原発事故子ども・被災者支援法方針案のパブコメ

9月 22nd, 2013 Posted by MITSU_OHTA @ 1:15:12
under 福島原発事故 , パブリックコメント , 原発事故子ども・被災者支援法 No Comments 

パブコメの締切は9月23日です。

【広めてください!】Q&A 何が問題? 原発事故子ども・被災者支援法 復興庁の基本方針案: 「避難の権利」ブログ
http://hinan-kenri.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/post-ae5a.html

e-Gov イーガブにある方針案PDFファイルは、テキストをコピーできない設定になっています。

パブリックコメント:意見募集中案件詳細|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=295130830&Mode=0

こちらはコピー可能です。→http://www.reconstruction.go.jp/topics/m13/08/20130830_kihonhousin.pdf

1ページ「支援対象地域」について

「その地域における放射線量が政府による避難に係る指示が行われるべき基準を下回っているが一定の基準以上である地域」(法第8条)を「支援対象地域」と規定しているというが、「一定の基準」を規定・定義しない限り、「支援対象地域」は決まりません。

従って、「福島県中通り及び浜通りの市町村(避難指示区域等を除く)」を「支援対象地域」とする根拠がない。せめて追加被ばく量が年1ミリシーベルト以上の地域を支援対象地域としてください。

2ページ「準支援対象地域」について

支援対象地域の定義がはっきりしていないのに、文字面だけ「準支援対象地域」を作っても、支援地域を拡大することにはなりません。まずは「一定の基準」を決めることです。

2ページ「健康上の不安を解消」について

これまでのパブコメで何度も指摘されているはずですが、「不安の解消」を目的にすべきではありません。不安の解消と健康被害の解消はまったく違います。健康被害の解消を目的にすべきです。

2ページ「被災者生活支援等施策に関する詳細は、関係府省の施策をとりまとめ、別途公表する」について

「別途公表する」ではパブコメにかける意味がありません。先に公表してください。

2ページ「1 汚染状況調査」について

他の項目すべてについて言えることですが、従来施策を「基本方針案」に盛り込んで説明する意義はあまりありません。新規施策を盛り込んでください。

3ページ「2 除染」について

除染の効果については疑問が呈されています。除染の効果の検証がまず先です。

4ページ「避難や屋外での運動の自粛など生活習慣の変化に伴う健康影響が指摘されていることから、被災地を含め、全国において健康診査や健康相談の機会を通じた生活習慣病対策を推進」について

「低線量被ばくによる健康影響および避難や屋外での運動の自粛など生活習慣の変化に伴う健康影響が指摘されていることから、被災地を含め、全国において健康診査や健康相談の機会を通じた生活習慣病対策を推進」と書き換えてください。

5ページ「地方自治体が策定する食品中の放射性物質の検査計画に係るガイドライン」について

国は地方自治体の行政に過度な口出しはしないでください。

5ページ「心の不調」について

9月21日のNHKニュースによれば、厚労省による福島第一原発労働者の健康調査分析の結果、白血球の数が多いなど再検査や治療が必要だという医師の所見が付いた人が284人と全体の4.21%で、事故が起きる前の平成22年と比べて3.23ポイント増え、4倍余りになったとのことです。

心の不調だけでなく、体の不調も考慮しなければなりません。

6ページ「高速道路の無料措置」について

移動支援は「高速道路の無料措置」だけですか。移動手段はほかにもあります。

7ページ「全国において、民間賃貸住宅等を活用した応急仮設住宅の供与期間を平成27 年3月末まで延長」について

延長期間が短すぎます。新規受け付けを認めてください。

7ページ「支援対象地域に居住していた避難者の公営住宅への入居の円滑化を支援」について

支援対象地域以外の避難者に対する手厚い住宅支援も必要です。家賃補助まで踏み込んでください。

7ページ「福島県からの避難者に対し、地元への帰還就職が円滑に進むよう支援」について

被災者支援法の趣旨に反し、避難の自己選択を無視して、帰還を促すものです。被災者の自主的な避難の形態に合わせた就業支援を行うこと。

7ページ「「福島避難者帰還等就職支援事業」により、避難者が多い山形・新潟・東京・埼玉・大阪の各都府県において、福島県へ帰還して就職することを希望する方のための相談窓口を設置」について

