衆議院選挙における野党間の選挙協力について市民として望むこと
政局は、中山成彬国土交通相の失言問題などとも絡み、新聞メディアなどの報道によれば、10月3日解散が濃厚な情勢になってきています(注:10月2日時点の認識。現時点では総選挙の時期はさらに混沌としていて予測しがたいものがあります)が、私が運営委員として参加している「『平和への結集』をめざす市民の風」(略称、市民の風。事務所所在地、東京)は、わが国の政治変革のために平和を望む市民を結集し、選挙において「平和共同候補」の擁立を求める立場から、この9月22日、民主党、共産党、社民党、国民新党、新党日本および新党大地に対して、野党間選挙協力を求める要望書を送付しました。
http://kaze.fm/wordpress/?p=233
私たち「市民の風」が求める野党間選挙協力については、政党間独自の合意として、すでに民主党、社民党間では東京6区、8区において選挙共同が成立しています(社民党の保坂展人議員(現)が東京6区から8区に移動し、社民党は6区では民主党の小宮山洋子議員(現)を推薦。また、8区においては、民主党は保坂議員を推薦し、共同して自民党タカ派の石原伸晃議員(現)の落選をめざす)。
私たち「市民の風」は、私たちの国の政治変革のために、こうした野党間選挙協力の流れが予想される総選挙の公示日までにさらに加速することを切に望んでいます。
私たちがいま、市民の立場から、野党間選挙共同の実現可能性(蓋然性)のある選挙区として注視しているのは、たとえば具体的には京都1区と東京8区、大阪10区での共産党、社民党などの政党との選挙共同です。
京都1区は共産党から穀田恵二議員(現)が立候補する予定ですが、共産党はこの京都1区を今総選挙唯一の必勝区と位置づけています。この京都1区でたとえば社民党が共産党の穀田候補を推薦する。そのバーターとして、共産党は東京8区で社民党の保坂候補、大阪10区で同党の辻元清美候補をそれぞれ推薦する。あるいは候補者を擁立しない。
いまは京都1区を中心に例をあげましたが、こうした選挙共同が各選挙区の要所で実現すれば、国会での護憲勢力は飛躍的に高まっていくことでしょう。私たちの願いはそういうところにあります。
さらに付言すれば、たとえば共産党は民主党に対しても、東京6区では小宮山候補(民主党内護憲派)を推薦し(あるいは候補者を擁立しない)、民主党はそのバーターとして京都1区の穀田候補を推薦する(あるいは候補者を擁立しない。現実問題としては、民主党はこの9月27日、京都1区で新人候補者を擁立することを決定しましたので、その実現は困難でしょうが)。こうした革新的選挙共同の流れが加速することを私たちは期待しています。
こうした護憲派市民のふつうの願いを「夢」に託して語っている人がいます。法政大学教授の五十嵐仁さんです。五十嵐さんは次のような「夢」を語ります。
「京都のホテルで総選挙の夢を見ました。四条河原町の交差点で、宣伝カーの上に何人かが並んで演説しています。/京都一区から立候補する共産党の穀田さんの演説が終わったようです。その隣には志位委員長もいます。/志位さんの隣に立っているのは、何と社民党の福島党首ではありませんか。東京8区で保坂さんを推薦してもらった代わりに、京都一区では共産党の穀田さんを推薦すると言っています。・・・」(『五十嵐仁の転成仁語』「京都で見た夢」9月21日付)。
http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2008-09-21
私たち「市民の風」が求める野党間選挙協力は、あくまでも「平和への結集」のための野党間選挙協力です。「平和への結集」をめざさない野党間選挙協力など考えてもいません。
たとえば大分県の社民党県連合は、同社民党連合代表の重野安正議員(現、比例区当選。大分2区候補者)の勝利を第一義的課題とし、「今回は何としても2区で勝たなければならない。そのためには民主党の協力が必要」(久原和弘幹事長)として、大分1区での候補者擁立を断念するとともに、改憲、「日の丸・君が代」推進派、「つくる会」熱烈支持者の民主党内最右翼のひとり、吉良州司現議員を事実上推薦する姿勢を鮮明にしました
