2013年参院選無効請求訴訟で上告――定数配分の格差の是正で投票価値の格差(死票率の格差)はさらに拡大する

4月 14th, 2014 Posted by MITSU_OHTA @ 0:33:56
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2013年参院選無効請求訴訟の訴えが東京高裁で2014年1月30日に却下・棄却されたので、4月11日に上告理由書と上告受理申立て書を提出しました。

第23回参議院選挙無効請求訴訟を提起
http://kaze.fm/wordpress/?p=478
第23回参議院選挙無効請求訴訟の準備書面(2013年11月6日付)――戦後直後から最近までの国会審議を振り返る
http://kaze.fm/wordpress/?p=512

上告受理申立て書はほぼ上告理由書からの抜粋の形をとるので、上告理由書だけを紹介しておきます。

上告理由書
http://otasa.net/documents/2013Election_Appeal_to_the_Supreme_Court.pdf

上告理由書は54ページありますので、一部だけを抜粋します。残りはファイルでご確認ください。

目次
第1 理由要旨
第6 選挙区によって異なる選挙制度を適用することは投票価値の格差をもたらす/千葉県選挙区の選挙の違憲性とその他の選挙区の選挙の違憲性
 1 従来の定数是正訴訟の争点「定数配分の格差」(上掲平成24年大法廷判決にいう「投票価値」の格差の一類型)と同型でありながらより重要な本件訴訟の争点「死票率の格差」(同判決にいう「投票価値」の格差の一類型)について憲法判断しない原判決――投票価値の格差の本質は生票と死票の対立にこそある
  (1) 従来の定数是正訴訟と同型でありながらより重要な本件訴訟の争点「死票率の格差」の構造(従来の定数是正訴訟との比較)

表 従来の定数是正訴訟と同型でありながらより重要な本件訴訟の争点「死票率の格差」の構造(従来の定数是正訴訟との比較)

  (2) 定数配分の格差より死票率の格差の方が重大――定数配分の格差の是正で投票価値の格差はさらに拡大する

上 告 理 由 書
従来の定数是正訴訟と同型でありながら
より重要な本件訴状争点について判断しない原判決
〜定数配分の格差の是正で投票価値の格差はさらに拡大する〜

2014年(平成26年)4月11日
平成25年(行ケ)第92号 選挙無効請求事件
上告提起事件番号 平成26年(行サ)第26号

最高裁判所民事部 御中

上告人   太田光征
〒271-0076 千葉県松戸市岩瀬46番地の2 さつき荘201号
送達先 同上(電話・ファクス:047-360-1470)

被上告人1    千葉県選挙管理委員会
被上告人2   中央選挙管理会

目次

第1 理由要旨 - 5 -
第2 用語と出典の説明と訂正について - 7 -
第3 本件訴訟は従来の「定数是正訴訟」(「1票の格差訴訟」)と同型であるから適法であるが、原判決は「定数是正訴訟」と同型の本件訴訟争点について理油不備・理由齟齬の違法を犯している - 7 -
第4  原判決は、本件訴訟の原告適格性と被告適格性について、憲法レベルで理由不備・理由齟齬の違法を犯している - 8 -
第5 比例区の定数枠から無所属候補を締め出す現行選挙制度は制限選挙を禁止する憲法に違反 - 8 -
 1 訴状争点を名簿式比例代表制にすり替え、自身の立論根拠「国会の広い裁量」「政党の重要性」について理由を示さない原判決 - 8 -
 2 「国会の広い裁量」について憲法の解釈と適用を誤った原判決 - 9 -
 3 「国会裁量権の合理性検討」を怠った原判決 - 10 -
 4 本件訴状の争点を名簿式比例代表制にすり替え、しかも非拘束名簿式比例代表制(名簿式比例代表制一般とは異なる)の合理性を「政党の重要性」で説明した上掲平成16年大法廷判決を援用し、「政党の重要性」を理由にすることで理由齟齬の違法を犯している原判決 - 11 -
 5 政党を最も重要な媒体と認める原判決は、無党派層が最大の政治勢力である今日の現実を無視して、重層的な理由齟齬の違法を犯している - 12 -
 6 まとめ - 12 -
第6 選挙区によって異なる選挙制度を適用することは投票価値の格差をもたらす/千葉県選挙区の選挙の違憲性とその他の選挙区の選挙の違憲性 - 13 -
 1 従来の定数是正訴訟の争点「定数配分の格差」(上掲平成24年大法廷判決にいう「投票価値」の格差の一類型)と同型でありながらより重要な本件訴訟の争点「死票率の格差」(同判決にいう「投票価値」の格差の一類型)について憲法判断しない原判決――投票価値の格差の本質は生票と死票の対立にこそある - 13 -
 (1) 従来の定数是正訴訟と同型でありながらより重要な本件訴訟の争点「死票率の格差」の構造(従来の定数是正訴訟との比較) - 13 -
 (2) 定数配分の格差より死票率の格差の方が重大――定数配分の格差の是正で投票価値の格差はさらに拡大する - 16 -
 2 訴状の争点とは異なる争点にすり替えて判断し、過去大法廷判決で要求された「国会裁量権の合理性検討」を行っていない原判決 - 17 -
 3 過去大法廷判決の成果(国会議員の地域代表性の重要性を否定し、都道府県単位の選挙区制の見直しを主張)から後退する原判決 - 18 -
 4 憲法要請「国民の厳粛な信託」から導かれる定量的な選挙制度条件を検討せずに憲法判断をする原判決 - 18 -
 5 憲法より普遍的といえる数科学的知見を検討せずに憲法判断をする原判決 - 19 -
 6 まとめ - 19 -
第7 公職選挙法の供託金・立候補者数規定は「正当な選挙」どころか「不当な選挙」を規定するもので、憲法第14条に違反する - 20 -
 1 比例区選挙の立候補要件――政党本位といいつつ既成政党のみを優遇して何らの民主主義的意義もなく、原判決は理由不備・理由齟齬の違法、憲法の解釈と適用を誤った違法を犯している - 20 -
 (1) 無党派層が最大の政治勢力であり、政党よりも支持される政治団体が選挙で存在する今日、政党本位の立候補要件に合理的理由はない - 20 -
 (2) 国会裁量権の合理性検討に値しない国会審議――強行採決で立候補要件を決定し、政党本位と矛盾しない「名簿届け出政党等の要件緩和」など合理的な代案を無視 - 21 -
 (3) まとめ - 23 -
 2 供託金――「泡沫候補排除」「選挙公営費の一部負担」などの実際の立法目的を無視し、架空の立法目的を設定する原判決は、理由不備・理由齟齬の違法を犯し、同負担を不当と認めた過去最高裁判決に違背 - 23 -
 (1) 理由不備の過去最高裁判決を支持する原判決 - 23 -
 (2) 供託金制度の立法目的・手段・効果に合理性はない――過去の供託金争点裁判(大阪高裁判決)を振り返る - 24 -
 (3) 供託金制度の立法目的・手段・効果に合理性はない――過去の国会審議を振り返る - 29 -
 (4) まとめ - 48 -
第8 野宿者の方などの選挙権が剥奪されている――住所非保有者も適正に生活保護を受給できるように、住所非保有者の選挙人名簿を調製して選挙の公正を確保できる - 49 -
 1 公正な選挙に必要なのは本人確認であり、住所ではない - 49 -
 2 行政は居所・仮住所を住所と見なさず、民法、住民基本台帳事務処理要領、過去の住民登録事例に違背する - 51 -
 3 行政は住所非保有者に住所を確保すべき住民基本台帳法の義務を怠っている - 51 -
 4 在外選挙人を優遇して国内住所非保有選挙人を差別するのは不当 - 53 -
 5 本件原判決が支持する上掲大阪高裁判決は、その論理構造で国内住所非保有者の選挙権の行使制限を是としない - 53 -
 6 まとめ - 53 -


第1 理由要旨

 原判決は、訴状の争点とは異なる争点にすり替えて判断したもので、昭和59年(行ツ)第339号選挙無効請求事件昭和60年7月17日最高裁判所大法廷判決で要求された「国会裁量権の合理性検討」を怠り、また憲法判断を誤っているから、民事訴訟法第312条1項「判決に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があること」および同法第312条2項6号「判決に理由を付せず、又は理由に食違いがあること」に該当し、破棄を免れない。

 原判決は訴状争点「比例区の定数枠から無所属候補を締め出す現行選挙制度は制限選挙を禁止する憲法に違反」を名簿式比例代表制の合理性にすり替え、「国会裁量権の合理性検討」を怠って、自身の立論根拠「国会の広い裁量」「政党の重要性」について理由不備の違法を犯した上に、訴状争点を否定するために非拘束名簿式比例代表制の合理性を「政党の重要性」で説明した後掲平成16年大法廷判決を援用して理由齟齬の違法を犯し、さらに「政党の重要性」についても無党派層が最大の政治勢力である今日の現実を無視して、重層的な理由齟齬の違法を犯している(第7の1の(1)、第7の2の(3)第47段落参照)。
 国会の裁量は優先的憲法要請を選挙制度の細部に落とし込む立法作業の限りにおいて認められるところ、原判決は「国会の広い裁量」について、憲法の「国民の厳粛な信託」「正当な選挙」(前文)、第14条1項、15条1項、43条1項、44条などの解釈と適用を誤った違法を犯している。

 「選挙区によって異なる選挙制度を適用することは投票価値の格差をもたらす」「千葉県選挙区の選挙の違憲性とその他の選挙区の選挙の違憲性」という争点につき、原判決は、従来の定数是正訴訟の争点「定数配分の格差」(上掲平成24年大法廷判決にいう「投票価値」の格差の一類型)と同型でありながらより重要な本件訴訟の争点「死票率の格差」(同判決にいう「投票価値」の格差の一類型)に対する判断になっておらず、「国会裁量権の合理性検討」を怠っているから、重大な審理不尽、理由不備・理由齟齬の違法を犯している。
 過去大法廷判決が憲法要請でない国会議員の地域代表性の重要性を否定し、都道府県単位の選挙区制の見直しを主張しており、憲法要請である死票率の最小化(投票価値の平等化)を優先して制度化すべきところ、選挙区を中選挙区ないし大選挙区で統一できるにもかかわらず、数科学的知見から小選挙区が最悪であると承知しながら、選挙区によって小選挙区制および中選挙区制というまったく異なる選挙制度を適用することは、死票率の格差という投票価値の格差をもたらすから、憲法第14条1項に反するのに、原判決は憲法の解釈と適用を誤った違法を犯している。

 比例区選挙の立候補要件は政党本位といいつつ、選挙供託金制度や既成政党のみを優遇する政党助成金制度と相まって、既成政党のみを優遇するもので、何らの民主主義的意義もないから、憲法第14条1項に反するのに、現行要件を認める原判決は憲法の解釈と適用を誤った違法を犯している。
 無党派層が最大の政治勢力であり、政党よりも支持される政治団体が選挙で存在する今日、政党でない政治団体にのみ候補者10人を課す政党本位の立候補要件に合理的理由はないから、原判決は理由不備・理由齟齬の違法を犯している。

 選挙供託金制度は、泡沫候補の立候補抑止、選挙公営費の一部負担などが実際の立法目的であるが、同制度の必要性と効果を根拠付ける立法事実がないことが国会で論破され、合理的な代替手段も提案されている。
 後掲大阪高裁判決も同負担を根拠に同制度を正当化できないと判示し、同判決を支持する最高裁判決(原審被告乙第2号証)も同じ理を是認しているところ、原判決は同最高裁判決に違背する。
 同制度は無反省に戦前の政治弾圧目的を引きずり、既存政党、特に二大政党を優遇することが実態であり、立候補権と選挙権に財産上の差別をもたらすだけなのであるから、憲法第14条1項、15条1項、44条に反して違憲である。
 架空の立法目的「真に国民の政治意思の形成に関与しようとする意思のない候補者又は政党等が届出をすることを防止し,公正かつ適正な選挙を確保」を持ち出して実際の立法目的を検討しない原判決は、「国会裁量権の合理性検討」を怠り、致命的な理由不備・理由齟齬の違法、憲法の解釈と適用を誤った違法を犯している。

