沖縄・高江ヘリパッド建設を平和裏に中止し、 不当逮捕されたアメリカ大使館要請行動参加者2人の即時釈放を求める 『「平和への結集」をめざす市民の風』の声明

2月 27th, 2011 Posted by MITSU_OHTA @ 10:20:05
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沖縄・高江ヘリパッド建設を平和裏に中止し、
不当逮捕されたアメリカ大使館要請行動参加者2人の即時釈放を求める
『「平和への結集」をめざす市民の風』の声明

悲しいことです。
我が日本国は「政権交代」を経てもなお、名目上の「多数者」が名目上の「少数者」の生活と民主主義を奪いつづけ、なおも平然としている国家であり続けています。

沖縄東村高江地区では、6基のヘリバッド建設工事が日々強行されています。防衛省沖縄防衛局は、昨年12月から大勢の職員と下請け作業員を動員し、抗議をする住民や支援者に体当たりし、抗議者の頭上から砂利袋を投げるという、危険なことを敢えて繰り返しています。

ヘリパッドの建設はSACO合意に基づくもので、米軍が北部訓練場の半分を日本に返還する見返りに防衛省が最新ヘリパッドを6基建設して米軍に献上する、というものです。防衛省は、普天間飛行場の辺野古移設と同様に、「沖縄住民負担の軽減」だと言っています。

しかし実際は、老朽化を原因とする移設である辺野古問題と同様に、基地のスクラップ&ビルドすなわち機能の充実強化そのものです。建設中の6基のそれぞれ広大なヘリパッドは、最新戦略兵器である垂直離着陸機オスプレイのために整備されるもので、従来のヘリパッドとは比べ物になりません。それらが、僅か160人の寒村である東村高江地区の人々のくらしを、これから何十年も包囲し戦闘訓練を繰り返すのです。

「辺野古移転」は今、保守革新を問わない沖縄全県の住民意思により暗礁に乗り上げています。それに対し「高江のヘリパッド建設」は、寒村であるがゆえに人々の話題にのぼる機会もすくなく、沖縄防衛局は暴走を日々繰り返しています。意図してかしないでか不明ですが、本土マスコミも沖縄・高江のことを取り上げようとしてきませんでした。そこに住民意思を踏みにじる「建設強行工事再開」が起こったのです。

高江では連日の抗議行動によって重機作業をかろうじて食い止めています。しかし住民の皆さんは生活をかかえていますし、支援者も那覇からバスで3時間往復6千円もかかります。国費を浪費した連日100人を超える防衛局の作業員動員にはかなうべくもありません。

「高江のヘリパッド建設」を食い止めるためには、運動の全国的広がりが必要です。沖縄は1972年、「平和憲法」と「戦争放棄」の適応を求め、「基地の無い島」を目指して「本土復帰」しました。しかし39年経った今になっても、米軍基地が住民の生活と民主主義を奪っています。状況が変わらないばかりか、自衛隊の沖縄進出とともに、強化されようとしています。

「平和」「憲法」「第九条」を旗印に集まった私たち『「平和への結集」をめざす市民の風』は、こうした現状を見逃すことはできません。

去る2月23日には、WWFやグリーンピースなど環境保護団体と市民平和団体が国会議員とともに、国会内で院内集会・記者会見を開き、防衛省への要請行動をおこないました。ようやく僅かながらですが、全国メディアも「高江」の文字を報じるようになりました。

高江の集落を取り囲む6基のヘリパッド建設予定地は、世界的にも貴重な自然「やんばるの森」でもあります。防衛省の蛮行には世界中の環境保護団体が抗議の声をあげています。3月からは絶滅危惧種ヤンバルクイナの繁殖期であり、環境アセス書には重機をもちいた工事の禁止が謳われています。森に騒音をこだまさせるチェーンソーによる森林伐採が、繁殖行動を阻害することはあきらかです。それにもかかわらず防衛省は工事の中止を明言していません。

余命幾ばくも無い菅内閣は、オバマ大統領への手土産として、なにがなんでも「高江工事の進捗」が欲しいのでしょうか。

実は東京でも、報道がないものの、高江と連帯する市民の運動は地道に繰り広げられてきました。新宿ど真ん中デモなどです。2月20日には、東京のアメリカ大使館への申し入れ行動デモが計画されていました。しかしあろうことか、警視庁赤坂署は直前になって、出発場所、デモルート、解散場所のすべてを人目につかない所に変更してしまいました。

暴挙はそれだけではありません。

デモ主催者は、そのような屈辱的なデモコース変更を拒否し、新橋駅前での宣伝活動とデモではないアメリカ大使館への要請行動に切り替えました。ところが警察は、アメリカ大使館との約束があった代表者6人の申請書提出すらも、警官200人が阻止線を張って妨害しました。いきなり「解散命令」を叫び、それに抗議した市民二人を「警官に抗議した罪」によって逮捕したのです。髪をつかみ髪で体をぶら下げ、得意げに市民を連行する警察官の姿は、特別公務員暴行陵虐罪(刑法195条)の証拠として映像に捉えられています。

(同20日、髪をひっぱる中国の公安警察の姿は朝日新聞が写真入りで報じていましたが、東京霞ヶ関でおきた公安警察によるもっと酷い事実は、一行も報道されていません。添付写真参照)

私たち『「平和への結集」をめざす市民の風』は、「平和」「憲法」「第九条」を旗印に集まった者として、このような力ずくでの「なにがなんでも高江工事の進捗」を見逃すわけにはまいりません。