「「福島避難者就職支援事業」により、避難者がいる各都府県において、就職することを希望する方のための相談窓口を設置」に改める。

8ページ「避難住民の受入れに伴い、受入れ団体が負担する経費について、地方財政措置を行う」について

当該経費は東電に請求してください。

8ページ「避難指示解除準備区域の住民の帰還を促進するための取組」について

被災者支援法の趣旨に反し、避難の自己選択を無視して、帰還を促すものです。被災者の自主的な避難の形態に合わせた就業支援を行うこと。

9ページ「必要に応じ東京電力を指導」

東電が損害賠償・事故収束を担える存在でないことは明白です。損害賠償金は東電が負担しているのではなく、東電管内の東電利用者が負担しています。東電でなくとも損害賠償業務は可能です。

福島第一原発建屋への地下水流入は2011年から指摘されています。汚染水問題は今に始まったことではありません。

東京新聞:福島第一 建屋に地下水大量流入か 収束作業に難題:福島原発事故
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2011092002100008.html

東電を存続させることは東電の無責任を放置することです。東電は破綻させるべきですが、破綻させないで、指導もしないということは考えられません。

9ページ「福島県の全県民を対象とした外部被ばく線量調査や、事故時18 歳以下の子どもに対する甲状腺検査等必要な健康管理調査を継続する。また、個人線量計等による福島県及び近隣県の被ばく線量の推計・把握・評価を行う」について

内部被ばくも調査する必要があります。

9ページ「ホールボディカウンターによる内部被ばく測定」について

ホールボディカウンターでは放射性物質の体内分布を測定できないので、その影響を評価することはできません。内部被ばくの影響評価そのものを検討し直す必要があります。

9ページ「甲状腺検査等」について

国連人権理事会特別報告者が勧告しているように、放射線による健康被害の検査については、甲状腺だけでなく、血液や尿なども対象とする必要があります。

10ページ「被ばく量の観点から、事故による放射線の健康への影響が見込まれ、支援が必要と考えられる範囲(子ども・妊婦の対象範囲や負傷・疾病の対象範囲)を検討するなど、県民健康管理調査や個人線量把握の結果等を踏まえて、医療に関する施策の在り方を検討」について

まさに「負傷・疾病の対象範囲」が「一定の基準」とともに、本基本方針案で決定されるべき最重要課題なのに、これを今後の検討課題にすることは考えられません。法律制定から1年以上も経過しているのですから、先に検討して公表し、パブコメにかけてください。

10ページ「独立行政法人等の関係機関と連携して、被ばく線量評価の調査等を実施する」について

独立行政法人というのは放射線医学総合研究所などを指すのだと思いますが、低線量被ばくの影響をないとする前提に立たない研究者の参加が不可欠です。

10ページ「放射線による健康影響等に関する知識技能を習得するための研究」について

低線量被ばくの影響はないとする知識技能の習得を目的としないこと。

11ページ「県民健康管理調査をバックアップする福島県立医科大学の講座を支援し、リスクコミュニケーションの人材を育成」

低線量被ばくの影響はないとする知識技能の習得を目的としないこと。

11ページ「「東京電力福島第一原子力発電所事故を受けた福島県とIAEA との間の協力に関する覚書」に基づき、放射線モニタリング及び除染、人の健康、並びに緊急事態の準備及び対応等の各分野におけるIAEA の協力プロジェクトを実施」について

IAEAは原子力推進機関であり、人の健康を守る機関としては最もふさわしくありません。IAEAとは協力しないこと。

11ページ「(4)国民の理解」「放射線影響等に係る統一的資料」「リスクコミュニケーション」「コールセンター」「副読本」「説明会」および12ページ「パンフレット」「教材」「研修会」「説明会」について

低線量被ばくの影響をないとする前提に立たないことが重要。

12ページ「福島県立医科大学の放射線医学県民健康管理センターを活用し、福島県民健康管理調査結果の分析・評価」について

被曝線量と健康影響の相関関係をいますぐ調査すること。

12ページ「インターネットを活用した基準値の周知徹底」について

何の基準値なのか不明。

12ページ「放射線被ばくを懸念する国民の不安から、人権侵害が生じないよう啓発活動等を実施」について

「放射線被ばくによる健康影響から人権侵害が生じないよう、東電に対する啓発活動を実施」に変える。

12ページ「上記?に記載したもののほか、様々な被災者生活支援等施策が関係府省において実施される。このため、被災者が具体的な施策について把握できるようにするため、関係府省の各施策の概要、対象地域等を記した資料を別途とりまとめ、公表する。」

