「放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針骨子案」等に対する意見
10月 25th, 2011 Posted by MITSU_OHTA @ 3:18:30under 一般 No Comments
環境省 報道発表資料−平成23年10月17日−「放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針骨子案」等に対する意見の募集(パブリックコメント)について(10月26日まで!)
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=14327
[意見1]
・意見の対象([2])
・意見の該当箇所
2.汚染状況重点調査地域の指定の要件 【法第32 条第1項関係】
3.除染実施計画を定めることとなる区域の要件 【法第36 条第1項関係】
・意見の要約
「その区域における放射線量が一時間当たり0.23 マイクロシーベルト以上」という要件と、その基となる「追加被ばく線量年間1ミリシーベルトの考え方」(平成23 年10 月10 日災害廃棄物安全評価検討会・環境回復検討会 第一回合同検討会の参考資料2の別添2)を採用しないこと。
・意見及び理由
「追加被ばく線量年間1ミリシーベルトの考え方」は外部被ばくしか考慮しておらず、不適切。
フィンランドにおいてはチェルノブイリ原発事故の直後となる86年5月の線量がわずかμSvレベル(6.6〜137.9μSv)であっても、線量が高いほど死産率がその後、一時的に上昇している。下記参照。
市民・科学者国際会議 放射線による健康リスク〜福島「国際専門家会議」を検証する〜(2011年10月12日)
http://www.crms-jpn.com/art/140.html
真実を見極める チェルノブイリ、ドイツ、フクシマ:セバスチャン・プフルークバイル(物理学博士、ドイツ放射線防護協会会長)
http://www.ustream.tv/recorded/17826285
Scherb und Weigelt:Bericht Nr.24(2003) des Otto Hug Strahleninstituts
チェルノブイリ事故後は米国でも同様。米国各地でミルク中のヨウ素131濃度と全死亡率の増加率に相関関係が見られ、線量反応関係は上に凸の形であった。ミルク中ヨウ素131の最高濃度はカリフォルニア州、ワシントン州でわずか44pCi/l=1.6Bq/l(1ピコキュリー=0.037ベクレル)だった。下記参照。
『死にいたる虚構―国家による低線量放射線の隠蔽―』(ジェイ・M・グールド、ベンジャミン・A・ゴルドマン著、肥田舜太郎、斎藤紀訳、2008年、PKO法『雑則』を広める会)
ちなみに、ヨウ素131に関する日本の飲料水暫定基準値は300Bq/lと異常に高いが、米国の基準値は0.111Bq/lで、上記事実から納得できる。
ウクライナ・ナロジチ地区の年間線量は外部被ばく、内部被ばく合わせて1.3mSv(1991〜2004年の平均)であったが、住民の健康被害は年々拡大して、最新の調査を行った2008年が最大となり、ICRPの予測をはるかに上回っている。下記参照。
FUKUSHIMA of チェルノブイリ救援・中部
http://www.chernobyl-chubu-jp.org/pg244.html
南相馬市放射線量率マップ(2011年7月版)
http://www.chernobyl-chubu-jp.org/_userdata/msoumasokutei.pdf
[意見2]
・意見の対象([1])
・意見の該当箇所
<国際放射線防護委員会(ICRP)の2007 年基本勧告、原子力安全委員会の「今後の避難解除、復興に向けた放射線防護に関する基本的な考え方について」(平成23 年7 月19 日原子力安全委員会)等を踏まえて、目標値を設定すること。>
・意見の要約
ICRP勧告と原子力安全委員会「基本的な考え方」には従わないこと。
・意見及び理由
原爆傷害調査委員会(ABCC)とそれを引き継いだ放射線影響研究所は、広島・長崎に投下された原爆による初期外部放射線の人体に対する影響を調査するために設立されたもので、内部被ばく者を対象群に用い、内部被ばくの影響を切り捨てた。下記参照。
市民・科学者国際会議 放射線による健康リスク〜福島「国際専門家会議」を検証する〜(2011年10月12日)
http://www.crms-jpn.com/art/140.html
実態とかけ離れた放影研の被爆者研究:沢田昭二(物理学博士、名古屋大学名誉教授)
http://www.ustream.tv/recorded/17827015
ICRPはこれら組織の研究成果を基に内部被ばくの影響を外部被ばくの影響から外挿によって推定しており、その勧告は科学的根拠を持たない。下記参照。
ECRR(欧州放射線リスク委員会)2010年勧告
http://www.jca.apc.org/mihama/ecrr/ecrr2010_dl.htm
原子力安全委員会「基本的な考え方」はやたらに経済的因子を強調し、「心理、政治等の側面」など意味があいまいな記述もあり、人体と環境に対する影響を極力抑えるという思想に立脚しているとは思われない。
[意見3]
・意見の対象([1])
・意見の該当箇所
<現行の廃棄物処理法に基づく廃棄物の処理体制、施設等を可能な範囲で積極的に活用>
・意見の要約
放射性廃棄物(以下、廃棄物)は処理ではなく隔離を基本とする。廃棄物処理は表面処理に集中する。廃棄物処理の施設は専用とする。
・意見及び理由
