2009千葉県知事選――森田氏「偽装勝利」の可能性を残す単純小選挙区制のカラクリ

 千葉県知事選挙が終わりました。メディアは案の定、森田氏の「圧勝」、森田氏勝利の「民意」という表現を使っています。しかしここには致命的な問題が潜んでいます。

 平和運動関係者の中には、共産党推薦の八田氏と民主党推薦の吉田氏の得票数を合わせても、森田氏の得票数に及ばないことをもって、「分裂選挙」を今回の敗因と考える人は少ないかもしれない。仮に、八田氏と吉田氏陣営が統一候補を立てたとしても、白石陣営や西尾陣営とまでは統一できないから、今回の結果は「実力」の差であり、敗北は仕方がない、と。

 しかし、森田氏の勝利は、必ずしも民意を反映しているとは言えない。現行の単純小選挙区制では、過半数を制する候補者が現れない限り常に「偽装勝利」の可能性が残るのです。単純小選挙区制が偽装勝利を許すカラクリを説明しましょう。

2009年千葉県知事選挙結果
出所:千葉県選挙管理委員会

候補者 得票数
森田健作 1,015,978
八田英之 136,551
西尾けんいち 95,228
白石ますみ 346,002
吉田たいら 636,991
2,230,750

 
 
 白石、八田、 西尾の各氏に投票した有権者の90%が、吉田氏、森田氏をそれぞれ2番目に好きな候補(第2選好候補)、3番目に好きな候補(第3選好候補)と判断し、白石、八田、 西尾の各氏に投票した有権者の残り10%が、森田氏、吉田氏をそれぞれ第2選好候補、第3選好候補と判断したとします。さらに、森田氏に投票した有権者全てが、2番目以降の候補として、吉田氏 > 白石氏 > 八田氏 > 西尾氏の順に好きだたとしましょう。

 結果は、森田氏より吉田氏を好ましいと思う有権者が1,156,994人、吉田氏より森田氏を好ましいと思う有権者が1,073,756人。従って、「最も好まれた候補者」は、吉田氏ということになります。

 上記の「90%」を「83%以上」に置き換えても同様です。このパーセンテージについては、八田氏投票層に限れば、ほぼその線が予想されますが、実際はブラックボックスで分からない。

 「第1選好票で最も好まれた候補者」である森田氏は、上記を仮定すれば、実は「2番目に好まれた候補者」なのです。単純小選挙区制は、第2選好以下の順位を測ることができないので、見かけの選好順位しか決定できない。こうした矛盾をコンドルセのパラドックスと呼びます。単純小選挙区制を選挙制度とはみなせない理由の1つです。

 単純小選挙区制による選挙は、過半数を制する候補が現れない場合、選挙でも何でもないわけです。

 何時になったらこの虚構の政治儀式から抜け出せるのか。主権者としては、主権者をコケにする選挙制度の改正に、最優先で取り組みたいものです。

太田光征
http://otasa.net/

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