原発「運転期間延長認可制度」に対するパブリックコメント

5月 10th, 2013 Posted by MITSU_OHTA @ 21:44:44
under 福島原発事故 , パブリックコメント No Comments 

「運転期間延長認可制度」なんて認められない!!原子力規制委パブコメ
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/359536782.html

原子力規制委員会設置法の一部の施行に伴う関係規則の整備等に関する規則(案)等に関連する内規に対する意見募集について
http://www.nsr.go.jp/public_comment/bosyu130410_02.html

(48)「発電用原子炉の運転期間延長認可制度に係る実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則の規定の解釈(内規)(仮称)」と(49)「実用発電用原子炉施設における高経年化対策実施ガイド(仮称)」について意見を提出します。

◇全体について

意見・理由:

浜岡原発5号機が2009年に発生したM6.5の駿河湾地震で制御棒駆動装置30本を故障させています。着工から10年しか経っていません。原子炉等規制法第43条の3の31第1項の40年原則を守るべきです。

◇「内規案文集(48)〜(49)」3〜4ページの<2.2 実用炉則第113条第2項第2号の「延長期間における運転に伴い生ずる原子炉その他の設備の劣化の状況に関する技術的な評価の結果を記載した書類」について>について

意見・理由:

40年原則を守るべきですが、40年超の稼働を認めるとしても、「内規案」は杜撰です。

(1)の丸2に「加圧水型軽水炉に係る運転開始後30年を経過する日から10年以内のできるだけ遅い時期に取り出した監視試験片の試験結果」とありますが、申請時点から少なくとも1年以内とすべきです。

(2)に劣化評価の結果として記載すべき事項が列挙されていますが、丸8から19までの事項の記載が免除される機器・構造物があるとのことです。

うち、丸13が「最新の技術的知見の反映」、丸14が「機器・構造物ごとに発生が否定できない経年劣化事象」となっています。すべての機器・構造物について、丸8から19までの事項の記載を免除すべきではありません。

劣化評価の結果として記載すべき事項の丸3は以下の通りです。

「運転開始以後40年を経過する日において、実用発電用原子炉及びその附属施設に関する技術基準を定める規則(仮称)(申請時点で公布され、かつ、運転開始以後40年を経過する日において適用されているものに限る。)に定める基準に適合していないものがある場合には、当該基準、適合に向けた対応及びスケジュール」

これは素直に読めば、申請時点で基準に適合していない部分があっても、今後の対応スケジュールを示せばよい、と解釈できます。

現在検討されている原発新安全基準で「特定安全施設」の建設を猶予するのと同じ構図を、事もあろうに40年経過した原子炉の稼働延長申請にも適用としているわけです。これはまったく認められません。

太田光征

原子力災害対策指針(改定原案)に対するパブリックコメント

5月 9th, 2013 Posted by MITSU_OHTA @ 23:57:43
under パブリックコメント No Comments 

原子力災害対策指針(改定原案)に対する意見募集について(2013年5月9日締切)
http://www.nsr.go.jp/public_comment/bosyu130410_1.html

全体について:原子力災害を防止するための最良の方法は原子炉を廃炉にすることです。廃炉指針の策定もお願いします。パブコメ期間を延長し、被災者の意見を取り入れ、指針全体についてパブコメを求め、パブコメを指針に反映させてください。本質を突くパブコメが出されても、まったく反映されていません。

3ページ「警戒事態:」について:原子力事業者は「警戒事態」状況を「国に通報」しなければならず、国はその情報を基に「地方公共団体、公衆等に対する情報提供」を行わなければならないとありますが、自治体と国民が直接的に「警戒事態」を把握し、国による「警戒事態」認定を監視する必要があります。国は事態を甘く評価する恐れがあるからです。

4ページ「国、地方公共団体及び原子力事業者は、緊急時モニタリングの実施等により事態の進展を把握するため情報収集の強化を行う」について:情報収集は「緊急時モニタリング」が不要になるよう、平時から万全の態勢を整えておくべき。平時に動かしていない「緊急時モニタリング」が動く保証がないので。

4ページ「全面緊急事態:」の「確率的影響」について:「確定的影響」はたいてい、高線量による非がん性疾患リスクを意味します。低線量被ばくによる非がん性疾患リスクを考慮してください。

6ページ「国は緊急時モニタリングを統括し、(中略)結果の評価並び
に事態の進展に応じた実施計画の改定等を行う」について:国だけがモニタリングの評価に関わることは問題です。国では甘い評価になる恐れがあるからです。自治体や国民が関与すべきです。

7ページ「国は、緊急時モニタリング実施計画が策定されるまでの初動対応」について:実施計画を策定し、その前に初動対応しなければならないとは驚きです。すべて平時のモニタリングで対応できるようにしなければ、事故対応はできません。

7ページ「モニタリング結果の解析・評価においては気象状況データや大気中拡散解析の結果を参考にする」について:参考にするではなく、必ず考慮しなければなりません。

8ページ「中期モニタリング」について:現行規定「第二段階のモニタリングは、上記1の第一段階のモニタリングより広い地域において実施する」をわざわざ削除する必要がありません。できるだけ広範な地域で実施すべき。

