放射性物質汚染対処特措法施行規則の改正案(廃棄物管理基準の緩和)に対するパブリックコメント
環境省 報道発表資料−平成24年9月4日−放射性物質汚染対処特措法施行規則第二十八条、第三十条及び第三十一条の一部を改正する省令案に対する意見の募集(パブリックコメント)について(お知らせ)
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=15654
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課御中
「放射性物質汚染対処特措法施行規則第二十八条、第三十条及び第三十一条の一部を改正する省令案に対する意見」
[1] 氏名 太田光征
[2] 住所
[3] メールアドレス otasa@nifty.com
[4] 意見
1.背景?の「事故由来放射性物質(セシウム134・137)の放射能濃度の合計が8,000Bq/kg 以下の廃棄物については、通常行われている処理方法によって、周辺住民、作業者のいずれにとっても安全に処理することが可能であると考えられる」について
(意見の要約)8000Bq/kgという基準に合理的根拠がない。
(理由および根拠)原子炉等規制法に基づくクリアランスレベルは100Bq/kgであり、同法案が議論されていた当時は10Bq/kgにすべきとの見解もあったくらいで、少なくとも100Bq/kgを超える廃棄物は厳重に管理しなければならないとされているのであるから、事故由来放射性廃棄物について100Bq/kgを超える基準を設定すべき根拠はない。
2.要件見直しの考え方(案)?および?の「事故由来放射性物質の放射能濃度が6,400Bq/kg を超える廃棄物が排出されておらず、事故由来放射性物質により一定程度に汚染された廃棄物の多量排出が今後見込まれないと考えられる」について
(意見の要約)「6,400Bq/kg以下」「多量排出が今後見込まれない」の両条件が成立しても放射性物質の環境動態は不明であるから、両条件をもって要件の見直しはできない。
(理由および根拠)6,400Bq/kg以下の廃棄物が少量ずつでも、長年にわたって集積すれば大量になり、その大量になった廃棄物の環境動態が不明であるから、「6,400Bq/kg以下」「多量排出が今後見込まれない」の両条件が同時に満たされるとしても、基準緩和をしてよい理由にならない。
2ページ脚注「天日乾燥は機械による脱水・乾燥に比べて乾燥の期間が長く、昨年生じた汚泥が放射性物質汚染対処特措法施行規則施行後も乾燥汚泥として排出されているためと考えられる」について
(意見の要約)この推定は信頼できず、これに基づく要件見直しも同様。
(理由および根拠)学校プールを昨年除染しても、今年測定すると線量が高くなっている事例が千葉県白井市などで確認されており、砂塵によって放射性物質が供給されたことを意味していると考えられることから、天日乾燥と機械乾燥の違いの原因についてもさらなる検討が必要である。
図2 「特定一廃・特定産廃要件見直し概要」の「廃稲わら」および「廃堆肥」について
(意見の要約)廃稲わらおよび廃堆肥については特別な基準を設けること。
(理由および根拠)廃稲わらおよび廃堆肥などのバイオマスは分解によって容量が激減し、放射性物質濃度が激増するから、バイオマスについての廃棄物基準と無機物についての廃棄物基準が同じでよいはずはなく、バイオマス分解後の放射性物質濃度と環境挙動を考慮しなければならない。
図2の「汚泥」「除染廃棄物」について
(意見の要約)「汚泥」の主成分は土壌であると推定され、同じく土壌を主成分とする「除染廃棄物」と同様に扱うのが合理的。
(理由および根拠)同上。
3ページ脚注および3.その他?の 「公共下水道及び流域下水道の流動床炉から生ずるばいじんについては、溶出率が極めて低いとの知見」について
(意見の要約)同知見は信頼できず、同知見に基づく要件見直しも同様。
(理由および根拠)同知見は極めて限られた時間内での物質挙動に関するものであり、長期間にわたって多様な物質と混合した状態での挙動に関しては不明である。
4.今後の予定の「平成24年10月頃を目途に公布し、速やかに施行する予定」について
(意見の要約)十分な知見が得られるまで、要件の緩和は行わないこと。
(理由および根拠)上述した通り。
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