東京都知事選〜革新統一候補は実現するのか?
2月 9th, 2007 Posted by higashimototakashi @ 10:16:54under 一般 [4] Comments
東京都知事選(4月8日投開票)まであと2か月を切りました。
果たして、反石原勢力(*)は、革新統一候補を擁立できるのか? 気になるのはやはりそのことです。柳沢厚生労働大臣の「産む機械」発言を契機に伯仲した保革対決の構図となった愛知県知事選、北九州市長選が終わったいま、東京都民はもちろん、マスメディア、全国民が注視しているのは、石原慎太郎現東京都知事に対抗する反石原勢力の革新「共闘」の実現のゆくえです。
*民主党、共産党、社民党、新社会党、都議会・生活者ネットの石原都政野党と、みどりのテーブル、無党派層など。なお、ここでいう「革新」とは、保守(与党)に対する革新(野党)というほどの意味。
同知事選の反石原勢力側の候補者としては、これまで、吉田万三、菅直人、小宮山洋子、海江田万里、蓮舫、筑紫哲也、田中康夫、田丸美寿々各氏などさまざまな知名人の名前が浮上していますが、いまの段階でどの候補(対象)者も統一候補としては決め手に欠けます。一方で共産党寄り、または民主党寄りという批判があり、もう一方でガセネタまがいの単なる希望的観測を超えないものであったりするからです。しかし、同知事選まで、その一刻のためらいが勝敗を決定するであろうロスタイムのようなわずかな時間しか残されていません。
昨日の朝日新聞の「世論調査」記事(2月7日付)によれば、石原知事の支持率は、最も高かった02年の78パーセントから53パーセントへと落ち込み、過去最低になりました。昨年末からのマスメディアや東京都民の同知事に対する「都政の私物化」批判が大きく影響した結果であることはいうまでもありません。同知事は、先の都知事選では約310万票という大量得票を獲得しました。が、その屋台骨が揺らいでいます。いまひとつの大風が来れば、根こそぎ吹き飛んでしまうでしょう。その大風とは、革新統一候補の実現にほかなりません。いまほど革新野党の「共闘」が望まれているときはないのです。
その都知事選における革新統一候補を実現させるためには、いま現に進行中の2つの「野党共闘」の成否が重要なカギを握ることになるだろう、と思われます。
ひとつは、沖縄参院補選の「野党共闘」。
沖縄では、先の沖縄県知事選に立候補した糸数慶子氏の参院議員辞職にともなう参院補選が4月にありますが、その与野党の候補者が先月末にほぼ決まりました。与党側の候補者は、現那覇市議の島尻安伊子氏(41)。また、野党側の統一候補は連合沖縄会長の狩俣吉正氏(56)。狩俣氏を擁立するのは、社民党県連、社大党、民主党県連の野党三党。地元紙の報道によれば、「今後、共産党県委や政党『そうぞう』に選挙協力を呼び掛ける」ということです。
ここで注目すべきは、この野党三党の決定を受けての共産党沖縄県委員会の対応です。これも地元紙の報道によれば、「共産党は憲法、日米安保、消費税問題などでの政策一致や当選後、無所属とすることを条件にブリッジ共闘も検討する」と選挙共闘に前向きの姿勢のようです(沖縄タイムス、1月28日付)。http://www.okinawatimes.co.jp/day/200701281300_01.html
同県委員会は、昨年末に「候補者としては7月の沖縄選挙区では糸数慶子さん、4月の参院補選では山内徳信さんを最有力候補として、県知事選で共同した政党、団体と話し合いをすすめていきます」という見解を発表していました(「参院沖縄選挙区に臨む日本共産党の基本的立場」。http://kaze.fm/wordpress/?p=89)。しかし、上記の沖縄タイムス紙の報道によれば、4月の参院補選で統一候補としての山内徳信氏擁立の芽がなくなった段階でも、「ブリッジ共闘も検討する」と再表明しています。この姿勢は、沖縄の野党統一にとってだけでなく、全国の革新統一を考える上でも、明るい展望をもたらしてくれるものです。
しかし、全国紙の報道は、上記とはやや異なる見方を示しています。この点について毎日新聞は次のように報じています。「知事選で糸数氏を共同推薦した共産党は『他党と組むのはほぼ不可能だ』(幹部)としており、沖縄でも共産を除く野党共闘になりそうだ。独自色を強めたい共産党は、ここにきて民主党を自民党と同列に『悪政の共同執行者』と攻撃している」(同紙1月27日付)。
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/feature/archive/news/2007/01/20070127ddm005010049000c.html