 公職選挙法は、住所非保有者でも生活保護を受給できるのに、住所によらない本人確認の手段があっても、住所非保有者の選挙人名簿の調製規定を設けず、行政も民法の住所割り当て義務と住民基本台帳法の住所確保義務を怠り、住民登録消除の不法行為を働き、過去の住所非保有者の住民登録実績から後退しており、住所非保有者の選挙人名簿を調製できるのに調製しない立法不作為と法の不履行がある。
 住所非保有者の選挙人名簿を調製せずに選挙権の行使を制限することは、「制限をすることなしには選挙の公正を確保しつつ選挙権の行使を認めることが事実上不能ないし著しく困難であると認められる場合」(後掲平成17年大法廷判決)に該当しないから、憲法第14条1項、15条1項に反して違憲なのに、住所非保有者の選挙権行使は選挙の公正を確保できないとし、立法不作為を是認する原判決は、理由不備・理由齟齬の違法、憲法・民法・住民基本台帳法の解釈と適用を誤った違法を犯している。

第6 選挙区によって異なる選挙制度を適用することは投票価値の格差をもたらす/千葉県選挙区の選挙の違憲性とその他の選挙区の選挙の違憲性

 1 従来の定数是正訴訟の争点「定数配分の格差」(上掲平成24年大法廷判決にいう「投票価値」の格差の一類型)と同型でありながらより重要な本件訴訟の争点「死票率の格差」(同判決にいう「投票価値」の格差の一類型)について憲法判断しない原判決――投票価値の格差の本質は生票と死票の対立にこそある

  (1) 従来の定数是正訴訟と同型でありながらより重要な本件訴訟の争点「死票率の格差」の構造(従来の定数是正訴訟との比較)

 上告人は、訴状の第2の3の(0)緒論(3ページ)で、「本件訴訟では、議員1人当たりの有権者数を選挙区間で揃えただけでは解消されない選挙権の格差を論点とする」と、選挙権の格差(投票価値の格差)の一類型たる「定数配分の格差」を争点とした選挙無効請求訴訟(「定数是正訴訟」)で憲法判断した上掲平成24年大法廷判決との同型性を明確に規定し、訴状の第3結論(22ページ)で下記(2)〜(4)の具体的争点を明示した。これらの争点は、訴状の第2の3の(0)〜(4)(ただし(1)は、別の立候補権の差別が争点)と原審準備書面の第3で解説している。

 (2)「定数配分の格差」に起因する投票価値の格差以外にも「選挙権」「投票の有する影響力」「投票価値」の格差があり、投票価値の格差の本質は生票と死票の対立にあることを認める。
 (3)憲法前文「国民の厳粛な信託」、憲法第14条法の下の平等、憲法第43条「全国民を代表する選挙」は、死票を最小化しつつ国民の意見と国会の意見の乖離を限りなく縮小して平等な国民主権を保障する選挙制度を要請していることを認め、従って憲法は選挙区間での定数分布の人口比例だけでなく投票先政党間などでの当選議員分布の投票者数比例も要請していることを認め、小選挙区制および大選挙区制(理論的に中選挙区制を含む)はそのような要請を是とする思想に基づいて真摯な議論によって制定された法律ではなく、同思想に通じる科学的知見を無視しているから、憲法違反であると認める。
 (4)選挙区によって異なる選挙制度を適用することは投票価値の格差をもたらし憲法違反であると認める。

表 従来の定数是正訴訟と同型でありながらより重要な本件訴訟の争点「死票率の格差」の構造(従来の定数是正訴訟との比較)
論点 本件訴訟 従来の定数是正訴訟
投票価値を持つ主体 生票を投じる者(生票を投じて初めて投票価値が生まれ、死票を投じる者にとっての投票価値はゼロ) 死票を投じる者を含めた仮想的な「有権者一般」を想定
投票価値の比較基準(有権者グループの区分け基準) 選挙区間だけでなく政党間にも拡張 選挙区間だけ
何を比べるか 議員1人当たりの投票者数 議員1人当たりの有権者数
「定数配分の格差」についての理解 「有権者個人」の「投票価値の格差」ではなく、「地域代表性の格差」に帰着すると主張(上掲平成23年大法廷判決は地域代表性の重要性を否定(第6の3を参照)) 裁判所は「投票価値の格差」と理解
「投票価値の格差の本質」についての理解 生票と死票の対立 あいまい
参議院選挙区における「定数配分の格差」の是正の結果どうなるか 地方と都市部の間における「死票率の格差」=「投票価値の格差」はさらに拡大すると主張 「投票価値の格差」が縮小すると理解
投票価値の格差の類型化 (1)「選挙区間」で比べる「定数配分の格差」(1議席当たりの有権者数の格差=定数分布の人口比例からの破れ)
(2)有権者グループの区分け基準として投票選挙区を採用して「選挙区間」で比べる「定数配分の格差」(1議席当たりの有権者数の格差=定数分布の人口比例からの破れ)
(3)有権者グループの区分け基準として投票先政党を採用して「政党間」で比べる「投票価値の格差」(政党間1票格差=1議席当たりの得票数の格差=当選議員分布の投票者数比例からの破れ=「1議席当たりの得票数(死票を含む)を各党ごとに求め、最小の党のそれで割った値)
(4)「選挙区間」で比べる生票率および死票率の格差
なし
投票価値に影響を与える要因(法の下の平等に照らして憲法判断する対象)の捉え方 上位規定たる選挙制度本体(定数を決める方式) 上位規定たる選挙制度を所与のものとした場合の下位規定たる区割り方法(1人別枠方式=都道府県にどれだけの数の選挙区を設けるかの方式であり、1選挙区の定数を決める方式ではない)

 しかるに、原判決は、従来の定数是正訴訟の争点「定数配分の格差」(上掲平成24年大法廷判決にいう「投票価値」の格差の一類型)と同型でありながらより重要な本件訴訟のこれら「死票率の格差」(同判決にいう「投票価値」の格差の一類型)関連の争点について憲法判断をしていないから、重大な審理不尽、理由不備・理由齟齬の違法を犯している。以下、詳述する。

  (2) 定数配分の格差より死票率の格差の方が重大――定数配分の格差の是正で投票価値の格差はさらに拡大する

[1] 定数配分の格差では、都市部が地方より議員1人当たりの有権者数が多いことが問題とされる。しかし実際には、例えば2012年衆議院選挙の場合、鳥取第1区の当選者の得票数は124,746票で、生票率は 85%、神奈川1区の当選者の得票数は101,238票で、生票率は41%、東京1区の当選者の得票数は82,013票で、生票率は29%となっている。つまり、これら選挙区に限れば、生票を投じることで実質的に投票に参加している有権者数はむしろ地方より都市部の方が少なく(都市部では立候補者数が多く、死票率が高いことなどが原因と考えられる)、生票を投じる有権者に限れば、都市部が地方より投票価値が低いとはいえないのが実態である。ただし、都市部ほど死票を投じる有権者が多いという点で、都市部の方が投票価値は低いといえる。
[2] 衆議院選挙の選挙区選挙において25選挙区もある東京都の有権者が、議員1人当たりの有権者数が2選挙区の鳥取より多いからといって、鳥取から1議席を東京に移して東京の議席が26議席になったところで、東京の地域代表性が高まることに意義を見いだす有権者はあまりいないであろう。現在ほどの定数配分の格差は、地域代表性の格差としては、ほとんど意味がないほどに小さい。
[3] しかも、1選挙区当たりの定数を変えずに議員1人当たりの有権者数を減らしても「有権者個人」の投票価値が高まらないことは、訴状第2の3の(2)「投票価値の格差の本質は生票と死票の対立にこそある」(6ページ以降、特に(2-ア)「投票価値の本質」8ページ)で実証した。
[4] 新たな例で説明すれば、ある1人区の有権者すべてが、1人2票を持つようになったとしても、投票価値が2倍になることはない。例えば、自由民主党候補の集票力が2倍になるが、民主党候補の集票力も2倍になり、両党候補の力関係は1人1票の場合と何ら変わらないからである。
[5] 衆議院選挙区のように1選挙区当たりの定数が同じ選挙区どうしを比べれば、都市部は一面で投票価値が地方より高く(生票率が低い)、他面で低いが(死票率が高い)、地域代表性は地方とさほど変わらない。しかも、1選挙区当たりの定数を変えずに議員1人当たりの有権者数を減らしても死票率は低減せず、全体的な投票価値が高まることはない。
[6] 参議院選挙区の場合は、地方ほど1選挙区当たりの定数が少なく死票率が高く、都市部ほど同定数が多く死票率が低いので(第6の「4 憲法要請「国民の厳粛な信託」から導かれる定量的な選挙制度条件を検討せずに憲法判断をする原判決」参照)、「定数配分の格差」を是正するために地方から都市部へ議席を移して、地方の1選挙区当たりの定数を減らし、都市部の1選挙区当たりの定数を増やすと、地域代表性はさほど変わらないが、両地域の間における死票率の格差という投票価値の格差はさらに拡大する。
[7] 従って、「有権者一般」で議員1人当たりの有権者数の多寡を比べても、さほど意味がないどころか、参議院選挙区における「定数配分の格差」の是正によって、地方と都市部の間における投票価値の格差はさらに拡大してしまう。定数配分の格差より、1選挙区当たりの定数などで規定される死票率の格差の方が、重大である。
[8] しかるに、原判決は、従来の定数是正訴訟の争点「定数配分の格差」(上掲平成24年大法廷判決にいう「投票価値」の格差の一類型)と同型でありながらより重要な本件訴訟の争点「死票率の格差」(同判決にいう「投票価値」の格差の一類型)について憲法判断をしていないから、重大な審理不尽、理由不備・理由齟齬の違法を犯している。

太田光征

【10月8日】参院選無効請求訴訟の第一回口頭弁論

9月 19th, 2013 Posted by MITSU_OHTA @ 22:57:06
under 選挙制度 , 2013年参議院選挙 , 裁判 No Comments 

皆さん

傍聴をよろしくお願いします。

口頭弁論期日 10月8日午後3時30分
東京高裁511号法廷(5階)

所在地(東京高等裁判所)
http://www.courts.go.jp/tokyo-h/about/syozai/tokyomain/

平和への結集ブログ » 第23回参議院選挙無効請求訴訟を提起
http://kaze.fm/wordpress/?p=478

太田光征

第23回参議院選挙無効請求訴訟を提起

8月 15th, 2013 Posted by MITSU_OHTA @ 15:29:49
under 選挙制度 , 2013年参議院選挙 , 裁判 No Comments 

8月16日、2013年参議院選挙の無効請求訴訟を東京高裁に提起しました。事件番号は平成25年(行ケ)第92番。

再改訂確定版(改訂確定版から主に、結論の2と3、それに対応する緒論(0)、論点(2-ア)の部分を変更):
http://otasa.net/documents/Suit Seeking Invalidity of the 2013 Upper House Election Final Version(20130816).doc

上のURLではダウンロードできない方がいるようなので、下記を追加(2013年10月9日)。

http://otasa.net/documents/2013_Upper_House_Election_Complaint.doc

pdf版を追加(2013年11月14日)。

http://otasa.net/documents/2013_Upper_House_Election_Complaint.pdf

無効請求訴訟は選挙日から30日以内なので、8月20日(月)まで可能です。まだ間に合います。皆さんの選挙区を管轄する高裁にも是非、提訴をご検討ください。ある選挙区の無効訴訟を提起できるのは、その選挙区の選挙人です。

私の訴状をそのままお使いになっても、取捨選択してお使いになっても結構です(「平和への結集」をめざす市民の風の事務局まで事前にご連絡ください→http://kaze.fm/contact.html)。原告と被告、管轄高裁、千葉選挙区に言及した論点(4)を変更すればOKです。もちろん提出日も。

収入印紙の欄は空白のままで結構です。印紙代が2万6000円、切手代が8080円必要。東京高裁で割り印は不要でした。訴状は計3部作成してください。住民票1通も必要です。

事前の電話照会で、千葉県選管(千葉選挙区)と中央選挙管理会(比例区)を私の訴状のように1つの事件の2つの被告とするのではなく、それぞれ別の事件とするのが普通、のような回答でしたが、今回は1つの訴状に両被告を掲載する形が認められました。訴訟を提起される場合、念のため、この点に関して、高裁に問い合わせるとよいでしょう。

選挙結果は総務省のサイトや時事のサイトなどで分かります。分析もご参考にしてください。

平和への結集ブログ » 2013参院選――結果分析
http://kaze.fm/wordpress/?p=475

http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/data/index.html
http://www.jiji.com/jc/2013san

訴状の「第2 請求の原因 3 憲法違反・公職選挙法違反の事実」の目次と、目次だけでは内容が見当できないと思われる緒論(0)、論点(2)の全文、「第3 結論」を掲載しておきます。

