玄海原発の運転再開について熟慮と英断を心からお願います!

玄海原発の運転再開について熟慮と英断を心からお願います!

佐賀県知事・古川康様

2011年6月15日

 私たちは、日本国憲法の平和主義を守り活かす活憲のために、国や地方の政治における「平和への結集」をめざしている市民団体です。団体の詳細については下記サイトをご参照ください。

http://kaze.fm/

 私たちは、佐賀県にある玄海原発2号機、3号機運転再開か、というニュースを聞き、心を痛めております。私たちは、貴職がこの難しい問題に熟慮を重ねられた上で、国や九州電力の不当な圧力に屈することなく、運転再開は時期尚早であるという英断を下されるよう心からお願いします。

 私たちは、福島原発事故が収束せず、また福島原発事故の原因と対策についての国民的コンセンサスができないうちに、玄海原発の運転が再開されることに、どうしても納得できないのです。

 そもそも、原発は通常稼働でも多大な被害を及ぼすものであり、大事故を引き起こさなければ問題がないというわけではありません。例えば、米統計学者のジェイ・M・グールド氏は、米国で原発の周囲100マイル(約160キロ)圏内と圏外で、乳がんの発生率に大きな違いがあることを見い出しています(肥田舜太郎他訳『内部の敵』)。

 ちなみにグールド氏は、ベンジャミン・A・ゴルドマン氏と共に、原爆症認定集団訴訟で大阪高裁が低線量放射線内部被ばくの影響を認めた際の科学的根拠にした文献の1つ、『死にいたる虚構』(肥田舜太郎、斎藤紀訳)を著しています。

 『死にいたる虚構』では、1986年4月26日のチェルノブイリ事故後、米国各地域でミルク中のヨウ素131濃度と全死亡率の増加率に相関関係が見られ、特にカリフォルニア州を中心とする太平洋岸でヨウ素131濃度と全死亡増加率が最高値を示したこと、6月に太平洋岸南部諸州で乳幼児死亡率が28%も増加したこと、さらに米国各地の食虫の小型の鳥について、86年から87年にかけての減少率と各地のミルク中のヨウ素131濃度に強い相関が見られたことなどが示されています。

 そして今度の福島原発事故後、再びこの3月から5月にかけて、カリフォルニア州を中心とする米国北東部の8都市で、1歳未満の乳児死亡率が有意に35%増加しています。

Janette Sherman / Joseph Mangano: Is the Increase in Baby Deaths in the US a Result of Fukushima Fallout?
http://www.counterpunch.org/sherman06102011.html
 
 また、井野博満・東大名誉教授は「玄海原発1号炉は日本一危険な原子炉といっていいでしょう」という見解を示しています(『FLASH』2011年6月7日号100頁)。1号機の事故と3号機のプルトニウムの事故が重なることは、私たちが考えたくもない悪夢です。広瀬隆氏も「3号機が大事故に巻きこまれれば、九州全土がプルトニウムを浴びて、すべて廃墟になる」(広瀬隆『福島原発メルトダウン』207頁)ということを明言しています。

 知事は、今年の年頭のメッセージで「地球上で太陽の恵みを受ける私たちは、その美しさと恩恵の深さに、改めて感謝の念を覚えます」と述べられました。しかし、福島の人々は、もはや、太陽の恵みを受けることが困難になりつつあります。佐賀の人々が、福島の人に続いて困難な道を歩まなければならない理由は絶対にないのです。

 知事は、私たちの主張が極端だとお考えかも知りません。しかし、放射能の前では、万全の上にも万全の手段を取ること以外に私たちが生き延びる道はないと思います。

 もし知事が運転再開に踏み切られ、そして事故が起きれば、知事のお名前は何百年にもわたって傷つくことになるでしょう。

 私たちは、賢明なる知事が、運転再開は時期尚早であるという英断を下されることを心からお願いいたします。

以上

「平和への結集」をめざす市民の風
http://kaze.fm/

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