私たちは、
1、住民の平和な生活を脅かすヘリパッド工事の即時中止を求めます。
2、希少生物の宝庫であるヤンバルの森の破壊を認めません。
3、高江の現状は、日本の民主主義、日本の憲法の現状を象徴しています。日本のタハリール広場です。民主主義と憲法を踏みにじる暴挙を許しません。
4、2月20日に不当逮捕された2人の仲間の即時解放を求めます。
5、報道機関には、高江の現状とそれに抗議する市民の姿を国民に報道するよう求めます。
6、辺野古と同様に、沖縄の声、日本全国の声としていくために、私たちは運動に積極的に参画します

以上

2011年2月26日
「平和への結集」をめざす市民の風
http://kaze.fm/

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【参照】
沖縄・高江の状況については
高江や辺野古からの発信サイト
■やんばる東村 高江の現状
http://takae.ti-da.net/
■辺野古浜通信
http://henoko.ti-da.net/

新宿ど真ん中デモについては
■沖縄を踏みにじるな緊急アクション実行委員会
http://d.hatena.ne.jp/hansentoteikounofesta09/
など

2人の不当逮捕については
■アメ大救―2・20アメリカ大使館前弾圧救援会
http://d.hatena.ne.jp/ametaiQ/
特別公務員暴行陵虐罪の動画は
■02.20アメリカ大使館前(JTビル前)での弾圧
http://www.youtube.com/watch?v=OnwiaVSQ1ig&feature=player_embedded

環境団体の声明については
■WWF、グリーンピース、日本自然保護協会、日本野鳥の会の共同声明
http://takae.ti-da.net/e3365880.html

写真:2011年2月20日15時39分にアメリカ大使館近くのJTビル前歩道にてni0615さんが写す。
へリパッド建設中止を求めるデモの呼びかけに応じて集まった市民を警察官は髪の毛をつかんで引っ張りあげるなどして連行した。直後に警察指揮車前で抗議の声があがったが、さらに男性が連行された。特別公務員陵辱罪にも問われかねないのに、達成感に満ちた警官の表情には驚かされる。

2011年2月20アメリカ大使館前

2011年2月20アメリカ大使館前

2011年2月20アメリカ大使館前

2011年2月20アメリカ大使館前

2011年2月20アメリカ大使館前

2011年2月20アメリカ大使館前

イハ洋一氏勝利に向けた呼びかけ

11月 21st, 2010 Posted by MITSU_OHTA @ 23:31:01
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沖縄県政

安里タケシ

安里タケシ オフィシャルサイト

 
 

イハ洋一氏勝利に向けた呼びかけ

沖縄県知事選に心を寄せる皆様へ

イハ洋一候補勝利のためには気を抜けない情勢が続いていると思います。ご承知のように仲井真氏は「県内移設反対」は言明せずに県外移設をにわか作りで主張しています。このことは大変重要なことであり、「県内移設反対」を明確にしているイハ洋一候補とのスタンスの違いは明らかであると、多くの方が指摘しています。さらに最近になってイハカラーのイエローを採用したりするなど、したたかな選挙戦術を実践しています。

候補者以外の情勢では、国民新党と新党日本がイハ氏を推薦したことで、イハ票が逃げるとする見方や、投票率の低下により組織票を持つ創価学会などの影響力が際立ってくるのではないかという見方もあります。

さて、いわずもがなの感はありますが、改めてイハ氏勝利に向けて日本に住むすべての人ができると思われることを提起してみたいと思います。

1つは、沖縄にコネを持っている方がさまざまなルートで情報発信をし、沖縄の知人・友人に直接働きかけをするということです。

2つ目はインターネットの活用です。イハ公式ブログはリンク用バナーを用意しています。これをサイト、ブログに貼ることは簡単です。例えば下記をコピーして貼り付けるだけです。基調カラーをイエローにすることも考えられます。

新しい沖縄へ。伊波洋一
http://ihayoichi.ti-da.net/

<center><div style="font-size:10px;width:468px"><a target="blank" href="http://ihayoichi.ti-da.net/"><img src="http://img03.ti-da.net/usr/ihayoichi/468.jpg" width="468" height="60" border="0" alt="伊波洋一ブログ"></a><a target="blank" href="http://ihayoichi.jp/">伊波洋一</a></div></center>

上記タグを必要な箇所に貼り付けると、下記のように表示されます。

3つ目は献金です。いくつかの金融機関に加え、楽天のサイトでも献金を受け付けています。

伊波洋一オフィシャルサイト|献金のごあんない
http://ihayoichi.jp/bank.html

沖縄銀行 県庁出張所 普通1282096
琉球銀行 県庁出張所 普通177455
沖縄海邦銀行 県庁内出張所 普通0076375
沖縄県労働金庫 県庁支店 普通3218002
ゆうちょ銀行(ゆうちょから)  01740-5-122219
ゆうちょ銀行(他行から)  一七九店 当座0122219

伊波洋一(いはよういち) - 無所属 - 【楽天政治】ネットで政治献金
http://seiji.rakuten.co.jp/syllabary/info/%E4%BC%8A%E6%B3%A2%E6%B4%8B%E4%B8%80/001895

