2012年総選挙:自民党の公約

        2012年総選挙自民党公約の検討

  http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/seisaku_ichiban24.pdf

自民党の公約は、Action1から4までの簡潔なアピールと詳細な「自民党政策BANK」から成り立っている。

まず、復興。ふるさとを、取り戻す。
アクション1 経済再生 経済を取り戻す。危機的状況に陥ったわが国の「経済」を立て直す。
アクション2 教育再生 教育を、取り戻す。危機的状況に陥ったわが国の「教育」を立て直す。
アクション3 外交再生 外交を、取り戻す。危機的状況に陥ったわが国の「外交」を立て直す。
アクション4 暮らしの再生 安心を、取り戻す。一つひとつ暮らしの不安を払拭し、「安心社会」をつくります。

 しかし、四つのアクションと自民党政策バンクとは、中頃から対応していない。
以上のテーマに留意しつつ、「自民党政策BANK」で、検討すべきと考える問題を次に列挙していきたい。主に問題点を記したので、政策のすべてを否定的にとらないよう留意されたい。列挙した問題以外にそれぞれのテーマに即した具体的な対応策も記述されている。

○まず、復興。
震災からの復旧・復興の加速
・大震災など非常事態に対応した「国家緊急事態体制」を整備します。
事前防災を重視した国土強靱化
・北海道・東北、北陸信越、中国、九州交流圏など、太平洋側の経済的機能などをバックアップする日本海国土軸の形成を促進します。

○経済再生
日本経済の新しい姿
・5年間の集中改革で、「世界一企業が活動しやすい国」「個人の可能性が最大限発揮され、雇用と所得が拡大する国」を目指すと同時に、海外投資収益の国内還元を日本の成長に結びつける新たな国際戦略(「産業投資立国」)を進めます。
デフレ・円高対策
・財務省と日銀、さらに民間が参加する「官民協調外債ファンド」を創設し、基金が外債を購入するなど様々な方策を検討します。
大胆な規制緩和
・戦略分野ごとに企業の活動のしやすさを世界最先端にするための「国際先端テスト」を導入します。ニッポン産業再興プラン
・日本の立地闘争力の復活に向け、円高・デフレ対策とをあわせてイノベーション基盤の強化や法人税の大胆な引き下げを行います。

○教育
教育・人材育成
・道徳教育の充実、高校で新科目「公共」設置、「土曜授業」の実現や、悉皆(しっかい)の「全国一斉学力テスト」の継続
・現在の単線型でなく多様な選択肢(複線型)を可能とするため、6.3.3.4制の見直しにより、「平成の学制大改革」を行います。
・いまだに自虐史観や偏向した記述の教科書が多くあります。教科書検定基準を抜本的に改善し、あわせて近隣諸国条項も見直します。
・いじめ問題でも明らかになった、現行の無責任な教育行政システムを是正するため、首長が議会の同意を得て任命する「常勤」の「教育長」を教育委員会の責任者とするなど教育委員会制度を抜本的に改革します。
・教員の政治的中立を徹底するなど、適正な教育内容を確保し、教職員組合の適正化を図ります。
科学技術・文化政策・スポーツ立国
・2020東京オリンピック・パラリンピックの被災地での競技開催、キャンプ地の全国展開を実現します。

○外交・安全保障
外交。安全保障
・憲法改正により自衛隊を国防軍として位置づけます。
・統合運用を進め、自衛官と文官の混合組織への改編、部隊運用組織の統合など防衛省改革を推進します。
・米国の新国防戦略と連動し、抑止力を高めるため、日米防衛協力ガイドライン等を見直します。
・尖閣諸島の実効支配を強化し、島と海を断固守ります。

○社会保障
国民のニーズに応えられる財政の確立
・消費税(当面10%)を含む行財政抜本改革の一層の推進により、財政の配分整備を回復します。
政権交代後、急激に肥大化した生活保護の見直し、公務員総人件費の抑制
社会保障に関する基本的な考え方
・人生100年時代を見据え、高齢者の雇用機会の場をつくり、生涯現役社会を実現します。
医療
・患者意志(リビングウィル)の尊重と看取りの充実を図ります。
雇用
・経済のグローバル化や活力ある社会に対応した労働環境の整備を進めます。
生活保護の見直し
・不正受給者には厳格に対処します。
・自治体における現金給付と現物給付の選択的実施など抜本的な見直しを行います。
○エネルギー
・原子力の安全性に関しては、独立した規制委員会による専門的判断をいかなる事情よりも優先します。原発の再稼働の可否については、順次判断し、全ての原発について3年以内の結論を目指します。安全性についは、原子力規制委員会の専門的判断に委ねます。
・遅くとも10年以内に将来にわたって持続可能な「電源構成のベストミックス」を確立します。
○地方の重視・地域の再生
・「道州制基本法」の早期制定後、5年以内の道州制導入を目指します。
・消費税の転嫁円滑化のための取り締まり強化を推進します。
・郵政三事業のヤニバーサルサービスの確保を図ります。
○農林水産業
・競争力のある「攻めの農林水産業」を展開します。
○TPP
・「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、TPP交渉参加に反対します。
○政治・行政・公務員改革
・衆議院議員の定数削減については、三党合意に基づき、次期通常国会終了までに結論を得た上で必要な法改正を行います。
・地方公務員にも、国家公務員と同様に罰則を附し、一定の政治活動を規制する地方公務員法の改正を行います。
○インターネット選挙の解禁
・「インターネット利用選挙解禁法案」を制定します。

○憲法改正
「憲法改正」
・自衛権の発動を妨げないこと、国防軍を保持することを明記
・憲法改正の発議要件を衆参それぞれの過半数に緩和

【所感】
脱原発やTPP、消費増税については自民党ならではの保守性が顕著である。自民党の政策を読み、最大の特徴は「憲法改正」である。軍国主義大国に向けての明確な舵取りの「憲法改悪」の表明であり、総選挙において、憲法についての争点化がなされないと、似たようなカモフラージュされた原発や消費税、TPPだけでは、本音の正体を問う大問題としての「日本国憲法改悪」問題が、選挙後に亡霊のように国民を震撼させる危機的事態が現実に起きてくることを懸念する。

櫻井智志

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