大飯原発3、4号機の再稼働はできない

5月 22nd, 2012 Posted by MITSU_OHTA @ 14:01:18
under 福島原発事故 No Comments 

福井県知事 西川一誠様
福井県原子力安全専門委員会委員の皆さま

[要旨]
・原発の通常稼働による健康被害を「安全性」論議に含めるべき
・福島原発事故の検証では、地震の影響(津波襲来前の放射線モニタリングポストの警報など)が未解明
・オール電化をいまだに進め、原発の再稼働は需給バランスに関係ないと明言する不誠実な関電と「安全性」論議は不可能

原発再稼働のことで日々悩まれていることと思います。

過酷事故が起こらなければ原発は安全だという前提で原発再稼働論議が進められていますが、私は違和感を覚えます。

15カ国の核労働者40万人以上を対象にした大規模な疫学調査で過剰死亡リスクが認められているし、米国の核施設周囲で乳がん発生率が上昇していることをJM・グールドが綿密な疫学調査で見いだしています。さらに、米国で8基の原発が閉鎖された後、各原発の風下ないし原発から64キロメートル内で地元産ミルク中ストロンチウム90濃度と乳児死亡率が急減したことをJJ・マンガーノらが実証しています。

低線量放射線による健康影響に関しては、こちらもご参照ください。

[仮称]松戸市放射能対策総合計画(案) に対する意見
http://2011shinsaichiba.seesaa.net/article/266897022.html

西日本は福島原発事故の影響をあまり受けていないため、原発の全基停止をこのまま維持すれば、健康被害が減少することが期待されます。

「過酷事故が起こらなければ原発は安全」という前提で原発再稼働を認めるとしても、福島原発事故の検証がまったくできていません。

福島原発事故では津波が来る前に、1号機から約1500m 離れたモニタリングポストMP3で警報が鳴り、1号機では15:37に全交流電源を喪失して約2時間後の17:50に、建屋入口で検出限界を超えるほどの放射能、「シューシュー音」が確認されています。

地震による配管損傷(破断)でIC(非常用復水器)が機能せず、炉心溶融へ至った可能性
http://www.liveinpeace925.com/nuclear/fukushima1_1_ic111029.htm

これらはすべて地震の揺れによる影響であると考えられますが、政府も国会も東電も原因を明らかにしていません。いくら電源を確保したところで、冷却系配管が破壊されれば、メルトダウン事故に至ります。福島原発事故の検証で一番重要な部分が欠落しているのです。

関電には誠実さがありません。東電でさえ緊急設置電源として221万kWを確保しましたが、関電はわずかに2万kWだけです。

【関電】準備してれば足りていた。わざと停電を長引かせることも!? (テレ朝モーニングバード、5月17日)
http://www.youtube.com/watch?v=RVBAUWGt9NM

さすがに東電は福島原発事故の後でオール電化の新規営業を中止しましたが、関電はいまだに続けています。

関西電力:オール電化住宅なお促進(毎日新聞、2012年05月05日)
http://mainichi.jp/select/news/20120505k0000e020162000c.html

また関電は、原発の再稼働は需給バランスに関係ない(経営のため)と明言しています。環境エネルギー政策研究所の飯田哲也氏は、中部・北陸・中国電力は猛暑でも電力供給力に900万kW、つまり原発9基分の余剰が生じるとみています。どうやったら関電管内で停電が起きるというのでしょうか。

電気が足りないから再稼働するのではない。関電が明言(テレ朝モーニングバード、5月3日)
http://www.youtube.com/watch?v=mXoeCl5zW9c

日本でまた原発事故を起こせば、日本に対する信用は完全に地に落ちます。「電気が足りなくなる夏季限定の再稼働」ではいつまで経っても変わらないでしょう。原発を安定的に稼働させるための方便です。

原発事故を起こした側の国や電力会社が原発の再稼働を主導することは非常識です。ドイツのメルケルは福島原発事故後に倫理委員会を立ち上げて原発全廃を決めました。

原発がなければ経済が成り立たないという主張は、エネルギー量にして石油より少ないウランが枯渇すれば経済が成り立たなくなるという主張と同じで、真に受けるわけにはいきません。

独ルブミンの原発跡地:風力発電設備企業などが進出し、寂れた町は少しずつ立ち直っていった
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/268717602.html
電力会社を追い出した町(NHK「時任三郎 エネルギーの旅」、2012年4月30日)
http://www.youtube.com/watch?v=8WknCBjM0fw

