2012年総選挙:社民党の公約

12月 5th, 2012 Posted by sa104927 @ 17:27:19
under 2012年衆議院選挙マニフェスト , 2012年衆議院選挙 No Comments 

社民党の公約と検討

社民党Officialweb    http://www5.sdp.or.jp/

社民党は11月29日、「全ての若者に『ホーム』(失敗してもいつでも帰れる拠点、安心できる居場所)を」と提言する「社民党若者アクションプログラム」(PDFファイル)をとりまとめた。
http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/data/121129youth.pdf
この構成は、
1.はじめに〜今、必要な新しい「ホーム」〜
2.総論
3.各論
?職場(しごとを「ホーム」に)
?居場所(こころを「ホーム」に)
?住居(住まいを「ホーム」に)
?ゆるやかな家族(家族を「ホーム」に)
?教育・子育て(地域を「ホーム」に)
4.アジアとの共生(アジアを「ホーム」に)
5.あとがき〜若者問題は、もはや”若者”問題じゃない〜
から成り立っている。
雇用不安やさまざまの社会のゆがみに苦悩する若年層にしぼって、政策的課題をまとめたことは
社民党の努力が感じられる。

公約本来に戻ると、社民党は、「社民党の7つの約束」と題して以下の項目をあげている。

1.サヨナラ原発 、 エネルギーシフトで原発ゼロ!
原発稼働は直ちにゼロ、脱原発基本法を制定し、脱原発社会を実現します。

2.まだ間に合う!消費税増税のストップ
「消費税増税法」廃止案を制定し、消費税増税を撤回させます。

3.ストップ TPP参加
農業や暮らしを壊すTPPへの参加を許しません。

4.オスプレイ配備反対、アジア外交の再建
オスプレイ配備に反対し、低空飛行訓練をやめさせます。

5.いまこそ、人間らしい働き方を
雇用を増やし、所得を安定させ、個人消費を活性化し、内需主導経済に転換します。

6.「人間の復興」の実現
被災者一人一人に根ざした「人間の復興」を実現します。

7.平和憲法は変えさせない
平和憲法は変えさせません。

また、「社民党の7つの提案」として
? 農林水産業再生
? 環境・みどり
? 「地域力」アップで創造的地域社会の実現
? いのち セーフティネットを充実
? 住宅セーフテイネットを確立
? 「子ども・若者・女性」人生丸ごと応援
? 地域から始まる「このくにのかたち」

なお、社民党の公約は、全文が60ページを超える詳細なものである。そのエキスをわかりやすく人間的な表現で提示している。このような公約の社民党が、国会で減少に減少を重ねて、一桁ということは何を意味するのか。脱原発でも、原水禁の積極的な取り組みで、政党の中では最も熱心に市民運動を後押しして取り組み続けてきた。護憲や沖縄県のアメリカ軍の横暴にも、明確な意思表示をおこなっている。その社民党が、国会で中心的なイニシアチブをとっていない現実が、いまの社民主義の現状をも反映している。社民党は、維新の会や自民党、民主党と現実政治でどう対抗しどう動くのか。おそらく現実の政界で、国民が支持する政治的言動の一貫性を保つことが必要だろう。維新や自民、民主と地方自治体首長選挙での共闘は、中央政界での政治行動との一貫性を問われる。

櫻井智志

2012年総選挙:日本共産党の公約

12月 5th, 2012 Posted by sa104927 @ 17:25:53
under 2012年衆議院選挙マニフェスト , 2012年衆議院選挙 No Comments 

日本共産党の公約について
日本共産党が、脱原発を掲げながら、脱原発を党是として大同団結した新党「日本未来の党」と、どのように関わっていくか。そのような問題意識をもって、日本共産党の公約に関心をもった。原発にしぼる前に、全体の公約について俯瞰してみよう。もともとの「総選挙政策−日本共産党の政策」
http://www.jcp.or.jp/web_policy/html/2012-senkyo.html
では、40もの項目にわたる詳細な政策の積み重ねがある
ここでは、「総選挙政策 日本共産党の改革ビジョン」について検討したい。

総選挙政策 日本共産党の改革ビジョン 60年続いた「自民党型政治」のゆがみを断ち切り、「国民が主人公」の新しい日本を  「提案し、行動する。日本共産党」の躍進を訴えます - 日本共産党の政策
http://www.jcp.or.jp/web_policy/2012/11/20121126-1.Html   2012年11月26日 日本共産党

《目次》
?総選挙にあたって、国民のみなさんに訴えます
1、デフレ不況からどう抜け出すか――国民の所得を増やし、内需を活発にする
2、社会保障充実と財政危機打開――「消費税増税に頼らない別の道」を提案します
3、「即時原発ゼロ」の実現を――エネルギーと日本経済の未来をひらきます
4、TPPに絶対反対を貫き、主権を尊重する互恵・平等の経済関係を広げます
5、東日本大震災からの復興、国民のいのちと生活を守る災害対策に転換します
6、「いじめ」問題を解決し、競争教育をただし、教育への政治支配に反対します
7、米軍基地の異常をただし、安保条約を廃棄し、対等・平等の日米関係を築きます
8、領土紛争の解決は、歴史的事実と国際的道理に立った冷静な外交交渉で
9、小選挙区制廃止、民意が正しく反映する選挙制度に。政党助成金は廃止します
10、憲法改悪を阻止し、平和・人権・民主主義の原則を国政の全分野に生かします
いまこそ、「政党らしい政党」――日本共産党を大きく躍進させてください

この中で、原発に関わる3について見てみたい。改革ビジョンは、基本政策よりも簡潔にまとめてあるので、全文を掲載した後に、若干の感想を述べることとする。

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3、「即時原発ゼロ」の実現を――エネルギーと日本経済の未来をひらきます

