社会民主党執行部のみなさんへ: 世論をがらっと変える選挙協力を

社会民主党執行部のみなさんへ

世論をがらっと変える選挙協力を

2013年5月30日

 社会民主党が民主党と選挙協力をすることになったということを報されましたが、懸念を感じています。

民主と社民、競合ない選挙区での協力合意
http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/news/20130522-OYT1T01066.htm?from=ylist
「社民党の推薦候補が出馬予定の大分選挙区(改選定数1)で、民主党は候補擁立を見送る。社民党は同党が候補を立てない選挙区では「民主党候補の支援を前向きに検討する」とした。
 参院選の目標として〈1〉与党の過半数獲得阻止〈2〉憲法改正に積極的な自民党と日本維新の会による3分の2以上の獲得阻止――を目指すことでも一致した。」

 選挙協力は、個々の事案や政策案についての協力・共同行動とは質のちがう問題なのではないでしょうか。しかも、わたしたちの代表としての国会議員を選出する選挙制度そのものにおいて極端な不平等性を改正することができないままでおそらくは実施されるであろう参議院選挙において、この国の行く末をきめる決定的な問題についての賛否が問われているのです。

 なによりも、日本国憲法の三大基本原則――基本的人権の尊重、国民主権、戦争放棄――のすべてを私たちから奪おうとする改憲ならぬ壊憲の意図をあからさまに広言してはばからない政治家集団との対決において敗北するかいなかの瀬戸際に私たちが立たされていることは、だれよりもよくわかっておいでのことだと、私たちは信じているのですが、そうではないのでしょうか?

 社会民主党の福島瑞穂党首は、戦争と原発と死刑とに通底するのは国家が国民の生命を奪うことであると明言し、安倍自由民主党をはじめ生命をないがしろにし滅ぼす政治家集団とは根底的に対決する姿勢を公表しているではありませんか。

 その社会民主党が民主党と選挙協力をするという報せにあたって、合意事項に懸念、物足りなさを感じます。考えてもみてください、民主党には、「(「慰安婦」は)『性的奴隷』ではない。彼女らは当時世界中のどこにでもある公娼制度の下で働いていた」などと、旧「大日本帝国軍隊」による「慰安婦制度」の創設・強制性を否定する意見広告を、自由民主党党首安倍晋三、「もんじゅ」を所管する下村博文、こどもたちに嘘の歴史を教える教科書をつくっている藤岡信勝・西尾幹二などといった人達が2012年にアメリカ合衆国の『スターレッジャー』紙に出したさい賛同人として名を連ねた国会議員が11人もいる(うち一人は参議院議員)のですよ。2007年に『ワシントン・ポスト』に同様の意見広告を出したさいは13人の民主党議員が賛同人となっていました。

 このよう人達がいかに女性を蔑視し基本的人権を踏みにじってやまないかが、たまたま、橋下徹「日本維新の会」共同代表のマスメディアに向けての発言によって暴露されているこの時期に、今述べたような党員議員をかかえる民主党と選挙協力をするということが、私たち国民の目にどのように映るかを、熟慮したうえでの御決断であるのなら、なにも、もう、申しません。社会民主党支持者が離反する可能性を検討されたのでしょうか。

 もし、政治的分析を踏まえたうえでどうしてもいま民主党との選挙協力が必要かつ有効であるとお考えなのであれば、せめて、上記意見広告に賛同するような国会議員とりわけ参議院議員の民主党からの排除を選挙協力の条件になさってはいかがでしょう。そのような押しの強さが現在の状況に必要だと確信します。

 社会民主党、共産党をはじめ、私たちの生命を尊重し、生命を奪おうとする政治勢力に反対するすべての政治勢力、日本国憲法の精神を活かし、原発依存からの脱出を目指す参院選候補者が、来るべき参議院で三分の一以上の議席を占めてくれるよう、私たちは切望しています。そのためにこそ奮闘しています。

 民主党にはこの私たちとともにたたかうことのできる人達もいますし、自由民主党、公明党をはじめとする生命蹂躙の諸党の勢力をすこしでも殺ぐためには民主党の勢力回復をも望んでいます。

 けれど、民主党候補を立てない選挙区で「民主党候補の支援を前向きに検討する」とはいえ、政策的な条件を押し出さない選挙協力を社会民主党ともあろう党があっさり行うことは容認しかねます。なぜなら、選挙協力は貴党の数少ない推薦候補の当選に寄与することはあっても、例えば、維新支持の急落が同類の自民党の急落に結び付かないような世論状況を克服することなしに、いささかの選挙協力程度で今日の困難な政治状況を克服することができないからです。

 世論をがらっと変える選挙協力に打って出るのでなければ、貴党の存在意義はいつまで経っても顕在化しないのではないでしょうか。もう一度、熟慮をお願いします。

「平和への結集」をめざす市民の風

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