(0)緒論
(1)比例区の定数枠から無所属候補を締め出す現行選挙制度は制限選挙を禁止する憲法に違反
(2)投票価値の格差の本質は生票と死票の対立にこそある
 (2-ア)投票価値の本質
 (2-イ)50%未満の得票率で50%超の議席占有率を許す現行選挙制度は多数決さえ保障しない
(3)選挙区によって異なる選挙制度を適用することは投票価値の格差をもたらす
(4)千葉県選挙区の選挙の違憲性とその他の選挙区の選挙の違憲性
(5)公職選挙法の供託金・立候補者数規定は「正当な選挙」どころか「不当な選挙」を規定するもので、憲法第14条に違反する
(6)野宿者の方などの選挙権が剥奪されている

(0)緒論

 まず、本件訴訟は、「定数是正訴訟」ではなく、選挙区間での「定数配分の格差」とは別の選挙権の格差を論点とするものである。選挙区間での「定数配分の格差」は、人口ないし有権者数当たりの定数(議員1人当たりの有権者数)の選挙区間での不均衡を論点にするものであり、議員1人当たりの有権者数が同じであれば、1選挙区内の定数がどうであるか、つまり小選挙区であるか中選挙区であるかなどを問わない。本件訴訟では、議員1人当たりの有権者数を選挙区間で揃えただけでは解消されない選挙権の格差を論点とする。

 平成24年の最高裁判決でも「憲法は,選挙権の内容の平等,換言すれば,議員の選出における各選挙人の投票の有する影響力の平等,すなわち投票価値の平等を要求していると解される」とある通り、法の下の平等を「選挙権」「投票の有する影響力」「投票価値」に適用しているのであって、「選挙権」「投票の有する影響力」「投票価値」の格差が「定数配分の格差」だけだと判断しているわけではない。

平成23年(行ツ)第64号 選挙無効請求事件
平成24年10月17日 大法廷判決(7ページ)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20121017181207.pdf

 広島高裁岡山支部は2013年3月26日、2012年衆議院選挙の岡山2区の選挙を憲法違反とする判決の中で、「選挙区制を採用する際は、投票価値の平等(すなわち、選挙区(国民の居住する地)によって投票価値に差を設けないような人口比例に基づく選挙区制)を実現するように十分に配慮しなければならない」と述べている。

 広島高裁岡山支部判決は、訴状の争点に従って、区割り選挙(「選挙区制」)を前提にするなら人口比例選挙をせよ、と求めたのであり、人口比例選挙だけを実施すれば平等な投票価値が実現する、と判断したわけではない。

 「定数配分の格差」に対応する「1票の格差」という言葉はマスメディア用語であり、一連の「定数配分の格差」訴訟で山口邦明弁護士グループは正しくも「1票の格差訴訟」ではなく「定数是正訴訟」と呼ぶべきだと主張している。「定数配分の格差」だけが投票価値の格差でないことからして、当然であろう。

2013/03/26 「一票の格差」訴訟 東京高裁「違憲」判決 記者会見
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/70047

 そのメディアも最近になって、定数配分の格差以外の投票価値の格差を概念化し出した。読売新聞(2013年3月23日)は自由民主党の細田博之衆議院議員が提案している衆院比例区「中小政党優遇枠」案を評価するに当たり、「政党間」での「1議席あたりの得票数」を比較して、「社民の約26万票、公明の約27万票に対し、自民は約62万票で、大きな格差が生じている」と問題視している。

 産経新聞(2013年3月30日)に至っては、同案が「政党間での一票の格差」を新たに生み出し、「投票価値の平等」に反すると明確に書いている。ただし後述するように、「政党間での一票の格差」は新たに生み出されているわけではない。原告はこの産経記事の前から「政党間1票格差」という表現を使用している。2012年衆議院選挙比例区でも社会民主党は議員1人を当選させるために全国集計レベルで自由民主党の4.87倍もの票を要した。

 平成24年最高裁判決が言う「選挙権」「投票の有する影響力」「投票価値」の格差は、「選挙区間」で比べる「定数配分の格差」(1議席当たりの有権者数の格差=定数分布の人口比例からの破れ)だけではなく、「生票を投じる有権者グループ」と「死票を投じる有権者グループ」の間で比べる「投票価値の格差」(生票・死票間1票格差=当選議員分布の投票者数比例からの破れ)(ここで「生票」とは候補者の当選に寄与した票の意味)、「政党間」で比べる「投票価値の格差」(政党間1票格差=1議席当たりの得票数の格差=当選議員分布の投票者数比例からの破れ)、言い換えると「政党間」で比べる死票率の格差、候補者類型の違いで比べる定数枠の格差(無所属候補が比例区の定数枠から締め出されている)、「選挙区間」で比べる死票率の格差など、多様な切り口がある。

 多様な類型を含む「1票の格差」および「1票の価値」をマスメディアが選挙区間の「定数配分の格差」(に対応する投票価値の格差)の意味でのみ使用していることに、投票価値の格差に関する議論が混迷している一因があるだろう。

(2)投票価値の格差の本質は生票と死票の対立にこそある

 従来の定数是正訴訟では、憲法14条違反や「主権者の多数決論」などが争点とされてきた。国会議員の背後には同数の主権者ないし有権者がいるべきであるとする「主権者の多数決論」では、「生票を投じる有権者」と「死票を投じる有権者」を区別せず、選挙区の間で「選挙時」の「有権者」数の違いを問題視する。「選挙後」の投票価値を考慮せず、「死票を投じる有権者」にも投票価値を持たせることで「投票価値」を誰が持つのかという主体を曖昧化してきた。

 小選挙区制などの相対多数代表制(得票率の相対順位で当選者を決定)の下では、1つの選挙区で「有権者」という類を構成する選挙民が等しく同じ投票価値を持つということは不可能であって、「生票を投じる有権者」と「死票を投じる有権者」で投票価値は異なるし、どの政党候補に投じるか、候補者数がどれくらいかなどで投票価値は異なる。投票価値はその選挙区の「有権者一般」に一様なものとして保障されているわけではない。

 投票価値は生票を投じることで初めて発生するから、マスメディア用語としての選挙区間の「1票の格差」(定数配分の格差)はあくまで、投票率が両選挙区で同じ場合に、「生票を投じる有権者」グループの間で、「議員1人当たりの投票者数」(有権者数でない)を比較した比率としてしか意味を持たないだろう。

 このように定義した比率とて、候補者数の違いなどによって、選挙ごと、選挙区ごと、有権者ごとに異なる。「議員1人当たりの投票者数」は生票率に対応するが、生票率は選挙ごと、選挙区ごと、有権者ごとに異なるのだから、一定していないのは当然である。得票率90%で当選する候補者もいれば、得票率10%で当選する候補者もいる。生票を投じることで初めて発生する投票価値は、「議員1人当たりの有権者数」が同じであっても、選挙ごと、選挙区ごと、有権者ごとに違う。

 投票価値の格差の問題は、生票と死票の割合などを総合的に評価して、投票価値を持つ主体を明確化しながら、議論しなければならない。投票価値論はこのように奥が深いものである。

(2-ア)投票価値の本質

 従来の定数配分の格差に関する議論では、有権者数100万人(20万人 x 5)に定数5の中選挙区Aと、有権者数20万人に定数1の小選挙区Bにおいて、投票価値は同じとされる。有権者数10万人に定数1の小選挙区Cは、前2者より投票価値は高いとされる。

 しかし、例えば少数政党の候補者は小選挙区(1人区)で当選しにくいから、少数政党の支持者にとって、小選挙区Cの「高い投票価値」は実際的価値が低く、マスメディア用語で「1票の価値」の低い中選挙区Aの方がありがたい。投票価値の議論では誰にとっての投票価値なのかを明らかにしなければならない。

 このように小選挙区と複数定数区の間では、「議員1人当たりの有権者数」と併せ、死票率などを総合的に考慮しなければ、投票価値を比較することはできないのである。

 1人区同士を比べる場合でも、議員1人当たりの有権者数が揃っているからといって、死票率10%の1人区と死票率90%の1人区の間で投票価値が同じであるなどとは決して言えない。生票を投じた有権者からすれば、後者の投票価値が高く(より少ない票数で議員1人を当選させることができる)、死票を投じた後者の90%の有権者からすれば、前者で生票を投じた90%の有権者と比較して、不公平感を抱くだろう。

 後述する論点でもあるが、議員1人当たりの有権者数が同じでも、仮に西日本が1人区の区割り選挙のみ、東日本が単一の比例区だけであれば、東西の有権者は文句を言うのではないだろうか。

 投票価値の格差の一類型としての定数配分の格差を考える場合には、選挙制度の類型に留意しなければならない。比例代表制と相対多数代表制では様相が本質的に異なる。

 比例代表制は「1議員当たり同数の票数」で、つまりまさに「平等な投票価値」で有権者グループに議席を対応させるという思想に基づく。候補者同士に優劣を競わせるのとは違う。理想的な設計では死票は議席1つ分に抑制でき、例えば衆議院比例区ブロックの間における定数配分の格差は、そのまま「有権者一般」の持つ投票価値の格差といっていい。

 有権者100万人に定数20の比例区ブロックは有権者100万人に定数10のブロックより、「有権者一般」が1人当たり2倍の議員を当選させることができるから、「有権者」の投票価値は2倍である、という表現が意味を持つ。相対多数代表制とは異なり、選挙ごと、有権者(どの政党を支持するか)ごとに変わらない属性である。比例区ブロックの場合の定数配分の格差こそ、当選者数に影響を与える「投票価値の格差」「1票の価値の格差」といえる。

 相対多数代表制は、得票率順に当選させるもので、1人区なら得票率第1位のみを当選とし、それ以外を落選させ、落選候補に投じた有権者の票を死票とする。多数決原理を期待したものであるといえるが、生票率が50%を超えなければ多数決は成立しない。

 1人区の相対多数代表制(小選挙区制)の場合を具体例で考える。自由民主党支持の有権者9人と民主党支持の有権者1人の1人区Aと、自由民主党支持の有権者90人と民主党支持の有権者10人の1人区Bがあるとする。選挙区Aでは、自由民主党支持者と民主党支持者の「投票の有する影響力」は、(9分の1)対(1分の1)、選挙区Bでは、(90分の1)対(10分の1)=(9分の1)対(1分の1)で、選挙区Aと何ら変わらない。

 選挙区Bに属する自民党支持者は選挙区Aより有権者数が多いために自分の投じる1票によって候補者の当選に与える影響は小さいと嘆くかもしれず、同様のことを選挙区Bの民主党支持者も思うかもしれないが、選挙区B内での自民党支持者と民主党支持者の力関係は選挙区A内のそれと変わらないのである。

 「投票の有する影響力」は選挙区内の有権者(票)の力関係だけで決まり、他の選挙区と比べた有権者数の多寡とは基本的に関係ない。ただし、自由民主党は全国レベルで得票率が第一位だから、選挙区が大きく、従って有権者数が多いほど、全国レベルの得票率が再現される確率が高くなり、当選確率が高まるということはあり得る。これはむしろ「政党間1票格差」の問題になる。

 定数配分の格差の問題からは、小選挙区制を前提とし、選挙区Aを基準にすれば、選挙区Bは10分割して定数10にすべきであろう。しかし、このような区割り変更を行っても、有権者1人の「投票の有する影響力」は、等しく候補者1人に作用するのみで、しかも選挙区内の有権者(票)の力関係だけで決まるので、変わらないのである。「投票の有する影響力」が複数の候補者に及ぶ比例代表制とは、この点が決定的に違う。

 選挙区Bの分割という区割り変更によって新選挙区全体で選出される議員が10倍になるという変化はあるが、有権者1人はあくまで最大でも候補者1人しか当選させることができないことに変わりはない。旧選挙区Bの有権者1人は区割り変更によって投票価値が10倍になるのではなく、新選挙区全体でその時々の選挙ごとに変動する割合の生票を投じる有権者全体(死票を投じる有権者ではない)によって選出される議員数が10倍になっただけである。それに寄与するのはあくまで「有権者一般」ではなく、生票を投じる有権者のみである。投票価値を持つ「生票を投じる有権者」と生票率は選挙ごと、選挙区ごとに変わる。メディアが「1票の価値」が10倍になると言っても、死票を投じる有権者からすれば「与り知らぬ」ということになる。

 どのくらいの投票者数で議員1人を当選させることができるかは、選挙区間で議員1人当たりの有権者数をいくら揃えたところで、選挙ごと、選挙区ごとに変わり、従って投票価値も変わる。1人区における定数配分の格差で論点となる「投票の有する影響力」は有権者ごとに異なり、「有権者一般」に帰属させられる「1票の価値」の属性ではない。有権者が属する選挙区を含む地域の属性、地域代表性の問題と言うべきである。