日本共産党は、9月に「即時原発ゼロ」の提言を発表し、「再稼働反対」「原発なくせ」「いますぐなくせ」という、首相官邸前から全国各地に広がった広範な市民の運動と連帯し、行動しています。
政府も「過半の国民は原発に依存しない社会の実現を望んでいる」と認めざるをえなくなりました。ところが、口では「原発ゼロ」とか「脱原発依存」といいながら、大飯原発の再稼働を認め、大間原発の建設を再開し、新しい核燃料を作るための使用済み燃料の再処理をすすめるなど、現実には、原発推進政策を続けています。
国民の安全よりも、財界のもうけを優先させる「自民党型政治」に、国民のいのちを託すことはできません。
すべての原発からただちに撤退する政治決断を求めます
日本共産党は、つぎの諸点をふまえ、「即時原発ゼロ」の実現を提案します。
(1)原発事故の被害はなお拡大を続けており、二度と原発事故を起こしてはなりません。
(2)原発稼働を続ける限り、処理方法のない「核のゴミ」が増え続けます。
(3)原発再稼働の条件も、必要性も存在しません。
(4)国民世論が大きく変化し、「原発ゼロ」は国民多数の願いとなっています。
このように、ただちに原発の危険を除去する必要性、緊急性がいっそう切実になっています。

●日本共産党は、次の諸点を政府に求めます。
――すべての原発からただちに撤退する政治決断を行い、「即時原発ゼロ」の実現をはかること。
――原発再稼働方針を撤回し、大飯原発を停止させ、すべての原発を停止させたままで、廃炉のプロセスに入ること。
――青森県六ケ所村の「再処理施設」を閉鎖し、プルトニウム循環方式から即時撤退すること。
――原発の輸出政策を中止し、輸出を禁止すること。
「即時原発ゼロ」は可能です
過渡的な緊急避難として、火力での電力確保が必要ですが、その時期は5〜10年程度とし、その間に、再生可能エネルギーと低エネルギー社会への移行をはかります。
原発推進勢力は、原発をなくせば、経済も社会も大混乱するかのように言っています。しかし、国民は、全原発の停止も体験しましたが、推進勢力が言う混乱は何も起きませんでした。
電力不足は起きなかった……「猛暑の夏」を原発なしで乗り切りました。関西電力も、大飯原発を稼働しなくても電力は足りたことを認めました。
原発こそ高コスト……「コストが高くなる」と原発推進勢力は言いますが、再生可能エネルギーは、大規模な普及と技術開発がすすめばコストは大幅に下がります。原発こそ、いったん大事故が起きれば、ばく大な経済的損失が発生し、電力会社の負担も巨額になります。
再生可能エネルギーへの転換で、日本経済と産業の新たな可能性を開きます……再生可能エネルギーの潜在量は、原発の発電能力の約40倍にものぼります。ドイツでは、原発関連の雇用は3万人ですが、再生可能エネルギー関係は38万人です。雇用効果も、地域経済への波及効果も、原発よりはるかに大きな可能性をもっています。
エネルギーの国産化で「資源のない国」からの転換がすすみます。再生可能エネルギーは、これからもさまざまな分野で技術開発、実用化がすすめられる産業であり、技術革新の大きな起爆剤になります。

●電力体制の改革にただちに着手します……発送電の分離など、再生可能エネルギーの大規模普及にふさわしい電力供給体制の改革をすすめます。
福島の被災者支援と復興に、総力をあげて取り組みます
政府が昨年12月に行った福島原発事故「収束宣言」を撤回させます。賠償と除染、生活支援、復興支援で、不当な「線引き」をせずに、すべての被災者・被害者を対象にすることを求めます。生活と生業(なりわい)が再建され、希望する人が故郷に帰り、命と健康を守る医療や介護、子どもたちの教育を保障し続け、「原発事故前の安全・安心の福島県」をとりもどすまで、そのすべての過程で、国の責任で復興を支援します。
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【所感】
日本共産党は、「自民党型政治」との対決を今回の衆院選の基本的姿勢としている。確かに、原発問題で、原発必要を訴える「維新の会」の石原慎太郎代表や自民党の安部晋三総裁は、明確な原発依存派と言えるだろう。また現政権の野田民主党も、あいついで変転している。脱原発を年度を決めて、実施する方針で有識者に脱原発に関するプランをまとめさせながら、ついに中座させ、今も言葉では脱原発の3文字を残しつつ、実態として、福島原発被災者救済の現実的プログラムはあまりに遅々としている。野田民主党政権も、ほぼ「自民党型政治」の亜流と言っても言い過ぎではあるまい。
「日本共産党の政策」のなかで、市民派との共闘について、述べた箇所がある。事実、日本共産党は、脱原発全国連合官邸前再稼働反対行動や脱原発1000万人署名アクション行動大集会などに側面から共闘し、闘い続けた。
これらの集会などの記事は、初期の内から「しんぶん赤旗」日曜版などでも丁寧に報道してきた。
では、これらの抗議行動や大集会のなかで作家の大江健三郎氏や鎌田慧氏などの知識人らをはじめ脱原発基本法制定全国ネットワークが、脱原発基本法を上程し、市民運動と議会運動とを両輪として、脱原発の闘いを構想して取り組んでいることに、日本共産党はどのようなスタンスで対応するのだろうか。このことは、脱原発基本法制定全国ネットワークをほぼ同様の母体として、東京都知事選挙に有力な日弁連の宇都宮健児氏が立候補したことや、嘉田滋賀県知事を代表として、脱原発を実現化しあわせて日本全土の環境保護とを合わせてめざして、新党「日本未来の党」を結成し、民主党、自民党に続く現有国会議員勢力第3党が起動しはじめたこととも関連する。
日本政党史上最長の伝統をもつ日本共産党が、他党に合流したり名称を変えたりすることを要求しているわけではない。「自民党型政治」と闘う際に、もっとほかの脱原発勢力の市民運動や政党との共同闘争路線を提起すべきではないのか。共産党自身の公約の内容自体が、日本共産党一党の政治的実践力で実現するとは到底思えないことがらが公約に記載されている。脱原発ゼロそのものが、実現するためには、脱原発勢力の総力を結集して、「市民党型政治」と闘うのでなければ、実現は無理としか思えない。
もっとも民衆のために闘い続けてきた日本共産党が、今の福島原発による理不尽な不幸を自らの責任とは全く無縁な凶暴な人為的欠陥を機縁とした大災害のために、貴重な人生に多大な不幸を背負った苦悩を詳細に理解して、救済策を提示している。それを「実現するために」広範な脱原発の本物の闘争的主体としての市民運動や政党、政治団体と共闘することを、もっと打ち出してよいのではあるまいか。それは、総選挙後に提起する準備があるとしたら、大いに期待して応援したい。できれば、
総選挙闘争のさなかにでも提案されんことを切望する。そのように強く感じた。

