橋下徹氏の「人事は政治が決める」の脱民主主義的ダブルスタンダード

橋下徹氏の「人事は政治が決める」の脱民主主義的ダブルスタンダード

橋下徹大阪市長は「近現代史教育館」の展示内容に、それを決める人事を通じて「政治」すなわち自分の影響力を行使したいと思っている。が、同じく政治が勝手に決めた原子力規制委員会による「まず大飯原発停止せず」の方針には不満を示している。これは民主主義を尊重しないことから来るダブルスタンダードだ。

太田光征

アイヌから沖縄まで日本国内の人権問題を網羅している大阪人権博物館(リバティおおさか)と、戦争の加害と被害を教える大阪国際平和センター(ピースおおさか)。橋下氏は両施設を廃止したがっている。

「リバティ」と「ピース」存続の危機 | 新聞うずみ火
http://uzumibi.net/?p=911

大阪人権博物館を廃止したい理由は、「おかし過ぎる!いつもの差別・人権のオンパレード」「夢や希望に向かって努力しなさいと教える施設に」と指示していたのに反映されていないからだそうだ。

人権博物館を差別・人権のオンパレードと批判することこそおかし過ぎるし、歴史教育は政治家が勝手に思い描く夢や希望に向かわせることが目的ではない。

その一方、橋下氏は「両論併記」の「近現代史教育館」を構想している。展示内容を決める学者グループは、「政治」、すなわち橋下氏が決めるのだという。

自爆史観資料館建設は橋下氏による政治の私物化
http://blog.livedoor.jp/woodgate1313-sakaiappeal/archives/7377379.html

橋下氏は「近現代史教育館」の展示内容を決定する学者として「新しい歴史教科書をつくる会」などの学者を想定している。

橋下氏は、歴史教育では政治が大元を決定すると主張しておきながら、原子力規制委員会の田中俊一委員長が大飯原発3、4号機を「すぐに止めることはしない」との方針を示したことに対し、「規制委は政治に左右されずに安全性を追求する組織のはずで、大問題だ。存在意義が揺らぎかねない」と主張している。

橋下市長が原子力規制委員長を批判 大飯の方針めぐり
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK201209280028.html

「規制委は政治に左右されずに安全性を追求する組織のはず」というのはナンセンス。政治が大飯原発を停止させないだろうと踏んで委員を勝手に選んだのである。原子力規制委員会委員の選考基準についてパブリックコメントが必要だという市民の意見を無視して、他の政治家が強引に決定した原子力規制委員会人事の結果、自分の思い通りにならない点を批判しているだけだ。

橋下氏が「近現代史教育館」の展示内容を決定する学者として「新しい歴史教科書をつくる会」などの学者を選任する過程と、原子力規制委員会の委員として原子力ムラ住人を他の政治家が選任する過程は同じである。

見事なダブルスタンダード。とにかく自分の思う通りにしたいだけ。脱民主主義の体質だからそうなってしまう。

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