衆議院選挙における野党間の選挙協力について市民として望むこと

10月 6th, 2008 Posted by higashimototakashi @ 17:06:01
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政局は、中山成彬国土交通相の失言問題などとも絡み、新聞メディアなどの報道によれば、10月3日解散が濃厚な情勢になってきています(注:10月2日時点の認識。現時点では総選挙の時期はさらに混沌としていて予測しがたいものがあります)が、私が運営委員として参加している「『平和への結集』をめざす市民の風」(略称、市民の風。事務所所在地、東京)は、わが国の政治変革のために平和を望む市民を結集し、選挙において「平和共同候補」の擁立を求める立場から、この9月22日、民主党、共産党、社民党、国民新党、新党日本および新党大地に対して、野党間選挙協力を求める要望書を送付しました。

http://kaze.fm/wordpress/?p=233

私たち「市民の風」が求める野党間選挙協力については、政党間独自の合意として、すでに民主党、社民党間では東京6区、8区において選挙共同が成立しています(社民党の保坂展人議員(現)が東京6区から8区に移動し、社民党は6区では民主党の小宮山洋子議員(現)を推薦。また、8区においては、民主党は保坂議員を推薦し、共同して自民党タカ派の石原伸晃議員(現)の落選をめざす)。

私たち「市民の風」は、私たちの国の政治変革のために、こうした野党間選挙協力の流れが予想される総選挙の公示日までにさらに加速することを切に望んでいます。

私たちがいま、市民の立場から、野党間選挙共同の実現可能性(蓋然性)のある選挙区として注視しているのは、たとえば具体的には京都1区と東京8区、大阪10区での共産党、社民党などの政党との選挙共同です。

京都1区は共産党から穀田恵二議員(現)が立候補する予定ですが、共産党はこの京都1区を今総選挙唯一の必勝区と位置づけています。この京都1区でたとえば社民党が共産党の穀田候補を推薦する。そのバーターとして、共産党は東京8区で社民党の保坂候補、大阪10区で同党の辻元清美候補をそれぞれ推薦する。あるいは候補者を擁立しない。

いまは京都1区を中心に例をあげましたが、こうした選挙共同が各選挙区の要所で実現すれば、国会での護憲勢力は飛躍的に高まっていくことでしょう。私たちの願いはそういうところにあります。

さらに付言すれば、たとえば共産党は民主党に対しても、東京6区では小宮山候補(民主党内護憲派)を推薦し(あるいは候補者を擁立しない)、民主党はそのバーターとして京都1区の穀田候補を推薦する(あるいは候補者を擁立しない。現実問題としては、民主党はこの9月27日、京都1区で新人候補者を擁立することを決定しましたので、その実現は困難でしょうが)。こうした革新的選挙共同の流れが加速することを私たちは期待しています。

こうした護憲派市民のふつうの願いを「夢」に託して語っている人がいます。法政大学教授の五十嵐仁さんです。五十嵐さんは次のような「夢」を語ります。

「京都のホテルで総選挙の夢を見ました。四条河原町の交差点で、宣伝カーの上に何人かが並んで演説しています。/京都一区から立候補する共産党の穀田さんの演説が終わったようです。その隣には志位委員長もいます。/志位さんの隣に立っているのは、何と社民党の福島党首ではありませんか。東京8区で保坂さんを推薦してもらった代わりに、京都一区では共産党の穀田さんを推薦すると言っています。・・・」(『五十嵐仁の転成仁語』「京都で見た夢」9月21日付)。

http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2008-09-21

私たち「市民の風」が求める野党間選挙協力は、あくまでも「平和への結集」のための野党間選挙協力です。「平和への結集」をめざさない野党間選挙協力など考えてもいません。