廃棄物の対策については、生活環境からの隔離を基本とし、焼却処理などによる二次汚染を引き起こさないことが重要。放射性物質は廃棄物の表面に付着しているので、廃棄物処理は廃棄物表面の処理に集中する。廃棄物処理施設が必要な場合、二次汚染を引き起こさないよう専用施設を利用すべき。
[意見4]
・意見の対象([1])
・意見の該当箇所
<廃棄物の再生利用>
・意見の要約
徹底的に除染した廃棄物のみ再利用すること。
・意見及び理由
コンクリートくずなどは洗浄などにより徹底的に除染し、二次汚染を引き起こさない場合のみ、再利用すべき。
[意見5]
・意見の対象([1])
・意見の該当箇所
<処理等に伴い周辺住民が追加的に受ける線量が年間1ミリシーベルトを超えないようにすること。>
<処分施設の周辺住民が追加的に受ける線量が年間10マイクロシーベルト以下>
・意見の要約
廃棄物処理行為、そうでない行為の両方による追加被ばく線量が年間1ミリシーベルトを超えないようにすること。処分施設の周辺住民が追加的に受ける線量を「年間10マイクロシーベルト以下」より厳しくすること。
・意見及び理由
通常の生活環境から受ける追加線量に加え、廃棄物処理行為に関係する追加線量が年間1ミリシーベルト以上あってはならない。
廃棄物再利用製品が年間181マイクロシーベルトという例が実際にある。下記参照。
どうなる放射能汚染物の処理【5】次々明らかになる「安全」のウソ
http://eco.nikkeibp.co.jp/article/report/20110909/108322/
[意見6]
意見の対象([1])
・意見の該当箇所
<平成24年3月末までを目途に仮置場への移動を行う。また、土壌等の除染等の措置に伴って発生する廃棄物については、当該措置の進捗と整合を図りながら処理を行うこと。>
・意見の要約
廃棄物は発生場所での処理を基本とし、降雨などを活用した除染を行い、仮置場などをなるべく利用しない。「当該措置の進捗」を考慮しなければならない処理方法は採用しない。
・意見及び理由
二次汚染を引き起こさないよう仮置場はなるべく利用すべきではなく、廃棄物は人体と環境に対する影響を考慮して処理すべき。
[意見7]
・意見の対象([1])
・意見の該当箇所
<指定廃棄物の指定基準については、放射性物質による汚染のレベルに応じて求められる処理方法及び平常時に廃棄物処理を行っている市町村の処理技術、処理施設等の能力などの実態を勘案し、設定すること。>
・意見の要約
指定廃棄物の指定基準は、処理施設能力などではなく、人体と環境に対する影響を考慮して設定すること。
・意見及び理由
処理施設能力が足りなければ獲得できるようにすべき。
[意見8]
・意見の対象([1])
・意見の該当箇所
<法第36 条第3 項の協議会を設置する場合には、放射性物質、除染等の措置等の専門家を入れ、必要な知見を取り入れること。国は、計画策定者が協議会を設置する場合には、自ら管理する土地等に係る除染等の措置等を実施する立場として参加するのみならず、必要な科学的・技術的知見を提供すること。>
<国は、迅速な土壌等の除染等の措置の推進のため、費用対効果が高くかつ効果の実証された除染方法を標準的な方法として示すこと。>
・意見の要約
国などの福島原発震災原因者は、除染に関する専門家・知見・方法を直接に派遣・提供・提示すべきではない。
・意見及び理由
国は福島原発震災を引き起こした原因者であるので、それが派遣・提供・提示しようとする専門家・知見・方法は、人体と環境に対する影響を考慮したものである保証はなく、脱原発の見解、除染についての厳しい見解、内部被ばくの影響を重視する見解を持つNPOや専門家などの見解を反映したものでなければならない。
[意見9]
・意見の対象([1])
・意見の該当箇所
<国は、独立行政法人日本原子力研究開発機構をはじめとする様々な研究機関の取組の支援及びこれらの研究機関との連携の確保を行うなど>
・意見の要約
日本原子力研究開発機構が除染に関わる研究開発を行う場合、外部による承認が必要。
・意見及び理由
日本原子力研究開発機構は原子力推進機関なので、人体と環境に対する影響を考慮した研究開発をする保証はない。同機構の行う研究開発については、脱原発の見解、除染についての厳しい見解、内部被ばくの影響を重視する見解を持つNPOや専門家などによる承認を必要とする。
[意見10]
・意見の対象([1])
・意見の該当箇所
6.その他事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関する重要事項
・意見の要約
国や地方自治体、東京電力などの事業者が専門家の派遣、リスクコミュニケーションの実施、環境汚染への対処の実施内容及びその効果に関する周知、知識を得る機会の提供、専門家の派遣、必要な情報の提供などを行う場合、脱原発の見解、除染についての厳しい見解、内部被ばくの影響を重視する見解を持つNPOや専門家などによる承認を必要とする。
・意見及び理由
国や東京電力などは福島原発震災の原因者なので、人体と環境に対する影響を考慮した専門家や情報を派遣・提供する保証はない。自治体の中には煮る、焼くという調理方法で放射能対策になるとする見解の放射線医学総合研究所研究員を講師とする講演会を実施したところがあり、外部からのチェックが必要。
[意見11]
・意見の対象([2])
・意見の該当箇所
1.汚染廃棄物対策地域の指定の要件 【法第11 条第1項関係】
○ 警戒区域又は計画的避難区域である地域
・意見の要約
汚染廃棄物対策地域の指定の要件は警戒区域、計画的避難区域のみとすべきでない。
・意見及び理由
廃棄物は警戒区域、計画的避難区域の外にもある。
太田光征
http://otasa.net/
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