9ページ「安定ヨウ素剤の予防服用について」について:「放射性ヨウ素は、身体に取り込まれると、甲状腺に集積し、数年〜十数年後に甲状腺がん等を発生させる可能性がある」とありますが、放射性ヨウ素の影響が甲状腺被ばくだけとのイメージを抱かせてしまうので、表現を変えてください。また、「数年〜十数年後に甲状腺がん等」とのことですが、チェルノブイリ事故などでも事故後1年にして既に甲状腺がんは増えているので、この表現も変えてください。

10ページ「事前配布の方法」について:安定ヨウ素剤については「配布」という考え方に基づいていますが、配布された安定ヨウ素剤を必要時に携帯しているとは限りません。人が多く集まる学校・企業などに配備しておくべきです。

13ページ「放出放射性物質濃度や施設敷地境界の空間線量率等の放出源モニタリングは、発災事業者が行い、結果を緊急時モニタリングセンターに通報する」について:緊急時モニタリングセンターではなく、直接自治体と国民に知らせるべきです。被害を被る当事者がまず情報を得る資格があります。

14ページ「緊急時モニタリングの結果は、緊急時モニタリングセンターで妥当性を判断した後、国で集約し、一元的に解析・評価して、OILによる防護措置の判断等のために活用する。なお、放射性物質の拡散は気象によって大きく影響を受けるため、国は、緊急時モニタリングの結果の評価の際には気象状況データや大気中拡散解析の結果を参考にする。結果の公表は国が一元的に行い、適切に伝わるように分かりやすい説明を付する」について:公表・評価主体を国に一元化することは危険すぎます。自治体と国民が関与すべきです。

17ページ「中長期にわたって行う環境放射線モニタリングを有効なものとする観点から、関係機関の能力を効率的かつ機能的に活用するため、データの収集、保存及び活用について一元的なシステムを確立しなければならない」について:データの収集・保存・活用を国に一元化することは危険すぎます。自治体と国民が関与すべきです。

太田光征

朝日新聞の憲法世論調査(2013年5月2日)

5月 5th, 2013 Posted by MITSU_OHTA @ 11:51:27
under メディア , 選挙制度 , 2013年参議院選挙 [12] Comments 

朝日新聞による憲法世論調査の結果が5月2日付で掲載されました。自民党などが掲げる改憲などの主張がことごとく民意から乖離していることが分かります。以下は抜粋です。

◇ 96改憲(改憲要件3分の2以上から過半数への緩和)、賛成が38%、反対が54%。
◇ 9条改憲、変えるが39%、変えないが52%。
「変える」の理由としては、「日米同盟の強化や東アジア情勢の安定につながるから」が41%、「今の自衛隊の存在を明記すべきだから」が37%、「自衛隊を正式な軍隊にすべきだから」が17%。
◇ 非核3原則、維持すべきが77%、見直すべきが18%。
◇ 武器輸出の拡大、賛成が14%、反対が71%。
◇ 武力行使を伴う国連軍への自衛隊の参加、賛成が34%、反対が58%。
◇ 自衛隊の国防軍化、賛成が31%、反対が62%。
◇ 集団的自衛権、「行使できるようにする」が33%、「行使できない立場を維持する」が56%。
◇ 「1票の格差」(定数配分の格差)が是正されない状態で選ばれた議員が改憲の提案をすること、問題だが54%、問題ではないが38%。

朝日は「入口の96条」「本音の9条は封印」「改憲 手続き論先行」という見出しで、96条改憲が単なる手続きの変更だけ、自民の改憲の狙いが9条だけ、のような印象を与える書き方をしています。

3日から始まった朝日の「憲法はいま 変化の潮流」の「下」でようやく小さく「9条以外にも」という見出しで、自民改憲案が9条だけでないことを指摘していますが、改憲の全体像に迫っているとはいえません。

加えて、「好調アベノミクス」という言い方まで使って、安倍政権の宣伝に寄与しています。

朝日に限らず、新聞が世論調査で取り上げないのが、選挙制度です。選挙だけで政策・法案の成否が決まるわけではないとはいえ、これらに重大な影響を与える選挙制度の在り方を深く追求しません。

いくら原発関連で脱原発派が溜飲を下げるような記事・情報を掲載しても、社説で脱原発を主張しても、民意と選挙結果を大きく乖離させることで政治を大きくゆがめる選挙制度については掘り下げないのです。

毎日新聞も5月1日に「<国会>終盤戦へ 大きな課題は0増5減だけ」という見出しで、個人番号(マイナンバー)法案が成立の見通しなどと書き、いつもの既定路線告知「決まりますよ」です。

国会議員による法案審議や改憲論議に国民が影響を与えることができるよう、それこそ主権者の側からの「変化の潮流」が可能となるようなメディアになっていません。

今回の朝日世論調査の結果についても、詳細な解説は参院選後の8月9日に発行される雑誌に掲載するとのこと。なぜ「選挙前」ではないのか。選挙結果の事前予測はさんざん行うのに。

この調子では、自民改憲案の詳細な批評も、選挙後のことになると懸念しています。

そういうこともあり、国民主権の尊重や参院選前に自民改憲案の全面的な批評を行うことなどを政党とメディアに求める要望書の取り組みを「平和への結集」をめざす市民の風が提案しています。案がこちらにありますので、ご意見をください。

【2月14日初会合】ポスト2012衆院選の国民主権運動の呼び掛け
http://kaze.fm/wordpress/?p=441

太田光征