上記のとおり、地元紙と全国紙の報道には落差があります。一概にどちらの報道を信じるべきともいえないのですが、地元紙は沖縄の状況を反映しているだろうし、全国紙は中央(東京)の状況を反映した結果だろう、ということはいえます。しかし、確かなのは、上記の参院補選は、沖縄でのものであるということです。そして、沖縄では困難な中でも、革新統一の道がいまなお追求されているという「事実」です。「石原都政NO」を掲げる革新野党は、その沖縄の「事実」の重さを真摯に受け止め、いまからでもただちに政党本位ではなく、誰もが納得する市民本位の革新統一候補者の選定にとりかかるべきではないでしょうか。
ふたつ目は、国民投票法案阻止の「野党共闘」。
この「野党共闘」の成否は、東京都知事選の統一問題にも、沖縄参院補選の統一問題の成否にも関わってくるでしょう。それだけにきわめて重要な課題です。
いまの国会における「野党共闘」の状況は報道によれば次のとおりです。
「民主党の小沢一郎代表は26日、角田義一参院副議長の辞任ショックを振り払うように国民新党や新党大地の幹部らと会い国会や夏の参院選に向け共闘確認に奔走した。だが共産党とは、同党が民主党攻撃を強めていることもあり、修復困難なまで溝が広がっている」(毎日新聞、1月27日付)。
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/feature/archive/news/2007/01/20070127ddm005010049000c.html
「共産党の民主党攻撃は激しい。志位和夫共産党委員長は25日の国会議員団総会で『民主党は(安倍政権との)まともな対抗軸を持たないで迷走している』と批判した」。(東京新聞、1月28日付)。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sei/20070128/mng_____sei_____001.shtml
教基法「改正」反対では足並みを揃えていた野党4党、とりわけ民主党と共産党との関係が再び悪化しだしたのは、先の臨時国会の終盤で参院民主党が教基法「改正」反対に消極的な態度をとったことに一因が求められるでしょう。しかし、こうも言えるのです。教基法「改正」問題に関して、衆院であれだけ与党を追いつめることができたのは、民主党を含めた野党4党の共闘があったからではないか。民主党抜きではあれだけの反対を貫くのは難しかっただろう、と。
今国会の問題として、民主党が、国民投票法案の与党、民主両案の共同修正に応じる姿勢をみせたことも、野党共闘のひび割れの一因になっているでしょう。1月23日付の毎日新聞は「国民投票法案成立強まる」として、次のように報じました。「民主党は22日、憲法改正の手続きを定める国民投票法案について、25日召集の通常国会で与党が民主党の主張を取り入れた修正をした場合は賛成する方向で党内調整に入った。(略)同法案は通常国会で成立する可能性が高まった」(同紙同日付)。
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/feature/news/20070123k0000m010131000c.html
当然のことながら、民主党のこの方針には国民の批判は高まりました。さまざまなブログでも民主党への抗議要請が次々と掲載されました。こうした事態を受けて、民主党も方針を変更したようです。1月24日付の読売新聞によれば、「民主党の小沢代表、菅代表代行、鳩山幹事長が24日、党本部で会談し、憲法改正の手続きを定める国民投票法案について、賛否の判断を当面先送りする方針を決めた。小沢氏は『与党が民主党案を丸のみするなら別だが、そうでない場合は、国会審議を十分時間をかけてやっていく必要がある』と述べた」(同紙同日付)。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070124ia21.htm
民主党も国民の声を無視することはできないのです。上記の小沢代表の方針転換を示唆する発言もあって、このところ、国会における「野党共闘」は、少しずつ回復する兆しを見せています。柳沢大臣の「産む機械」発言を契機に野党4党は実質的に共同歩調をとり始めています(朝日新聞、2月1日付)。
http://www.asahi.com/politics/update/0201/008.html
この「野党共闘」をさらに一歩前進させたところに、東京都知事選の革新統一候補実現の灯も見えてくるでしょう。東京都知事選まで2か月を切りました。いま、政治革新を願う東京都民の最大のマニフェストは、「石原3選NO」です。革新野党のそれぞれの英断に都民と国民は熱い視線を注いでいます。
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