たとえば大分県の社民党県連合は、同社民党連合代表の重野安正議員(現、比例区当選。大分2区候補者)の勝利を第一義的課題とし、「今回は何としても2区で勝たなければならない。そのためには民主党の協力が必要」(久原和弘幹事長)として、大分1区での候補者擁立を断念するとともに、改憲、「日の丸・君が代」推進派、「つくる会」熱烈支持者の民主党内最右翼のひとり、吉良州司現議員を事実上推薦する姿勢を鮮明にしました
(大分合同新聞 9月22日付)。

http://www.oita-press.co.jp/localNews/2008_122204338674.html

この決定の6日前に開かれた同社民党連合の常任幹事会では、「(民主党に)安易に協力することは、参院選で党の要請に応じて出馬してくれた人の思いを無にすることになりはしないか」との声が同党の幹部からも少なくなく出たにも関わらずです(同紙、 9月17日付)。

http://www.oita-press.co.jp/localNews/2008_122161066913.html

同社民党連合の幹部からでさえ、上記のような声が出るくらいですから、一般の社民党員、同党シンパの人たちの上記社民党県連合決定に対する不満はさらに大きなものがある、と見なければならないでしょう。実際、先の参院選で同党の推薦を受けて出馬した松本文六氏の獲得票は優勢と見られていた民主党票、そして自民党票にもまったくひけをとらないものでした(民主・社民の分裂選挙であったにも関わらずです)。

参照:「革新」からの視点=なぜ社民・民主共闘は崩れたのか 〜参院・大分選挙区
(JANJAN 2007/06/10)
http://www.janjan.jp/election/0706/0706086933/1.php

【2007年参院選結果】
自民党(公推) 礒崎陽輔 199,523(32.6%)
民主党      矢野大和 170,645(27.9%)
社民党      松本文六 140,287(22.9%)
国民新      後藤博子   63,099(10.3%)
共産党           山下魁       37,764(6.2%)

上記の参院選のとき、日頃の共産党支持者も少なくなく松本文六氏に一票を投じました。また、松本氏が地元の大きな開業医として長年培ってきた人脈から、日頃の保守党支持者も少なくなく松本文六氏に一票を投じました。その結果が上記の獲得票です。先の参院選時の松本(社民党)ムーブとでもいえる現象はなぜ起きたのか。社民党県連合がこうしたムーブが生じた原因を分析、勘案した上で、松本文六氏に限らなくとも同党の候補者を大分1区で擁立したならば、政治変革のために護憲政党の共同を志向する市民の願いにも通じて、今度は文字どおりの社民党ムーブをつくりえたかもしれません。いまの社民党県連合はあまりにも「現状維持」ということに汲々とするあまり、政治革新の展望に欠けて、人々の「信」からも見放されている、というほかないのです。私のまわりの長年の熱心な社民党支持者の少なくない人は「あと1、2回の国政選挙で社民党は潰れるだろう」と公言してはばかりません。社民党よ、いまからでも遅くない。奮起して欲しい、と私は切に思います。

いずれにしても、改憲、「日の丸・君が代」推進派、「つくる会」熱烈支持者の民主党内最右翼のひとりの候補者を社民党が実質推薦するような野党間選挙協力は私たちのめざす野党間選挙協力とは縁もゆかりもありません。

私たちが考える野党間選挙協力、野党連合は、当面の政治革新の手段としての「政権交代」の実現のために野党第一党の民主党を含みますが、「憲法9条を守るには、共産・社民を中心とする9条派がキャスティングボードを握る国会と政権を実現できなければ、憲法9条を守ることはできない」(市民の風・第4回総会『活動方針』)という考え方が根底としてあります。

なお、衆院選の比例区の投票のあり方について一言すると、「野党支持の有権者が協力して、比例区では小数野党、特にいわゆる護憲政党に投票する代わりに、小選挙区では当選可能性の高い野党候補に投票する手法」、いわゆる「選挙区すみ分け投票」を有権者が行使すれば、野党候補者の当選者数も最大化するだろうし、9条派がキャスティングボードを握る「小数野党キャスティングボード議会」も可能となるだろう(同『活動方針』)、というのが私たちの基本的な考え方でもあります。

注:上記は一運営委員としての東本個人の見解であることをお断りしておきます。

東本高志

小選挙区制を見直す集会へ参加のお願い(第3回、自由民主党選挙制度調査会会長・村田吉隆氏あて)