 最高裁は国会議員の地域代表性を否定している(平成24年最高裁判決大橋正春裁判官の反対意見など)。憲法第43条で「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」とあることからして、国会議員は地域代表者ではないから、地域間の「有権者数当たりの選出議員数」の不均衡はさほど大きな問題ではない。

 300もある衆議院小選挙区の区割りを多少変更したとしても、都道府県レベルでの選出議員の地域分布に大きな変化が生じるわけでもない。25の1人区がある東京と同様に、鳥取にもそれくらいの数の1人区があった上で、鳥取全体と東京全体を比べて議員1人当たりの有権者数が2倍などという状況にあるのではない。鳥取は2つの1人区がおそらく1つになり、削減率は50%と大きく見えるが、地域代表性の点で2議席と1議席では大差がない。都道府県レベルでの定数配分の格差は現状でもほぼ無視できる。

 ただ、参議院の場合は改選数が121議席で、うち48議席が全国一区の比例区、わずか73議席が選挙区だから、これをドント式などで48都道府県に人口比例で配分しようとしても、選挙区数の割に議席数が少な過ぎて人口に比例しないのは当然である。2010年国勢調査に基づけば、2013年参議院選挙で定数2の北海道選挙区の定数当たりの有権者数は、定数1の鳥取選挙区の4.7倍であった。

 参議院の選挙制度や総定数を現在のままとすれば、定数配分を人口比例とするには、都道府県という区割り単位を変更するしかない。しかし、それは、例えば定数2の北海道選挙区を基準にすれば、定数1の鳥取選挙区に定数1の岡山選挙区を合区して1つの1人区にしたりすることであるが、新たな地域のアイデンティティー「鳥取・岡山合区」を創出することにはなっても、地域のアイデンティティーに囚われない有権者の投票価値は、選挙制度(1選挙区の定数、この場合は定数1の小選挙区制)が変わらない限り、あるいは政党支持率などが顕著に変わる区割り変更でもない限り、基本的に変わらないのである(既述したように、選挙区が大きくなり、従って有権者数が多くなれば、小選挙区制などの相対多数代表制では、一般的に比較大政党に有利となる)。区割りの前後で変わるのは、その地域における「有権者数当たりの選出議員数」と、選出議員に貼られる選挙区名のレッテルの違いだけである。

 鳥取は都市部と比べて有権者数当たりの定数が多いということで非難されるが、むしろ都市部と比べて1選挙区内の定数が最小の1、すなわち小選挙区であるために一般的に死票率が高くなって投票価値が低くなる点も考慮しなければならない。これは(3)の論点となる。

 結局、地域属性の問題がさほど重要でないとなれば、1人区における定数配分の格差の問題で重要となるのは、生票と死票の対立である。選挙区間での定数配分の格差と、選挙区間での政党支持率の違いがランダムでない形で絡んで、「政党(とそれを支持する有権者)間1票格差」に影響を与えてしまう。

 例えば、衆議院でも参議院でも、自由民主党の支持率が大きい中国地方に有権者数当たりの定数が多いという問題がある。当然、同党に有利となっている。定数配分の格差は政党間1票格差と密に連関しているのである。逆に、地域によって政党支持率などに違いがなければ、いくら定数配分の格差(議員1人当たりの有権者数)が大きくとも、「政党間1票格差」に影響はしない。

 1人区では、選挙区の議員1人当たりの有権者数が多かろうが少なかろうが、その選挙区の有権者の投票価値は得票率第一位の候補を支持するかどうかで決まり、従って得票率第一位の候補を支持する有権者によってのみ決定されてしまい、どの候補が各1人区で得票率第一位の地位に収まるかどうか、どの有権者グループが得票率第一位の候補を支持する有権者グループかは、本来的に確率的なもので、選挙区の議員1人当たりの有権者数に依存しないから、その地域における「有権者数当たりの選出議員数」を問題にしない限り、どのような「議員1人当たりの有権者数」に配属されても、「投票の有する価値」は選挙区内の力関係だけで決定されるのである。そして「有権者数当たりの選出議員数」の違いもさほど大きくはない。

 要すれば、1人区における定数配分の格差は、生票を投じる有権者と死票を投じる有権者を区別せず、選挙区間で比較する「有権者一般」の投票価値の格差の問題ではない。

 最後に中選挙区制を含む大選挙区制では、議員1人当たりの有権者数が少なくなる、あるいは選挙区内の定数が増えれば、従来の議論の枠組みによる不適切な表現としての選挙区間での「1票の価値」が高まるだけでなく、より多くの投票者の票が生票となる確率が高まると同時に、より少ない票数で生票になる確率が高くなるので、本質的にも選挙区間での投票価値が高まる(議員1人当たりの投票者数が少なくなる)。

 生票と死票の対立、すなわち生票・死票間1票格差(生票を投じる有権者グループと死票を投じる有権者グループの間にある投票価値の格差)と、そこから生じる「政党(とそれを支持する有権者)間1票格差」などこそ、「投票の有する影響力」の格差の本質というものである。

 定数配分の格差が、「議員1人当たりの投票者数」の選挙区間での比較の問題だとするなら、それはまさに生票と死票の対立の問題と重なり、生票・死票間1票格差や「議員1人当たりの投票者数(得票数)」の政党間での格差(政党間1票格差)なども問題視されなければならない。投票価値を選挙区間だけで比較するパラダイムから抜け出す必要がある。

 国会議員が地域代表ではないのに対応して、有権者は各選挙区にへばりついた存在ではないから、選挙区ごとに有権者をまとめて、選挙区間だけを投票価値の比較基準としてよいとする合理性はないのであり、また投票価値は生票を投じて初めて生まれることからして、投票価値を比べるのであれば、有権者グループの区分け基準として投票選挙区を採用して「選挙区間」で比べる「定数配分の格差」(1議席当たりの有権者数の格差=定数分布の人口比例からの破れ)が問題であれば、「生票を投じる有権者グループ」と「死票を投じる有権者グループ」の間で比べる「投票価値の格差」(生票・死票間1票格差=当選議員分布の投票者数比例からの破れ)や、有権者グループの区分け基準として投票先政党を採用して「政党間」で比べる「投票価値の格差」(政党間1票格差=1議席当たりの得票数の格差=当選議員分布の投票者数比例からの破れ)などは、なおさら問題である。

 要すれば、「議員1人当たりの有権者数」の格差は地域代表性の格差を、「議員1人当たりの投票者数」の格差は投票価値の格差を生じさせる。

(2-イ)50%未満の得票率で50%超の議席占有率を許す現行選挙制度は多数決さえ保障しない

 2012年衆議院選挙では選挙区の1人区(小選挙区)で56%もの死票率を記録し、自由民主党は小選挙区において得票率43%で全議席の79%を獲得した。これは多数決ではなく少数決であり、憲法第14条法の下の平等に著しく反する。

 2013年参議院選挙でも同党は選挙区の得票率29.75%、比例区の得票率34.68%であったにもかかわらず、選挙区・比例区全体での議席占有率は53.72%であった。これも少数決であり、憲法第14条法の下の平等に著しく反する。

 単純小選挙区制などの相対多数代表制では多数決が成立しない場合があるからこそ、例えばフランスの小選挙区制では決戦投票制が導入されているのである。

 広島高裁岡山支部は2013年3月26日の定数是正訴訟判決で、「国民の多数意見と国会の多数意見の一致」をもって国民主権が保障できると判断した。

 国会が議決で多数決を採用しているのは、それ以外にないという消極的な理由によるのであって、多数決原理が最高の民主主義原理であるというわけではない。国民主権は単純な多数決原理だけで規定されるものではないが、「国民の多数意見と国会の多数意見の一致」が「平等な国民主権」の最低条件であることに原告は同意する。

 「国民の多数意見と国会の多数意見の一致」という最低条件は、憲法前文にある「国民の厳粛な信託」を客観化・定量化した1つの条件といえる。「国民の厳粛な信託」という重い要請からは、憲法が生票率を上回る死票率を想定しているとは到底思われない。

 小選挙区制を中心とする現行選挙制度の下では、議員の権限は「国民の厳粛な信託」を受けた状態からは程遠い。極端化すれば分かりやすい。各選挙区で死票率が99%、従って生票率はわずか1%だとしよう。いくら選挙区間で議員1人当たりの有権者数を揃えても、理論的にそのような事態が生じるのである。死票を投じる有権者の意見が切り捨てられることで、少数派の投票者の意見を背負った国会議員が多数派の投票者の意見を背負った国会議員より大きな権限を行使できる状況は、有権者から見れば、「国民主権の格差」が存在するということになる。

 選挙において平等な国民主権が保障されなければ、「国民の厳粛な信託」を国会議員が引き受けた、とはとても言えない。国会において国会議員が「国民の厳粛な信託」を越えた権限を行使できるようにし、国民に「国民主権の格差」をもたらす現行選挙制度は、違憲である。

 2012年衆議院選挙の1人区選挙および2013年参議院選挙の選挙区選挙は、まさに「国民の厳粛な信託」に背いて「国民の多数意見と国会の多数意見の一致」がなく、最低限の多数決さえ成立せず、平等な国民主権が保障されなかった。

 そもそも相対多数代表制では多数意見さえ測定できないことが理解されていない。有権者が1票だけを投じる相対多数代表制の区割り選挙では、小選挙区か中選挙区かなどの定数の別に関係なく、過半数の生票率が達成されない場合、すなわち単純多数決が成立しない場合、「得票数の順位」が「投票者の候補者に対する選好の順位」に一致するとは限らないことが、既に数学的にコンドルセのパラドックスとして知られている。

 コンドルセを引用して小選挙区制の問題点を国会で指摘した国会議員は、国会会議録検索システムによれば、1人しかいない。公明党の渡部一郎衆議院議員は、1993年4月20日の第126回国会衆議院政治改革に関する調査特別委員会で次のように述べている。「小選挙区制というものが原理的に国民を代表しないということにつきましては、既にフランスにおきましてコンドルセという人が二百年前に論及されて以来、その論議は破られていないのであります。」

 国会の議論はこのような科学的知見を無視したもので、とても真摯な議論とは言えない。国民主権を最高度に保障するための選挙制度という思想がまったく見られない。このような議論で導入された小選挙区制を中心とする現行選挙制度は違憲無効というべきである。

 当然、国会で採用されている多数決は「意見の多数決」である。上記の広島高裁岡山支部判決でも、国民と国会の間で多数「意見」の一致が見られるべきとしている。

 国会議員の背景に同数の有権者がいるべきとする「主権者の多数決論」を精緻化する必要がある。国会議員が「国民の厳粛な信託」に基づいて合理性をもって多数決による立法および各院3分の2以上の賛成による改憲発議を行うためには、国会議員が国民全体の意見を正確に背負っていることが条件である。現実には、脱原発や憲法96条改憲、消費税増税など、ことごとくの重要政策で国民の多数意見と国会の多数意見に重大な乖離が見られる。

 憲法96条の改憲をめぐっての国民と国会議員の意見の乖離を見てみよう。政党として96条改憲を掲げているのは、自由民主党・日本維新の会・みんなの党である。2013年参院選で、これら3党は選挙区の得票率合計が57.82%、比例区の得票率合計が55.55%と、3分の2を超えていないが、選挙区・比例区全体で3分の2超となる66.94%の議席を獲得し、改選数の枠で見れば、改憲発議の要件を達成した。

 ここで、国民の意見の指標が得票率、国会議員の意見の指標が議席占有率であるが、多くの死票を生み出す現行選挙制度によって、一部の国会議員の意見がかさ上げされる形で、国民の意見との乖離を呈しているのである。

 この乖離はとりもなおさず「国民主権の格差」であり、その指標は議席占有率66.94%(国会議員の意見の指標)を選挙区の得票率合計57.82%あるいは比例区の得票率合計55.55%(国民の意見の指標)で割った1.16倍あるいは1.21倍となる。

 同じく2013年参院選において自由民主党単独で見ると、この「国民主権の格差」は拡大する。同党の選挙区・比例区全体での議席占有率53.72%を選挙区の得票率42.74%あるいは比例区の得票率34.68%で割れば、1.26倍あるいは1.55倍となる。これは可決に過半数の賛成が必要な立法や、改憲発議要件が2分の1に引き下げられた場合の改憲発議における「国民主権の格差」が、改憲発議要件が現行の3分の2のままでの改憲発議における「国民主権の格差」より拡大することを意味する。

