2012年衆議院選挙:幸福実現党の公約

幸福実現党の公約について、他党と際立って違う点に着目して批評したい。

「人権弾圧が横行している無神論国家の体制を改めさせる方向で外交を展開します」とするが、戦争体制の「日米同盟」強化を謳い、中国脅威論を全面に打ち出し、1つのポピュラーな心理を取り込む。一方、いじめ禁止法でもう1つのポピュラーな心理を掴む。「10年以内に200兆円を投資」を掲げる。自民党や日本維新の会がもっと素直に公約を書き上げれば、幸福実現党のような公約になるのではないか、という感想を持ってしまう。

幸福実現党
http://www.hr-party.jp/
幸福実現党の主要政策(2012年10月)
http://www.hr-party.jp/inauguration/agenda2012.html
幸福実現党の2012年マニフェスト(政策集)
http://www.hr-party.jp/pdf/manifest2012.pdf

「宗教立国」で、「宗教立国」を目指すと宣言し、「天皇は天照大神の御子孫であるとの位置付けを明確にしつつ、宗教的・文化的存在としての皇室の永続」に努めるという。

党名誉総裁の大川隆法氏が主張する「新・日本国憲法 試案」の前文は、「われら日本国国民は、神仏の心を心とし」で始まる。16条と簡素なもので、人権規定は一切ない。

「人間が尊いのは神仏の子であるからです。基本的人権の根拠はそのような宗教的真理に存します。」と主張し、人権概念を宗教の枠内に置いている。

「宗教立国」の小項目で「財政再建」が登場し、減税あるいは無税という形で配当を国民に与える「無税国家」を目指すと謳う。

「外交・防衛」で憲法9条の解釈変更、「在日米軍基地への核兵器配備」など核武装の推進を掲げる。「南京大虐殺や従軍慰安婦問題は歴史の捏造」とし、「地域主権」ではなく国防や災害対応の際の中央政府の権限を強化するという。

「景気・雇用」で法人税減税を掲げ、(景気動向や財政状況を踏まえ)贈与税・相続税の廃止、遺留分制度の廃止(親の老後の面倒を見る子供にメリット)、株の配当課税・譲渡益課税の廃止等を実施し、消費税を将来的に廃止するというが、税体系全体がさっぱり分からない。原発を推進し、電気を大量に消費するリニア新幹線などへ投資するとしている。

「教育再生」でいじめ禁止法の制定を掲げる。核兵器禁止にも取り組んだらどうかと思う。

太田光征

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