櫻井智志

2012年総選挙:自民党の公約

12月 5th, 2012 Posted by sa104927 @ 17:24:18
under 2012年衆議院選挙マニフェスト , 2012年衆議院選挙 No Comments 

        2012年総選挙自民党公約の検討

  http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/seisaku_ichiban24.pdf

自民党の公約は、Action1から4までの簡潔なアピールと詳細な「自民党政策BANK」から成り立っている。

まず、復興。ふるさとを、取り戻す。
アクション1 経済再生 経済を取り戻す。危機的状況に陥ったわが国の「経済」を立て直す。
アクション2 教育再生 教育を、取り戻す。危機的状況に陥ったわが国の「教育」を立て直す。
アクション3 外交再生 外交を、取り戻す。危機的状況に陥ったわが国の「外交」を立て直す。
アクション4 暮らしの再生 安心を、取り戻す。一つひとつ暮らしの不安を払拭し、「安心社会」をつくります。

 しかし、四つのアクションと自民党政策バンクとは、中頃から対応していない。
以上のテーマに留意しつつ、「自民党政策BANK」で、検討すべきと考える問題を次に列挙していきたい。主に問題点を記したので、政策のすべてを否定的にとらないよう留意されたい。列挙した問題以外にそれぞれのテーマに即した具体的な対応策も記述されている。

○まず、復興。
震災からの復旧・復興の加速
・大震災など非常事態に対応した「国家緊急事態体制」を整備します。
事前防災を重視した国土強靱化
・北海道・東北、北陸信越、中国、九州交流圏など、太平洋側の経済的機能などをバックアップする日本海国土軸の形成を促進します。

○経済再生
日本経済の新しい姿
・5年間の集中改革で、「世界一企業が活動しやすい国」「個人の可能性が最大限発揮され、雇用と所得が拡大する国」を目指すと同時に、海外投資収益の国内還元を日本の成長に結びつける新たな国際戦略(「産業投資立国」)を進めます。
デフレ・円高対策
・財務省と日銀、さらに民間が参加する「官民協調外債ファンド」を創設し、基金が外債を購入するなど様々な方策を検討します。
大胆な規制緩和
・戦略分野ごとに企業の活動のしやすさを世界最先端にするための「国際先端テスト」を導入します。ニッポン産業再興プラン
・日本の立地闘争力の復活に向け、円高・デフレ対策とをあわせてイノベーション基盤の強化や法人税の大胆な引き下げを行います。

○教育
教育・人材育成
・道徳教育の充実、高校で新科目「公共」設置、「土曜授業」の実現や、悉皆(しっかい)の「全国一斉学力テスト」の継続
・現在の単線型でなく多様な選択肢(複線型)を可能とするため、6.3.3.4制の見直しにより、「平成の学制大改革」を行います。
・いまだに自虐史観や偏向した記述の教科書が多くあります。教科書検定基準を抜本的に改善し、あわせて近隣諸国条項も見直します。
・いじめ問題でも明らかになった、現行の無責任な教育行政システムを是正するため、首長が議会の同意を得て任命する「常勤」の「教育長」を教育委員会の責任者とするなど教育委員会制度を抜本的に改革します。
・教員の政治的中立を徹底するなど、適正な教育内容を確保し、教職員組合の適正化を図ります。
科学技術・文化政策・スポーツ立国
・2020東京オリンピック・パラリンピックの被災地での競技開催、キャンプ地の全国展開を実現します。

○外交・安全保障
外交。安全保障
・憲法改正により自衛隊を国防軍として位置づけます。
・統合運用を進め、自衛官と文官の混合組織への改編、部隊運用組織の統合など防衛省改革を推進します。
・米国の新国防戦略と連動し、抑止力を高めるため、日米防衛協力ガイドライン等を見直します。
・尖閣諸島の実効支配を強化し、島と海を断固守ります。

○社会保障
国民のニーズに応えられる財政の確立
・消費税(当面10%)を含む行財政抜本改革の一層の推進により、財政の配分整備を回復します。
政権交代後、急激に肥大化した生活保護の見直し、公務員総人件費の抑制
社会保障に関する基本的な考え方
・人生100年時代を見据え、高齢者の雇用機会の場をつくり、生涯現役社会を実現します。
医療
・患者意志(リビングウィル)の尊重と看取りの充実を図ります。
雇用
・経済のグローバル化や活力ある社会に対応した労働環境の整備を進めます。
生活保護の見直し
・不正受給者には厳格に対処します。
・自治体における現金給付と現物給付の選択的実施など抜本的な見直しを行います。
○エネルギー
・原子力の安全性に関しては、独立した規制委員会による専門的判断をいかなる事情よりも優先します。原発の再稼働の可否については、順次判断し、全ての原発について3年以内の結論を目指します。安全性についは、原子力規制委員会の専門的判断に委ねます。
・遅くとも10年以内に将来にわたって持続可能な「電源構成のベストミックス」を確立します。
○地方の重視・地域の再生
・「道州制基本法」の早期制定後、5年以内の道州制導入を目指します。
・消費税の転嫁円滑化のための取り締まり強化を推進します。
・郵政三事業のヤニバーサルサービスの確保を図ります。
○農林水産業
・競争力のある「攻めの農林水産業」を展開します。
○TPP
・「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、TPP交渉参加に反対します。
○政治・行政・公務員改革
・衆議院議員の定数削減については、三党合意に基づき、次期通常国会終了までに結論を得た上で必要な法改正を行います。
・地方公務員にも、国家公務員と同様に罰則を附し、一定の政治活動を規制する地方公務員法の改正を行います。
○インターネット選挙の解禁
・「インターネット利用選挙解禁法案」を制定します。