 選挙制度はこうした「国民の意見と国会議員の意見の乖離」(国民主権の格差)を最小化するものでなければならない。

 国会で「国民の意見の多数決」を成立させるためには、選挙において「1議席当たりの有権者数」を選挙区の間で揃える以外に、有権者の多数意見さえも死票という形で無にするのでなく、意見をもれなく議席という形で実現しなければならない。要するに、死票を最小化した上で「1議席当たりの生票数」を限りなく揃えて初めて、国会議員の背景に同数の有権者がいる、ということが意味を持ってくる。「同数」に死票を投じる膨大な有権者を含めても意味がなく、国会で「国民の意見の多数決」は成立しない。

 つまり選挙は多数決であってはならないことが重要であるが、実際の選挙では最低限の多数決さえ機能していないのである。

 憲法は第43条で「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」と要請している。この条項を単なる訓示規定としないためにも、実体的な法的担保が必要となるが、それは選挙民の意見を国会に総動員するよう、候補者が選挙民の意見をもれなく背負うことができる選挙制度ということになろう。

 憲法第43条を担保するためには、死票を最小化させる選挙制度として、相対多数代表制より比例代表制の要素が必要になる。当然、「1議席当たりの投票者数」が完全に揃えば、文句なしに投票価値は同一になるから、この点でも比例代表制の要素を検討しなければならない。

 衆議院、参議院とも、現行選挙制度は小選挙区制にしろ中選挙区制にしろ、憲法前文「国民の厳粛な信託」、憲法第14条法の下の平等、憲法第43条「全国民を代表する選挙」に従って、死票を最小化しつつ、国民の意見と国会の意見の乖離を限りなく縮小して平等な国民主権を保障しようという思想に基づいて真摯な議論によって制定された法律ではなく、科学的知見も無視して導入されたものであるから、憲法違反であり、そのような選挙制度に基づいて実施された2013年参議院選挙も違憲無効と言うべきである。

第3 結論

 既に最高裁判所は「選挙権」「投票の有する影響力」「投票価値」の格差が憲法で定めた法の下の平等に反するとの判断を下している。

 本訴状では「選挙権」「投票の有する影響力」「投票価値」の格差は「定数配分の格差」に起因する投票価値の格差だけではないこと、投票価値の格差の本質は生票と死票の対立にあることを力説し、現行選挙制度が「定数配分の格差」に起因する投票価値の格差以上に重大な投票価値の格差をもたらしている事実を指摘し、さらに現行選挙制度が無所属候補の立候補権を制限している事実、選挙管理委員会が野宿者の方などの選挙権を剥奪している事実、公職選挙法が政党要件を持たない党派や非富裕者に対する制限選挙を規定している事実を指摘した。

 「定数配分の格差」に起因する投票価値の格差については、特に選挙制度の細部たる「1人別枠方式」が違憲とされた。このような細部について憲法判断ができるなら、投票価値の格差をもたらす選挙制度本体についても憲法判断ができるはずである。
 
 以下の判決を求める。

(1)比例区の定数枠から無所属候補を締め出す現行選挙制度は制限選挙を禁止した憲法に違反すると認める。
(2)「定数配分の格差」に起因する投票価値の格差以外にも「選挙権」「投票の有する影響力」「投票価値」の格差があり、投票価値の格差の本質は生票と死票の対立にあることを認める。
(3)憲法前文「国民の厳粛な信託」、憲法第14条法の下の平等、憲法第43条「全国民を代表する選挙」は、死票を最小化しつつ国民の意見と国会の意見の乖離を限りなく縮小して平等な国民主権を保障する選挙制度を要請していることを認め、従って憲法は選挙区間での定数分布の人口比例だけでなく投票先政党間などでの当選議員分布の投票者数比例も要請していることを認め、小選挙区制および大選挙区制(理論的に中選挙区制を含む)はそのような要請を是とする思想に基づいて真摯な議論によって制定された法律ではなく、同思想に通じる科学的知見を無視しているから、憲法違反であると認める。
(4)選挙区によって異なる選挙制度を適用することは投票価値の格差をもたらし憲法違反であると認める。
(5)公職選挙法の供託金・立候補者数規定は制限選挙を禁止した憲法に違反すると認める。
(6)野宿者の方などの選挙権を剥奪していることは憲法違反であると認める。
(7)よって2013年参議院選挙の千葉県選挙区、その他の選挙区、比例区の結果を無効とする。

太田光征

2013参院選――結果分析

7月 30th, 2013 Posted by MITSU_OHTA @ 3:50:17
under 選挙制度 , 2013年参議院選挙 No Comments 

暮らしと経済、改憲の動向、脱原発と脱被ばく、米軍普天間飛行場など日米安保の行方など、日本の今後を決める上で重要な2013年参議院選挙。またしても53%という低い投票率に終わり、小中選挙区比例代表制並立制という選挙制度ゆえに民意を反映しない結果となりました。

参院選後の第一声というか、7月28日の最初の街頭行動では、もっぱら下記要望書で指摘した選挙制度と96条改憲の関係に潜む「不平等な国民主権」の問題のほか、数十年を覚悟してでも投票率と政治意識を向上させ、自分のためというより子どもと孫のために日本の政治を変革していこう、という訴えをしてきたところです。

民意を生かす政治・公正な報道を求める要望書
http://kaze.fm/wordpress/?p=469

取り急ぎ、主に選挙制度論議に必要な範囲で、基礎的な分析を行いました。今後、内容を追加していく予定です。

使用データ:
時事ドットコム:2013年参議院議員選挙
http://www.jiji.com/jc/2013san
時事ドットコム:参院比例票数を訂正=総務省
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201307/2013072600955&g=pol

【参考】
2012衆院選――結果分析
http://kaze.fm/wordpress/?p=435

【目次】

(1) 各党の消長(民主は公明に抜かれ比例第三党、社民の比例区得票率は2012年衆院選と同じ)
(2) 参院選の小中選挙区比例代表制並立制は、小選挙区と中選挙区で死票率が違うため、多数決のルールが異なるのであり、いくら選挙区の間で有権者当たりの定数を揃えたところで、選挙権の格差をもたらし、定数配分の格差以上に違憲である(地方ほど定数が少ないために死票率が高く、自民などの比較大政党に有利であるため、反TPPなどの意思が都市部より生かされにくい)
(3) 参院選での統一名簿の効果は限定的(共産から大地までの連合でも上乗せ議席は2議席だけ)
(4) 小中選挙区比例代表並立制でなく、中選挙区比例代表併用制だったら、生活の党・緑の党・みどりの風・新党大地も議席を獲得できた(自民は獲得議席数が65から42に激減)
(5) 比例区選挙の議席配分方法として少数政党に有利と言われるサンラゲ式でも、自民の1議席が生活に回るだけ
(6) 比例代表制であれば96条(先行)改憲反対勢力(公明抜き)は 2010年参院選、2013年参院選で3分の1を超えていた
(7) 脱原発党派は2012年衆院選と比べ、比例区で得票率を伸ばしたが、議席占有率は微減
(8) 政党要件のあるみどりの風は比例区で緑の党に負けた――泡沫排除の目的で非政党に過重な立候補条件を課す公職選挙法は破綻
(9) 自民・公明は、選挙区で計48%、比例区で計49%の得票率しかなく、2012年衆院選と同様に過半数の支持を得ていない


(1) 各党の消長

党派別の獲得議席数は表1に、比例区の詳細な結果は表2に、選挙区の定数別の詳細な結果は表3に示した。

自民党は比例区得票率を2012年衆院選の27.62%から34.68%に、小選挙区得票率も2012年衆院選の43.01%から57.64%に増やした。みんなの党も比例区得票率を2012年衆院選の8.72%から8.93%へ微増させた。

維新が橋下徹共同代表の「従軍慰安婦制度」発言で得票率を激減させたのは当然だが、歴史修正主義の本家本元たる自民党と、同制度に旧日本軍の関与を認めた河野談話の見直し派を数多く候補に抱えていたみんなの党がいずれも比例区得票率を伸ばした。運動側の力不足と反省すべきだろうし、自民もみんなの党も維新と歴史認識の点で同質であることをメディアが指摘しなかったことが悔やまれる。

分家の従軍慰安婦発言が批判され、歴史修正主義の本家本元がお咎めなし?
http://kaze.fm/wordpress/?p=463
みんなの党参院選候補者(選挙区)の42%が村山談話・河野談話見直し派(選挙区で当選したみんなの党候補者4人中3人が見直し派)
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/368666500.html

民主党は比例区得票率を2012年衆院選の16.00%から13.40%に微減させ、小選挙区得票率を2012年衆院選の22.81%から16.01%へと大きく減らした。比例区得票率で公明党に抜かれてしまった。

保守政党の間で票が行ったり来たりするだけというパターンが、ここ何年も続いている。

共産の比例区得票率は9.68%で、2012年衆院選の6.13%、2009年衆院選の7.03%をいずれも超えている。社民の比例区得票率は2012年衆院選と今回でまったく変わらず2.36%。2012年衆院選で比例区得票率5.69%を稼いだ旧未来の票が共産・社民両党に幾分か回るだろうと予測していたが、社民については外れたようだ。

生活の党・緑の党・みどりの党を合計しても比例区得票率は2.86%しかない。旧未来の比例区得票率5.69%との差に相当する票はどこに行ったのだろう。


(2) 参院選の小中選挙区比例代表制並立制は、小選挙区と中選挙区で死票率が違うため、多数決のルールが異なるのであり、いくら選挙区の間で有権者当たりの定数を揃えたところで、選挙権の格差をもたらし、定数配分の格差以上に違憲である

表3に定数別の「1票格差」(「1議席当たりの得票数」を各党ごとに求め、最小の党のそれで割った値)を、表4に定数別の死票率を示した。

自民党は1人区の得票率が57.64%だが、93.55%もの議席を獲得した。死票率は1人区の41.69%が最高で、死票率の最低は比例区の4.79%。

死票率を別の観点から見たのが、上で定義した「1票格差」(政党間1票格差)。1人区はあまりに高い死票率で、ほぼ自民候補しか当選せず、他党派の当選者数が少ないため、1票格差は計算していない。

1票格差の最低は5人区の1.19倍で、最高が2人区の3.48倍。「定数配分の格差」2倍が違憲なら、実質的な投票価値の格差である「1票格差」2倍超はなおさら違憲だ。

定数の違いによる死票率や1票格差の違いは選挙権と選挙制度の本質に関わる。選挙区によって小選挙区制や中選挙区制というように異なる選挙制度を適用すれば、法の下の平等に反し、選挙権の格差をもたらす。

具体的に言えば、地方ほど定数が少なく、従って死票率が高い。地方ほど比較大政党とそれを支持する有権者に有利となっている。

TPP(環太平洋連携協定)などを考えると、よく分かるだろう。地方は農業県が多いから、TPPに反対している有権者が多いものと思われる。ところが、TPPに反対の比較少数政党に対する票は死票になりやすく、TPPを二枚舌で反対といいながら推進している自民党という比較大政党に対する票は生票になりやすい。逆に都市部の有権者が反TPPの比較少数政党に投じる1票は、地方ほど死票になりにくく、TPP反対の意思を託せる確率が高い。

これを地方と都市部の有権者の間に存在する選挙権の格差と言わずして何と言うのか。定数配分の格差よりはるかに重大だ。

定数配分の格差は、それそのものより、選挙区によって定数の違いによる死票率や1票格差の違いが生じていることを前提に、地方と都市部などの選挙区によって有権者当たりの定数が異なることで、これらの死票率や1票格差による影響が増幅することが、問題となる。

現在では中国地方という自民党支持率の高い地域で有権者当たりの定数が多いことが問題だが、このように選挙区によって政党支持率に違いがなければ、また選挙区によって定数の違いによる死票率や1票格差の違いが生じなければ、定数配分の格差は、純粋に地域で選出される議員数の有権者当たりの違い(地域代表性格差)という意味しか持たない。

このような場合に、定数配分の格差は1票の価値の格差を意味しない。自民党支持の有権者1万人、民主党支持の有権者1000人の1人区Aと、自民党支持の有権者10万人、民主党支持の有権者1万人の1人区Bでは、当選に影響を与える1票の価値はまったく同じである。

有権者当たりの定数が同じなら、1人区の10選挙区と10人区の1選挙区では、確かに投票率が同じであれば投票に参画する有権者の数は揃うことになるが、生票という実質的な投票価値を手にすることで投票に参画する有権者の数は、明らかに10人区の方が多い。

