新宿総支部幹事長・区議会議員
山田敏行氏 新社会党新宿総支部委員長・区議会議員
田中憲秀氏 共産党新宿地区委員会副委員長・区議会議員
諸隈信行氏 東京全労協事務局長
平山和雄氏 東京地評副議長

コーディネーター

金澤壽氏 東京西部全労協議長・東京清掃労組副委員長

一通り、各氏が改憲情勢について見解を述べられた後、どのような改憲阻止の取り組みをしているか、コーディネーターから質問されました。山田敏行氏が、憲法をほとんど知らない国民が多いとの世論調査結果を前に、自分たちの宣伝活動が機能してこなかったと明確に反省。その点から、労組として憲法学習には取り組んでこなっかたという平山和雄氏が、職場9条の会を作る方針だと表明されたことは、意気込みと展望を感じさせるものがありました。

会場からの発言では、最初に河内謙策さんが意見を述べられました。期待通り、例の調子で、参加者から盛んな拍手を受けていました。ビデオに収めてきましたので、どうぞお聞きください。

河内謙策さんの発言

最後のまとめでは、各氏とも、河内さんが言われた「統一戦線」の重要性を認めた点で、なんだ、ほぼ一致してるじゃないですか。各氏の発言を拾っておきます。

河野達男氏
「統一戦線も重要だが運動広めたい」

山田敏行氏
「違いは残して・・・」

田中憲秀氏
「政党的利益ではなく、国民的利益のために頑張りたい」

諸隈信行氏
「国鉄闘争での統一戦線での経験から、改憲阻止での統一戦線も可能」

平山和雄氏
「共闘を広げたい」」

以上の発言を受けて、コーディネーターの金澤壽氏は、「ここでは統一しているが、東京で、全国でできないのはなぜか?」との感想を。そうなんですね、そこを何とかするのが、平和への結集運動です。

私の発言   弁護士 河内謙策

5月 28th, 2006 Posted by yuubokuminn @ 2:37:40
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河内謙策と申します。私は、5月21日に行われた自由法曹団の5月集会で、以下のとおり発言しましたので、皆様の参考になれば、と思い送信させていただきます。皆様の親しい方への転送・転載は自由です。

河内謙策

…………………………

 東京支部の河内です。私は、統一戦線運動と団の役割、という点について、問題提起をさせていただきたいと思います。私の発言を正確なものにするために発言原稿を作成してきましたので、それを読ませていただきたいと思います。
 国内外の現在の情勢が、きわめて深刻なものであることについては、割愛させていただきます。私が言いたいのは、それを根本的に打破するには、広範な統一戦線を結成して、平和や自由・民主主義を求めるエネルギーを総結集する以外にない、ということです。
 広範な統一戦線の結成は、時代の流れ、ということができると思います。21世紀になって、急に、様様な国において、様様な運動において、統一戦線が話題になってきました。ごく最近でも、世界社会フォーラム運動はもちろんのこと、昨年のドイツにおける総選挙での左翼党の前進や今年に入ってからのイタリアの「オリーブの木」の勝利、フランスのCPE反対運動でも様々な傾向の組合などが打って一丸となっている様子が日本のテレビでも報道されました。日本国内に目を転じてみても、同様です。沖縄の名護市長選挙の敗北と沖縄市長選挙の勝利は、鮮やかに平和統一の意味を浮き彫りにさせてくれました。私が最近感激したのは、JR採用差別事件の勝利的解決をめざす4.4集会でした。この集会自体は、学者・文化人等36人の呼びかけによるものでしたが、そこでは、国労、全動労、動労千葉がガッチリとスクラムを組んでいました。昔は、動労千葉との連帯、というと、“中核を認めるのか”と言われたもので、関係者のご努力を思い、感無量でした。
 憲法改悪反対運動の勝利をどうやって実現するか、という点から考えると、今、4つの統一戦線を結成することが求められているとおもいます。憲法改悪反対の国際的な統一戦線、国内における憲法改悪に反対し、憲法を活かすための大衆的な運動のレベルにおける統一戦線、国会における平和政党を支える統一戦線、地方のレベルにおける改憲の先取り的な動きに反対し憲法を活かすための統一戦線、の4つです。 