○憲法改正
「憲法改正」
・自衛権の発動を妨げないこと、国防軍を保持することを明記
・憲法改正の発議要件を衆参それぞれの過半数に緩和

【所感】
脱原発やTPP、消費増税については自民党ならではの保守性が顕著である。自民党の政策を読み、最大の特徴は「憲法改正」である。軍国主義大国に向けての明確な舵取りの「憲法改悪」の表明であり、総選挙において、憲法についての争点化がなされないと、似たようなカモフラージュされた原発や消費税、TPPだけでは、本音の正体を問う大問題としての「日本国憲法改悪」問題が、選挙後に亡霊のように国民を震撼させる危機的事態が現実に起きてくることを懸念する。

櫻井智志

「維新八策」こそリセットが必要

9月 6th, 2012 Posted by MITSU_OHTA @ 19:33:19
under 2012年衆議院選挙マニフェスト No Comments 

衆院定数を半減 「維新八策」最終案
http://www.nikkei.com/article/DGXNASHC3103B_R30C12A8000000/?dg=1

pdfはこちら
http://oneosaka.jp/news/120831%20%E7%B6%AD%E6%96%B0%E5%85%AB%E7%AD%96.pdf

コメント(青字)を随時、追加していきます。

政党綱領・マニフェストは、何を盛り込んでいないかということにも重要な意味があります。それをいわば裏維新八策として、維新八策コメントの後に指摘してあります。これも随時追加します。

それにしても、維新八策は経済同友会の提言と本当に似ている。

経済同友会の倒錯した1票格差・選挙制度論
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/298745991.html

実現不可能と批判を受けた衆議院定数半減や、選挙で不利とみられる環太平洋経済連携協定(TPP)(交渉)参加などについて表現を変え、維新八策に代わる新たな綱領を作成するという。早くもリセットするということだ。タイトルの通りになった。

石原新党が立ち上がり、日本維新の会と選挙で連携する見通しだ。橋下氏は「原発政策、TPP、消費税の問題、僕と石原都知事の考え方は、対極にあるんじゃないかと言われるが、そうではない」(2012年10月25日、TBS)と語っている。次期「維新八策」は原発維持などを含む石原新党の政策と近くなるだろう。

「橋下氏“石原氏のパワーないとできない”」
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye5165166.html

日本再生のためのグレートリセット

これまでの社会システムをリセット、そして再構築

給付型公約から改革型公約ヘ

今の日本、皆さんにリンゴを与えることはできません。リンゴのなる木の土を耕し直します

→経済成長しなければ収入が増えないと言いたいのだろうが、リンゴは既になっている。配分が不公正なだけ。

大阪維新の会

維新が目指す国家像

大阪維新の会の理念は、個人の自由な選択と多様な価値観を認め合う社会を前提に、

・自立する個人

・自立する地域

・自立する国家

を実現することです。

そのためには、国民全員に開かれた機会の平等を出発点として自助、共助、公助の範囲と役割を明確にすること、公助から既得権を排し真の弱者支援に徹すること、そして現役世代を活性化し、世代間の協力関係を再構築することが必要です。

多様な価値観を認めれば認めるほど

決定でき、責任を負う民主主義

決定でき、責任を負う統治機構

を確立しなければなりません。

→マスメディアと一体の「決められない政治」キャンペーン。実態は消費増税など、民主・自民・公明が望む政策だけ民意を無視してサクサク決定する「決められる非民主政治」。維新の狙いは、政治家の民主主義責任を放免して重要法案を人質とした政局政治を許し、国民主権を制限して、特定政治勢力に権限を集中させるということ。「決定でき、責任を負う原子力安全・保安院」を押し付けるようなもので、責任などとらない。大阪維新の会はこの間、福島原発事故の政治責任者の追及をしてきたか。

中央集権と複雑な規制で身動きが取れなくなった旧来の日本型国家運営モデルは、もはや機能せず、弊害の方が目立つようになっています。今の日本を覆う閉塞感を克服し、国民の希望を取り戻すには、国からの上意下達ではなく、地域や個人の創意工夫によって社会全体を活性化し、グローバルな競争力を持つ経済を再構築する必要があります。そのためには国民の総努力が必要です。

→大阪市教育行政基本条例こそ上意下達を体現したもの。世界一の対外債務、国内の個人金融資産1400兆円、企業内部留保300兆円を有する日本の優先課題は、「国民の総努力」などでなく、金持ち・大企業が持つ資産を低所得者に還元する格差解消。

大阪維新の会の理念を実現するために、維新八策を提案する。

1.統治機構の作り直し〜決定でき、責任を負う統治の仕組みへ〜

【理念・実現のための大きな枠組み】

中央集権型国家から地方分権型国家へ

・難問を先送りせず決定できる統治機構

・自治体の自立・責任・切磋琢磨(せっさたくま)

国の役割を絞り込み、人的物的資源を集中させ外交・安全保障・マクロ経済政策など国家機能を強化する

→地方分権といいながら、沖縄に米軍基地を押し付け、米軍基地を全国拡散させる中央政治を聖域化。軍事・外交を中心に無責任な中央政治に地方が物を言えなくする仕組み。橋下市長の脱原発住民投票を拒否する姿勢にもよく表れている。国と地方の役割分担をいうならなおさら、自治体差別立法を抑止するための憲法95条の徹底実現が必要だが、95条に対する言及がまったくない。

・内政は地方・都市の自立的経営に任せる

・国の仕事は国の財布で、地方の仕事は地方の財布で

・倒産のリスクを背負う自治体運営

・国と地方の融合型行政から分離型行政へ

【基本方針】

首相公選制(人気投票的になることを防ぐ方法を措置)