平等な国民主権を尊重した多数決原理は、いくら選挙区の間で有権者当たりの定数を揃えたところで実現はせず、生票率ないし死票率を合わせなければならない。参院選の小中選挙区比例代表制並立制をそのままにして定数配分の格差をなくしても、例えば地方と都市部の間では多数決のルールが死票の多い小選挙区制や死票の少ない中選挙区制という違いによって異なり、その結果として実質的に投票に参画できる有権者の数が異なるという格差は、なくならない。

もっとも、中選挙区制でも、表3に示すように、死票率は無視できないほど大きい。都議会議員選挙の結果からも示されている。

2013東京都議会議員選挙――結果分析
http://kaze.fm/wordpress/?p=470


(3) 参院選での統一名簿の効果は限定的

生活の党・緑の党・みどり風の票を合算して比例区の議席を配分すると、民主の議席が1議席減り、生活の党・緑の党・みどり風の連合が1議席を獲得する。

社民・生活・緑・みどりの票を合算して比例区の議席を配分すると、自民・民主の議席がそれぞれ1議席減り、社民が元々獲得していた1議席に2議席が上乗せされ、社民・生活・緑・みどりの連合で3議席を獲得する。

社民・生活・緑・みどり・大地の票を合算した場合も、社民・生活・緑・みどりの票を合算した場合と同様のパターンの議席配分になる。

共産・社民・生活・緑・みどり・大地の票を合算しても、共産・社民がそれぞれ元々獲得していた議席に社民・生活・緑・みどりの票を合算した場合と同様のパターンで2議席が上乗せされるだけ。

衆議院比例区のように少ない定数の11ブロックに細切れされている場合は、少数政党の票を合算することでこれらの政党連合に配分される議席数が大幅に増えるが(参照: 2012衆院選――結果分析 )、参議院比例区のように全国一区でそれなりの定数がある場合は、複数の少数政党が統一名簿を作成しても、劇的に議席が増えるわけではない。ただ、統一名簿を作成することで有権者の意識が変わるということはあり得る。


(4) 小中選挙区比例代表並立制でなく、中選挙区比例代表併用制だったら、生活の党・緑の党・みどりの風・新党大地も議席を獲得できた

表5に参議院の現行選挙制度である小中選挙区比例代表並立制でなく、中選挙区比例代表併用制だった場合の結果を示した。

中選挙区比例代表併用制というのは、総定数を中選挙区に割り振り、政党候補も無所属候補も中選挙区で競い、無所属候補は主に中選挙区で当選させ、総定数から無所属の当選人数を差し引き、この残りの定数を政党名簿に投じた票数に基づいて政党に比例配分するというもの。

中選挙区比例代表併用制を提案する
http://kaze.fm/wordpress/?p=164

今回の参院選では、沖縄社会大衆党の糸数慶子氏と無所属2人が選挙区で当選した。参院選改選数121議席の残る118議席を比例区得票数に基づいて各党派にドント式で配分した(比例区の議席分は選挙区に割り振られていないし、選挙区の1人区は文字通り中選挙区ではないので、厳密には中選挙区比例代表併用制とは異なる)。

その結果、幸福実現党を除き、比例区に立った党派すべてが議席を獲得することができた(より中選挙区比例代表併用制に近い想定として、仮に選挙区で6人が当選したとすると、表5より自民党・みどりの風・みんなの党がそれぞれ1議席を失う)。自民党は獲得議席数が65から42に激減する。

ところで、例えば、自民党比例区候補の渡辺美樹氏は、緑の党比例区候補の三宅洋平氏より、獲得票数が少なかったにもかかわらず当選し、一方の三宅氏は落選してしまった。

これは感覚的におかしいと判断されやすいが、参院選の比例区選挙は非拘束名簿方式で、政党名での得票数と個人名での得票数を合算し、まず政党全体に対する議席数をその合算数で決めるという制度なので、個人得票数だけで判断することはできない。もしも個人に対する投票だけを比例区選挙でも義務付けていれば、渡辺氏の得票数は増えていただろう。

究極の1人1票選挙は、1人の当選に要する票数を完全に揃えれば実現する。技術的には通信ネットワークと端末を使い、複数日にわたって複数回の修正投票を行えるようにすればよい。

ある政党の支持者は、1回目の投票である候補に投じた票が多過ぎれば、2回目以降の修正投票で、1回目の投票で得票数が足りなかった同党候補に票を移譲するはずだろう。今回の例で言えば、自民の渡辺氏のような候補が2回目以降の修正投票で票を獲得する。こうして政党の候補は得票数が揃う。しかし、これでは手間がかかる。

現在の比例代表制は、このような修正投票のプロセスを省略しているだけで、外形的に各候補の得票数が不揃いになるものの、同プロセスを採用した1人1票選挙の近似的な制度と言える。

また、個人得票数の多寡で当選を決める大選挙区制(中選挙区制)は、例えば超人気の脱原発候補が脱原発有権者のほとんどすべての期待を受け、当選した脱原発候補はその1人だけ、というような民意を反映しない事態を生じかねない危険性を持っている。

選挙制度を考える場合、死票とともに過剰な生票を防ぐことを考慮しなければならず、比例代表制などの要素が必要になってくる。大選挙区制(中選挙区制)の問題点は他にもある。

大選挙区制(中選挙区制)の問題点〜連記投票制の落とし穴〜
http://kaze.fm/wordpress/?p=232

より根本的には、小選挙区制であれ大選挙区制(中選挙区制)であれ、単純に「得票数順」で当選を決める区割り選挙にはコンドルセのパラドックスが働くので、真の「選好順」を測定できないという問題がある。

小選挙区制の廃止へ向けて――(8) コンドルセのパラドックス
http://kaze.fm/wordpress/?p=215#8


(5) 比例区選挙の議席配分方法として少数政党に有利と言われるサンラゲ式でも、自民の1議席が生活に回るだけ

田中龍作氏が比例区選挙における議席配分方式の問題を取り上げ、「ドント式による比例選挙が『比例していない比例選挙』と言われるゆえんでもある」と指摘している。

田中龍作ジャーナル | 大政党ほど有利 「比例していない比例選挙」とは…
http://tanakaryusaku.jp/2013/07/0007625

ところが、ドント式による比例選挙が「比例していない比例選挙」となるのは、正確に言えば衆院選の比例区ブロックのように、定数が少ない場合に限られる。例えば、2012年衆院選の比例区では、社民の1票格差は4.87倍(対自民、全ブロック集計)であった。

2012衆院選――結果分析
表1 2012年衆議院選挙の結果
http://kaze.fm/wordpress/?p=435#2012election_table1

少数政党に有利と言われるサンラゲ式で今回の参院選の議席を配分しても、自民の1議席が生活に回るだけの結果となる。「1票格差」の最大はドント式で社民の1.23倍(対民主)、サンラゲ式で同じく社民の1.33倍(対生活)だから、サンラゲ式で拡大してしまう。

定数が少なくとも50議席程度以上であれば、ドント式でもサンラゲ式でも、結果はほとんど変わらない。下記を参照いただきたい。

比例区定数が100に削減された場合の衆院選比例区シミュレーション
2 議席比例配分の計算方法と票数集計単位の比較〜ドント式と定数の少ない現行ブロック式の組み合わせは小党に不利〜
http://kaze.fm/wordpress/?p=229#2

変えなければならないのはドント式かサンラゲ式かという議席配分方式ではなく、定数(配分される議席数)の大きさだ。衆院選であればブロック単位ではなく全国単位で票を集計して議席を配分する必要がある。

その前に、定数が比例区と選挙区に分かれ、比例区の定数分を無所属候補から締め出している並立制の差別を解消しなければならない。


(6) 比例代表制であれば96条(先行)改憲反対勢力(公明抜き)は 2010年参院選、2013年参院選で3分の1を超えていた

比例代表制であれば、まず10年参院選で96条(先行)改憲反対勢力(公明抜き)は51議席を獲得できていた。

2010参院選――結果分析
http://kaze.fm/wordpress/?p=309#2010e3

残る改選数の選挙が今回の13年参院選であったわけだが、やはり比例代表制の一種である中選挙区比例代表併用制であれば、表5に示すように36議席を獲得できた。

結局、51議席と36議席を足した87議席が、比例代表制であった場合の96条(先行)改憲反対勢力(公明抜き)の現有議席となり、総定数242議席の3分の1を超える。

これを国民の意見と国会の意見の乖離、国民主権の格差と言わずして何と言うのか。


(7) 脱原発党派は2012年衆院選と比べ、比例区で得票率を伸ばしたが、議席占有率は微減

12年衆院選比例区での共産・旧未来・社民・大地の得票率と、13年参院選比例区での共産 ・社民・生活・大地・緑の党・みどりの風の得票率の変化をみると1.7ポイント増だが、議席占有率でみると1.9ポイント減少している。

2012衆院選――結果分析
http://kaze.fm/wordpress/?p=435

これは明らかに多党乱立が原因。ただ、絶対的支持率そのものが低いことが根本的な問題であって、1.9ポイント減が問題にならないくらい、得票率と議席占有率の絶対数を高めることが必要。


(8) 政党要件のあるみどりの風は比例区で緑の党に負けた――泡沫排除の目的で非政党に過重な立候補条件を課す公職選挙法は破綻

政党要件のない党派が比例区で戦うには、10人の候補者を揃えなければならない。このような規定は政党にはない。ただ10人を用意するだけならそれほど負担でないかもしれないが、候補1人につき600万円の供託金が必要だから、非常に重い条件となる。

政党だって10人を擁立し、10人を当選させるのは至難の業。社民は3人を立てて、1人を当選させただけだ。

このような公職選挙法の規定は実質的に非政党、新しい党派の比例区での立候補を不当に制限する。

そもそも、泡沫排除という目的が公職選挙法の中で明示されているわけではないが、このような制限選挙を認める目的を公職選挙法に盛り込むことは憲法違反に他ならない。

その上で、政党要件のあるみどりの風が比例区で緑の党に負けたことで、泡沫排除という目的の整合性が取れなくなってしまった。政党より支持される非政党に重い負担を強いるのは誰が考えても不公正だ。


(9) 自民・公明は、選挙区で計48%、比例区で計49%の得票率しかなく、2012年衆院選と同様に過半数の支持を得ていない

これは表2と表3に示してある通り。

一方、自民・公明の議席占有率は、選挙区で70%、比例区で52%、全体で63%(表1、表2、表3)。比例区でほぼ50%の得票率(すなわち国民の半数の支持の指標)を達成するだけで、議席の3分の2近くを獲得できることに注目してほしい。

国民の過半数の支持を得ていない勢力が国会の多数決で法律を成立させ、国民の半数の支持しか得ていない勢力が議席の3分の2近くを獲得して改憲発議ができる。国会議員は国民の代理で多数決と改憲発議を行うのだと認めれば、得票率と議席占有率の乖離は、国民主権を毀損している、国民主権の格差をもたらしている、と理解できるはず。

この問題は、下記の政党・メディアあて要望書で取り上げている。

民意を生かす政治・公正な報道を求める要望書
http://kaze.fm/wordpress/?p=469

 
 

表1 2013年参議院選挙の結果(党派別当選者数)
議席占有率は%
当選 議席占有率 選挙区 比例区 改選 非改選 公示前 新勢力
自由民主党 65 53.72 47 18 34 50 84 115
公明党 11 9.09 4 7 10 9 19 20
民主党 17 14.05 10 7 44 42 86 59
日本維新の会 8 6.61 2 6 2 1 3 9
日本共産党 8 6.61 3 5 3 3 6 11
みんなの党 8 6.61 4 4 3 10 13 18
社会民主党 1 0.83 0 1 2 2 4 3
生活の党 0 0.00 0 0 6 2 8 2
新党大地 0 0.00 0 0 1 0 1 0
緑の党 0 0.00 0 0 0 0 0 0
みどりの風 0 0.00 0 0 4 0 4 0
幸福実現党 0 0.00 0 0 0 0 0 0
沖縄社会大衆党 1 0.83 1 0 1 0 1 1
新党改革 0 0.00 0 0 1 1 2 1
無所属 2 1.65 2 0 5 1 6 3
121 100.00 73 48 116 121 237 242

表2 2013年参議院選挙の結果(比例区の詳細)
1票格差:「1議席当たりの得票数」を各党ごとに求め、最小の民主党のそれで割った値
得票数 得票率 議席数 議席占有率 1票格差
自民 18,460,335 34.68 18 37.50 1.01
公明 7,568,082 14.22 7 14.58 1.06
民主 7,134,215 13.40 7 14.58 1.00
維新 6,355,299 11.94 6 12.50 1.04
共産 5,154,055 9.68 5 10.42 1.01
みんな 4,755,160 8.93 4 8.33 1.17
社民 1,255,235 2.36 1 2.08 1.23
生活 943,836 1.77 0 0.00
大地 523,146 0.98 0 0.00
緑の党 457,862 0.86 0 0.00
みどりの風 430,673 0.81 0 0.00
幸福 191,643 0.36 0 0.00
53,229,541 100.00 48 100.00

