パブリックコメント:食品中の放射性物質に係る基準値の設定
食品安全基準についてはチェルノブイリ事故の研究成果や、3・11福島事故後の最新研究などに基づくようにお願いします。
また、文部科学省の放射線審議会の会長を務める丹羽太貫京都大名誉教授は抗がん剤企業バイオメディクスの代表取締役社長であり、ストレステスト意見聴取会と同様、利益相反が疑われます。
同審議会は適切な委員で再構成してください。乳児用食品と牛乳の基準を50Bq/kgから100Bq/kgに緩めないようにお願いします。
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米国の研究者が3.11後に自国における死亡者数の増加を報告している。
Radiation and Public Health Project
http://www.radiation.org/
http://www.radiation.org/reading/pubs/HS42_1F.pdf
AN UNEXPECTED MORTALITY INCREASE IN THE UNITED STATES FOLLOWS ARRIVAL OF THE RADIOACTIVE PLUME FROM FUKUSHIMA:IS THERE A CORRELATION?
International Journal of Health Services, Volume 42, Number 1, Pages 47–64, 2012
Joseph J. Mangano and Janette D. Sherman
米疾病管理予防センター(CDC)に登録された国内122都市の死亡者数データ(速報値)によれば、3.11後の14週にかけて、全死亡数が前年同期比で4.46パーセント増加した。一方、3.11前の14週は前年同期比で2.34パーセントしか増加していない。乳幼児に限ってみると、3・11前の14週が前年同期比8.37パーセント減であるのに対して、3・11後の14週は同1.80パーセント増であった。全米では1万3983人の全死亡数、822人の乳幼児死亡数が過剰死と推定される。
同じ現象はチェルノブイリ事故後も起こっていて、事故後4カ月間(5〜8月)の全死亡数は前年同期比で2.3パーセント増加した。事故後4カ月間の乳幼児死亡数は0.1パーセントの増加で、事故前4カ月間は2.3パーセントの減少(確定値)。
米環境保護局(EPA)のデータによれば、チェルノブイリ後の5月から6月にかけて、米国におけるミルクのCs137濃度は前年同期比で平均3.6倍であった。示されているデータで一番高いのはシアトルで、15.0倍となる39.33pCi/l=1.45Bq/l(1ピコキュリー=0.037ベクレル)であった。
同様の報告は『死にいたる虚構―国家による低線量放射線の隠蔽―』(ジェイ・M・グールド、ベンジャミン・A・ゴルドマン著、肥田舜太郎、斎藤紀訳、2008年、PKO法『雑則』を広める会)にもあり、米国各地でミルク中のヨウ素131濃度と全死亡率の増加率に相関関係が見られ、線量反応関係は上に凸の形であった。ミルク中ヨウ素131の最高濃度はカリフォルニア州、ワシントン州でわずか44pCi/l=1.6Bq/lだった。
EPAが定める飲料水基準は、ヨウ素131が3pCi/l=0.111Bq/l、Cs137が200pCil/l =7.40Bq/lとなっている。
Drinking Water Contaminants | Drinking Water Contaminants | US EPA
http://water.epa.gov/drink/contaminants/index.cfm#Radionuclides
http://www.epa.gov/ogwdw/radionuclides/pdfs/guide_radionuclides_table-betaphotonemitters.pdf
ICRPがPubl. 111でチェルノブイリ周辺地域における放射能摂取量や、摂取量と体内放射能の関係などを報告している。
「ICRP Publ. 111 日本語版・JRIA暫定翻訳版」
http://www.jrias.or.jp/index.cfm/6,15092,76,1,html
原文:
http://www.icrp.org/publication.asp?id=ICRP%20Publication%20111
http://www.icrp.org/docs/P111(Special%20Free%20Release).pdf
事故から20年後、周辺汚染地域における典型的成人のCs137の1日当たり平均摂取量は10〜20Bqの範囲であった(翻訳版21ページ)。
バンダジェフスキーよれば、ベラルーシの子どもたちのCs137体内蓄積量が10Bq/kg程度で心筋異常が発生している。
放射性セシウムが 人体に与える 医学的生物学的影響〜チェルノブイリ 原発事故被曝の病理データ〜(Y・I・バンダジェフスキー著、久保田護訳、合同出版)
Y・バンダシェフスキー教授「チェルノブイリ事故による放射性物質で汚染されたベラルーシの諸地域における非ガン性疾患」
http://peacephilosophy.blogspot.com/2011/09/non-cancer-illnesses-and-conditions-in.html
この10Bq/kgという値は、体重10Kgの子どもなら100Bqということになるが、ICRP Publ. 111(21ページ、図2.2)によれば、Cs137を1日当たり1Bq摂取すると、約200日で到達する。
http://yocaki.tumblr.com/post/10719162869/icrp-publication
読売新聞は4日付の社説で、新規制値で低減できるのは0・008 mSvで効果がごくわずかだとしている。
食品の放射能 厚労省は規制値案を再考せよ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20120203-OYT1T01190.htm
しかし、チェルノブイリ事故から20年後、周辺の子どもたちの典型的なCs被ばく量は、0.03〜0.05mSv/yであり(ICRP Publ. 111、20ページ、図2.1)、意味がないとはいえない。
太田光征
http://otasa.net/
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