そのほかにも、沖縄県外の街頭でイハ氏勝利を呼びかけるための行動も可能です。例えば「憲法共同ネット」(http://www.cscreate.net/kenpou/)が実際に11月14日、渋谷駅前で街宣活動を行なっています(添付ファイルのチラシ参照)。11月21日に千葉県でイハ氏勝利の街宣活動を行なう千葉県民有志もいます。

投票日の11月28日まで残すところ1週間となりました。「日米安保」の負の部分を沖縄に押し付けるのは「本土人」として恥ずかしいと思います。それぞれにできることをやり切ろうではありませんか。

2010年11月21日

「平和への結集」をめざす市民の風
http://kaze.fm/

選挙制度改革について政党に聞く会

11月 1st, 2010 Posted by MITSU_OHTA @ 23:29:59
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選挙制度改革について政党に聞く会

日時:11月7日(日)午後6時より(開場:午後5時45分)

会場:文京区民センター 2A(地下鉄「春日駅」「後楽園駅」下車)
地図:http://www.b-academy.jp/faculty/c04_01_j.html?area=mainColumn

司会:河内謙策(弁護士)、北村肇(『週刊金曜日』発行人、前編集長)

政党発言
   高橋俊次(新社会党中央執行委員) 
   保坂展人(社民党前衆議院議員)  各20分
 
質疑討論

協賛団体発言 各6分

参加費:700円

主催:小選挙区制廃止をめざす連絡会(代表:佐藤和之)
    連絡先:東京都文京区本郷2-6-11 3F
         URL:http://www3.ocn.ne.jp/~syouhai/ 
         Eメール:syouhairen@utopia.ocn.ne.jp

協賛団体: 9条改憲阻止の会  草の実アカデミー  週刊金曜日
       政治の変革をめざす市民連帯
       平和に生きる権利の確立をめざす懇談会
       平和への結集をめざす市民の風

 菅直人首相は、10月1日、国会開会日の所信表明でも「国会議員の議員定数について年内に方針を」決めると述べた。昨年8月の総選挙の数字で類推すると、「衆院比例80議席削減」となれば、民主党は3分の2の議席を独占することになり(42%の得票で68%の議席獲得)、小政党は議席ゼロとなってしまう。民意の歪曲、極まりである。

 「国会議員自身が身を切る」と菅首相は言うが、一人7000万円かかる議員報酬(秘書の賃金も含む)を11%減らせば、議員80人分となる。なぜ、定数削減と短絡するのか。320億円の政党助成金を削減(廃止)すれば済むことである。各種審議会が100以上もある。議員を減らせば、関与する機会は少なくなる。官僚を国会議員が監視・指導する機会も減る。「政治主導」に逆行するものだ。イギリスの人口は日本の半分だが、下院は650議席である。国会議員の数は多くないのだ。

 選挙制度の改革について、各政党はどう考えているのか。直接、説明を聞く場を設けることにしたので、ぜひ参加して、各党への意見もぶつけて討論を起こそう。

 私たち小選挙区制廃止をめざす連絡会は9月の集会に続いて、今度は協賛団体も増やして開催します。ぜひ、参加しよう!

「議員定数削減・小選挙区制反対!」の意見広告が皆様からのカンパにより『週刊金曜日』9月3日号に続き、10月15日号にも掲載されました。
http://www3.ocn.ne.jp/~syouhai/frame/body6.html
ご協力ありがとうございました。

なお今後の活動のため、カンパは引き続き募集しています。
郵便振込:00150-6-615943  小選挙区制廃止をめざす連絡会

※連絡会の佐藤和之代表の意見「小選挙区制はこうしてなくそう」が 『週刊金曜日』10月1日号の特集「民意を消す小選挙区制」に掲載されました。
http://www3.ocn.ne.jp/~syouhai/frame/body1.html#Anchor-49575

 「平和への結集」をめざす市民の風・活動方針

10月 10th, 2010 Posted by MITSU_OHTA @ 13:54:32
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2010年10月3日の第6回総会で採択した 「平和への結集」をめざす市民の風・活動方針です。

 改憲を巡る情勢はどうでしょうか。2007参院選では、相対的に護憲派の多かった民主党が勢力を伸ばしたことで、安倍改憲の危機をしのぐことができました。しかしその後の2009衆院選では民主党内の改憲派割合が増加しています。さらに2010参院選では民主党が後退し、自民党とその分派であるみんなの党が復調・躍進したため、参院の改憲派割合は増加に転じました。民主・自民が国会の多数派である以上、改憲の危機は慢性的に続きます。

 新たな改憲ルートの開発が模索されており、注意が必要です。自民党は財政規律の確保を憲法に盛り込む意向ですが、これは国会議員の定数削減で理屈の1つに使われているのと同じ「無駄削減」という発想で、国民受けする可能性があります。自分で借金だらけの国にして、それを改憲に利用する。自党を律した方がいいでしょうに。

 一方、鳩山前首相は地域主権ルートの改憲を構想しています。「今考えられるベストな国のあり方のための憲法を作りたいという気持ちがある。必ずしも9条の話ということではなく、地方と国のあり方を大逆転させる地域主権という意味における憲法の改正だ」(2009年12月27日付読売新聞)。

 このように環境権以外にもいわゆる加憲のメニューは増えていくでしょう。

 加憲を餌にしてそれと抱き合わせでまず狙われるのは改憲発議要件の緩和であり、国会議員の定数削減と目の付け所・目的がまったく一致しています。いずれも本命改憲のお膳立てとして機能するものです。