電力需給見通しをコロコロ変える不誠実な関電や、まともな原発事故検証もできない政府と原発の再稼働を議論できるでしょうか。まずは市民と向き合っていただきたいと思います。

2012年5月22日

太田光征

NHKは選挙制度・定数削減、原発事故・再稼働の問題で公平・中立・多様な情報の提供を

5月 7th, 2012 Posted by MITSU_OHTA @ 21:23:18
under メディア , 選挙制度 , 福島原発事故 No Comments 

NHK御中

いつも優れた番組の制作ありがとうございます。本日は選挙制度・原発事故に関連した貴局の番組・報道について意見を述べます。

貴局は2012年4月30日に「双方向解説 そこが知りたい!『どうなる消費税・一体改革の行方は』」を放映されました。

NHK双方向解説が「議員定数削減」に反対する意見を報道せず
http://alcyone-sapporo.blogspot.jp/2012/04/nhk_30.html

上記ブログでも明らかにされているように、私も知るある方が国会議員の定数削減に反対する意見を出したものの、賛成意見のみが番組で紹介されました。このような番組運営は公平・中立・多様性を要請する放送法に反しています。

安達宜正解説委員による解説も、少数政党に不利に働く不公平な説明と言えます。

ここに注目! 「通常国会あす召集・焦点は」 | おはよう日本 「ここに注目!」 | 解説委員室ブログ:NHK(2012年01月23日)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/300/107162.html

「具体化するかどうかはこれからですが、いまの小選挙区比例代表並立制から、連用制に改めることです。簡単に言いますと、比例の選出方法を改めて、小選挙区で得た議席の少ない政党に優先的に議席を配分するという制度です。」

この説明は小選挙区比例代表連用制の本質を誤解させかねません。小選挙区比例代表連用制は、比例区の得票数を基に、議席配分を全体として比例代表制による結果に近づけるようにしたものです。考え方が小選挙区比例代表並立制とは完全に違うもので、少数政党だけを優遇することが狙いではありません。

大政党は小選挙区における議席占有率が得票率を上回る場合が多く、小選挙区では大政党に「優先的」に議席が配分されるので、小選挙区比例代表連用制の比例区では小選挙区で得た議席を比例区で得たものと見なし、大政党に対する過剰な議席配分を修正します。

そのため、小選挙区比例代表連用制における比例区の議席配分では、例えば小選挙区で100議席を獲得した大政党Aは101、102、103…で得票数を割っていき、小選挙区で議席数0の少数政党Bは1、2、3…で得票数を割っていくという修正ドント式を採用するのです(A党が101議席を獲得するとして1議席当たりに要する得票数と、B党が1議席を獲得するとして1議席当たりに要する得票数を比較し、1議席当たりに要する得票数の大きい方の政党に議席を配分する。比例区定数の議席が配分されるまでこうした計算を続ける)。

しかし、小選挙区比例代表連用制でも大政党に有利であることに変わりはありません。

小選挙区比例代表連用制
http://kaze.fm/wordpress/?p=346

次に、太田真嗣解説委員による解説を取り上げます。

時論公論「どうする一票の格差・選挙制度」 | 時論公論 | 解説委員室ブログ:NHK(2011年10月25日)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/99270.html

「言うまでもなく、憲法が要請する『投票価値の平等』は、民主主義の基本にかかわるもので、最高裁の判決を踏まえ、一日も早く、格差を解消することは政治の務めです。しかし、政治への信頼が問われている今、定数削減の問題や、選挙制度そのものをめぐる議論も避けて通れないのは明らかです。」

前半部分は正しいと思いますが、小選挙区制による選挙区間1票の格差を問題とするなら、小選挙区制において生票と死票を投じる主権者の間で生じる格差をどう評価するのか、格差解消の優先度はどちらが高いのかについても、解説していただきたいものです。小選挙区Aの主権者1万人が議員1人を当選させることができる一方で、小選挙区Bの主権者1万人すべての票が死票になるような事態をもたらすのが小選挙区制であり、こちらの格差の方がはるかに問題です。

また、政治に対する信頼と定数削減の関連を当然視する見解は納得できません。公共放送による解説であれば、放送法で規定されているように、多様な論点の提示が求められます。政治的多数派の主張や国民多数の見解だけを紹介すればよいというわけにはいきません。

現在の定数削減論は大政党が主導し、少数政党を国会から排除する方向のものであり、国会活動のほとんどに責任を持つ大政党が身を切ることなく生き残り、少数政党が排除されることで政治に対する信頼性が回復されるとする論は成り立ちません。また、定数が削減されても新人議員の立候補者数を削減すればよいだけなので、国民に信頼されていないとされる現役議員の身を切ること、それによって政治に対する信頼を回復するなどということも、ほとんどあり得ません。