究極の小選挙区制。小選挙区制がコンドルセのパラドックスによって民意を反映しないことも知らず、民主主義を真面目に考えていない証左。

現在の参議院廃止を視野に入れた衆議院優位の強化

→衆議院と参議院が「ねじれ」ていれば決められないのは当たり前とし、政治家の「民意に従う」べき責任を放免するもので、民主主義の深化を意図していない。民意に反してサクサク決定することが責任だとするもの。

首相公選制とバランスのとれた議会制度

→国権の最高機関が国会。主権者の代理たる国会議員の権限を弱体化し、民意を反映しない小選挙区制で選出した首相の権限を強化するもの。

国会の意思決定プロセスの抜本的見直し

→国権の最高機関たる国会、主権者の代理たる国会議員の権限を弱体化する試み。

政府組織設置に関し、法律事項から政令事項へ

→官僚権限の強化。原子力規制委員会人事を政府・官僚だけで決定するようなもの。

道州制を見据え地方自治体の首長が議員を兼職する院を模索(国と地方の協議の場の昇華)

→道州制は自治体の中央集権化で、お殿様志向の非民主的人物が好む体制。首長も選挙制度の名に値しない小選挙区制で選出されるので、全国民を代表する代議士とは程遠い。

条例の上書き権(憲法94条の改正)

→これでは「外交・安全保障・マクロ経済政策の中央集権化」と矛盾しますよ。

地方財政計画制度・地方交付税制度の廃止

消費税の地方税化と地方間財政調整制度

→消費税の是非を抜きにして権限を自分とこに持ってきますよと。消費税収入が多く、橋下さんがお殿様に就く(?)「大阪都」などが覇権を握り、自治体間の対立が激化するだろう。自己中お殿様の力がありがたがられる。第三者的な調整機関なしにどうやって調整する。

・自治体破綻制度の創設

都市間競争に対応できる多様な大都市制度=大阪都構想

→あからさまな大都市優遇制度。小都市はどうなる。

・道州制が最終形

2.財政・行政・政治改革〜スリムで機動的な政府へ〜

【理念・実現のための大きな枠組み】

・役人が普通のビジネス感覚で仕事ができる環境の実現

・簡素、効率的な国会制度、政府組織

・首相が年に100日は海外に行ける国会運営

・持続可能な小さな政府

【基本方針】

・大阪府・市方式の徹底した行財政改革

・外郭団体、特別会計の徹底見直し

・無駄な公共事業の復活阻止

・密室の談合を排した行政プロセスの可視化

・行政のNPO化、バウチャー化→行政サービスの主体を切磋琢磨させる

・国会、政府組織の徹底したICT化

・プライマリーバランス黒字化の目標設定

国民総背番号制の導入

→中央集権化のため。

歳入庁の創設

→国民総背番号制の導入、中央集権化のため。

衆議院の議員数を240人に削減

→国会の民主的機能を貶める「世界に対する恥さらし、国民に対するポピュリズム宣言」。
→東京新聞が分かりやすく指摘している。政府に議員(現在、与党から74人)を入れると、与党の国会議員が足りなくなる。

・議員スタッフ機能の強化

歳費その他の経費の3割削減

→現在の歳費の多くが政策経費に使われている。歳費を個人所得分と政策経費分に分けるべき。

企業・団体献金の禁止、政治資金規正法の抜本改革(全ての領収書を公開)

→橋下市長は選挙資金として企業献金を受けると公約。早くも民主党批判できない立場に。

橋下市長 “企業献金受けとる”早くも「維新八策」と食い違い
http://blog.livedoor.jp/woodgate1313-sakaiappeal/archives/17373212.html

→政治資金パーティー券の企業・団体への販売は容認、という大矛盾ぶり。パーティー券は、電力会社が74年に「公共事業を行う会社としてふさわしくない」として企業献金廃止を宣言した後も、政党に影響を与えてきた手段。
企業・団体献金受け取らず=日本維新、規約に明記−橋下氏(2012/09/19)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012091901100

→松井一郎幹事長が早くも政治資金規正法違反で告発された。松井氏が大阪府会議員時代に元秘書の給与相当分を松井氏が社長の電気工事会社「大通」から支払っていたか、同社から同秘書の派遣を無償で受けていたが、政治資金報告書に不記載である点が同法違反であるというもの。
松井府知事 違法献金発覚!(日刊ゲンダイ)
http://www.asyura2.com/12/senkyo137/msg/646.html
上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場 : 「日本維新の会」幹事長・松井一郎大阪府知事らを政治資金規正法違反容疑で刑事告発!
http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51692438.html

政党交付金の3割削減

→政党を助成する必要などない。民意を反映した選挙制度で選出した議員に十分な政策経費を支給すればよい。
→地方の自立と言いながら、「政党交付金という形で(国が)政党を支援する。この仕組みは絶対に必要だ」(上記09/19付時事)
→自民党の安倍晋三総裁が支部長を務める自民党山口県第4選挙区支部で、2009〜10年の政治資金からキャバクラ代など108万円を支出していた。収入は約1億9239万円で、うち2950万円が政党交付金だから、政党交付金からはキャバクラ代などとして約17万円が支出されていたことになる。正当な活動に使われる保証がない政党交付金は廃止すべき。
「自民・安倍総裁の政党支部、政治資金からキャバクラ代」(朝日新聞、 2012年10月9日)
http://www.asahi.com/politics/update/1009/SEB201210090001.html

・地域政党を認める法制度

ネットを利用した選挙活動の解禁

→自分の政治団体はさっさと「政党要件」獲得のため既成政党からの引き抜きに勤しむが、政党と無所属候補、政党と政治団体の間の格差、主権者の主権を制限する差別・反民主主義体系たる公職選挙法そのものを問題にしないところが、維新の本質。