 改憲の切迫した危機がないからといって、今それに対抗する手を打つ必要がないというわけにはいきません。財政規律や地域主権の論議は、橋下大阪府知事の人気などと相まって、改憲につながる可能性を持っています。

 また今回の尖閣諸島沖漁船衝突事件も、この事件を軍事的に処理しようとする機運を生み出しかねず、9条改憲の世論を高める危険性があります。今9条を守ろうとする勢力がこの問題を平和的に解決せよ、と関係各国の政府に強く要求するのでなければ、9条がないがしろにされ、国民の間で「最後は実力しかない。これが国際政治だ」との声が大きくなることも懸念されます。

 普天間基地問題では、民主党政権が最終的に辺野古案に回帰しました。5月28日の日米外務・防衛閣僚合意は、辺野古新基地を自衛隊と共同運用したり、思いやり予算をグアムの環境対策にまで充てたりする可能性を盛り込んでおり、自公政権の移設案よりひどい内容になっています。鳩山前首相は国民主権と地域主権を踏みにじる決断をせざるを得ませんでした。

 改憲と沖縄の基地問題は切っても切れない関係にあります。現行憲法95条は、特定の地方公共団体に対する差別的な法律の制定を阻止するために住民投票を義務付けていますが、自民党の「新憲法草案」ではこの95条がバッサリ削除されています。自民党流の改憲が実現すれば、「沖縄差別恒久法」のようなものを堂々と成立させることができるのです。

 95条削除はもちろん、沖縄や米軍基地だけの問題ではなく、あらゆる自治体に差別が及ぶ事態を可能にするもので、誰にとっても他人事ではありません。特に放射性廃棄物処分場の建設などで生きてくる可能性が想定されます。

さらに国会議員の定数削減も、まやかしの「身切り論」を弄しようが、国民主権のさらなる切り崩しであることは明瞭です。

 このように国会多数派が「差別」「民意・国民主権の切り捨て」という政治原理を貫いている以上、主権者は主権者の政治を強く求めなければなりません。

 官僚主導と政治主導の対立が演出されていますが、主権者を踏みつける主導権が別の権力に移譲されるだけでは困ります。マニフェストの一部にすばらしい政策が書かれていても、一方でかつての労働者派遣法や後期高齢者医療制度のような差別法制が制定されてはたまりません。

 主権者としてもいわば景品に騙されず製品本体に対する目を肥やさなければならないということでしょう。製品本体とは要するに民主主義のことです。製品本体政治のないところで景品政治に目を奪われると、主権者が振り回されます。「政治主導」や「マニフェスト」や「政治改革」…などを言う前に、政党は民主主義政治を誓約する必要があります。

 国会多数派は、明らかに民主主義政治と主権者に対立しています。こうした政治状況においては、民主主義政治を求めているはずの少数派諸政党の間で、政党連合を作って活動する意義は小さくないし、その条件もあるのではないか、と思われます。政党連合で合意できるのであれば、小選挙区制下においては選挙共同が有効な手段となります。

 政党連合、特に選挙共同では政党がどの範囲の個別課題で合意を得るか、それを「支持者」にどう説明するか、ということが問題とされます。しかし製品本体以外の個別課題は、「主権者」との間で個々に合意するものではないでしょうか。民主主義政治、製品本体政治の土台を固めることが優先されるべきです。

 慢性的な改憲の危機という状況の中では、安倍元首相の時のように差し迫った改憲の危機があった時に比べ、平和共同候補の重要性は強く意識されませんが、改憲の危機が差し迫った段階で平和共同候補運動に取り組んだのでは手遅れになります。

 平和への結集・市民の風は当初、少なくとも2007参院選とその後の衆院選で平和共同候補の擁立を目指すとしました。その後情勢の変化はありましたが、改憲危機の顕在化に備えるとともに、国会多数派が民主主義政治に敵対して国民要求を切り捨てている状況に対抗するため、市民が政党に選挙レベルまで踏み込んで要求していく運動の意義は、失われていません。

 従って、平和への結集・市民の風は今後も存続し、差し当たっては主として国会議員の定数削減を食い止める運動を個人・団体・政党とともに実践していきながら、さらに広範な市民・政党共同を目指していきたいと思います。

2010年10月3日

「平和への結集」をめざす市民の風
http://kaze.fm/
join@kaze.fm

普天間問題・改憲・定数削減は他人事でない

9月 21st, 2010 Posted by MITSU_OHTA @ 23:47:26
under 一般 No Comments 

 

共同声明「国会議員の定数削減に抗議する」賛同募集中

 
普天間飛行場問題と自民の「新憲法草案」、国会議員の定数削減を合わせて考えると、「差別が第一」の厳然たる政治潮流を痛感します。

現行憲法95条は、特定の地方公共団体に対する差別的な法律の制定を阻止するために住民投票を規定していますが、「新憲法草案」ではこの95条がバッサリ削除されています。これでは「沖縄差別恒久法」のようなものが国会だけで成立させることができるでしょう。

一方、民主と自民は沖縄差別に加え、国会議員の定数削減で主権格差を一層拡大しようとしています。

貫かれているのは「差別が第一」の政治です。「国民の生活が第一」とは言えても、決して「差別の解消が第一」は掲げません。

「新憲法草案」では「公益=国益」で基本的人権を制限することができるようになっていますから、95条削除などと合わせ、例えば放射性廃棄物処分場の建設強行などがやりやすくなるでしょう。