  この4つの統一戦線のうち、私が今日問題提起したい中心は国会における平和政党を支える統一戦線です。これは、もっと端的な形で言えば、当面、広範な平和勢力の統一の力で、憲法9条を守る議員もっと当選させること、参議院または衆議院の議員の三分の一以上を占めるようにすることだと思います。私は、このことの重要性を考え、昨年末から始まった“「平和への結集」をめざす市民の風”の運動に参加しています。同運動は来年の参議院選挙での平和共同候補・平和共同リストを求める運動を展開しています。念のために言えば、この運動は平和政党に共同候補を求める運動で、自分たちが立候補する運動ではありません。現在、400名をこえる賛同者が結集しています。本集会の資料の袋の中に、同運動の資料や呼びかけ人・賛同人一覧を入れさせていただきましたので、御覧になってください。

 この運動に参加して一番感じるのは、平和共同候補を求める声が国民の間に如何に強いか、ということです。ごく最近到着した手紙を読んでみます。

「美しい初夏の候ですがご精励のことと存じます。 さて、突然お手紙を差し上げまして、失礼いたします。私は現在62歳で、私立高校の教員をしている者です。この度、世界5月号に発表されました声明を読みました。趣旨に全く同感です。60年安保よりこの数十年間、日本の革新勢力がまとまって協力体制ができることを遥かに期待して来ましたが、残念ながら、その様にはなりません
でした。
 私自身殆ど無力で、何ら積極的に動くこともできませんでした。もし革新勢力がこの方向でまとまり、協力体制ができるなら、現在の絶望的な状況を変える希望が生まれます。[以下、略]」

 平和共同候補の必要性はわかるが、国政選挙は憲法9条だけでないから条件がない、という意見も聞きます。しかし、では何故2004年に糸数選挙で共闘が実現したのでしょうか。また、実際の選挙の政策という点でいけば、あまり細かい点まで政策の一致を求めるのは妥当でない、と思います(去年の総選挙では、郵政民営化、のシングル・イッシューが争点になりました。)中国共産党と中国国民党の合作は、その直前まで、国民党が共産党員を殺している事態の下でも実現しました。日本の支配層は、来年の参院選挙で憲法の争点を隠し、あたらしい参議院・衆議院の下で、超党派で憲法改正案を作り、国会の名の下で、これを国民に押し付けようとしているのです。そのような重大な事態だからこそ、単に条件が無いのでは、済まされないのです。
 また、平和共同候補の必要性はわかるが、政党の状況をみると実現が困難だ、という意見もよく聞きます。たしかに、困難でしょう。それは、日本の平和政党に根強い自政党第1主義があるからです。私は、これを克服するのは、政党自身の努力では限界があると思います。また、昔のように、少数の顔のきく知識人が間に立って話をまとめるのも困難と思います。広範な市民が間に立って調整役・接着剤になるしかない、と思います。それは、市民が政党に指図するものだ、という意見も聞きますが、そのような意見に基づけば、市民が政党を批判することができなくなります。市民と政党の間を、形式的・概念的に区分するのでなく、市民と政党が相互に交流する中で、相互に成長していく関係が求められていると思います。

 私は、市民が政党間の調整役・接着剤になっていくうえで、自由法曹団の果たす役割が非常に大きいと思っています。しかし、現実には、そうなっていません。むしろ、“自由法曹団は口だけだ”“自由法曹団は、本当は平和の統一をのぞんでいないんだ”“自由法曹団は共産党の直属部隊じゃないか”という悪い噂が一部で一人歩きをしています。これは悲しいことです。私は、自由法曹団は、平和の統一のためのコーディネーターでなければならない、と思っています。そのためには広範な平和勢力から信頼されることが前提です。どのような政党に対しても、モノをいうべきときにはモノをいう。それでこそ、広範な平和勢力に信頼されるのです。自由法曹団は、そういう団体だったのではないでしょうか。