3.公務員制度改革〜官民を超えて活躍できる政策専門家へ〜

【理念・実現のための大きな枠組み】

・公務員を身分から職業へ

・倒産のリスクがない以上、人材流動化制度の強化

・省益のためでなく国民全体のために働く行政組織

・厳しくとも公の仕事を望むなら公務員に

【基本方針】

・大阪府・市の公務員制度改革(頑張ったものは報われる、能力、実績主義、職位に見合った給料)を国に広げる

・官民給与比較手法(総額比較)の抜本的改正、人事院制度の廃止

地方公務員も含めた公務員の総人件費削減

→財政問題のすり替え。適正な人件費の検討は常に必要だが、公務員人件費の削減より大企業・金持ちに対する課税強化(昔に戻すだけ)による税収増の方が大。

議会の定数削減ではなく、まともな議員を多くすることで、支出の無駄を許さないことの方が財政健全化に貢献する。

大阪府・市職員基本条例をさらに発展、法制化

「(職員が)市長の顔色をうかがわなくて、誰の顔をうかがうんですか」(橋下市長、2012年4月14日)
http://blog.livedoor.jp/woodgate1313-sakaiappeal/archives/5485170.html
「皆さん(公務員)は国民に対して命令する立場に立つ」(橋下市長、2012年4月2日)
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-3328.html

→公務員が住民に命令する立場に立ち、公務員を首長に従属させる、つまり首長が住民に命令するというのが、大阪府・市職員基本条例の基本的な思想。

欧州などではそもそも首長選挙がなく、議会が委員を任命して構成する執行委員会が共同責任で行政を担っている。米国の自治体でも、議会が首長に代わるシティーマネージャーを任命し、議会が行政をコントロールするという考え方をとっている。つまり議会の優位性を認める立場。

執行委員会 site:fusao.jp - Google 検索
https://www.google.co.jp/search?hl=ja&as_q=%E5%9F%B7%E8%A1%8C%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A&as_epq=&as_oq=&as_eq=&as_nlo=&as_nhi=&lr=&cr=&as_qdr=all&as_sitesearch=fusao.jp&as_occt=any&safe=images&as_filetype=&as_rights=

・公務員の強固な身分保障の廃止

内閣による人事権の一元化

→今まさに野田首相が原子ムラ出身の原子力規制委員会委員を任命しよとしている類のことを可能にし、国権の最高機関たる議会を軽視するもの。

・内閣による公務員採用の一元化。社会人中途採用を基本

・採用試験の抜本的見直し

・任期付を原則とする等官民の人材流動化を強化

・管理職の内外公募制

大胆な政治任用制度(次官、局長級幹部の政治任用)

→任命主体が小選挙区制による公選で選出された首相か議会かでは大違い。

・年齢・在職年数によらない職務給制度

・任期付の場合には民間に劣らない給与・処遇

・若手時代は官庁間異動を原則

公務員労働組合の選挙活動の総点検

公務員の関係首長選挙活動の制限

→基本的人権の制限。「何とかの制限」は、公務員にととどまらなくなる。

勤務時間外でも集会で政治的意見を述べることを禁じる「職員の政治的行為の制限に関する条例」
http://www.city.osaka.lg.jp/jinji/page/0000179915.html

・国家公務員制度に合わせて地方公務員制度も抜本的改革

4.教育改革〜世界水準の教育復活へ〜

【理念・実現のための大きな枠組み】

自立する国家、自立する地域を担う自立する個人を育てる

→米国への隷属は不問に付したまま、自立する国家はないでしょう。

・基礎学力を底上げしグローバル人材を育成

・格差を世代間で固定化させないために、世界最高水準の教育を限りなく無償で提供する

・あしき平等・画一主義から脱却し、理解ができない子どもには徹底的にサポートし、理解できる子どもはぐんぐん伸ばす、個人の能力を真に伸ばす教育ヘ

・教育行政機関主導から生徒・保護者主導

【基本方針】

・文科省を頂点とするピラミッド型教育行政から地方分権型教育行政

・教育委員会制度の廃止(首長に権限と責任を持たせ、第三者機関で監視)、教育行政制度について自治体の選択制

→地方分権といっても首長に権限を移管するだけ。何度も言うように、小選挙区制で選出された首長は民意を反映せず、「生徒・保護者主導」になどならない。

・生徒・保護者による公公間、公私間学校選択の保障

・選択のための学校情報開示の徹底

公立学校長の権限の拡大・強化、校長公募など、学校マネジメントの確立

・学校を、学長・校長を長とする普通の組織にする

国立大学長の権限拡大・強化大学マネジメント」の確立

→教員は学校長の子分・下請けではない。学校は自主管理すべきところ。

・世界標準の英語教育と海外留学支援、最先端を行くICT教育環境

教育バウチャー(クーポン)制度の導入=教育機会を拡大するとともに教育機関の切磋琢磨を促す

→何とか補償、何とか助成、何とか控除、何とかバウチャーなど、細分化せず、憲法25条「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」に従って、ベーシックインカムのような包括的な制度にすべき。

・校長・教頭等の人材確保のための適正な給与、教諭の定期昇給は一定在職年数まで

・教員を雑務から解放し教育に専念させる

・教員は幅広い学部出身者と社会人から実力重視で採用

障害者教育の充実

→中身がさっぱり分からない。提出が見送られた大阪維新の会の「家庭教育支援条例案」(「乳幼児期の愛着形成の不足が軽度発達障害またはそれに似た症状を誘発する大きな要因」)を思い出す。

大阪市・家庭教育支援条例 (案) 
http://osakanet.web.fc2.com/kateikyoiku.html

・大学入試改革を通じた教育改革

・高度人材養成機関としての大学院の質向上と選抜性強化

大阪府・市の教育関連条例をさらに発展、法制化

大阪市教育行政基本条例
http://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000171994.html
「子育て世代の声を、じっくり聞いて下さい」(発言する保護者ネットワーク)
http://blog.livedoor.jp/woodgate1313-sakaiappeal/archives/7442611.html