「差別が第一」は例外の政治原理ではなく、不断に深化が図られ、改憲で普遍化が狙われているものです。「差別が第一」の政治を放置すれば、「普天間問題のような差別は自分には関係のないことだ」とは言えない状況が作り出されることになります。

普天間問題・改憲・定数削減は他人事でありません。共同声明「国会議員の定数削減に抗議する」にぜひご賛同ください。
 
 
太田光征
http://otasa.net/

定量的な国会定数論――国会議員数は増やすべき

8月 18th, 2010 Posted by MITSU_OHTA @ 17:03:14
under 一般 [3] Comments 

 

共同声明「国会議員の定数削減に抗議する」賛同募集中

 
【要旨】

下記2条件を満たす国会議員数(一院の定数)は最低でもドイツ下院並みの500人台となる。

1. 政党議席占有率3%を下限に、小政党でも掛け持ちせず全委員会に委員を配置できる
2. 委員数割り当ての比例性を担保する

 
 
常任委員会定数から国会議員数を考える

現在は委員会の委員数が国会議員数よりも多いため、比較大政党でも1人の議員が複数の委員会を掛け持ちしている場合があります。民意を反映し、膨大な法案を処理しなければならない国会議員の負担を最小限に抑えるため、小政党でも掛け持ちせず全委員会に委員を配置できるくらいの国会議員数を確保することは合理的です。これが、国会議員数を決めるための1つの定量的な基準になるでしょう。

民主党は委員の専門性を高めるために複数委員会の掛け持ちを避けるべきだとして、委員会定数の削減を主張していますが、これは邪道です。少数会派を締め出すことで、国会審議の体を成さなくなる恐れがあるからです。

例として、定数35の常任委員会が17必要な場合(衆議院は定数20〜50人の常任委員会が17あり、35は定数の中間値)を考えます。国会議員数は35×17=595人が必要だということになります。これはドイツ下院定数(基本議席)の598人とほとんど同じです。

このように定数35の常任委員会に掛け持ちせず委員を配置するという条件を設定すると、現在の国会議員数は少ないといえます。
 
 
政党議席占有率の下限について
 
 
「小政党でも掛け持ちせず全委員会に委員を配置できるくらいの国会議員数を確保する」といった場合の小政党とはどのくらいの規模が適切でしょうか。あまりにも議席占有率が低い政党にもこの条件を適用すると、必要な国会議員数は膨大なものとなります。

2010参院選の結果、小政党の改選議席における議席占有率は共産が2.48%、社民が1.65%などとなっています。そこで必要な国会議員数の最低数を見極める観点から、共産のものより少し高い議席占有率3%を考えてみましょう。つまり、議席占有率3%の会派が17ある各常任委員会に最低1人の委員を持つ、という条件を設定します。

すると、委員会の最低委員数は33.3人以上、議員総数は33.3×17=566.6人以上となります。
 
 
委員数割り当ての比例性を担保する
 
 
常任委員会の適切な定数について別の条件を考えます。委員会の委員数は会派の議席占有率に応じて各会派に最大剰余法で比例配分されます。実際は、全委員会の委員数を各会派に割り当ててから、各委員会の割り当てを決めます。

委員会採決の公平性を担保するためには、ある程度の定数を確保して、委員数割り当ての比例性を担保しておく必要があります。衆院比例区ブロックのように、定数が少ないと名ばかり比例配分となります。

2010参院選で改選議席における各党の議席占有率が確定したので、これを使って委員会定数の変化で各党(会派)の委員会占有率がどう変化するかみてみましょう。共産・社民などの比較小政党では、議席占有率と委員会占有率の乖離が大きくなることは明瞭なので、比較中政党のみんなの党や公明党を例に取ります。2010参院選の結果、みんなの改選議席における議席占有率は8.26%、公明のそれは7.44%となりました。

委員会定数20では、 みんなと公明の委員数は1ないし2となりますが、委員数1の場合、両党の委員会占有率はわずか5%となり、議席占有率と委員会占有率の間にみんなの場合で3ポイント以上の乖離が発生してしまいます。

委員会定数25では、みんなの委員数は2ないし3となり、委員数3の場合は、委員会占有率が12%となり、議席占有率と委員会占有率の間にやはり3ポイント以上の乖離が発生します。公明は委員数1の場合に、委員会占有率が4%となります。

委員会定数30では、みんなと公明の委員数は2ないし3となり、委員数2の場合は、両党とも委員会占有率が6.7%、委員数3の場合は、委員会占有率が10%となります。

以上の例からして、公平な比例配分を担保するためには、委員数は最低でも30必要だと考えられます。従って国会議員数は30×17=510以上となります。
 
 
結論
 
 
まとめると、下記2条件を満たす国会議員数(一院の定数)は最低でもドイツ下院並みの500人台となります。

1. 政党議席占有率3%を下限に、小政党でも掛け持ちせず全委員会に委員を配置できる
2. 委員数割り当ての比例性を担保する
 
 
太田光征
http://otasa.net/

2010参院選――結果分析

8月 10th, 2010 Posted by MITSU_OHTA @ 19:51:15
under 一般 [85] Comments 

 

共同声明「国会議員の定数削減に抗議する」賛同募集中

 
 

2010参院選の結果分析を追々掲載していきます。

【訂正】(2010年12月31日)