私は、自由法曹団員で、かつ、共産党員の人、社民党員の人、新社会党員の人、緑のテーブルの人に言いたいのです。本当に重要な問題については、政党の決定に基づいて考えるのでなしに、1人の法律家として、1人の人間として考えて行動してほしい、と。そうでなければ、自由法曹団は、自由法曹団でなくなるでしょう、と。
 時間がないので、以上で触れられなかった点は、特別報告集86頁以下の私の原稿や、資料袋の中に入っている7.7シンポジウム関係のビラ等を読んでください。
 最後に、私達が、歴史に対する責任を自覚し、全力を挙げて広範な統一戦線結成の道を歩むことを訴えて発言を終わらせていただきたい、と思います。
                           以 上

共謀罪法案

5月 24th, 2006 Posted by yosshi @ 22:14:04
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 今日、京都で共謀罪法案に関する集会がありました。現在の国会での情勢等詳しいお話しがあり、大変参考になるものでした。

 本当に廃案にするためには、民主党からの修正案をも否定する必要がありますが、相当のハードルの高さを感じています。

 現実的には、来年の参議院選挙では与党多数は実現できないですよ、という世論を喚起する必要があります。そのためにもこの平和への結集は、歴史的にも大きなターニングポイントになると思います。

 市民のサンクチュアリを奪われないようにみんなで声を上げましょう。

〜平和共同候補へ市民の風を〜5・26「平和への結集」スタート集会

5月 23rd, 2006 Posted by MITSU_OHTA @ 14:18:08
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平和への結集運動は本格的にスタートします。携帯からもアクセスできる新公式サイトhttp://kaze.fm/で随時賛同署名も募っています。5.26集会へどうぞご参集を!!

今こそ!市民が“風”を起こし、日本を変えよう!

◆◇◆:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::◆◇◆
   【それぞれの想いに耳を傾け、語り合う集い^0^)】
      〜〜〜平和共同候補へ市民の風を〜〜〜
    >>>5・26「平和への結集」スタート集会<<<
             開催のお知らせ!
◆◇◆:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::◆◇◆

 これは、『「平和への結集」をめざす市民の風』(新webサイト:http://kaze.fm)が主催する最初の集会です。平和への共同候補を求める7・7シンポ(下記<予告>参照)のプレ・シンポなので、これを起点にして7・7シンポを盛り上げてゆくことを目指します。

 私たちの呼びかけ文書には、呼びかけ人180名、賛同人261名の、合計441名(4月24日現在)が署名していますが、この多くの人々が顔を合わす機会はなかなかありません。通常の運営委員会では20人程度が議論していますが、なるべく多くの方々が集い直接意見を交換する場を用意したいと思っています。

 さらに、今回の集会には、まだ賛同人にはなっていない多くの方々にもぜひ来て頂きたいと思っています。できれば、これを期に賛同人や会員となって頂きたい。この集会を起点にして、賛同人や会員を大幅に増大させる運動を開始したいと思っています。

 政党などの諸勢力が私達の訴えに耳を傾けて平和共同候補を実現するためには、政党が無視できないような、多くの人々の声を集める必要があります。それには、賛同人や会員をもっと増さなければなりません。既にこの運動に加わってくださっている方々にも、さらに友人知人の方に連帯感を持って働きかけていただきたいと思います。

 そこで、第1部では、呼びかけ人や賛同人となっている方々のリレートークとし、第2部では、なるべく多くの方々に「平和への結集」についての思いを語って頂くようにしたいと思います。

 この集会が、憲法の精神を実現する意味の「活憲」という私達の運動の特色や力を存分に表現して、今後の大発展の起点となることを願いたいと思います。

★2007年参院選〜
「市民の風」が既成政党を動かし、新しい流れを創る!

