一票の格差は比例代表制で解消するしかない

いわゆる一票の格差が問題となるのは、有権者数あるいは投票者数に比べて定数が小さい場合に、当選できる候補でも落選することがあるからです。

2007参院選で投票率がほぼ同じだった定数3の選挙区、千葉選挙区と大阪選挙区を例にとります。大阪選挙区の有権者数は千葉選挙区のそれの1.42倍だから、千葉選挙区を基準にすると、大阪選挙区の定数は、実は4が適当です。

一票の格差の例(1.42倍)――定数3(2007参院選)
  千葉選挙区 大阪選挙区
有権者数 4,961,075 7,065,610
投票率(選挙区) 55.14 55.81

もしも大阪選挙区の定数が4であったならば、次点で落選した共産の宮本岳志氏が当選していたことになります。しかも、宮本氏の得票数585,620票は、千葉選挙区で3位当選した民主の加賀谷健氏が獲得した477,402票を上回っているのです。

千葉
666,241 長浜 博行
541,701 石井 準一
477,402 加賀谷 健
  387,395 白須賀貴樹
  214,991 浅野 史子
  130,364 本間  進
  124,113 青木 和美
  99,316 岩渕美智子

大阪
1,281,502 梅村  聡
836,903 白浜 一良
732,175 谷川 秀善
  585,620 宮本 岳志
  161,909 白石 純子
  141,867 服部 良一
  54,587 上田 剛史
  50,878 林 省之介
  18,986 大谷 義夫

そのため、大阪選挙区の有権者の一票は、千葉選挙区のそれより軽く不平等だ、という主張が成り立つわけです。このように、一票の格差1.42倍でさえ問題となることがあります。

しかし、定数当たりの有権者数が同じ選挙区でも、投票率の違いで、格差が生じ得ます。したがって、投票者数を基準にした格差を無くそうとすれば、開票後に定数を確定するしかなくなります。ただこの手法だと、多くの選挙区間で調整する必要があり、どこの選挙区で定数を減らす、増やすで候補者間に有利・不利が生じ、かなりの無理と混乱が想像されます。

有権者数、投票者数のいずれを基準にするにせよ、選挙区に区割りする選挙制度をとる以上、格差を完全に無くすことはできません。格差を無くすには、全国一区の大選挙区制か、比例代表制しかないのです。前者は無理があるので、比例代表制が残ります。なお、選挙区比例代表<併用>制なら、無所属候補でも立候補可能です。

参院議長に就任した民主党の江田五月氏は、一票の格差是正に意欲を示しているといいます。11日付け毎日新聞の記事から抜粋します。

「選挙区は各都道府県があって(最低1議席を割り振る)というところにメスを入れないと前に進まない感じを持っている」と述べ、二つの県を合わせて一つの選挙区にする合区を検討する考えを示唆した。「比例代表、選挙区の数の配分を今のままにしてアンバランスを是正していくのは困難だ」とも指摘、抜本的な定数見直しが必要との認識も示した。

一票の格差については最高裁が06年、最大5.13倍だった04年参院選の定数配分を合憲とする一方、国会に制度の見直しを含めた検討を求める判決を下している。参院各派代表者でつくる議長の諮問機関「参院改革協議会」も、08年までに改革案をまとめる方針を決めており、江田氏の発言はこうした参院改革への意欲を強調したものだ。

選挙区方式を残したままでは、合区にしたところで、小手先の改革にしかなりません。比例代表制へ向けた抜本的な選挙制度改革こそが求められます。

太田光征

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