10月 3rd, 2008 Posted by MITSU_OHTA @ 20:38:06
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自由民主党選挙制度調査会会長 村田吉隆様

 私どもは、小選挙区制の廃止などを目指して活動している平和への結集・市民の風と申します。度々、表題のお願いをさせていただいております。

 報道によりますと、村田会長は、供託金没収点(得票数)の引き下げの議論を開始するとされています。引き下げの理由として、貴調査会は、「政党要件を満たす政党の届け出候補者であっても多くの候補者が供託金を没収されている」ことなどを挙げられているといいます。没収点の引き下げ自体は、立候補の権利を保障する観点からも、好ましいと考えます。

 そもそも、供託金制度の目的は、泡沫候補の乱立を防ぐためだといわれました。しかし、小選挙区制は、有権者に対して候補者の当選可能性を考慮した投票行動を促すので、人気の低い候補の人気をますます低くします。つまり、小選挙区制は、必ずしも泡沫候補とはいえない候補を泡沫候補に仕立てる特性を持つといえます。

 このように、供託金制度は小選挙区制の特性を抜きに議論はできないと思われます。小選挙区制という制度本体の見直しが必要になってくるでしょう。そしてこの小選挙区制には、大量の死票を発生させるという重大な問題が残っています。

 供託金没収点の引き下げ論議が、政党側の視点に立つとするなら、バランスの上からも、有権者側の視点に立った選挙制度改正の論点も取り上げる必要があると考えます。小選挙区制による死票問題はその1つです。

 私どもは、各党の議員をお招きして、小選挙区制を見直す集会を、9月以降に企画しております。つきましては、供託金問題などを含め議論していただきたいので、村田議員を始め、貴党の見解を伺える方の参加を検討していただきたく、お願い申し上げます。日程につきましては、各党との調整の上、決定させていただきます。

2008年8月19日

「平和への結集」をめざす市民の風

選挙制度問題担当 太田光征

(以上は2008年8月20日、自民党本部に郵送しました)

衆議院選挙の選挙協力についてのお願い

9月 24th, 2008 Posted by MITSU_OHTA @ 17:58:08
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 すでに7月28日、民主党、日本共産党、社会民主党、国民新党、日本新党および新党大地に「那覇市長選へ向けた『4党合意』を歓迎します」を郵送していますが、総選挙が近づいてきた9月22日、改めて野党間選挙協力を求める要望書を郵送しました。

2008年9月22日

 ●●様

衆議院選挙の選挙協力についてのお願い

 日頃、市民のための政治へのご奮闘・ご活躍に心より敬意を表します。
私たち「『平和への結集』をめざす市民の風」は平和を望む市民を結集し、選挙において「平和共同候補」の擁立を求めるなどの運動をする市民団体であります。

 昨年7月に実施されました第21回参議院選挙においては、与党が大敗し、民主党は参議院での第1党となり、参議院では与野党の逆転が実現しました。
これは、自公政権からの政権交代を国民が望んでいる現われであると思われます。

 9月1日に福田首相が辞意を表明しました。安倍首相に続いての政権の投げ出しであります。これらはもはや自民党の政権担当能力のなさを露呈していると思われます。

 福田首相は辞任にあたって「国民のため」と強調していましたが、自民党が今国民のためになすべきことは、自民党内の政権たらい回しではなく、野党第一党に政権を譲り選挙管理内閣によって衆院解散・総選挙で民意を問うべきことであると考えます。
 ところが今回もまた自民党は「憲政の常道」を無視し、9月24日に予定されている臨時国会で、自民党の新総裁を首相に指名し自民党・公明党による連立内閣を誕生させようとしております。

 現在私たち国民の大多数は、大幅な物価高、食料不安、年金問題、増税、地域医療の崩壊、後期高齢者医療制度の発足、低賃金労働、無責任なリストラ等々数え切れないほどの悪い環境の中で、苦しい生活を強いられているのが実態であります。