別途公表するのではパブコメにかける意味がない。まず公表してからパブコメにかけてください。

最後に全体について

原発事故被災者から意見を聞く機会を設けてください。パブコメ期間が短すぎます。パブコメを方針案に反映させるプロセスを明確にしてください。パブコメに係るファイルをコピー禁止設定にしないでください。

パブリックコメント:意見募集中案件詳細|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=295130830&Mode=0

太田光征

【10月8日】参院選無効請求訴訟の第一回口頭弁論

9月 19th, 2013 Posted by MITSU_OHTA @ 22:57:06
under 選挙制度 , 2013年参議院選挙 , 裁判 No Comments 

皆さん

傍聴をよろしくお願いします。

口頭弁論期日 10月8日午後3時30分
東京高裁511号法廷(5階)

所在地(東京高等裁判所)
http://www.courts.go.jp/tokyo-h/about/syozai/tokyomain/

平和への結集ブログ » 第23回参議院選挙無効請求訴訟を提起
http://kaze.fm/wordpress/?p=478

太田光征

秘密保全法についてのパブリックコメント

9月 17th, 2013 Posted by MITSU_OHTA @ 4:28:28
under パブリックコメント , 秘密保全法 1 Comment 

パブコメの提出方法:秘密保全法 パブコメ募集開始!!
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/373937613.html

(1) 3ページ「ア適性評価は、(中略)行政機関の長又は警察本部長が行うものとする」および「外国の利益を図る目的で行われ、かつ、我が国及び国民の安全への脅威となる諜報その他の活動」について

[参照]
伊達判決を生かす会
http://datehanketsu.com/katsudou.html

砂川事件裁判で「日米安保条約に基づく米軍の日本駐留は憲法9条に違反する」とした伊達判決(1959年3月30日、東京地裁)を葬り去り、日米安全保障条約を予定通り改定すべく、国は高裁を飛び越して最高裁に跳躍上告した。

後に砂川事件裁判に関する米国の「機密文書」が発見された(一部の文書は「安全保障上の理由」で公開禁止処分にされた)。

これらの文書によれば、当時の藤山外相は駐日マッカーサー米大使から日本政府が迅速に跳躍上告を行うよう提案を受けた。

また、最高裁で上告審を審理した裁判長の田中耕太郎最高裁長官もマッカーサー大使と会い、「守秘義務」を破りながら、裁判情報を同大使に伝えた。

結局、異例のスピード審理で「1審破棄、差戻し」という15人全員一致の最高裁判決が同年12月17日に出る。

マッカーサー大使はこの判決が田中最高裁長官の手腕と政治力に負うところが大きいと評価し、「米軍の日本駐留が日本国憲法の下で合法(注:判決は合法と判断したわけではない)であるとする全員一致の砂川事件最高裁判決は、もちろん極めて有益な進展である。同様に重要なのが、条約の合憲性うんぬんは“政治の問題”であり、司法の判断に従うべきではないとする最高裁の判決である。15人の全員一致による最高裁判決は、安全保障条約改定に反対する分子が憲法を根拠に扇動するための隙間を残さず、少数派としての反対勢力に脚光を浴びせようと連中が試みる機会を絶った」と述べている。

米国に隷属して憲法(判断)を停止させる「統治行為論」を基礎付けた田中最高裁長官の手腕・政治力をマッカーサー大使は評価したのである。

在日米軍基地は日本に対する攻撃を誘うことで日本の安全を損なう可能性がある。砂川裁判は「外国の利益を図る目的で行われ、かつ、我が国及び国民の安全への脅威となる諜報その他の活動」を政府と裁判所が行い得ることを示している。

いくら安全保障が理由だからといって、政府に「特定秘密」を秘匿させれば、国民の利益と安全保障を損ないかねない。最高裁長官たる身分の者が自ら守秘義務を犯して自分の政治的主義を押し通そうとするのだから、行政機関の長などが特定秘密を扱う従事者の適性評価を行うということは笑うに笑えない話になる。