表1の定数180で議席配分の計算に間違いがありましたので、訂正します。東北ブロックで自民が1減、みんなが1増、北陸信越ブロックで民主が1増、みんなが1減、四国ブロックで自民が1増、みんなが1減です。それに伴ない、議席占有率も民主が37.2から37.8に、みんなが14.4から13.9に変りましたので、本文も訂正しました。修正した議席配分表ファイルを後日アップします

【目次】

1. 定数が100に削減された場合の衆院比例区選挙シミュレーション
2. 民意を反映しない中選挙区制
3. 完全比例代表制であれば旧野党は過半数を維持できた
4. 定数削減でも身の切りようがない
 
 
 

1. 定数が100に削減された場合の衆院比例区選挙シミュレーション
 
 

まずは、今回の結果に基づいて行った衆院比例区選挙のシミュレーションです。定数180の場合と、定数が100に削減された場合の選挙結果を予想しました。

表1がその結果で、その一部を抜粋した表2を先に掲載しておきます。比例区定数が100に削減された場合の衆院選比例区シミュレーションで指摘したことが再確認できます。

 
 

表2 衆院選比例区シミュレーション:議席占有率(%)の変化
条件は表1と同じ(2010年12月24日改訂:項目「国民」と「全国一区議席数(定数180)」を追加)
民主 自民 公明 共産 社民 みんな 国民
得票率 31.6 24.1 13.1 6.1 3.8 13.6 1.7
議席占有率
(定数180)
37.8 27.8 14.4 3.9 2.2 13.9 0
議席占有率
(定数100)
41.0 29.0 14.0 2.0 1.0 13.0 0
全国一区議席数
(定数180)
58 44 24 11 7 25 3
全国一区議席数
(定数100)
33 25 13 6 4 14 1
1票の格差

(定数100)
1.00 1.08 1.21 3.96 4.98 1.36 -

 
 

表2に示したように、民主と自民は現在の定数180でも得をしていますが、定数100ではさらに得をします。特に民主は定数100で議席占有率が得票率より約10ポイント上回るようになり、全国一区の比例代表制と比べて8議席多く獲得できます。

逆に、定数100における共産・社民の議席占有率は、共産が得票率の約3分の1、社民が得票率の約4分の1となります。

比例代表制といっても現在の定数ですら名ばかりで、定数100に削減されることで比較大政党と比較小政党の格差が一層拡大するということです。1票の格差(当選議員1人当たりの得票数)は民主と社民の間で4.98倍となります。

格差は比較大政党と比較小政党の間だけに限りません。現行定数180でも、みんなの党と公明党のように得票率が互角の比較中政党の間でおかしな格差が発生します。公明対みんなの予想議席数は定数180で26対25、定数100で14対13となり、得票率で公明を上回るみんなが、議席占有率で公明を下回るという事態が発生するのです。

定数100に削減されると、この格差はわずかな得票数の変化で拡大し得ます。特に北海道ブロックと四国ブロックで公明が数万票を上積みすればさらに2議席を獲得して、得票率ではみんなを下回ったまま、16対13と議席数でみんなを上回るでしょう。

得票率と議席占有率の逆転現象はなぜ発生するのか。南関東ブロックで説明しましょう。みんなの得票率は公明の1.33倍あるので、本来であれば議席割当は公明3に対してみんな4という割合になるはずです。実際、定数180ではそうした割り当てになっています。ところが総定数100では南ブロックの定数がわずか12と少ないために、公明2、みんな2という割合になってしまうのです。北関東ブロックも同様に、定数が少ないが故にみんなが応分の議席を獲得できない。こうした理由で不利になるブロックがみんなの側に多いために、逆転現象が発生します。総定数100であっても全国一区であればこうした逆転現象は起こりません(表1)。

比例区定数の削減は単なる定数削減ではなく、選挙制度の改定そのものであり、無駄削減というすりかえで選挙制度を改定することは許されません。

比例区定数100でも共産・社民はそれぞれ2議席、1議席を獲得できるという予想ですが、新党日本と新党大地が立候補していない今回の参院選の結果を前提にしています。新党日本が次期衆院選に立てば共産・社民の議席を相当奪うと予想されるので、共産・社民の議席獲得は危うくなるでしょう。共産は東京の議席を自民に、近畿の議席をみんなに、社民は九州の議席を民主に奪われる可能性が大です(議席配分表参照)。

 
 

表1 2010参院選の結果に基づく衆院選比例区シミュレーション
[ ]内は2009総選挙の結果
( )内は2007参院選の結果(に基づくシミュレーション値)
2010参院選比例区データ使用、2005年国勢調査に基づき定数配分
議席配分表























北海道 3 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4
東北 3 3 1 0 0 1 0 0 0 0 0 0 8
北関東 4 3 2 0 0 2 0 0 0 0 0 0 11
南関東 5 3 2 0 0 2 0 0 0 0 0 0 12
東京 4 2 1 1 0 2 0 0 0 0 0 0 10
北陸信越 3 2 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 6
東海 5 3 2 0 0 2 0 0 0 0 0 0 12
近畿 6 4 3 1 0 2 0 0 0 0 0 0 16
中国 3 2 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 6
四国 1 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 3
九州 4 4 2 0 1 1 0 0 0 0 0 0 12
41 29 14 2 1 13 0 0 0 0 0 0 100
議席占有率 41 29 14 2 1 13 0 0 0 0 0 0 100
得票率 31.6
[42.4]
(39.5)
24.1
[26.7]
(28.1)
13.1
[11.5]
(13.2)
6.1
[7.0]
(7.5)
3.8
[4.3]
(4.5)
13.6
[4.3]
(-)
1.7
[1.7]
(3.0)
2.1
[-]
(-)
2.0
[0.1]
(-)
0.8
[-]
(-)
0.7
[-]
(-)
0.4
[0.7]
(-)
-
得票率x定数 - - - - - - - - - - - - -
全国一括式 33 25 13 6 4 14 1 2 2 0 0 0 100






