 これらを改善し国民生活を向上させるためには、野党連合による政権交代の実現が急務であると考えます。
 そして一番大事なことは、政権交代により国民の大多数が、自公政権の時代より「生活が良くなり安心して暮らせるようになった」という実態が伴わなくてはならないと思います。

 各政党におかれましてはそれなりのお考えがあろうかと存じますが「子供からお年寄りまで、だれもが安心して暮らせる平和な日本」の実現のため、一部においては野党間の選挙協力は実現しておりますが、各野党におかれましては更なる選挙協力について積極的に話し合いをされますようお願いをする次第であります。

 このことが今国民の願っている最大の関心事でありましょう。具体的には、野党候補が競合しない小選挙区で、お互いに推薦し合うなどが考えられます。
 難しいお願いを申し上げてまことに恐縮では有りますが、選挙協力の実現なくしては、万人が平和に暮らしていける日本国は実現できないと思い、あえてお願い申し上げます。皆様のご賢察を切にお願いいたします。

 本件に対するご連絡は下記までお願い申し上げます。

 連絡先:「市民の風」衆議院選挙選挙協力問題担当  太田光征 宛

「平和への結集」をめざす市民の風
事務局長 竹村英明
執行委員 小林正弥

小選挙区制を見直す集会へ参加のお願い(第3回、鳩山由紀夫氏あて)

9月 13th, 2008 Posted by MITSU_OHTA @ 16:24:29
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民主党幹事長 鳩山由紀夫様

 私どもは、小選挙区制の廃止などを目指して活動している平和への結集・市民の風と申します。度々、表題のお願いをさせていただいております。

 報道によりますと、鳩山幹事長は、次期衆院選のマニフェストに、衆院議員定数の2割削減を盛り込む方針とのことです。

 貴党の従来からの主張からすると、この2割削減は、比例区定数の削減を意味するものと察します。定数2割削減の理由として、鳩山幹事長は、「行政改革をやるために、まずは自分の身を切るところからスタートさせたい」という点を挙げられています。

 しかし、比例区定数の削減が総合的な見地から、行政改革につながるのかどうか、厳密な検討が必要であると考えます。特に、民意を反映する選挙制度であるか否かと、議会経費削減に留まらない総合的な行政改革を断行できる議会との関係は、議論すべき点が多いと思われます。

 私どもは、各党の議員をお招きして、小選挙区制を見直す集会を、9月以降に企画しております。つきましては、上記の問題などを議論するために、鳩山幹事長を始め、貴党の見解を伺える方の参加を検討していただきたく、お願い申し上げます。日程につきましては、各党との調整の上、決定させていただきます。

2008年8月19日

「平和への結集」をめざす市民の風

選挙制度問題担当 太田光征

(以上は2008年8月20日、民主党本部に郵送しました)

米軍基地縮小に関する野党間協議についての面会申し込み(民主党幹事長・鳩山由紀夫氏あて)

8月 30th, 2008 Posted by take @ 7:47:18
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米軍基地縮小に関する野党間協議についての面会申し込み

民主党幹事長 鳩山由紀夫様

 私どもは平和への結集・市民の風と申す団体です。表題の件につき、今年の3月14日付けでFAXを送付し、その後、たびたび電話で検討状況を確認させていただいておりました。

 度重なる沖縄での事件に端を発して、民主党、社民党、国民新党の間で日米地位協定の改定案をまとめられたご努力に敬意を表します。

 そこで、もう一歩進んで、米軍基地縮小でも野党間で協議を開始していただけないでしょうか。鳩山幹事長の「早く米軍基地が、日本の領土の中に存在しないような環境ができるような準備を何年かけても行うべきでないか。もっと日本と米国とが対等な関係でなければならない」( 2月11日付け読売新聞)とのご発言に注目しております。

 来る那覇市長選へ向けた4党合意が実現したように、国政においても米軍基地縮小について同様の合意を得る協議をしていただきたいのです。できれば、市民を交えた協議が望ましいと考えます。

 つきましては、米軍基地縮小に関する野党間協議の件で直接お会いしてお話を伺えればと思いますので、改めてお願いを申し上げる次第です。

2008年8月19日

事務局長 竹村英明

(以上は民主党本部に8月20日、郵送しました。)

日弁連会長が「裁判員制度、予定通り開始を」と呼びかける緊急声明を発表するとはどういうことだ!!