福島原発事故に関する番組でもまったく同様の問題があります。

2011年10月22日に「“食の安全”をどう取り戻すか」と題する市民討論会がNHKスペシャルとして実施されました。広瀬隆『第二のフクシマ、日本滅亡』(朝日選書、211ページ)によれば、「その後、私の知人たちが、ベクレル表示に要する費用は東京電力が負担するべきだ、という意見を視聴者として送っていたことも分かった。それをNHKは一切紹介しなかったのである。」

ちなみに、西日本新聞の社説なども、同様に不公平なものになっています。

衆院選挙制度 定数削減は国民の要請だ  西日本新聞2012年1月19日: 社説
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/282775
「公明党や社民党が少数政党に議席配分が有利な比例代表の連用制や併用制を主張し、みんなの党や共産党が全議席比例代表選挙の導入を求めているのも、議席を失いたくないからだ。」

西日本新聞よ、貴紙は民主のメディア支部かね 1 バランスを欠く選挙制度(議席削減)の社説 | 児玉昌己 研究室
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3053
「民主は比例制に換えれば、即座に100名以上の議席を失う。同様に、それが怖いからだ、とどうして社説氏は書かないのかね。」

もちろん、「定数削減は国民の要請だ」などと単純に断じることはできません。米軍基地の沖縄への押し付け、原発の地方への押し付けを多くの国民が要請したとしても認められないのと同様に、主権者の主権を不平等に切り崩すような選挙制度改定・定数削減は、単純な多数決で決定することができないからです。

現在、日本の原発は全基が停止しています。原発再稼働を考えるにあたっての最大の論点は(低線量)被ばくによる健康被害であると思いますが、原発の再稼働をめぐる攻防では電力の需給関係が重要な論点の1つになっています。

原発が停止した場合の電力需給がどうなるのかについて、メディアはもっぱら電力会社や政府が発表した見解をそのまま報道するだけです。この問題について貴局には、原発再稼働に反対する立場の方々の見解も交えて、独自の検証番組を制作・放映していただくようにお願いしたいと思います。

選挙制度・定数削減の問題であれ、原発事故・再稼働の問題であれ、貴局を含むメディアは民主的な決定に資するよう、公平・中立・多様な情報の提供に努めていただきたいと思います。

太田光征
http://otasa.net/

幸福なこどもの日が続くように〜芝田進午氏の復活

5月 5th, 2012 Posted by sa104927 @ 2:18:39
under 一般 No Comments 

櫻井智志

核時代38年1983年に、私達の哲学者にして平和思想家の芝田進午氏は、「マルクスの復活−核時代のマルクス」というきわめてユーモアとウイットに富んだSF風の作品を執筆なされた。この作品は、『唯物論研究』8号(1983年5月)に掲載され、さらに『核時代?文化と芸術』(青木書店、1987年7月)所収の第五部【核時代の文化としての「新しい考え方」】の中に収められている。

芝田進午氏は、核兵器がもたらす悲惨な事態に、学問がその事態そのものへ立ち向かう必然性と必要性とを精力的に伝えた。しかもそのアピールは、自らが「核時代」における生存とその基盤とを学問的に広範に明らかにするとともに、実践として「核時代に生きる」ために貢献した。核兵器を「人類絶滅装置体系」と意味づけた芝田氏は、「反核文化」の研究と普及に一心に取り組みつづけられた。その一環が先駆的な「ノーモアヒロシマコンサート」だった。このコンサートは、広島と東京で十数年も継続した。反核コンサートとして、この平和を願うコンサートの動きは、全国各地の先進的な文化人や平和運動家たちによって燎原の火のように広がっていった。芝田氏がご逝去された後に、ご夫人の芝田貞子氏がその志を継承し、「平和のためのコンサート」を主宰され続けた。芝田ご夫妻に共感する音楽家たちや、住宅地に強行的に移転した国立感染症研究所の実験差し止めの裁判を芝田進午氏と共に闘い、その危険性を学問上でも明らかにされた研究団体などがそれを支えた。

核時代56年2001年3月14日に芝田氏は、胆管がんと闘いながらご逝去された。そして、2011年3月11日に、東日本大震災がおき、福島原発で大事故がおこった。十年あまり後に発生した原発事故は、旧ソ連のチェルノブイリ発電所の原発事故やアメリカのスリーマイル島で起きた原発事故を上回る世界的規模の人工的大災害となった。