〜〜〜平和共同候補へ市民の風を〜〜〜
5.26「平和への結集」スタート集会!                

◆日 時:2006年5月26日(金)
      午後6時開場 6時30分開会〜9時閉会

◆会 場:富士見区民館2階洋室A(千代田区富士見1−6−7) 
      TEL:03-3263−3841

<アクセス>
JR・東京メトロ東西線・有楽町線・南北線・都営大江戸線飯田橋駅から徒歩5分

<地図は下記↓↓↓URLをクリックして下さい>
http://www.city.chiyoda.tokyo.jp/sisetu/map-gif/syuttyoujyo2.gif

◆集会<プログラム>

【第1部】リレートーク「今、憲法改定をさせないために何が必要なのか」 
                               
  ◇発言者(敬称略・順不同):星野ゆか、川田龍平、千葉眞、下山房雄、鈴木伶子、小林正弥、他 
  ◇司会:きくちゆみ

【第2部】フリートーク「市民の風」参加者それぞれの想いをのせて 

「市民の風」の呼びかけ人、賛同者が一同に会する最初の機会です。みなさんが思っていること、どんな活動を日々おこなっているのか、行動提起など、みなさんの想いを、自由にご発言ください。

  ◇進行:きくちゆみ、小林正弥

◆参加費:1,000円 (◎当日受付にてお支払い下さい)

◆参加申込み:会場定員に限りがありますので、下記フォームに記入し、メールにてjoin@kaze.fmまで必ず参加申込みをお願いいたします。

賛同・入会の申し込みは別にhttp://kaze.fm/(携帯からもアクセス可能)のフォームからお願いします。
5・26「平和への結集」スタート集会!参加申し込みフォーム
参加者名:
ご連絡先:
(TELまたは、mail)
*******************************************************

◆フリートークでのご発言をご希望の方は、できる限り事前に事務局までお知らせくだい。
◆メールできない場合は、下記問い合わせ先までどうぞ!
◆問い合わせ先:080-6625-2516 担当:浅野迄

◆主催:『「平和への結集」をめざす市民の風』
◆「平和への結集」をめざす市民の風では、当日のボランティアスタッフを募集しています!join@kaze.fmまでどうぞ!

<予告>
****************************
             今こそ市民の風を! 
      07年参院選・平和への共同候補を求めて−
            7.7シンポジウム(仮称)
****************************
◆7月7日(金)18:30〜21:00 @日本教育会館 大ホール
(東京都千代田区一ツ橋2-6-2)
「『平和への結集』をめざす市民の風」と同じ思いを持つたくさんの人の呼びかけでシンポジウムを行います。
(主催:7.7シンポ実行委員会)こちらも、ぜひご予定に入れてください。
詳細は後日、webサイトhttp://kaze.fm等にてお知らせいたします。

――――――――――――――――――――――――
「平和への結集」をめざす市民の風 事務局
 〒112-0012 東京都文京区大塚5-6-15 ワイビル401
 保田・河内法律事務所内
 FAX: 020−4666−8281
 E−mail: join@kaze.fm
――――――――――――――――――――――――
転送ここまで

「平和への結集」にご賛同を!(呼びかけ文・短縮バージョン)

5月 22nd, 2006 Posted by yuubokuminn @ 3:21:52
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憲法9条を守り、活かすために、
立場の違いを超えて、結集しましょう

2006平和への結集の訴え

市民の手による「平和共同候補・平和共同リスト」の実現を
昨年の総選挙で、与党は憲法改定の発議に必要な3分の2を越す議席(衆議院)を獲得しました。自民党が発表した「新憲法草案」は、平和主義を基本的に放棄し、基本的人権や主権在民にも国家主義的な制限や修正を加えるなど、まるで戦前へ逆戻りするかのようです。平和憲法は、極めて深刻な危機をむかえています。私たちは、憲法の平和主義を守り活かす“活憲”のために、いま国や地方の政治で、「平和への結集」が必要と思います。