(大分合同新聞 9月22日付)。
http://www.oita-press.co.jp/localNews/2008_122204338674.html
この決定の6日前に開かれた同社民党連合の常任幹事会では、「(民主党に)安易に協力することは、参院選で党の要請に応じて出馬してくれた人の思いを無にすることになりはしないか」との声が同党の幹部からも少なくなく出たにも関わらずです(同紙、 9月17日付)。
http://www.oita-press.co.jp/localNews/2008_122161066913.html
同社民党連合の幹部からでさえ、上記のような声が出るくらいですから、一般の社民党員、同党シンパの人たちの上記社民党県連合決定に対する不満はさらに大きなものがある、と見なければならないでしょう。実際、先の参院選で同党の推薦を受けて出馬した松本文六氏の獲得票は優勢と見られていた民主党票、そして自民党票にもまったくひけをとらないものでした(民主・社民の分裂選挙であったにも関わらずです)。
参照:「革新」からの視点=なぜ社民・民主共闘は崩れたのか 〜参院・大分選挙区
(JANJAN 2007/06/10)
http://www.janjan.jp/election/0706/0706086933/1.php
【2007年参院選結果】
自民党(公推) 礒崎陽輔 199,523(32.6%)
民主党 矢野大和 170,645(27.9%)
社民党 松本文六 140,287(22.9%)
国民新 後藤博子 63,099(10.3%)
共産党 山下魁 37,764(6.2%)
上記の参院選のとき、日頃の共産党支持者も少なくなく松本文六氏に一票を投じました。また、松本氏が地元の大きな開業医として長年培ってきた人脈から、日頃の保守党支持者も少なくなく松本文六氏に一票を投じました。その結果が上記の獲得票です。先の参院選時の松本(社民党)ムーブとでもいえる現象はなぜ起きたのか。社民党県連合がこうしたムーブが生じた原因を分析、勘案した上で、松本文六氏に限らなくとも同党の候補者を大分1区で擁立したならば、政治変革のために護憲政党の共同を志向する市民の願いにも通じて、今度は文字どおりの社民党ムーブをつくりえたかもしれません。いまの社民党県連合はあまりにも「現状維持」ということに汲々とするあまり、政治革新の展望に欠けて、人々の「信」からも見放されている、というほかないのです。私のまわりの長年の熱心な社民党支持者の少なくない人は「あと1、2回の国政選挙で社民党は潰れるだろう」と公言してはばかりません。社民党よ、いまからでも遅くない。奮起して欲しい、と私は切に思います。
いずれにしても、改憲、「日の丸・君が代」推進派、「つくる会」熱烈支持者の民主党内最右翼のひとりの候補者を社民党が実質推薦するような野党間選挙協力は私たちのめざす野党間選挙協力とは縁もゆかりもありません。
私たちが考える野党間選挙協力、野党連合は、当面の政治革新の手段としての「政権交代」の実現のために野党第一党の民主党を含みますが、「憲法9条を守るには、共産・社民を中心とする9条派がキャスティングボードを握る国会と政権を実現できなければ、憲法9条を守ることはできない」(市民の風・第4回総会『活動方針』)という考え方が根底としてあります。
なお、衆院選の比例区の投票のあり方について一言すると、「野党支持の有権者が協力して、比例区では小数野党、特にいわゆる護憲政党に投票する代わりに、小選挙区では当選可能性の高い野党候補に投票する手法」、いわゆる「選挙区すみ分け投票」を有権者が行使すれば、野党候補者の当選者数も最大化するだろうし、9条派がキャスティングボードを握る「小数野党キャスティングボード議会」も可能となるだろう(同『活動方針』)、というのが私たちの基本的な考え方でもあります。
注:上記は一運営委員としての東本個人の見解であることをお断りしておきます。
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11月 27th, 2008 at 21:07:38
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