表3 2013年参議院選挙の結果(選挙区の詳細)
1票格差:「1議席当たりの得票数」を各党ごとに求め、最小の党のそれで割った値
大地・緑の党・幸福は諸派にまとめた。率は%。
得票数 得票率 議席数 議席占有率 1票格差
1人区(31選挙区) 自民 9,818,270 57.64 29 93.55
公明
民主 2,727,427 16.01 0 0.00
維新 170,134 1.00 0 0.00
共産 1,661,560 9.75 0 0.00
みんな 471,628 2.77 0 0.00
社民 35,801 0.21 0 0.00
生活 167,480 0.98 0 0.00
大地
緑の党
みどりの風 367,083 2.15 0 0.00
幸福
諸派 638,929 3.75 1 3.23
無所属 975,995 5.73 1 3.23
17,034,307 100.00 31 100.00
得票数 得票率 議席数 議席占有率 1票格差
2人区(10選挙区) 自民 6,080,897 41.95 10 50.00 1.40
公明
民主 3,048,094 21.03 7 35.00 1.00
維新 1,513,424 10.44 1 5.00 3.48
共産 1,509,268 10.41 1 5.00 3.47
みんな 1,351,893 9.33 1 5.00 3.10
社民 46,101 0.32 0 0.00
生活 302,635 2.09 0 0.00
大地
緑の党
みどりの風
幸福
諸派 576,888 3.98 0 0.00
無所属 67,233 0.46 0 0.00
14,496,433 100.00 20 100.00
得票数 得票率 議席数 議席占有率 1票格差
3人区(3選挙区) 自民 3,156,382 37.98 4 44.44 1.41
公明 599,755 7.22 1 11.11 1.07
民主 1,519,752 18.29 2 22.22 1.36
維新 450,177 5.42 0 0.00
共産 857,349 10.32 0 0.00
みんな 1,117,977 13.45 2 22.22 1.00
社民 112,853 1.36 0 0.00
生活 148,240 1.78 0 0.00
大地
緑の党
みどりの風 62,985 0.76 0 0.00
幸福
諸派 285,591 3.44 0 0.00
無所属
8,311,061 100.00 9 100.00
得票数 得票率 議席数 議席占有率 1票格差
4人区(2選挙区) 自民 1,948,595 25.66 2 25.00 1.47
公明 1,326,881 17.48 2 25.00 1.00
民主 798,384 10.51 1 12.50 1.20
維新 1,299,277 17.11 1 12.50 1.96
共産 913,859 12.04 1 12.50 1.38
みんな 898,176 11.83 1 12.50 1.35
社民 76,792 1.01 0 0.00
生活
大地
緑の党
みどりの風 119,633 1.58 0 0.00
幸福
諸派 142,271 1.87 0 0.00
無所属 69,002 0.91 0 0.00
7,592,870 100.00 8 100.00
得票数 得票率 議席数 議席占有率 1票格差
5人区(1選挙区) 自民 1,677,048 29.75 2 40.00 1.19
公明 797,811 14.15 1 20.00 1.13
民主 552,714 9.80 0 0.00
維新 413,637 7.34 0 0.00
共産 703,901 12.49 1 20.00 1.00
みんな 320,287 5.68 0 0.00
社民
生活
大地
緑の党
みどりの風 70,571 1.25 0 0.00
幸福
諸派 115,463 2.05 0 0.00
無所属 986,373 17.50 1 20.00
5,637,805 100.00 5 100.00
得票数 得票率 議席数 議席占有率 1票格差
1〜5人区 自民 22,681,192 42.74 47 64.38 1.00
公明 2,724,447 5.13 4 5.48 1.41
民主 8,646,371 16.29 10 13.70 1.79
維新 3,846,649 7.25 2 2.74 3.99
共産 5,645,937 10.64 3 4.11 3.90
みんな 4,159,961 7.84 4 5.48 2.16
社民 271,547 0.51 0 0.00
生活 618,355 1.17 0 0.00
大地 0.00
緑の党 0.00
みどりの風 620,272 1.17 0 0.00
幸福 0.00
諸派 1,759,142 3.31 1 1.37 3.65
無所属 2,098,603 3.95 2 2.74 2.17
53,072,476 100.00 73 100.00

表4 2013年参議院選挙――定数別の死票率
1人区 2人区 3人区 4人区 5人区 比例区
総得票数 17,034,307 14,496,433 8,311,061 7,592,870 5,637,805 53,229,541
生票 9,933,167 9,407,148 5,719,234 6,002,408 3,845,444 50,682,381
死票 7,101,140 5,089,285 2,591,827 1,590,462 1,792,361 2,547,160
死票率 41.69 35.11 31.19 20.95 31.79 4.79

表5 2013年参議院選挙――小中選挙区比例代表並立制でなく、中選挙区比例代表併用制だったら
沖縄社会大衆党の糸数慶子氏と無所属2人を選挙区当選者とし、残る118議席を比例区得票数に基づいて各党派にを配分
自民 公明 民主 維新 共産 みんな 社民 生活 大地 緑の党 みどりの風 幸福 社大・無所属
実際 65 11 17 8 8 8 1 0 0 0 0 0 3 121
併用制 42 17 16 14 11 11 2 2 1 1 1 0 3 121

 
 
太田光征

伊東光晴氏「安倍・黒田氏は何もしていない」(「世界」8月号)のご紹介

7月 19th, 2013 Posted by MITSU_OHTA @ 11:34:09
under 2013年参議院選挙 No Comments 

転送・転載歓迎します。

京都大学名誉教授の伊東光晴氏がタイムリーな論文を書かれました。ごく簡単な要約でご紹介します(黒田氏は黒田東彦日銀総裁、第一の矢は金融緩和)。

<安倍・黒田氏は何もしていない>ーー第一の矢を折るーー

メディアは、安倍政権による「大幅な金融緩和や財政出動は株価上昇と円安につながった」と指摘するが、株価上昇や円安という変化は安倍政権による政策以前から起こったもの。動かした力は、株式市場での海外投資家たちのプレーであり、複雑な為替介入であり、通貨政策とは直接関係ない。民主党政権の下でも株価上昇と円安への動きは同時進行した。

日銀が貨幣供給量を増やしたといっても、その大部分が日銀にある各銀行の当座預金の増加であり、設備投資など実体経済の活況化をもたらすものにはほとんどなっていない。

トヨタ自動車の業績にしても、営業利益1兆3288億円のうち、円高の是正の影響は全利益の11%に過ぎず、利益の大部分は自己努力で、政策と何の関係もない。しかも販売増は海外市場におけるもの(豊田社長「日本の国内市場は縮小している」)。

太田光征(「平和への結集」をめざす市民の風)

公正な報道を求めるオンライン署名 〜衆参のねじれより、民意とのねじれ、二枚舌のねじれの解消を争点に〜

7月 14th, 2013 Posted by MITSU_OHTA @ 23:50:58
under メディア , 2013年参議院選挙 No Comments 

メディアがさかんに煽っている「衆参のねじれ解消」は必要ありません。投票日まで残りわずかですが、不公正なメディアに要望書を送る取り組みです。ご賛同と拡散をよろしくお願いします。

署名サイト:http://goo.gl/Wxm3M (http://www.change.org/を利用)

http://www.change.org/のサービスはいわゆるクッキーをオンにしないと、ページが正常に表示されないという難点があります。

インターネット・エクスプローラーをお使いの場合、ツール>インターネットオプション>プライバシーの順にクリックし、「すべてのCookieを受け入れる」という設定にしてみてください。

—————–

メディア各位

2013年参議院選挙とその報道も終盤を迎えました。ごくごく3点に絞って、公正な報道を要望しますので、ご返答と実践をお願いします。

(1) 衆議院と参議院のねじれの解消

 脱原発や96条改憲などをめぐって国民の多数意見と国会議員の多数意見が乖離しています。この種のねじれの解消こそが国民主権の政治で最も重要です。
 民意を生かすという基準に背を向けるから「決められない政治」となります。「決められない政治」の理由を衆参のねじれに求めることは、こうした基準をないがしろにして、党利による国会支配を認めることです。
 メディアは衆参のねじれ解消を争点に掲げないでください。

(2) 政党間で不公正な扱い

 ねじれといえば、自由民主党は少なくとも米軍普天間飛行場( http://goo.gl/x4Z2M )、原発( http://p.twipple.jp/vU8×9 )、TPP( http://fb.me/Zrj96Ys6 )という3大政策で、地元選挙対策向けと本部との間で内部に相当のねじれを抱えています。世間では通常、これを二枚舌と言います。
 鳩山由紀夫前首相が同じく普天間飛行場の県外・国外移設をめぐって政権・与党内でねじれを呈したことをもって、「迷走」したとさんざん批判されました。
 そのわりに、選挙民を欺く自民党内のねじれには「二枚舌」などの特別な言葉が用意されるわけでもなく、さして批判されません。
 政党間で不公正な扱いをすることなく、公正な報道をお願いします。

(3) 政府の宣伝

 安倍政権の「アベノミクス」は「3本の矢」(金融緩和・財政出動・成長戦略)と宣伝されていますが、実態経済としての裏付けがない、と指摘されています。
 「アベノミクス」は、F15戦闘機の改修などを含む「緊急経済対策」、生活保護費の切り下げ、倫理なき原発輸出など、安倍政権の経済政策の本質を覆い隠すものです。
 東京新聞は政府用語「アベノミクス」を引用以外に使用しない方針を取っています。他のメディア各社も見習っていただきたいと思います。

賛同者一同
呼び掛け:「平和への結集」をめざす市民の風(http://kaze.fm/)

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賛同者の皆さまへ

 この要望書は7月15日の午前中にメディア各社へファクス送信します。皆さまのお名前やメールアドレスは先方に伝えず、コメントに目を通すように求めます。

 特に参院選の投票日前に公正な報道を促すことが目的なので、15日の正午あたりまでに圧倒的な数の賛同署名が集まることが鍵を握ります。16日一杯まで署名を募り、17日に再度、電話で促します。

 どうぞ、渾身の拡散と賛同署名をよろしくお願いします。

2013東京都議会議員選挙――結果分析

6月 30th, 2013 Posted by MITSU_OHTA @ 23:23:58
under 選挙制度 , 2012年東京都知事選挙 , 2013年参議院選挙 No Comments 

【7月1日訂正】 (1)の7段落目「2013年都議選から比べれば支持の回復」を「2009年都議選から比べれば支持の回復」に訂正しました。
【7月1日追加】 (2)の2段落目に「1人区を個別に見ると、民主党候補の有無に関係なく、共産党の得票率は島部の7.83%を除いて、すべて11%を超えています。 」を追加しました。

【使用データ】

  • 東京都選挙管理委員会 | 選挙結果&データ | 投開票結果
     http://www.senkyo.metro.tokyo.jp/data/data01.html
  • 総務省|選挙関連資料
     http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/data/index.html
  • 東京新聞:都議選2013(CHUNICHI Web)
     http://www.tokyo-np.co.jp/feature/togisen13/
  •  
     
    【目次】
    (1) 自民・共産躍進の中身――維新を経由して民主の票が自民へ回帰し、民主・旧未来(生活・みどりの風)・社民の票が一部共産へ?
    (2) 共産党は2人区で1議席を獲得し、1人区でも2012衆院選1人区(東京)より得票率を伸ばす
    (3) 得票率で見ると、共産党は定数の多い選挙区で民主党に勝ったが、定数の少ない選挙区で負けた――共産党に対する死票心理の表れか
    (4) 中選挙区制(大選挙区制)は民意よりも候補者調整ないし票割りの巧拙を測定する

    【関連投稿】

  • 2009東京都議会議員選挙――結果分析
     http://kaze.fm/wordpress/?p=274

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    (1) 自民・共産躍進の中身――維新を経由して民主の票が自民へ回帰し、民主・旧未来(生活・みどりの風)・社民の票が一部共産へ?