環境や子どもを守り、社会的公正を実現するためにも、9条が必要です

自民党も民主党の中の多数派も、アメリカと一体となって戦争ができるように、憲法を変えようとしています。けれど私たち市民が求めているのはそういうことでしょうか?
私たちの願いは、食の安全や、環境問題の改善、こどものための教育改革、年金改革や格差是正といった社会的公正の実現など、安心して心豊かに暮らせる、そういう平和ではありませんか? そのためには、戦争をしない平和が必要であり、憲法9条が必要なのです。でも今、それを実現してくれる政治勢力はとても弱くなっています。これを、私たち市民の手で盛り返せないでしょうか?

平和のために、立場を超えて結集しましょう

2004年、参院選の沖縄では、民主党、社民党、共産党、社会大衆党が協力し、平和統一候補を当選させました。このようなやり方を、日本各地で実現できないでしょうか?
平和を求める政党や市民が、それぞれの政策的独自性を保ったまま「平和・環境、社会的公正、選挙制度の抜本的改革」を基本的な理念として共有し、選挙協力すれば、今度の選挙で、憲法改定阻止に必要な3分の1の議席を確保することもできるはずです。
衆院選の小選挙区、参院選の地方区で「平和共同候補」を。比例区では、政党と市民の協力による「平和共同リスト」の形成を求めましょう。実際に、イタリアの中道左派連合「オリーブの木」は、同様の方法で選挙戦を戦い、政権を取ることに成功しています。

「平和への有権者」の力で政治を変えましょう

政党間の問題を解決するためには、市民の力が不可欠です。平和を求めるすべての人が結集し、政治に対する声をあげましょう。今は選挙権を持っていない人も、平和を要求する権利を持つという意味で、「平和への有権者」といえるでしょう。
今こそ、私たち市民の手で、「平和共同候補」や「平和共同リスト」を成功させ、私たちが本当に求める平和を、実現していきましょう。

「平和への結集」をめざす市民の風
http://kaze.fm/

2006平和への結集の訴え

5月 17th, 2006 Posted by MITSU_OHTA @ 8:48:49
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2006平和への結集の訴え
市民の手による「平和共同候補・平和共同リスト」の実現を

要約版1はこちら
http://kaze.fm/2006appeal_summary1.html

平和憲法が極めて深刻な危機に瀕している今、憲法の平和主義を守り活かす“活憲”のために、国や地方の政治における「平和への結集」が必要だと私たちは考えます。「?平和・環境、?社会的公正、?選挙制度の抜本的改革」の実現を基本的な目的として共有し、市民の手により「平和共同候補や平和共同リスト」などを実現する大運動を提案します。

(1)現在の危機に対して憲法を守り活かす“活憲”のために

 郵政民営化法案の可否だけを事実上の争点とした2005年「9・11」総選挙によって、小泉政権は自由民主党だけで296議席、公明党を含めた与党全体で、衆議院の総議員の3分の2を越す大議席を獲得しました。一方野党第1党の民主党は大幅に議席を減らし、2大政党に近い状態から、かつての自社体制と似た1と2分の1政党制となり、国会の議席状況はそれまでとは一変しました。

 憲法の改定は、「各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議」(第96条)することとなっており、衆議院においては、与党はこれをクリアしたことになります。選挙で敗北した民主党は、「改憲」に積極的な前原執行部を選出しました。自由民主党は、民主党の改憲派と組めば、たとえ公明党の逡巡や反対があったとしても、憲法改定の発議が出来るところまでのフリーハンドを得たといえます。

