原発新安全基準に対するパブリックコメント
「原子力規制委員会設置法の一部の施行に伴う関係規則の整備等に関する規則
(案)等に対する意見募集ついて」
http://www.nsr.go.jp/public_comment/bosyu130410_03.html
「原子力規制委員会設置法の一部の施行に伴う関係規則の整備等に関する規則(案)等について」5ページ「施行後5年までに実現を求める」について
要旨:新規制基準適用の5年猶予と大飯原発の運転継続容認は恣意的
意見・理由:電力会社を規制するために新規制基準はあるのですから、適用を猶予したり運転継続を認めたりするのは筋違いもいいとこ。定数配分是正訴訟において定数配分規定が違憲にもかかわらず選挙を無効としなかった「事情判決」と同様におかしなことです。恣意的なさじ加減は規制の名に値しません。
全体について:福島原発事故被災者抜きのパブコメは不当
意見・理由:福島原発事故の原因は物理的な事故対策の不備以前に、地方差別にあります。3.11後、一貫して、福島県民が事故対応・被害補償の交渉ごとの場に参加を許されていません。まず新聞・テレビなどで福島県民にパブコメを周知徹底した上でやり直すべきです。
全体について:検討チームから電力業界寄りの人物を排除してください
意見・理由:国会と同様ですが、安全性ではなく電力会社の経済性を考慮する発言が目立つ人物ではなく、電力業界から独立して判断できる人物を採用するべきです。
規則等案文(16)〜(22)91ページ「過度の被ばく」について
要旨:「過度の被ばくなしにとどまり」というが、原子力施設は必然性がないため、自然由来ではない放射線の被ばくによる健康被害は「過度」です。
意見・理由:
「内部被曝−資料」の(41)と(42)に示した疫学研究の結果を見てください。
内部被曝−資料
http://2011shinsaichiba.seesaa.net/article/273231204.html
「15カ国核労働者研究」の結果に別の核労働者疫学研究の結果を加味すると、がんの過剰相対リスクは原爆被爆者研究に基づく過剰相対リスクよりも上昇しています。
核労働者疫学研究の対象者は、シビアアクシデントの被害に遭った労働者ばかりではありません。にもかかわらず、原爆被爆者の受けたリスクより高いわけです。
シビアアクシデントでない事故による「安全機能」の<喪失>はおろか「通常運転」による健康被害リスクが既に「過度」なものと言えます。
少なくとも核労働者疫学研究などの疫学研究で確認できるレベルの健康被害を及ぼす放射能を放出する機器などは「安全機能」を持っていないと見なすべきで、このような放射能を放出する原因を究明し、こうした原因を排除する要件を原発新安全基準に盛り込んでください。
規則等案文(16)〜(22)5ページ「単一故障」について
意見・理由:単一故障、多重故障、連続事故、同時多発事故、単一原因、複数原因のあらゆる組み合わせを考慮すべきです。
規則等案文(16)〜(22)9ページ「テロリズム」について
要旨:「テロリズム」に対処するには膨大な費用がかかるため、原子炉施設の解体をすること
意見・理由:「テロリズム」から原子炉施設を防御するのであれば、海洋から魚雷によって冷却水取水システムが破壊されるような事態なども想定して対処せねばならず、莫大な費用が必要となります。これは非現実的であり、「テロリズム」から原子炉施設を防御しなければならない原因である原子炉施設そのものをなくすしかありません。
規則等案文(16)〜(22)23ページ「単一故障が安全上支障のない期間に除去又は修復できること」について
要旨:「単一故障が安全上支障のない期間に除去又は修復できること」を見込まない
意見・理由:「単一故障が安全上支障のない期間に除去又は修復できることが確実であれば、その単一故障を仮定しなくてよい」とありますが、これでは連続地震や多重・連続事故などに対処できません。
規則等案文(16)〜(22)23ページ「単一故障の発生の可能性が極めて小さいことが合理的に説明できる場合、あるいは、単一故障を仮定することで系統の機能が失われる場合であっても、他の系統を用いて、その機能を代替できることが安全解析等により確認できれば、当該機器に対する多重性の要求は適用しない。」について
要旨:単一故障で系統機能が失われても別系統を利用できると見込まない
意見・理由:連続地震や多重・連続事故などに対処できないからです。
規則等案文(16)〜(22)103ページ「敷地周辺の空間線量率を合理的に達成できる限り低く」について
要旨:生体遮蔽等に関して「合理的に達成できる限り低く」に基づかない
意見・理由:「合理的に達成できる限り低く」(As Low As Reasonably Achievable、ALARA)は経済的動機に基づく考え方であり、安全基準とは無縁です。
太田光征
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