    表1に選挙結果(全選挙区)を示しています。表2は2013年都議選とそれ以前の衆院選比例区(東京)、2009年都議選の間で得票率(%)の変化を見たもの、表3は1人区における得票率の変化を2013年都議選と2012年衆院選の間で比べたものです(2013都議選で民主党は総定数7のところ、3人しか擁立していないことに留意)。

    民主党が惨敗したとはいえ、得票率15.24%は2012年衆院選比例区(東京)の得票率15.42%から0.18ポイントしか減少していません(表2)。ただ、定数3以上では2012年衆院選比例区(東京)の得票率から数ポイント減少しています。選挙区の多い2人区で得票率24.11%を稼いだことで、相殺された形です。

    自民党は2009年都議選、2009年衆院選比例区(東京)、2012年衆院選比例区(東京)で25%前後の得票率を保ってきましたが(昨年、民主党の票は自民党にいかず、維新とみんなに流れた)、今回は得票率を36.04%へと大きく伸ばしました。ただ、維新との合計で見た得票率は2012年衆院選比例区(東京)の得票率から0.44ポイント減少しています。

    自民・民主・維新の合計得票率が昨年からほとんど変化せず、民主党の得票率もあまり変わらず、維新の得票率がガタ落ちということからして、自民大勝の票は維新から移動してきたものでしょう。もっとも、その維新の票は民主党由来でしたから、自民党の票が維新を経由して民主党から回帰したということでしょう。

    共産党は議席数の点で躍進しましたが、2013年都議選の得票率13.61%は2009年都議選の得票率12.56%から1ポイント程度増えたに過ぎません(今回の得票数616,722は2009年都議選の得票数707,602より少ない)。ただし、2012年衆院選比例区(東京)の得票率7.41%から比べて、5ポイント以上も増えています。

    2012年衆院選と比べ、共産党躍進の票はどこから来たのか。2013年都議選の投票率43.50%が2012年衆院選比例区(東京)の得票率62.20%と比べ低下したため、組織票を期待できる共産党に有利な状況といわれますが、まずこの点を検証します。

    2012年衆院選比例区(東京)の同党の得票数484,365を2013年都議選の全党派得票数4,532,280で割ると、10.69%となり、 今回の得票率13.61%より小さいことから、同党の得票率の伸びは低投票率だけからは説明されません。もっとも、今回の得票数自体が616,722票で、昨年より増えています。2012年衆院選と比べて実質的な支持の拡大があったと見るべきでしょう(2009年都議選から比べれば支持の回復)。

    民主党が定数3以上で2012年衆院選比例区(東京)と比べ得票率を落としていることからして、民主党と、候補者をほとんど立てていない旧未来の党(現生活の党・みどりの風)と社民党の支持者の一部の票が共産党へ移ったと推測されます。

    来る参院選では生活、みどりの風、社民が選挙区でそれなりの候補者を立てるので、共産党が参院選の選挙区で今回の都議選と同様の躍進を達成できる保証はありません。

    民意を反映しない選挙制度による共倒れの懸念がいつまでも付きまといます。護憲・脱原発の政党・候補者には、平等な国民主権の実現に最大の価値を置いて、選挙制度改正を最優先の結集軸に候補者調整をしていただきたいものです。現行選挙制度で選出された国会議員は主権者からの厳粛な信託を受けておらず、国会活動をする資格がなく、本来であれば選挙制度改正と選挙管理内閣の公約のみが許されます。


     
     
    (2)  共産党は2人区で1議席を獲得し、1人区でも2012衆院選1人区(東京)より得票率を伸ばす

    2人区の文京区で共産党が1議席を獲得したことは注目に値します。今回、共産党最大の得票率15.41%はこの2人区で達成したものです(表4)。

    1人区でも共産党は2012衆院選1人区(東京)の9.13%から2013都議選1人区(7選挙区)の13.82%へと5ポイント近く得票率を伸ばしました(表3)。1人区を個別に見ると、民主党候補の有無に関係なく、共産党の得票率は島部の7.83%を除いて、すべて11%を超えています。

    共産党の得票率は1人区、2人区以外でも、全選挙区で2012衆院選比例区(東京)の得票率7.41%を上回っています(表3、表4)。


     
     
    (3) 得票率で見ると、共産党は定数の多い選挙区で民主党に勝ったが、定数の少ない選挙区で負けた――共産党に対する死票心理の表れか

    表4に2013年都議選の定数別の選挙結果を示しています。

    全選挙区計の得票率で比較すると民主党が共産党を上回っていますが、定数別に見ると少ない定数の選挙区と多い定数の選挙区で関係が違ってきます。

    1人区と2人区という定数の少ない選挙区では、どちらも得票率で民主党が共産党に勝っています。

    3人区と8人区では得票率で民主党が共産党を若干上回っています。ところが、4人区、5人区、6人区では共産党の候補者数が民主党より少ないにもかかわらず、得票率では共産党が民主党を上回っています。

    得票率を1〜2人区、3〜8人区でまとめると、次のようになります。

    1〜2人区の得票率 3〜8人区の得票率
    共産党 15.13 12.97
    民主党 23.01 12.00

    この結果は非常に興味深い。潜在的な支持の点で共産党は民主党を上回るものの、定数の少ない選挙区では共産党に対する票が死票になるとの恐れから、依然として民主党に集中しているのかもしれない。


     
     
    (4) 中選挙区制(大選挙区制)は民意よりも候補者調整ないし票割りの巧拙を測定する

    表4の定数別の結果で明らかなように、1人区と2人区はもちろんのこと、定数3以上でも各党の得票率と議席占有率に大きな乖離が見られます。今回の選挙は、2009年都議選と同様、民意よりも候補者調整ないし票割りの巧拙を測定したようなものです。

    2009東京都議会議員選挙――結果分析
    http://kaze.fm/wordpress/?p=274

    5人区まで得票率と議席占有率に大きな乖離が見られ、6人区でようやく差が縮小したと思いきや、8人区でまた乖離します。

    この8人区(2選挙区)は象徴的です。共産党と維新の得票率はまったく同じ9.45%であるものの、候補者と議席数(議席占有率)は各党でそれぞれ2人および2議席(12.50%)、4人および1議席(6.25%)と、候補者調整の巧拙が反映されています。民主党は共産・維新より得票率が10.69%と高いものの、やはり候補者調整がまずく、1議席しか獲得できませんでした。

    いくら定数が多い中選挙区(大選挙区)でも、候補者数が多くなれば、各党の得票率と議席占有率は乖離してきます。来る参院選の東京選挙区で脱原発候補が林立する模様ですが、心配されます。

    このような問題に対処できる選挙制度が、中選挙区比例代表併用制です。

    中選挙区比例代表併用制を提案する
    http://kaze.fm/wordpress/?p=164
     
     

    表1 2013都議選――結果(全選挙区)
    2013年 2009年 2013年 2009年
    得票数 得票率 得票数 得票率 議席数 議席占有率 議席数 議席占有率
    全党派計 4,532,280 100.00 5,634,323 100.00 127 100.00 127 100.00
    自由民主党 1,633,304 36.04 1,458,108 25.88 59 46.46 38 29.92
    民主党 690,623 15.24 2,298,495 40.79 15 11.81 54 42.52
    公明党 639,160 14.10 743,428 13.19 23 18.11 23 18.11
    日本共産党 616,722 13.61 707,602 12.56 17 13.39 8 6.30
    日本維新の会 374,109 8.25 2 1.57
    みんなの党 311,278 6.87 7 5.51
    無所属 118,450 2.61 250,869 4.45 1 0.79 2 1.57
    東京・生活者ネットワーク 94,239 2.08 110,407 1.96 3 2.36 2 1.57
    行革110番 18,470 3.32 7,183 0.13
    社会民主党 12,948 0.29 20,084 0.36
    生活の党 9,563 0.21
    みどりの風 6,463 0.14
    (元)葛飾区議長 3,306 0.41
    緑の党脱原発担当 3,224 0.40
    大統領会 421 0.04 688 0.01
    その他の党派 65,414 1.17
    幸福実現党 13,401 0.24

     
     

    表2 得票率(%)の変化(全選挙区)
    2013都議選 2012衆院選比例区(東京) 2009衆院選比例区(東京) 2009都議選
    自民 36.04 24.87 25.47 25.88
    民主 15.24 15.42 40.98 40.79
    公明 14.10 10.14 10.35 13.19
    共産 13.61 7.41 9.61 12.56
    維新 8.25 19.86
    みんな 6.87 11.67 6.06
    社民 0.29 2.09 4.32 0.36
    生活 0.21
    みどりの風 0.14
    旧未来の党 6.86

     
     

    表3 得票率(%)の変化(1人区)
    2013都議選で民主党は総定数7のところ、3人しか擁立していないことに留意
    2013都議選1人区
    (7選挙区)
    2012衆院選1人区
    (東京)
    自民 52.21 39.03
    民主 17.95 22.25
    共産 13.82 9.13
    10.22
    みんな 4.75 7.43
    維新 1.05 13.48

     
     

    表4 2013都議選――結果(定数別)
    候補者数 得票数 得票率 議席数 議席占有率
    1人区(7選挙区) 24 236,132 100.00 7 100.00
    自民 7 123,294 52.21 7 100.00
    民主 3 42,389 17.95 0 0.00
    共産 7 32,636 13.82 0 0.00
    5 24,121 10.22 0 0.00
    みんな 1 11,221 4.75 0 0.00
    維新 1 2,471 1.05 0 0.00
    候補者数 得票数 得票率 議席数 議席占有率
    2人区(16選挙区) 72 1,096,161 100.00 32 100.00
    自民 17 449,124 40.97 17 53.13
    民主 16 264,234 24.11 10 31.25
    共産 16 168,924 15.41 1 3.13
    維新 11 108,126 9.86 1 3.13
    みんな 4 34,972 3.19 0 0.00
    3 26,204 2.39 1 3.13
    公明 1 20,203 1.84 1 3.13
    ネットワーク 1 19,367 1.77 1 3.13
    生活 2 4,586 0.42 0 0.00
    NPO法人理事長 1 421 0.04 0 0.00
    候補者数 得票数 得票率 議席数 議席占有率
    3人区(5選挙区) 33 540,930 100.00 15 100.00
    自民 7 167,888 31.04 7 46.67
    公明 5 117,649 21.75 5 33.33
    民主 5 69,337 12.82 1 6.67
    共産 5 65,720 12.15 2 13.33
    維新 5 54,073 10.00 0 0.00
    3 29,961 5.54 0 0.00
    みんな 2 29,839 5.52 0 0.00
    みどりの風 1 6,463 1.19 0 0.00
    候補者数 得票数 得票率 議席数 議席占有率
    4人区(6選挙区) 46 806,269 100.00 24 100.00
    自民 9 250,306 31.04 9 37.50
    公明 6 153,055 18.98 6 25.00
    共産 6 120,681 14.97 6 25.00
    民主 8 109,710 13.61 1 4.17
    みんな 6 84,506 10.48 2 8.33
    維新 6 69,136 8.57 0 0.00
    3 12,345 1.53 0 0.00
    (元)葛飾区議長 1 3,306 0.41 0 0.00
    緑の党脱原発担当 1 3,224 0.40 0 0.00
    候補者数 得票数 得票率 議席数 議席占有率
    5人区(3選挙区) 25 615,842 100.00 15 100.00
    自民 6 208,021 33.78 6 40.00
    公明 3 125,909 20.45 3 20.00
    共産 3 82,266 13.36 3 20.00
    みんな 3 73,183 11.88 3 20.00
    民主 4 73,121 11.87 0 0.00
    維新 2 26,502 4.30 0 0.00
    3 21,863 3.55 0 0.00
    生活 1 4,977 0.81 0 0.00
    候補者数 得票数 得票率 議席数 議席占有率
    6人区(3選挙区) 27 680,870 100.00 18 100.00
    自民 7 252,768 37.12 7 38.89
    公明 4 124,234 18.25 4 22.22
    共産 3 93,466 13.73 3 16.67
    民主 4 72,362 10.63 2 11.11
    維新 5 61,232 8.99 0 0.00
    みんな 2 38,479 5.65 1 5.56
    ネットワーク 2 38,329 5.63 1 5.56
    候補者数 得票数 得票率 議席数 議席占有率
    8人区(2選挙区) 27 556,071 100.00 16 100.00
    自民 6 181,901 32.71 6 37.50
    公明 4 98,110 17.64 4 25.00
    民主 4 59,469 10.69 1 6.25
    共産 2 53,027 9.54 2 12.50
    維新 4 52,569 9.45 1 6.25
    みんな 2 39,078 7.03 1 6.25
    ネットワーク 2 36,543 6.57 1 6.25
    行革110番代表 1 18,470 3.32 0 0.00
    社民 1 12,948 2.33 0 0.00
    1 3,956 0.71 0 0.00

     
     

    太田光征
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