統一名簿のメリット/「自民対野党」で「自民と自民」へ誘導/<護憲+脱原発>票が脱原発票へ

(1) 参院選の比例区における統一名簿のメリット
(2) 「自民対野党」で「自民と自民」へ誘導する仕掛け
(3) <護憲+脱原発>票の脱原発票への変質


(1) 参院選の比例区における統一名簿のメリット

来る参院選の比例区で統一名簿(共同名簿)にメリットがあるのかどうか、考えてみたい。

2012衆院選の結果を基に2013参院選比例区のシミュレーションをしてみると、定数が削減されて改選定数が28になっても、共産・旧未来・社民の票を統合したところで、増えるのはたったの1議席だけとなる。

平和への結集ブログ » 2012衆院選――結果分析
http://kaze.fm/wordpress/?p=435
(11) 2012衆院選――比例区で共産・未来・社民の票を統合すると10議席増える
(14) 次期参院選比例区のシミュレーション(定数削減なし、改選定数48)――共産・未来・社民の票を統合しても1議席しか増えない(統一名簿の必要性?)
(15) 次期参院選比例区のシミュレーション(定数削減あり、改選定数28)――共産・未来・社民の票を統合しても1議席しか増えない(統一名簿の必要性?)

衆院選の比例区は定数が細切れにされて比例代表性を大きく損なった11ブロック制であるのに対して、参院選の比例区は全国1区なので死票が少ないという特徴がある。

いくら参院選比例区が非拘束名簿方式で候補者個人に投票でき、個人の得票数順に議席が配分されるといっても、例えば、単独名簿で当選できる共産党候補Aさんが、単独名簿では当選できない旧未来候補Bさんより、獲得票数が下回る、ということがあり得る。

つまり、統一名簿方式では、護憲の票で護憲派候補ではなく改憲派候補が当選してしまうような例の確率が高くなってしまう。

だから、選挙共同のハードルを上げるだけで、比例区の統一名簿はメリットがないと思う。選挙互助会に対するイメージは悪く、得票数を増やす効果がどれほどかは不明だ。共産・社民中心の護憲統一名簿なら、世間の見方は単独名簿の場合と比べて変わらないだろう。

統一名簿は賭けの要素が強い。来る参院選で選挙共同の意義が高いのは、比例区ではなく選挙区ということになる。

(2) 「自民対野党」で「自民と自民」へ誘導する仕掛け

来る参院選が単なる自民対野党の構図になってしまうと、護憲なんてことはパーになる。しかし、小沢一郎氏は、民主・みんな・維新との選挙協力を参院選で進める気配だ。保守二大政党(グループ)制が念願だろうから、当然だと思う。

産経新聞 1月1日(火)21時22分配信
「日本維新の会の橋下徹代表代行も、みんなの党の渡辺喜美代表も(選挙協力の必要性を)分かっていなかったが、衆院選の結果を見て分かったのではないか」

時事通信 1月1日(火)16時56分配信
「民主党を含め、反自公勢力が協力する必要性を訴えた。」

読売新聞 1月2日(水)18時30分配信
出席者によると、小沢氏は衆院選について「野田前首相による『自爆テロ解散』で大変だったが、自民党が大勝したわけではない。橋下(日本維新の会代表代行)と渡辺(みんなの党代表)に『一緒にならないと惨敗だ』と言ったのに、組まなかったので惨敗した。このままでは終われない」と語った。

産経新聞 1月3日(木)7時55分配信
「衆院選では(第三極が結集していれば)票数では自民党に負けていなかった。自民党の独り勝ちを許すわけにはいかない。参院選に勝負をかける」「日本維新の会の橋下徹代表代行も、みんなの党の渡辺喜美代表も(衆院選の)結果を見て分かったのでは」

昨年の選挙でなぜ旧未来は、民主党の中で相対的な脱原発派である菅氏、生方氏などの選挙区に対立候補を立てたのか。そして自民が偽装圧勝したからといって、今度は脱原発・反TPP・反消費税増税などを棚上げにして、民主党との選挙協力に動き出すのか。

民主・みんな・維新などの野党が参院で過半数を制しても、自公と政策が重なっているのだから、反自公の政治になる保証はない。無条件に「野党」=反自公ではないということ。「自民対野党」という構図で「自民と自民」に持ち込まれないようにしないといけない。

加えて、衆院で3分の2を取られてしまったので、参院では一般法の土俵においては何をやっても中途半端になってしまう。

「野党」でも脱原発だけの候補でもなく、護憲候補(従って脱原発候補)を3分の1以上確保して、改憲発議をさせないことが、来る参院選で最も意義ある目標になると思う。

(3) <護憲+脱原発>票の脱原発票への変質

旧日本未来の党には、昨年の衆院選で共産党は候補者を降ろすべきだと語った候補者もいた。しかしその旧未来は、選挙前も選挙後も共産党より支持されていないのが現実。2012衆院選の比例区得票率は、共産党が6.13%、旧未来が5.69%だった。

サンプル数は少ないが、衆院選後のFNN世論調査によれば、旧未来は解党前に既に支持率が共産党の2分の1未満になっている。解党後はもっと差が開いているはずだ。

FNN世論調査
http://www.fnn-news.com/archives/yoron/inquiry121228.html

※「政治に関するFNN世論調査」は、2012年12月26日(水)〜12月27日(木)に、全国から無作為抽出された満20歳以上の1,000人を対象に、電話による対話形式で行った。

Q2. あなたはどの政党を最も支持していますか。次の中から1つだけお知らせください。
自民党 33.7
民主党 8.1
日本維新の会 13.7
公明党 4.3
みんなの党 6.7
日本未来の党 1.5
共産党 3.7
社民党 1.0

共産・旧未来・社民の当選者数は、共産・社民の比例区立候補者数よりずっと少なかった。これは選挙前から予想できたこと。共産・社民より人気が低い非護憲・脱原発の枠組みでは、共産・社民ですくいきれない有権者の受け皿にはならず、潜在的な<護憲+脱原発>票の価値を脱原発票に落としてしまう。

亀井静香衆議院議員(旧未来を離党)と平山誠参議院議員(新党大地を離党)が合流して政党要件を昨年末に満たし、政党助成金をもらえることになった「みどりの風」も、小さな非護憲・脱原発の枠組みだ。

来る参院選では、「自民対野党」で「自民と自民」へ誘導する仕掛けに乗らず、<護憲+脱原発>票の脱原発票への変質だけは避けたい。

最後に、市民運動としては選挙戦術、選挙方針だけ提案すればいいわけではないので、一言。

昨年の衆院選で自民党に対して有権者が好意的だった点があるとすれば、経済政策や景気対策に関してのぼんやりした期待だけだったと思う。

経済政策や景気対策などと絡めて憲法と脱原発などを語り、有権者の選択における両者の分断という悲劇を克服できるようにしたい。そうしないと衆院選と同じ結果になってしまう。

太田光征

2 Responses to “統一名簿のメリット/「自民対野党」で「自民と自民」へ誘導/<護憲+脱原発>票が脱原発票へ”

  1. sa104927 Says:

    見事な緻密でスケールの大きな試案・計算の提案と思います。

    ひとつおうかがいしたいのは、タイトルの「統一名簿」の批判的見地に立脚していらっしゃいますよね。

    現実に「統一名簿」を作成して参院選に臨もうとする動きや勢力はあるのでしょうか。

    最も今後にそのような動きは予想されるから提案をなさっているわけでしょうね。

    参院選に向けて、そのような動きが出てきた時点で是非再度それに即したご提案を期待しています。

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