8月 21st, 2008 Posted by higashimototakashi @ 11:30:35
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昨日(8月20日)付朝日新聞が「『裁判員制度、予定通り開始を』 日弁連が緊急声明」という記事を掲載しています。
http://www.asahi.com/national/update/0820/TKY200808200282.html

日弁連会長が「裁判員制度、予定通り開始を」という緊急声明を発表??

少なくない各県単位弁護士会から来年度実施予定の「裁判員制度」への疑問が提出され、多くの弁護士の間からも同「裁判員制度」への疑問が噴出しているときに、これはどういうことでしょう?

私が知っている限りにおいても、以下の単位弁護士会から来年度「裁判員制度」実施への疑問が提出されています。

■裁判員制度の抜本的見直しと実施の延期を求める総会決議(栃木県弁護士会 2008年5月24日)
http://www.tochiben.com/topics/news26.html

■裁判員裁判実施までに解決すべき課題に関する決議(平成20年5月21日 大分県弁護士会総会決議)
http://cgi37.plala.or.jp/~oitakenb/syosai.cgi?2=121141690017191

■取調の全過程の録音・録画を求める決議(平成20年2月23日 大分県弁護士会総会決議)
http://cgi37.plala.or.jp/~oitakenb/syosai.cgi?2=120408814823165

注:同弁護士会は、「来年実施される裁判員裁判で、取調の(全面)可視化(録画化)が採用されない限り、スタッフ弁護士、大分県の弁護士会全部ボイコットする」とまで言っています(関東弁護士会連合会会報)。同弁護士会の上記ボイコットの決意は、私も、同弁護士会の裁判員制度問題の責任者を含む複数の弁護士から直接ナマの声で聞いて確認しています。

■裁判員裁判実施の延期に関する決議(新潟弁護士会 平成20年2月29日)
http://www.niigata-bengo.or.jp/info/resolution/resolution.shtml?416

※決議理由:http://www.niigata-bengo.or.jp/info/resolution/reason.shtml?416

■取調べ全過程の録音・録画の実現を求める総会決議(新潟弁護士会 平成20年2月29日)
http://www.niigata-bengo.or.jp/info/resolution/resolution.shtml?415

※決議理由:http://www.niigata-bengo.or.jp/info/resolution/reason.shtml?415

その他、「裁判員制度」への直接の言及はありませんが、同制度の実施と密接にリンクしている取調べの可視化の問題について、日弁連、自由法曹団が総会決議、また意見書として、現在の状況についての強い危惧の念を表明しています。

■取調可視化法案の今国会における成立を求め,調べ可視化に抵抗する警察庁の姿勢を批判する意見書(自由法曹団 2008年4月22日)
http://www.jlaf.jp/jlaf_file/080422kashika.pdf

■第58回定期総会・取調べの可視化(録画・録音)を求める決議(日弁連総会決議 2007年5月25日)
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/ga_res/2007_1.html

上記の日弁連会長の緊急声明は、これらの弁護士、弁護士会の多数の意志を無視し、そしてなによりも自らがその組織の長として拠って立つ日弁連総会決議さえほごにする独断、独走、横暴というほかないのではないでしょうか?

この日弁連会長の独断、独走を全国の弁護士たちはこのまま許してしまってよいのでしょうか?

日弁連会長に対して、その独断、独走をただちに抗議するべきではないでしょうか?

