原子力災害対策指針(改定原案)に対するパブリックコメント

原子力災害対策指針(改定原案)に対する意見募集について(2013年5月9日締切)
http://www.nsr.go.jp/public_comment/bosyu130410_1.html

全体について:原子力災害を防止するための最良の方法は原子炉を廃炉にすることです。廃炉指針の策定もお願いします。パブコメ期間を延長し、被災者の意見を取り入れ、指針全体についてパブコメを求め、パブコメを指針に反映させてください。本質を突くパブコメが出されても、まったく反映されていません。

3ページ「警戒事態:」について:原子力事業者は「警戒事態」状況を「国に通報」しなければならず、国はその情報を基に「地方公共団体、公衆等に対する情報提供」を行わなければならないとありますが、自治体と国民が直接的に「警戒事態」を把握し、国による「警戒事態」認定を監視する必要があります。国は事態を甘く評価する恐れがあるからです。

4ページ「国、地方公共団体及び原子力事業者は、緊急時モニタリングの実施等により事態の進展を把握するため情報収集の強化を行う」について:情報収集は「緊急時モニタリング」が不要になるよう、平時から万全の態勢を整えておくべき。平時に動かしていない「緊急時モニタリング」が動く保証がないので。

4ページ「全面緊急事態:」の「確率的影響」について:「確定的影響」はたいてい、高線量による非がん性疾患リスクを意味します。低線量被ばくによる非がん性疾患リスクを考慮してください。

6ページ「国は緊急時モニタリングを統括し、(中略)結果の評価並び
に事態の進展に応じた実施計画の改定等を行う」について:国だけがモニタリングの評価に関わることは問題です。国では甘い評価になる恐れがあるからです。自治体や国民が関与すべきです。

7ページ「国は、緊急時モニタリング実施計画が策定されるまでの初動対応」について:実施計画を策定し、その前に初動対応しなければならないとは驚きです。すべて平時のモニタリングで対応できるようにしなければ、事故対応はできません。

7ページ「モニタリング結果の解析・評価においては気象状況データや大気中拡散解析の結果を参考にする」について:参考にするではなく、必ず考慮しなければなりません。

8ページ「中期モニタリング」について:現行規定「第二段階のモニタリングは、上記1の第一段階のモニタリングより広い地域において実施する」をわざわざ削除する必要がありません。できるだけ広範な地域で実施すべき。

9ページ「安定ヨウ素剤の予防服用について」について:「放射性ヨウ素は、身体に取り込まれると、甲状腺に集積し、数年〜十数年後に甲状腺がん等を発生させる可能性がある」とありますが、放射性ヨウ素の影響が甲状腺被ばくだけとのイメージを抱かせてしまうので、表現を変えてください。また、「数年〜十数年後に甲状腺がん等」とのことですが、チェルノブイリ事故などでも事故後1年にして既に甲状腺がんは増えているので、この表現も変えてください。

10ページ「事前配布の方法」について:安定ヨウ素剤については「配布」という考え方に基づいていますが、配布された安定ヨウ素剤を必要時に携帯しているとは限りません。人が多く集まる学校・企業などに配備しておくべきです。

13ページ「放出放射性物質濃度や施設敷地境界の空間線量率等の放出源モニタリングは、発災事業者が行い、結果を緊急時モニタリングセンターに通報する」について:緊急時モニタリングセンターではなく、直接自治体と国民に知らせるべきです。被害を被る当事者がまず情報を得る資格があります。

14ページ「緊急時モニタリングの結果は、緊急時モニタリングセンターで妥当性を判断した後、国で集約し、一元的に解析・評価して、OILによる防護措置の判断等のために活用する。なお、放射性物質の拡散は気象によって大きく影響を受けるため、国は、緊急時モニタリングの結果の評価の際には気象状況データや大気中拡散解析の結果を参考にする。結果の公表は国が一元的に行い、適切に伝わるように分かりやすい説明を付する」について:公表・評価主体を国に一元化することは危険すぎます。自治体と国民が関与すべきです。

17ページ「中長期にわたって行う環境放射線モニタリングを有効なものとする観点から、関係機関の能力を効率的かつ機能的に活用するため、データの収集、保存及び活用について一元的なシステムを確立しなければならない」について:データの収集・保存・活用を国に一元化することは危険すぎます。自治体と国民が関与すべきです。

太田光征

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