 そして、自由民主党の「新憲法草案」が発表され、憲法改定の動きは、いよいよ現実のものとなりました。「新憲法草案」の内容は、前文の平和的生存権を削除し、非戦を定めた9条2項を削除して「自衛軍」による海外での戦争を可能にしています。それだけではなく、国政を国民の信託とする文言を削って、国を支え守る責務を謳い(前文)、また現憲法の人権(制限)規定における「公共の福祉」を「公益・公の秩序」に書きかえるものになっています。まさに、現行憲法の3大原理の内の、?平和主義を基本的に放棄し、?主権在民や?基本的人権にも国家主義的な修正や制限を加え、国家権力による国民支配を強化して戦前の憲法の方向へと退行するものとなっています。

 しかも、改定の発議の要件を各議員の総議員の3分の2以上から過半数に変更しているので、次には例えば自由民主党だけで憲法改定の発議を行うことが可能になり、この憲法改定の後に、さらに悪い内容の憲法に改定することを企てていると考えられます。これは、戦後の憲政(憲法による政治)の危機といわざるを得ません。大正デモクラシーの憲政擁護運動と同様に、市民が憲政擁護のために立ち上がらなければなりません。

 現在の参議院の議席状況は衆議院とは異なるので、ただちに憲法改定の発議ができるわけではありません。しかし、この選挙結果によって、「改憲」が現実の政治過程に入ったことは確かです。私たち、平和と社会的公正を望む市民は、この危険な状況を変えていくために、一体何をすべきなのでしょうか。

 平和憲法を守ろうと主張する政党は、小選挙区制度という大きな制約の中でも、議席を維持しました。しかし、衆議院で日本共産党、社会民主党あわせて16議席という数は、議員総数の3%程度であり、とても憲法改定を阻止できません。3分の1を確保できなければ、憲法改定の発議を阻止できないのです。

 他方、世論では、憲法、とりわけ第9条の改定に反対する意見が常に5−6割程度は存在します。また、2005年9・11総選挙ですら、小選挙区の得票率では、与党が49.2%、野党その他が50.8%でした。与党は半分に満たないにもかかわらず、議席占有率では75.7%に達していることになります。こうした世論と国会とのギャップを正さなければなりません。

 07年の参院選はきわめて重要です。ここで万一、与党が今回のような勝利を収めれば、間違いなく憲法改定の発議が行われるでしょう。逆に、ここで「平和への結集」が実現し、議席の3分の1を確保することができれば、憲法改定の発議を不可能にすることができます。平和の「風」を起こせば、憲法改定の動きには歯止めがかかり、その後の努力により私たちは日本国憲法の平和主義を維持し、逆にそれを活性化すること(活憲)ができるでしょう。

(2)平和と社会的公正を目指す勢力を国会に

 私たちは、いま、極端にバランスの崩れた国会を前にしています。自由民主党も民主党の多数派も基本的な方向性は同じだからです。安全保障政策においては、戦後日本が維持してきた平和主義を捨て、米国と一体となって戦争ができるように、集団的自衛権を認め、憲法を変えようとしています。

 しかし、この平和憲法は、日本だけでなく、アジアと世界における「非戦の誓い」ともいえるものなのです。ここには、大量の犠牲者が2度と生まれないように、いのちの尊重が憲法原理として定礎されています。9・11以来世界に戦争が吹き荒れて多くの犠牲者が生まれている今こそ、平和憲法の意義が新たに確認されなければなりません。

 また、自由民主党と民主党の多数派は、「構造改革」という概念を用いて新自由主義(ネオリベラル)型経済政策を推進しようとする方向で一致しています。これは、米国型の規制緩和、競争原理と格差拡大の経済政策です。

 自由民主党は小泉政権の下で、従来の保守主義を捨てて地方や弱者を切り捨て、戦前の革新ファシズムを想起させるような「革新右派政党」になりつつあります。また民主党も「革新(中道)右派政党」といえます。ヨーロッパで政権を獲得したような「中道左派」勢力が、日本ではあまりにも弱すぎます。このような政党バランスは不健全と言わざるを得ず、国民にとって、幸福をもたらすものとは到底いえないでしょう。これは大きな悲劇ではないでしょうか。