以下、上記のことを伝える報道と日弁連会長声明です。見られるとおり、日弁連会長声明は、各弁護士会からの来年度実施予定の「裁判員制度」に対する重要な疑問、問題提起を意図的に無視し、裁判所、検察の広報係りに成り下がっている感があります。

民主主義のためにも、真に市民のための裁判制度の確立のためにも許されることではない、と思います。

……………………………………………
■「裁判員制度、予定通り開始を」 日弁連が緊急声明(朝日新聞 2008年8月20日)
http://www.asahi.com/national/update/0820/TKY200808200282.html

 来年5月に始まる裁判員制度を前に、野党から「国民の理解が不十分だ」として施行の延期を求める意見が相次いだことを受けて、日本弁護士連合会の宮崎誠会長は20日、「新制度で戸惑いがあるのは事実だが、延期すれば、欠陥を抱えた現行の刑事裁判が続くだけだ」として予定通りの開始を求める緊急声明を発表した。

 声明は、「捜査も裁判も官のみが行う状況ではチェックが働かず、冤罪はなくならない」と指摘。「これを変えるためには、市民に裁判に関与してもらうことが不可欠」と国民に理解を求めている。

 裁判員法は04年に全会一致で成立したが、今月に入って共産、社民の両党が制度の延期を求める見解を発表。民主も幹部が見直しの必要性に言及している。

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……………………………………………
■裁判員制度施行時期に関する緊急声明(日弁連会長声明)
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/statement/080820.html

最近、一部から、来年5月21日から施行される裁判員制度の施行時期を延期すべきではないかという意見が表明されています。

しかし、当連合会は、刑事弁護を担ってきた立場から、また、国民の司法参加を願ってきた立場から、裁判員制度が予定通り実施されるよう強く求めます。当連合会は、裁判員制度実施に向けて、今後とも万全の体制で準備にあたります。

人質司法と言われるように密室の中での違法不当な取り調べが横行し、自白しないと保釈が許されない、いったん虚偽の自白をすると、撤回が許されず、捜査官が作成した膨大な調書のみが積み重ねられます。そして、99.9%が有罪判決であるという状況の下で、裁判官は有罪判決を下すことに慣れてしまい、有罪判決を書くための要素のみを無意識にピックアップしてしまうおそれがあります。捜査も裁判も官のみが行う状況ではチェックが働かず、一向に冤罪はなくならないのです。

今回の法改正で、公判前整理手続が導入され、弁護人の活動により、捜査側の手持ち証拠が広範囲に開示されることになりました。再審開始決定された「布川事件」のような冤罪事件で問題になった捜査側の証拠隠しの防止のためには大きい改善であり、裁判の充実にも良い結果をもたらしています。

しかし、人質司法や調書裁判という刑事裁判の根本的な欠陥はそのままです。

これを変えるためには、市民のみなさまに裁判に関与していただき、無罪推定の大原則の下、「見て聞いて分かる」法廷で判断していただくことが不可欠です。

「見て聞いて分かる」法廷では膨大な調書は存在できませんし、捜査も自白よりも物的証拠や科学的な捜査を重視する方向に向かわざるを得ません。

市民のみなさまにはご負担をおかけしますが、是非とも裁判員裁判に参加していただき、みなさまの健全な社会常識を司法の場に生かしていただきたいのです。

事前のアンケートでは不安を覚える市民の方が多いという報道がなされています。

この点、同じ市民が司法に直接参加し、検察官の不起訴の判断の妥当性を判断する検察審査会では、守秘義務を負いつつも、多くの市民が日常生活を中断して参加されていますが、参加前のアンケートではやはり多くの市民の方が参加に消極的です。しかし、一度審査員を経験された後では、実に96%の市民の方が「参加して良かった」と言う御意見に変わっています。諸外国でもこのような傾向は同じです。裁判員制度は誰もやったことがなく情報も少ないためご不安を覚える方も多いと思いますが、問題のある刑事裁判を良くするために是非ともご参加をいただきたいと考えています。

もちろん、今の裁判員裁判制度に改善すべき点がないというわけではありません。また取調べの可視化(取調べの全課程の録画)なども極めて不十分です。しかし、裁判員制度を実施することによって、改善すべき点は改善し、また、取調べの可視化(取調べの全課程の録画)をさらに広げたり、調書裁判の弊害や人質司法の弊害を改善する動きを進めていくことが大切です。裁判員裁判を延期したのでは何よりも根本的な欠陥を抱えた現行の刑事裁判が続く結果となるだけです。

