民主党:歴史修正主義者の放逐という真の「身を切る」改革で自民と対抗を

民主党:歴史修正主義者の放逐という真の「身を切る」改革で自民と対抗を

2013年6月12日

民主党執行部の皆さま

 自由民主党との差別化に苦心している様子がありありと実感されます。橋下徹大阪市長ら日本維新の会の従軍慰安婦をめぐる発言に対して攻勢的な批判が貴党から聞こえてこないのも、その苦心と理由を同じくしているように思われてなりません。

 それもそのはず。貴党の中にも従軍慰安婦制度の強制性を否定する歴史修正主義者が少なからずいるからです。

村野瀬玲奈の秘書課広報室 |民主党 慰安婦問題と南京事件の真相を検証する会(仮称)呼びかけ人国会議員 名簿 (衆議院・参議院混合、五十音順) (2007年3月7日)
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-119.html
村野瀬玲奈の秘書課広報室 |2007年6月14日 ワシントンポスト紙 従軍慰安婦(性奴隷)強制文書否定広告署名国会議員(衆議院、参議院、五十音順) (2007年6月15日作成) 和文表記
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-266.html
日本軍「慰安婦」 強制を否定/安倍首相が賛同/米紙に意見広告 4閣僚も/国内外の批判は必至/昨年11月
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-01-06/2013010601_01_0.html

 上記リストに名を連ねてはいないものの、野田佳彦前首相も、慰安婦制度の強制性を認めた河野談話に関し「強制連行したとの記述を文書で確認できず日本側の証言もないが、いわゆる従軍慰安婦の聞き取りを含めて談話ができた背景がある」(2012年8月28日産経)と述べ、橋下氏と同じ認識を一部共有しています。また、首相就任前にも「日本の首相の靖国神社参拝や歴史教科書に対して中国や韓国は必ず干渉してくる。事あるごとに中国は南京大虐殺を持ち出し、韓国は従軍慰安婦を持ち出すが、そのたびに日本政府は頭を垂れて謝罪を繰り返している有様だ」(2012年8月18日産経)とも語っています。

 この野田前首相による橋下発言批判で唯一確認できるのが、自身の公式サイトの「かわら版」に掲載した「ナショナリストを気取ったポピュリストの軽口は国益を損ねます」という認識です。これも橋下発言と通底するもので、元慰安婦の方々、沖縄県民の気持ちに寄り添う姿勢がまったく見られません。

かわら版 No.907 『56歳の決意』
http://www.nodayoshi.gr.jp/leaflet/detail/21.html

 「売春婦がウヨウヨ」「(社会民主党時代の辻元清美衆議院議員らに対して)お前が強姦されとってもオレは絶対に救っとらんぞ」の西村真悟衆議院議員も貴党の仲間でした。

 自党を含む日本の上位3政党すべてに、首相経験者・(共同)代表・党首を含め、「慰安所」を実際に設営した者、従軍慰安婦制度の強制性ないし「強制連行」を否定する歴史修正主義者がいるという悲惨な事態を認識しておられるのでしょうか。

「海軍航空基地第二設営班資料」と慰安所開設における中曽根元総理の「取計」に関する質問主意書(2013年5月16日、辻元清美衆議院議員)
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a183081.htm
安倍首相の「慰安婦」問題への認識に関する質問主意書(中曽根康弘元首相による慰安所の設立・運営、2007年3月8日、辻元清美衆議院議員)
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a166110.htm
「海軍航空基地第二設営班資料」原資料
http://fujihara.cocolog-nifty.com/tanoshi/2011/10/post-191b.html
http://fujihara.cocolog-nifty.com/tanoshi/2011/10/post-4383.html

 おそらく認識されているからこそ、また慰安婦制度以外でも多くの政策で自民党との共通点がある議員を抱えているからこそ、来る参院選に向けて本来なら格好の攻撃材料になるにもかかわらず、分家たる日本維新の会はおろか、歴史修正主義の本家本元たる自民党との差別化を図る言説に切れ味がないのです。

 本来であれば、貴党などの言論によって、自民党は維新と共に支持率が急落しておかしくないのです。そうならない状況は日本の政治にとって不幸というしかありません。これがこの先、何十年も続くというのでしょうか。

 やりきれなさ、閉塞感に包まれている理由は自民党だけにあるのではありません。「自由民主党」が自由とも民主主義とも正反対の党でありながら、 よくもぬけぬけと、本来は燦然たる輝きを放っているはずのこの大切な言葉を「乗っ取って」(アーサー・ビナード氏)いることと相似している党が、第2党の地位を占めているからです。

 自民党にも思い切って提案しました。貴党は率先して党内の歴史修正主義者を切り捨てるべきではありませんか。

 思えば日本の政治には誇りというものがありません。真の誇りとは、ドイツが全世界に示し得たように、たとえ己の恥部であろうと、 過去の事実は事実として正確に認め、 謝罪すべきところはきっぱり謝罪できる力を持つことです。この力を欠いているからこそ、不名誉の上塗りにしかならない歴史修正主義に頼るのでしょう。

 このような真の誇りを持ちえない空っぽの政治に、私たち有権者は嫌気がさし、心の底から、真に誇りある政治を渇望しているのです。

 自民党と対抗するのに、政治への絶望そのものを克服する方向へ行くのではなく、有権者の健全な欲求の発現を抑圧する形で、ポピュリズムに頼ろうと野党が競い合う様は、現在の政治を象徴していて、不幸そのものです。

石破氏「ポピュリズムだ」…野党の定数削減案に
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/news/20130602-OYT1T00533.htm

 自民党と対抗するための切り札は、結局は有権者を裏切ることになる手練手管を弄するのではなく、有権者の心の底の欲求を呼び覚ますことができるよう、世論をがらっと変える改革に打って出ることでしょう。

社会民主党執行部のみなさんへ: 世論をがらっと変える選挙協力を
http://kaze.fm/wordpress/?p=459

 党内の歴史修正主義者を切り捨て、反歴史修正主義の野党統一候補を擁立することが、貴党にとっても日本の政治にとっても再生の重要な切り札になるはずです。

 上記のリストによれば、今夏の参院選で改選を迎える歴史修正主義議員は、大江康弘(無所属、辞職して自由民主党から比例区で出馬へ)、世耕弘成(和歌山)、塚田一郎(新潟)、西田昌司(京都)、江藤晟一(比例)、義家弘介(比例)(以上、自民党)、中山恭子(比例、日本維新の会)の各氏です。比例区を除けばわずか3選挙区ですから、他の野党との選挙協力がまったく不可能とはいえないでしょう。

 橋下発言でがたがたしている日本を尻目に、ドイツは誇りある政治を黙々と執行しています。

ドイツがまたナチス被害者に賠償、日本はこれを見て恥ずかしいと思わないのか?―中国紙 (XINHUA.JP)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130602-00000020-xinhua-cn

 先の大戦の被害者が生存しているうちに成し遂げるべき課題がある中で、憲法でも何でも「対抗できない政治」で貴党がもたもたしている暇はないのではありませんか。

「平和への結集」をめざす市民の風
http://kaze.fm/

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