 国民の多くは、平和はもちろん、平等や公平が尊重され、弱者の救済がなされる仕組みが存在することを望んでいると思います。平和と社会的公正を目指す勢力が、国政の有力な政治グループとして明確に登場すべきです。

 これまでも、国会の中で少数野党は、政権の政策の誤りや汚職などの追及において、大野党にはない鋭さを発揮してきました。また弱者や少数者(マイノリティ)の要求や声を、絶えず議会に反映させていく機能を果たしてきました。いま、これらの機能すら消滅しようとしています。このことは、多様な要求、価値観の交錯と議論の中で物事を決めていく民主主義の衰弱をもたらします。いま目の前で進行しているのは、かつてファシズムへの過程で見られたような、民主主義の衰弱と専制支配の拡大です。

(3)平和と社会的公正を目指す政治的ネットワークと統一会派

 では、どうすればいいのでしょうか。それは、平和を志向する全ての人が結集し、主権者としての自覚の下に、「平和への有権者」(の同盟)として政治的に踏み出すことではないでしょうか。未成年者や在日の人々や外国籍を持つ人々などのように、現在は選挙権を持っていなくとも、平和を要求する権利を持つという意味において、全ての人が「平和への有権者」たり得ます。

 平和・環境、社会的公正、選挙制度改革などの大きな理念や政策において共通する市民の集団が「平和への結集」を提唱し、その実現に向けて働きかけるのです。この市民の運動が、多くの平和運動とも協力しつつその連携を促進し、――例えば、日本共産党、社会民主党、さらには沖縄社会大衆党、虹と緑の500人リスト運動、新社会党、各地の生活者ネットワーク運動、みどりのテーブル、無所属の議員などが連携する――広範な政治的ネットワーク形成を追求するべきではないでしょうか。

 できれば、民主党・公明党も政策を転換して自由民主党との差を明確にし、軸足を移して、この政治的ネットワークに参画することが望ましいと思います。それが無理ならば、民主党の一部との連携を想定すべきですし、自由民主党、新党大地、新党日本、自由連合などの中の護憲派との連携も視野に入れるべきでしょう。

 まずは、国会において、政府、与党に対する質問や追及で、様々な連携や協力をすることです。そのためには統一会派を形成し、質問時間を融通しあったり、質問内容を有機的に連関させるなど、すぐにでも出来ることがあります。統一会派のための共通政策について合意形成の討議を、すぐにでも開始すべきです。

(4)平和共同候補・平和共同リストの実現を

 現在の小選挙区制は、国民の多様な意思を正確に代表に反映させないという意味で、極めて問題の大きな制度です。しかし、すぐに選挙制度の改正がなされる見込みがない以上、現在の仕組みで選挙戦を戦わなければなりません。

 2004年の参院選のとき、沖縄で実現した(民主党、社会民主党、日本共産党、沖縄社会大衆党)平和統一候補のようなやり方を、衆議院では各地の小選挙区で、参議院では各地の地方区で追求しましょう。できれば、全国で平和共同候補擁立が実現して欲しいと思います。

 もう一つの目標は比例選挙区の協力です。票割りは困難ですが、日本共産党、社会民主党、市民派無所属などまで含めた、比例部分での共同リストなどを形成することができれば、単独では当選できない小グループからの立候補者にも、当選の可能性が生まれます。

 こうして、各政治グループが、それぞれの政策的独自性を保持したままでも、暫定的な共通政策を協定し、暫定的な代表を置き、統一的な名称を付ければ、より多くの票を得ることが可能になるのではないでしょうか。旧来の言葉でいえば統一戦線であり、近年の言葉でいえばイタリアの中道左派連合「オリーブの木」方式に近いものです。例えば、その統一名称として、平和憲法を守る政党の枠を超えた連携という意味で、「平和連合」という名称も考えられます。

 「オリーブの木」においては、全小選挙区で共同候補を擁立し、比例区ではこの連合の下で各党が戦い、政権を取りました。この方式で「平和連合」を形成することも考えられるでしょう。