→相変わらず「グローバル化が進む国際社会」で競争させるための「人材教育」が目的。現場教師をよそに市長が最終的に「教育振興基本計画案」を作成し、議会(政治)が承認する。教師は管理・評価される対象、市長・校長の顔色を伺う存在になり、子どもたちと主体的に関わることができなくなる。教師評価は子どもたちの競争を煽り、教師と親を分断する。教育委員会が家庭教育・成人教育に介入する。

大阪市立学校活性化条例
http://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000180264.html

→校長も原則公募、区長も公募し、学校評価などを実施する「学校協議会」の委員は、校長と区長の意見を聴いて教育委員会が任命。「学校活性化」とは、公募を通じて市長が教育を支配する仕組み。

教職員労働組合の活動の総点検

→橋下市長は「教員組合が勝手に教員研修などしたらたまったものではない」というとんでもない考え方をしている。

橋下徹が、学校を教研集会に貸せない理由
http://blog.livedoor.jp/woodgate1313-sakaiappeal/archives/14834637.html

教育公務員特例法は教員研修が教員の自主性に基づくものであることを前提にしているし、研修行政への教員(団体)の参加・関与はILO・ユネスコ「勧告」でも指摘されている。

札幌高裁判決(1977年2月10日)は、教職員組合が主催する教研集会は「研究テーマごとに研究調査の結果を報告討議するものであることが認められるから…組合員である教員の自主的研修の場たる意義をもち」、したがってこれへの参加は「教員としての自主的研修を行うことになる」とし、結局教組教研への参加は組合活動の性格と研修性の二面性をもつとしている。

5.社会保障制度改革〜真の弱者支援に徹し持続可能な制度へ〜

【理念・実現のための大きな枠組み】

・真の弱者を徹底的に支援

自立する個人を増やすことにより支える側を増やす

→「自立する個人」を増やしたいなら、不当な格差・差別をなくすこと。

・個人のチャレンジを促進し、切磋琢磨をサポートする社会保障

・若年層を含む現役世代を活性化させる社会保障

・負の所得税(努力に応じた所得)・ベーシックインカム(最低生活保障)的な考え方を導入=課税後所得の一定額を最低生活保障とみなす=この部分は新たな財源による給付ではない

・持続可能な制度

・世代間・世代内不公平の解消

・受益と負担の明確化

・供給サイドヘの税投入よりも受益サイドヘの直接の税投入を重視(社会保障のバウチャー化)

→供給サイドを切磋琢磨させ社会保障の充実を通じて新規事業・雇用を創出

【基本方針】

・自助、共助、公助の役割分担を明確化

・社会保障給付費の合理化・効率化

・(給付費の効率化には限界があるので)高負担社会に備え積立方式を導入

生活保護世帯と低所得世帯の不公平の是正

→「低所得世帯」と「高所得世帯」の不公正な格差を是正するのが先決。

・(1)努力に応じた、(2)現物支給中心の、最低生活保障制度を創設

・所得と資産の合算で最低生活保障

・所得と資産のある個人への社会保障給付制限

・(受益と負担の関係を明らかにするため)提供サービスをフルコストで計算

・社会保険への過度な税投入を是正、保険料の減免で対応

[年金]

・年金一元化、賦課方式から積み立て方式(+過去債務清算)に長期的に移行

・年金清算事業団方式による過去債務整理

・高齢者はフローの所得と資産でまずは生活維持(自助)

・国民総背番号制で所得・資産(フロー・ストック)を完全把握

・歳入庁の創設

[生活保護]

・高齢者・障害者サポートと現役世代サポートの区分け

・現物支給中心の生活保護費

・支給基準の見直し

・現役世代は就労支援を含む自立支援策の実践の義務化

・有期制(一定期間で再審査)

・医療扶助の自己負担制の導入

・被保護者を担当する登録医制度

・受給認定は国の責任で

[医療保険・介護保険]

・医療保険の一元化

・公的保険の範囲を見直し混合診療を完全解禁

・高コスト体質、補助金依存体質の改善

・公的医療保険給付の重症患者への重点化(軽症患者の自己負担増)

6.経済政策・雇用政策・税制〜未来への希望の再構築〜

〜経済政策〜

【理念、基本方針】

・実経済政策・金融政策(マクロ経済政策)・社会保障改革・財政再建策のパッケージ

・実経済政策は競争力強化

・国・自治体・都市の競争力強化

・競争力を重視する自由経済

・競争力強化のためのインフラ整備

・産業の淘汰を真正面から受け止める産業構造の転換

・グローバル化する知識経済に適応できる産業構造への転換

・自由貿易圏の拡大

・国民利益のために既得権益と闘う成長戦略(成長を阻害する要因を徹底して取り除く)

・イノベーション促進のための徹底した規制改革

・付加価値創出による内需連関

・供給サイドの競争力強化による質的向上=額(量)だけでなく質の需給ギャップも埋める

・新エネルギー政策を含めた成熟した先進国経済モデルの構築

TPP参加、FTA拡大

→草案も公表されておらず、国民的議論ができないTPPの交渉に参加するという姿勢が、維新の民主主義観をよく示している。

・為替レートに左右されない産業構造

・貿易収支の黒字重視一辺倒から所得収支、サービス収支の黒字化重視戦略

・高付加価値製造業の国内拠点化

・先進国をリードする脱原発依存体制の構築

〜雇用政策〜

【理念、基本方針】

・民民、官民人材の流動化の強化徹底した就労支援と解雇規制の緩和を含む労働市場の流動化(衰退産業から成長産業への人材移動を支援)

・ニーズのない雇用を税で無理やり創出しない

・社会保障のバウチャー化を通じた新規事業・雇用の創出(再掲)

・国内サービス産業の拡大(=ボリュームゾーンの雇用拡大)

正規雇用、非正規雇用の格差是正(=同一労働同一賃金の実現、非正規雇用の雇用保護、社会保障強化)

→本当にやる気あるの?

