「1票の格差」是正の再選挙で政党間1票格差が拡大する可能性も

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「1票の格差」是正の再選挙で政党間1票格差が拡大する可能性も

2013年3月26日

いわゆる「1票の格差」(選挙区間1票格差)裁判で、広島高裁がついに2012衆院選の「広島1、2区の選挙」を無効とする判決を出しました。

しかし本来、格差はセットで発生するのだから、定数当たりの有権者数が多すぎる選挙区も少なすぎる選挙区もセットで違憲判決が出なければなりません。

また基準区を定数当たりの有権者数が最低の選挙区とする合理的根拠はそもそもありません。妥当な基準は、全有権者数を定数で割った平均でしょう。

区割り変更には旧訴訟対象選挙区以外の選挙区も巻き込むので、判決が想定していると思われる「旧訴訟対象選挙区だけの再選挙」というものはそもそも無理です。

違憲判決といっても、以上のように恣意性があります。

仮定としての例を挙げましょう。有権者数が多すぎる広島旧1、2区を新1、2、3区に分割し(定数1増)、有権者数が少なすぎる広島旧3、4区を新4区に統合し(定数1減)、昨年の選挙では広島旧1、2区で自民が、広島旧3、4区で民主が当選したとします。再選挙の結果は、自民3議席、民主1議席の確率が高くなります。ここで実は、旧1、2区と旧3、4区の組み合わせも恣意的です。

<すべての格差選挙区>で格差是正して再選挙を実施すれば、おそらく第3党くらいまでの間で2012衆院選と比べ議席の増減は相殺され、各党の議席獲得数に大きな変化は期待できません。

しかし、<一部の格差選挙区>だけ無効判決が出て、そこだけで再選挙を実施すると、政党間1票格差が拡大する可能性があるのです。

全国的な再選挙をしても自民・民主・維新の当選する選挙区を変えるだけ、一部の再選挙なら政党間1票格差を拡大する可能性がある――これが選挙区間1票格差の是正の意義ということになります。

むなしい定数是正をするまでもなく、小選挙区制を廃止すれば問題が解決します。

「選挙区間1票格差」2倍超が違憲であるなら、その他の格差はどうなのか。

生票を投じた有権者と死票を投じた有権者の間の1票格差(2012衆院選小選挙区では、56%の投票者の票は価値が2分の1どころかゼロ)や「政党間1票格差」(2012衆院選比例区で、議員1人を当選させるための票数は、社民党が自民党の4.87倍。自民党の細田博之衆議院議員が提案している衆院比例区選挙制度案を昨年の結果に基づいて試算すれば、社民党の2.20倍(対公明党)が最大)なども違憲となるはずです。

細田案が浮き彫りにする「政党間1票格差」(社民党支持者の1票の価値は、公明党支持者の1票の0.45票分)の違憲性
http://kaze.fm/wordpress/?p=449

議員まわりをすると、メディアが煽っているだけで、自分は定数削減に反対だ、と語る秘書の方もいます。定数削減を掲げている政党の議員の秘書の方です。

「国民負担と引き替えの国会議員定数削減」「有権者の権利を縛るネット選挙法案」で各党議員に要望
http://kaze.fm/wordpress/?p=445

国民主権と国際的な視線を意識せずに定数削減を進めれば、早晩、国民の信頼をさらに失うことになると考えます。

太田光征

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