安全保障のためには情報を国民が監視しなければならない。秘密保全法は不要であり、代わりに情報公開の徹底が必要である。

(2) 1ページ「政令で定める」について

政令で定めず、国会議員が法律で定めること。

(3) 3ページ「オ(3)適性評価の実施に当たって取得する個人情報については、国家公務員法上の懲戒の事由等に該当する疑いがある場合を除き、目的外での利用及び提供を禁止する」について

特定秘密の漏えいに罰則を設けておきながら、適正評価で取得した個人情報の目的外利用に罰則を設けないのはおかしい。

(4) 3ページ「2 特定秘密の漏えい等に対する罰則」について

志布志事件や沖縄密約事件などの曝露のように公共性のある情報公開行為を阻害してはならない。公共性に反する情報隠ぺいを罰する法律と、公共性に反する情報隠ぺいを曝露する内部告発を奨励する法律が必要。

(5) 4ページ「本法の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならない旨を定める。」について

5〜6ページなどに示されている特定秘密の範囲がそもそも不明確・無限定であり、従って国民の知る権利を制約し、基本的人権の侵害をもたらさざるを得ないから、この4ページの規定(憲法)と本法案は決定的に矛盾する。

(6) 5〜6ページの第1号から第4号で使用されている「その他」について

「その他」を含めれば特定秘密は無限定になるので使用しないこと。

(7) 5ページ「イ自衛隊の運用又はこれに関する見積り若しくは計画若しくは研究」および「イ安全保障に関する外国の政府又は国際機関との交渉又は協力の方針又は内容」について

これらの規定では抽象的で特定秘密を限定することはできないから、特定秘密を限定できる規定にすること。特定秘密の範囲は国民の知る権利を制約しないものとすること。

前回の(7)までに続き、(8)を提出する。

(8) 2ページ(2) 「特定秘密の提供」のエ(「刑事訴訟」「民事訴訟」「刑事事件の捜査(刑事訴訟法第316条の27第1項の規定により提示する場合のほか、捜査機関以外の者に当該特定秘密を提供することがないと認められるものに限る。」))について――裁判を受ける権利を侵害

裁判官にも秘匿されている特定秘密をめぐる事件の裁判をどのように進めるのか。裁判官が特定秘密の内容を知らなければ、令状の妥当性を判断することはできない。捜査当局が恣意的に市民運動を弾圧することが一層容易になってしまう。憲法違反の非公開裁判に道を開くだろう。

民主党時代の秘密保全法案には「公共の安全および秩序の維持」が目的としてあった。「公の秩序の維持」は自民党の改憲草案にある国防軍の任務でもある。国防軍に伴って非公開裁判を行う軍事裁判所が創設される。

このように既に非公開裁判が狙われている。秘密保全法と自民党流の改憲が実現すれば、秘密保全法と秘密軍事裁判所が一体運用されるはずで、この点からも秘密保全法は危険すぎる。

本法案概要では確かに「公共の安全および秩序の維持」は削除されているが、民事訴訟法によって既に「公共の安全と秩序の維持」に支障を及ぼすおそれがあると裁判所が認めれば、裁判所は文書の提出を命じることができず、刑事訴訟では被告に特定秘密は開示されない。

従って、国民は裁判で特定秘密の提供を受けることができない。これは実質的に裁判を受ける権利、知る権利を剥奪するものであり、許されない。

刑事訴訟法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO131.html

第三目 証拠開示に関する裁定
第三百十六条の二十七  裁判所は、第三百十六条の二十五第一項又は前条第一項の請求について決定をするに当たり、必要があると認めるときは、検察官、被告人又は弁護人に対し、当該請求に係る証拠の提示を命ずることができる。この場合においては、裁判所は、何人にも、当該証拠の閲覧又は謄写をさせることができない。

民事訴訟法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H08/H08HO109.html

(文書提出義務)
第二百二十条  次に掲げる場合には、文書の所持者は、その提出を拒むことができない。
四  前三号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。
ロ 公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの

(文書提出命令等)
第二百二十三条
4  前項の場合において、当該監督官庁が当該文書の提出により次に掲げるおそれがあることを理由として当該文書が第二百二十条第四号ロに掲げる文書に該当する旨の意見を述べたときは、裁判所は、その意見について相当の理由があると認めるに足りない場合に限り、文書の所持者に対し、その提出を命ずることができる。
一 国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ
二 犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれ

情報公開・個人情報保護審査会設置法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H15/H15HO060.html

