選挙制度とは何か
選挙制度は政治に大きな影響を及ぼすという事情があるので、選挙制度と絡めた政治論が少なくありません。選挙制度でもって政治腐敗をなくそう、という発想などもその1つです。
[参照]
小選挙区制度のDNAの学術上でのルーツを見つける 1
http://masami-kodama.jugem.jp/?day=20081005
選挙制度というのは、議会に国民の「代表」を送り込むための制度であって、政治の中身を規定するための制度ではありません。主権者の主権を土台に考えれば、主権を具体的に保障するのが選挙制度です。主権を制限したり、主権の発動を特定方向に誘導したりする機能を選挙制度に内蔵させるべきではありません。主権を主権として無条件かつ完全に発動させる機能のみを選挙制度は備えるべきです。
憲法に従っても、「全国民の代表性」をどうとらえるかが、選挙制度を構築する上での唯一の論点といっていいでしょう。政権のあり方などを先に決め、それに適合するよう、議会のあり方を選挙制度でもって規定・誘導するとすれば、それは間違った考え方でしょう。
[参照]
http://kaze.fm/wordpress/?p=215#10
二大政党制を誘導し、単独過半数政権を実現するというのが、小選挙区制論者の表向きの主な動機になっている。しかしそもそも選挙は、国民の代表を選ぶのが第一義。憲法第43条には、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」とある。多数派のみが全国民を代表するとはいえない。
民意の正確な反映(得票率と議席獲得率の一致)を重視するのが、代表性に関する憲法解釈の傾向。詳しくは渡辺良二『近代憲法における主権と平等』(法律文化社、1988年)を参照。
多数代表制ともいわれる小選挙区制で選出された「代表」のみからなる議会には、「全国民の代表」は不在です。多数派であっても、一部主権者の代表しか存在しません。「全国民の代表」とは主権者1人ひとりの代表といえます。国民主権を最高原理とすれば、当然の理念です。したがって、死票の出ない選挙制度が理想といえます。
太田光征
http://otasa.net/
【関連投稿】
小選挙区制の廃止へ向けて
http://kaze.fm/wordpress/?p=215
中選挙区比例代表併用制を提案する
http://kaze.fm/wordpress/?p=164
小選挙区比例代表併用制の問題点
http://kaze.fm/wordpress/?p=220
比例区定数が100に削減された場合の衆院選比例区シミュレーション
http://kaze.fm/wordpress/?p=229
大選挙区制(中選挙区制)の問題点 〜連記投票制の落とし穴〜
http://kaze.fm/wordpress/?p=232
トラックバック URI : http://kaze.fm/wordpress/wp-trackback.php?p=237
10月 20th, 2008 at 15:33:31
『モヤモヤ感の進化』と『スローライフ』の実現…
連日の金融不安による株価下落のニュースに頭が痛くなる状況が続いている。昨年までの大企業の史上空前の利益というニュースに全く連動しないままに、相変わらず厳しい状況にあっ (more…)
10月 22nd, 2008 at 13:01:17
あなたたちが犯罪者とならないために〜法律の落とし穴…
数年前から「ある罪名」の検挙件数が急増していることをご存知ですか?検挙さ
れるのは「普通の人達」です。罪名すら知らずに「検挙します」と告げられ、犯
罪歴を残しています。 (more…)