多くの冤罪弁護事件を支援し、刑事弁護を担ってきた当連合会は、裁判員制度を延期して今の刑事裁判を継続するのではなく、この制度を実施の上、欠点があれば、実施状況を見ながら改善していくという方法で進めるべきであると考えます。

世界に誇れる刑事裁判の実現に向けて予定通り実施されるよう、ここに改めて強く求めるものです。

2008年(平成20年)8月20日

日本弁護士連合会
会長 宮 誠
……………………………………………

東本高志

那覇市長選へ向けた「4党合意」を歓迎します

7月 28th, 2008 Posted by MITSU_OHTA @ 13:21:12
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 沖縄の野党4党が、来る那覇市長選挙で平和共同候補を擁立するという合意に至りました。
 これを受けて、平和への結集・市民の風は、沖縄以外、国政選挙でも同様の合意に向けて協議していただくよう、民主党、日本共産党、社会民主党、国民新党、日本新党および新党大地に下記の要望書を郵送しました。
 9月13日には、東京で支援集会を他の団体とともに開きます。集会の詳細とカンパの呼びかけは下記をご覧ください。

那覇市長選挙、平良長政氏支援を訴えます!
http://pepop.jp/modules/piCal/index.php?smode=Monthly&action=View&event_id=0000004969&caldate=2008-9-13
 
 

那覇市長選へ向けた「4党合意」を歓迎します

●●御中

 今年の11月に行われる沖縄県の那覇市長選挙で、共産党、社民党、沖縄大衆党、民主党の野党4党が元県議の平良長政氏を野党統一候補として擁立すると合意したことを心より歓迎いたします。

 4党と平良氏は、「那覇市長選挙に臨む政治姿勢と基本政策」に合意しました。「政治姿勢」は、4党共闘の堅持、沖縄に過重な基地負担を強いる日米安保体制をあらためる、那覇市へのカジノ導入反対、当選後の市政運営は特定政党に偏らず4党で協議してすすめること、などです。「基本政策」は、憲法9条の擁護、普天間基地の即時閉鎖・撤去、名護市辺野古・東村高江への新基地建設反対、後期高齢者医療制度の廃止、教科書検定意見の撤回・記述の回復など。

 上記の政策はどれも沖縄県民にとって納得のいくものばかりといえます。同時に、「本土」の有権者にとっても切実な政治要求です。憲法9条は新聞の世論調査でも変えないほうがよいとする意見が6割を超えます。沖縄に限らず、特定の自治体に「過重な基地負担を強いる日米安保体制」にも辟易しています。世論は「4党合意」を支持しているのです。

 このような合意を沖縄以外、国政選挙でも交わすよう、協議していただけないでしょうか。

 民主党の鳩山由紀夫幹事長は本年2月11日付けの読売新聞で、「早く米軍基地が、日本の領土の中に存在しないような環境ができるような準備を何年かけても行うべきでないか。もっと日本と米国とが対等な関係でなければならない」との見解を表明されています。何年もかけてといわず、次の総選挙へ向けて、野党各党と市民の間で協議を今すぐに開始するべきではないでしょうか。

 早ければ2年後の2010年には改憲発議が可能となります。来る総選挙で当選した議員が発議するかもしれないということです。したがって、各党は次期総選挙で憲法に関する考え方を示す責任があると考えます。野党には当然、憲法、特に9条に関する世論を反映した合意をしていただきたいと思います。

 小選挙区制の下では、野党が票数の上で勝ったとしても、議席数で与党に負けることがあります。民意を歪めるこのような選挙結果を防ぐためにも、候補者を一本化する必要があるのです。「4党合意」を手本にした合意が総選挙でも可能なはずです。総選挙へ向け「平和共同候補」の擁立で合意されることを、貴党にお願いいたします。

2008年7月28日

「平和への結集」をめざす市民の風

事務局長 竹村英明