・新規学卒者一括採用と中途採用の区分撤廃の奨励

・グローバル人材の育成

外国人人材、女性労働力(→保育政策の充実へ)の活用

→外国人人材とはどのような市場を想定しているのか。いわゆる単純労働、低賃金労働か。正規・非正規の格差是正だけでは不十分であって、十分な賃金を保証しなければならない。憲法25条を実現するなどの思想が提示されておらず、「雇用政策の理念」などといえるレベルではない。

・ワークライフバランスの実現

〜税制〜

【理念、基本方針】

・簡素、公平、中立から簡素、公平、活力の税制へ

・少子高齢化に対応→フロー課税だけでなく資産課税も重視

・フローを制約しない税制(官がお金を集めて使うより民間でお金を回す仕組み)

グローバル経済に対応

→金融取引を意味するのか。金融取引を縮小に向かわせる税制こそ必要。

成長のための税制、消費、投資を促す税制

→消費を抑制する消費税は国から自治体に移管しても同じこと。

・受益(総支出)と負担(総収入)のバランス

・負の所得税・ベーシックインカム的な考え方を導入(再掲)

→メディアに流れるだけで、まったく実現する意気込みは感じられない。

超簡素な税制=フラットタックス化

→必要性の根拠がない。昔はGDPが低いにもかかわらず景気が良好で税収が高かった。累進性が高く、消費税がない税制こそ実績がある。

所得課税、消費課税、資産課税のバランス

→「簡素、公平、中立から簡素、公平、活力の税制」と併せ、税制の土台となる具体的な思想がまったく提示されていない。

7.外交・防衛〜主権・平和・国益を守る万全の備えを

→被爆国の日本で、また脱原発を主張しておきながら、核兵器にまったく言及していないのは疑問。原発の発電用運転は認めないが、使用済み燃料の核兵器開発への利用は進める、との立場があり得る。

【理念、実現のための大きな枠組み】

・世界の平和と繁栄に貢献する外交政策

・日本の主権と領土を自力で守る防衛力と政策の整備

日米同盟を基軸とし、自由と民主主義を守る国々との連携を強化

→世界の平和を著しく脅かしている米国に自ら隷属し、軍事・経済貢献する日米安保体制から抜け出すことが日本と世界の防衛に不可欠。民主主義途上国の1、2位を争うのが小選挙区制を戴く日米。小選挙区制国家はいずれも戦争国家・原発大国。米国の膨大な軍事支出が世界の人々の平和的生存権に対する脅威。

日本の生存に必要な資源を国際協調の下に確保

→世界の生存に必要な資源を国際管理の下に置くことが世界平和に必要。

【基本方針】

日本全体で沖縄負担の軽減を図るさらなるロードマップの作成

→放射能を全国にばら撒きましょう、というのと同じ。米軍基地は拡散ではなく撤去すべきもの。

→企業・団体献金の禁止公約の反故(パーティー券購入はOK)と同じく、「辺野古への移設以外の案は頭にない」と後退
日本創新党、党を解散し維新への合流検討(2012年9月24日、読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120923-OYT1T00628.htm

→沖縄へのオスプレイ配備についても、橋下氏は「お願いしなければいけない」(2012年9月23日、日本維新の会公開討論会)と語っている。地方、地方と言いながら、国の政策を地方に押し付ける役回り。

オスプレイ配備撤回を=全41市町村長が首相に直訴へ−沖縄
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012102500928

国連PKOなどの国際平和活動への参加を強化

→イスラエルによるパレスチナ占領など、国際的紛争の原因となっている国際的不公正を米国などの大国が正すこと、膨大な軍事支出を国際的不公正の是正に振り向けることが先決。

・自由で開かれた経済ネットワークの構築

・豪、韓国との関係強化

・平等互恵と法の支配を前提とする、中国、ロシアとの戦略的互恵関係の強化

・ロシアとの間で北方領土交渉を推進

・ODAの継続的低下に歯止めをかけ、積極的な対外支援策に転換

・外交安全保障の長期戦略を研究、立案、討議するための外交安全保障会議の創設

→国際的不正義の発生メカニズムの研究、対処策の立案を強化するための枠組みこそ必要。

・学術や文化交流の積極化と人材育成、外国研究体制の拡充

外国人への土地売却規制その他安全保障上の視点からの外国人規制

→米国への基地提供が世界の平和を損なってきたのであり、これをまず止めること。

8.憲法改正〜決定できる統治機構の本格的再構築〜

→憲法は国家権力を縛るもの。「決定できない」のは原子力規制委員会人事案のように民意を無視するからに他ならない。再構築されるべきは非民主主義の機構であり、民を統治する機構などではない。

憲法改正発議要件(96条)を3分の2から2分の1に

→民意を反映しない小選挙区制で選出された議員から構成される国会で改憲発議が行われれば、国民主権を最高度に侵害する。非民主主義機構を改革するわけでなく、現状で自らに都合の良い改憲環境を作り出そうとしているところが、まさに反民主主義的。衣の下の鎧がありあり。

・首相公選制(再掲)

・首相公選制と親和性のある議院制=参議院の廃止も視野に入れた抜本的改革・衆議院の優位性の強化(再掲)

・地方の条例制定権の自立(上書き権)(「基本法」の範囲内で条例制定)憲法94条の改正

憲法9条を変えるか否かの国民投票

→結局、多くを書き連ねている中で意気込みを感じるのが、「大阪都」による覇権獲得(前時代的ゲーム感覚?)、TPP(米国隷属と引き替えの権力基盤保障?)、9条改憲。

脱原発を主張しながら脱原発住民投票を拒否し、小選挙区制の廃止など民主主義の深化に一言も触れず、改憲発議要件の緩和・9条改憲国民投票のみ主張する姿勢が、脱民主主義思想を実証している。

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裏維新八策

橋下氏、広島で「核廃絶無理、日本は平和ぼけ」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20121110-OYT1T00806.htm

(核兵器廃絶について)「理想としては(廃絶)。でも、現実的には無理ですよ、今の国際政治で。日本は平和ぼけしすぎている」

核兵器支持の立場を広島で表明ということ。

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太田光征