北海道 4 2 1 0 0 1 0 0 0 0 0 0 8
東北 6 4 1 0 0 2 0 0 0 0 0 0 13
北関東 7 5 3 1 0 4 0 0 0 0 0 0 20
南関東 8 5 3 1 1 4 0 0 0 0 0 0 22
東京 7 4 2 1 1 3 0 0 0 0 0 0 18
北陸信越 5 4 1 0 0 1 0 0 0 0 0 0 11
東海 8 6 3 1 0 3 0 0 0 0 0 0 21
近畿 10 7 5 2 1 4 0 0 0 0 0 29
中国 4 4 2 0 0 1 0 0 0 0 0 0 11
四国 2 3 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 6
九州 7 6 4 1 1 2 0 0 0 0 0 0 21
68
[87]
(85)
50
[55]
(55)
26
[21]
(25)
7
[9]
(10)
4
[4]
(4)
25
[3]
(-)
0
[0]
(0)
0
[-]
(-)
0
[0]
(-)
0
[-]
(-)
0
[-]
(0)
0
[0]
(-)
180
議席占有率 37.8 27.8 14.4 3.9 2.2 13.9 0 0 0 0 0 0 -
得票率 31.6
[42.4]
(39.5)
24.1
[26.7]
(28.1)
13.1
[11.5]
(13.2)
6.1
[7.0]
(7.5)
3.8
[4.3]
(4.5)
13.6
[4.3]
(-)
1.7
[1.7]
(3.0)
2.1
[-]
(-)
2.0
[0.1]
(-)
0.8
[-]
(-)
0.7
[-]
(-)
0.4
[0.7]
(-)
-
得票率x定数 56.8 43.3 23.5 11.0 6.9 24.5 3.1 3.8 3.6 1.5 1.3 0.7 -
全国一括式 58 44 24 11 7 25 3 3 3 1 1 0 180

 
 
 

2. 民意を反映しない中選挙区制
 
 

今回の参院選は小選挙区制とともに中選挙区制の弊害をよく示しています。民主は議席数で「惨敗」したとはいえ、比例区だけでなく選挙区全体でも得票率で自民を上回っているのです(表3)。民主が得票率で負けているのは1人区のみです。

民主は3人区と5人区で得票率と議席占有率がよく一致しているのに対して、自民は1人区以外でも、2人区から5人区のすべてで議席占有率が得票率を大きく上回りました。

2人区から5人区で、自民は得票率で民主より約12ポイント負け越しているものの、議席数では2議席、議席占有率では約5ポイントしか負け越していません。

これは、比例代表制に近い結果を出すと言われる中選挙区制が実際にはそうでないことを示しています。

2人区は、得票率に大きな開きがあっても第一党と第二党で議席を等しく山分けする論外の制度になっています。3人区も2割台の得票率で3割の議席、5人区も1割台の得票率で2割の議席を獲得できる仕掛けです。

公明が比例代表制ではなく中選挙区制を主張している理由はそこにあるのでしょう。公明は比例区得票率が13.07%ですが、5人区では得票率13.20%で1議席(20.00%)を獲得しています。定数5の中選挙区なら、公明は議席占有率で約7ポイント得をするわけです。公明は2009東京都議会議員選挙でも2人区から8人区すべてで議席占有率が得票率を上回っています。

 
 

表3 得票率と議席占有率の関係
民主 自民 公明 共産 社民 みんな 候補者計
1人区 得票数 6,659,286 8,251,162 - 1,143,783 78,792 681,995 17,598,183
議席数 8 21 - 0 0 0 29
得票率 37.84
[47.43]
(36.56)
46.89
[38.68]
(42.56)(民主との直接対決区に限ると30.57)
- 6.50 0.45 3.88 100.00
議席占有率 27.59 72.41 - 0.00 0.00 0.00 100.00
2人区 得票数 7,402,098 6,062,468 - 1,324,796 51,463 2,039,141 17,848,950
議席数 12 12 - 0 0 0 24
得票率 41.47 33.97 - 7.42 0.29 11.42 100.00
議席占有率 50.00 50.00 - 0.00 0.00 0.00 100.00
3人区 得票数 6,287,210 4,171,939 1,458,956 1,235,634 376,744 2,600,226 16,855,907
議席数 6 5 2 0 0 2 15
得票率 37.30 24.75 8.66 7.33 2.24 15.43 100.00
議席占有率 40.00 33.33 13.33 0.00 0.00 13.33 100.00
5人区 得票数 2,407,406 1,010,514 806,862 552,187 95,685 656,029 6,097,767
議席数 2 1 1 0 0 1 5
得票率 39.50 16.60 13.20 9.10 1.60 10.80 100.00
議席占有率 40.00 20.00 20.00 0.00 0.00 20.00 100.00
2