芝田氏が「核時代のマルクス」を想像したように、原子力発電所の悲惨な事故が起きた現在に、もしも芝田氏自らがご存命であったなら、どのように考えどのように行動なされたであろうか。
ちなみに今年も開催される「平和のためのコンサート」第13回実行委員会は、こう述べていらっしゃる。
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第13回目となる“平和のためのコンサート”を今年も開催することとなりました。
月日が経つのは早いもので、本年は芝田進午先生の十三回忌にもあたります。また、2011年3月11日の東日本大震災・福島第一原発事故から1年が経ちました。
芝田進午先生は核兵器廃絶を願い、長年“ノーモア・ヒロシマ・コンサート”を主催してこられました。今、芝田先生が生きておられたら、この日本の未曾有の惨状にどんな言葉を語られるだろうか、と考えることがあります。原発は核の「平和利用」の名目で進められてきましたが、ウランの採掘、発電、廃棄物に至るまで一貫して被爆者を生み出し続ける装置でした。私たちがもっと真摯に広島・長崎の被爆者の声に耳を傾けていれば、そのからくりに気がついたはずです。そのことが残念でなりません。同時に、今、私たちの周りでは様々な分断が起きています。放射能は、震災後盛んに使われている「絆」という言葉をも破壊しているように思えます。だからこそ、私たちは音楽を通して、平和を求めていきたいと思っています。
今年は合唱曲「青い空は」の作詞としても知られる、小森香子さんに講演をお願いいたしました。コンサートの最後には、皆さんと「青い空は」を歌いたいと思っています。皆様のご参加をお待ちしております。

2012年(核時代67年)
平和のためのコンサート実行委員会
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実行委員会が明確にされたように、ひとつのサイクルとして、ウラン採掘から、最終の廃棄物に至るまで、「平和利用」とは全く無縁なものが核兵器であり原発であったのだ。 実行委員会はさらに、「様々な分断が起きていること」「震災後盛んに使われた絆という言葉をも破壊していること」を明確にされている。

悲惨な震災被災者や原発事故被災者のかたがたへの社会保障が、憲法の生きる権利とは切断されて、農業、漁業、自営業、就労など生活の基盤や土台においても「復旧」ではなく、大規模な資本集約型の産業によるリストラや弱肉強食による構造改革型の「復興」が推進されている。震災前から全国各地で進められていた過疎化による生活困難は、広域地方自治体再編成による地域生活の破壊などで始まっていたが、震災後に政府は、地域再生よりも新たな公共体管理の推進で、ますます生存競争激化型の政策へと動きつつある。

全国各地で、善意で唱えられた「絆」は、新たなナショナリズムの装いを帯びて、現実に被災にあった人々の日常生活の困難さや体内被曝の危険を解決する福祉政策とは隔たり、上からの「絆」キャンペーンによる精神的同一化を志向している。
私は、この13回コンサート実行委員会起草文書こそ、核時代第二段階と呼ぶべき今日の日本を、的確に見通し短い言葉で見通した重要な文章であると感じた。
そこに流れる思想こそ、芝田進午氏が現在日本に復活したら、きっと同じ分析をなさっていることだろう。

なお、芝田氏は核時代40年1985年に「反核コンサートの二つの課題」という論文を執筆なされている。反核コンサートの隆盛と支える献身的なかたがたへの感謝を前提とした上で、以下の二点を掲げている。端的に記すと、
?反核コンサート間で競争もうまれ、赤字になることも多くなる。新しい聴衆を開拓し、ふやし組織すること以外には解決策はない。同時にこのことは反核運動を拡大し発展させることでもある。このことは反核コンサートの運動が、やりがいのある正念場にさしかかっているといえるだろう。
?反核コンサートの可能性の一つは、合唱曲、クラシック、ポピュラー、邦楽などジャンルの多彩な音楽作品が反核という一点で統一され、演奏されうること、そのことで違和感どころかかえってジャンルをこえた相乗効果が強められる。個性のある反核音楽の作品を全体の有機的なプログラムにどう編成するか。一夜のプログラム全体の構成(コンポジション)が、字義どおり作曲(コンポジション)そのものであり、新しい課題である。

さて、第13回のコンサートは、6月9日(土)午後二時開演(開場一時半)である。会場は例年どおり、牛込箪笥区民ホールである。全席自由で2200円。
問いあわせは、電話ファックスともに03−3209−9666芝田様方である。
第13回平和のためのコンサート
http://www.biohazards.jp/index-c.htm
が詳細を伝えている。なお、コンサート後の様子も例年ホームページで親切に伝えて下さっている。