(5)市民の手により平和への結集を

 共通政策については、参加する市民と各党が一緒にテーブルについて、粘り強く協議すべきだと思います。私たちとしては、何よりも、平和憲法を守りそれを活性化する(活憲)という点を要にすべきだと考えています。これだけを結集点にするという考え方もありうるほどです。また、小選挙区制度の廃止による、民意を反映する選挙制度(例えば比例代表制)への抜本的改正を一つの軸にすることも考えられます。

 その他に、例えば現時点では、?イラクからの早期撤兵や沖縄の米軍基地縮小、米軍再編による新基地建設反対など、アメリカからの外交的自立、?靖国問題の解決などによる、中国、韓国などアジア諸国や世界からの信頼回復、?年金など社会保障の抜本的な改革、格差是正・弱者救済・雇用の確保などの社会的公正の実現、?増税の前の抜本的行財政改革、?環境保全・エネルギー政策、?平和省の創設、?教育基本法改定反対、教育改革、平和のための教育、?食の安全と自給率の向上、などが議論されるべきでしょう。

 これまでも政党に所属していない人々による平和共同候補擁立の呼びかけは少なからずありました。前回の参院選の際、沖縄で実現した統一候補糸数慶子さんの当選は、野党連携の可能性と力を私たちに教えてくれました。しかし、これまでの統一候補擁立の呼びかけは、政党が選挙態勢を整えた後や選挙直前になって行われた場合が多くて実効性が少なく、政党を動かすほどの勢いを作り出せませんでした。この結果、いまだ成功に至らず、平和希求政党の間の分裂選挙が続いて、平和を希求する政治勢力は小さくなるばかりです。そこで、選挙直前にならない内に、早くから粘り強い呼びかけと行動を行うことが必要です。

 平和憲法を守るための時間はほとんど残っていません。政党間の問題を解決するためには市民の力が不可欠です。今こそ、政治における「平和への結集」に向けて声をあげましょう。日本の各地で、市民の手による「平和共同候補・平和共同リスト」(平和連合)を実現させましょう。

2006年3月11日 

「平和への結集」をめざす市民の風

代表呼びかけ人

愛敬浩二(名古屋大学大学院法学研究科教授、憲法学専攻)、五十嵐仁(法政大学教授)、池住義憲(自衛隊イラク派兵差止訴訟の会代表)、池邊幸惠(庶民のネットワーク)、稲垣久和(東京基督教大学教授)、色平哲郎(佐久総合病院内科医)、浮田久子(平和の白いリボン行動・藤沢)、内山田康(社会人類学者、筑波大学勤務)、岡村孝子(戦争非協力・無防備地域条例をめざす藤沢の会)、岡本厚(「世界」編集長)、岡本三夫(広島修道大学名誉教授)、嘉指信雄(NO DU(劣化ウラン兵器禁止)ヒロシマ・プロジェクト代表)、加藤哲郎(一橋大学教員)、神谷扶左子(ピースキャンドル鎌倉)、河内謙策(弁護士)、きくちゆみ(グローバル・ピース・キャンペ−ン)、北村実(早稲田大学名誉教授)、君島東彦(立命館大学教授、非暴力平和隊国際理事)、金城睦(弁護士、沖縄平和市民連絡会共同代表)、小林正弥(千葉大学、地球平和公共ネットワーク)、佐々木寛(新潟国際情報大学助教授)、瑞慶山茂(弁護士、軍縮市民の会・軍縮研究室事務局長)、竹村英明(平和政策塾)、中山武敏(弁護士)、長谷川きよし(歌手)、平山基生(沖縄など日本から米軍基地をなくす草の根運動)、星川淳(作家・翻訳家、グリーンピース・ジャパン事務局長)、武者小路公秀(大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター所長)、毛利子来(小児科医)、山下けいき (2006年3月17日現在)

(表現上の微修正:2006年5月13日)