5人区
得票数 16,096,714 11,244,921 2,265,818 3,112,617 523,892 5,295,396 40,802,624
議席数 20 18 3 0 0 3 44
得票率 39.45 27.56 5.55 7.63 1.28 12.98 100.00
議席占有率 45.45 40.91 6.82 0.00 0.00 6.82 100.00
選挙区計 得票数 22,756,000 19,496,083 2,265,818 4,256,400 602,684 5,977,391 58,400,807
議席数 28 39 3 0 0 3 73
得票率 38.97 33.38 3.88 7.29 1.03 10.24 100.00
議席占有率 38.36 53.42 4.11 0.00 0.00 4.11 100.00
比例区 得票数 18,450,140 14,071,671 7,639,432 3,563,557 2,242,736 7,943,650 58,453,437
議席数 16 12 6 3 2 7 48
得票率 31.56 24.07 13.07 6.10 3.84 13.59 100.00
議席占有率 33.33 25.00 12.50 6.25 4.17 14.58 100.00
選挙区 + 比例区 議席数 44 51 9 3 2 10 121
議席占有率 36.36 42.15 7.44 2.48 1.65 8.26 100.00

 
 
 

3. 完全比例代表制であれば旧野党は過半数を維持できた
 
 

全国一区の完全比例代表制であれば、自民はたったの30議席、民主は4減の40議席となり、民主・共産・社民・国民全体で53議席となります(表4)。2007参院選で同様に計算してみると、民主・共産・社民・国民・新日全体で69議席なので(議席配分表参照)、同制度であれば旧野党はちょうど過半数の122議席を維持できたわけです。

2007参院選では旧野党系の無所属候補がかなり当選しました。中選挙区比例代表併用制のように、無所属候補を当選させた上で、総定数の残りに比例代表制を適用して政党に議席を配分する方式で計算してみると、無所属全体が計7議席で、うち旧野党系が5議席、民主・共産・社民・国民・新日全体が65議席だから、旧野党系全体は70議席となり(議席配分表参照)、やはり旧野党系が今回の参院選の結果(無所属の当選がゼロなので53議席)と合わせて過半数を維持できたことになります。

 
 

表4 全国一区完全比例代表制だった場合の獲得議席数
議席配分表















完全比例代表制 議席数 40 30 16 7 4 17 2 2 2 1 0 0 121
議席占有率 33.06 24.79 13.22 5.79 3.31 14.05 1.65 1.65 1.65 0.83 0 0 -
現行比例区得票率 31.56 24.07 13.07 6.10 3.84 13.59 1.71 2.11 2.01 0.84 0.71 0.39 -

 
 
 

4. 定数削減でも身の切りようがない
 
 

「国会議員」はしきりに身を切りたがっています。消費税増税などの負担を国民に求めるのであれば、国会議員自ら身を切る必要があり、なぜかそれが国会議員定数を削減することなのだといいます。

(国会議員の定数削減について)「まず議員が自ら身を切る姿勢で、できるだけ年内に実現できるテンポで議論を進めてほしい」(菅直人首相、 8月2日、衆院予算委員会)

「『国民に負担を求める前に、まずは国会議員や官僚が身を切るべきだ』との国民の声に真摯に応えていく決意」(みんなの党2010選挙公約)

「年金、医療、介護の抜本改革の財源として消費税を否定しないが、物事に は順番がある。国民にお願いする以上、まずはわれわれ国会議員の定数を思い切って削減していく」(樽床伸二民主党国会対策委員長、7月6日、松山市の街頭演説)

「隗より始めよ、自分たちの身を切ることなしに全てのことは始まらない」(樽床伸二民主党国会対策委員長、7月6日、埼玉県さいたま市内の集会)

消費税の負担ごときで身を切る必要があるなら、沖縄に米軍基地の負担を押し付けておいて平気でいられるはずはありません。切腹したいのではないでしょうか。

しかし、菅直人首相は6月11日の所信表明演説で「沖縄を襲った悲惨な過去に思いをいたすとともに、長年の過重な負担に対する感謝の念を深めることから」と述べ、身を切るどころの覚悟ではありません。この落差は沖縄に対する差別とともに、「身切り論」がまやかしであることを示しています。

そもそも、定数削減で比較大政党の現職議員が身を切ることはありません。

今回の参院選では新人が55人も当選しました。2007参院選でも新人当選者は65人ですから、現在の参院は計120人の新人議員がいることになります。2009衆院選でも新人当選者は158人もいます。従って新人は衆参計で278人となり、総定数の38.5%を占めます。

選挙ごとに新人議員の当選者数は異なるでしょうが、この278人、38.5%が一応の目安となるでしょう。

自民公約のように衆参で計3割削減したとしても、新人の擁立者数を減らせばよいだけだから、比較大政党の現職議員が身を切ることはないのです。

衆院で180議席、参院で142議席減らすというみんなの党の案なら身を切ることも可能でしょうが、新党改革の半減案とともに正気の沙汰ではありません。

参院の第一種常任委員会は計11あり、議員は複数の委員会を掛け持ちできません。みんなの党の案に従って定数が242から100となれば、各委員会の定数はわずか9人前後となります。

さらに、定数削減で小政党の議席が減少すれば、小政党が参加できない委員会の数は一層増加します。これでは民意を反映したまともな委員会審議などできません。

定数削減という身切り論に国会の民主主義機能を向上させるなどという発想はまったくなく、勢力が弱小な政党ほど多くの削減数を主張して人気取りを図り、保守比較大政党以外の比較小政党を排除しようとしているだけです。

身を切られるのは比較小政党であり主権者です。敵対党と主権者の身を切るから消費税を上げさせてくれという理屈は成り立ちません。

 
 

太田光征
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