(審査会の調査権限)
第九条  審査会は、必要があると認めるときは、諮問庁に対し、行政文書等又は保有個人情報の提示を求めることができる。この場合においては、何人も、審査会に対し、その提示された行政文書等又は保有個人情報の開示を求めることができない。

太田光征

「原発の廃炉に係る料金・会計制度」に関するパブリックコメント

9月 9th, 2013 Posted by MITSU_OHTA @ 23:53:48
under パブリックコメント No Comments 

【Webフォーム】
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620213008&Mode=0
このページの下にある「意見提出フォームへ」というボタンをクリックして、記入して下さい。

以下のように意見を書いて送りました。

太田光征

10ページ(2)「原子力発電施設解体引当金制度」について

意見と理由:「廃止措置費用は早期に回収すべきという観点を考慮し、運転期間40年に安全貯蔵期間10年を加えた50年を原則的な引当期間とする。」とありますが、これは原発事故で膨らむ廃炉資金を電気利用者に負担させるものです。

解体引当金はあらかじめ計画で明らかにしておいた上で電気利用者が電気事業者と契約しているものであり、廃止決定後に廃止措置のための計画外追加負担を認めることは、電気利用者に予期せぬ負担を強いる詐欺であり、電気事業者の責任を放棄するものであるから、このような追加負担を引当金・減価償却・発電コストとして認めないでください。

11ページ(1)「原子力発電設備の減価償却制度」について(1)

「今回の措置により、廃止措置中も電気事業の一環として事業の用に供される設備について運転終了後も減価償却を継続することとなるため」とありますが、運転終了すれば原子炉の価値はなくなるのであり、事業の用に供される設備ではなくなる。

廃止措置は運転期間中に計画すべきものであって、廃止決定後に廃止措置のための追加負担を減価償却として認めることは、電気利用者に予期せぬ負担を強いる詐欺であり、電気事業者の責任を放棄するものであるから、このような追加負担を減価償却・発電コストとして認めないでください。

11ページ(1)「原子力発電設備の減価償却制度」について(2)

「ただし、今回の見直しにより、例えば東京電力の場合、制度改正前までの引当において見積もられた設備のほかに事故炉の廃止措置に向けて新たに設備の取得が必要となる場合には、この減価償却費が追加的に原価算入され得ることとなるため、追加負担の要因となる可能性がある。」とありますが、廃止措置は運転期間中に計画すべきものであって、廃止決定後に追加設備のための追加負担を減価償却として認めることは、電気利用者に予期せぬ負担を強いる詐欺であり、電気事業者の責任を放棄するものであるから、このような追加負担を減価償却・発電コストとして認めないでください。

シリア情勢をめぐる報道についての要望書

9月 4th, 2013 Posted by MITSU_OHTA @ 11:27:23
under メディア , シリア No Comments 

9月3日、シリア情勢をめぐる報道について、「平和への結集」をめざす市民の風として朝日新聞と毎日新聞に要望に伺いました。以下は毎日新聞あての要望書です。

毎日新聞外信部御中

2013年9月3日

 シリア情勢をめぐる報道について面会で要望をさせていただきたいので、ご検討をよろしくお願いします。

 米国によるシリア軍事介入の「開戦日時」(2日付毎日一面トップ「シリア攻撃 9日以降」)を何の躊躇・批判もなくメディアが「報道」する神経はいかがなものでしょうか。米国議会が9日以降に米大統領の提案を審議すると報じれば済むはずです。米国の軍事介入を当然と認識しているのではありませんか。

 朝日新聞と毎日新聞は奇しくも米国によるシリア攻撃に関して「その時日本は」という文句を含む見出しの記事を書いています。米国の軍事介入を当然の前提として、単に米政府の開戦プロセスをひたすら解説し、「その時」の日本の対応を日本政府になり代わって解説するというもので、攻撃を受けるシリア国民がまったく不在です。「その前に日本」が何をなすべきかについて読者に判断の材料を与える内容になっていません。

 「(仏軍は)単独でアサド政権の化学兵器の使用能力を弱められない」(朝日9月2日付)、「限定攻撃 効果疑問も」(毎日9月2日付)などの記事も、西側によるシリアへの軍事介入が当然で、アサド政権の化学兵器のみが問題であると認識し、限定攻撃では不十分であると米国に指南しているかのようです。

 シリアにおける8月21日の「化学兵器攻撃」疑惑について、AP通信などに記事を書いてきたベテラン中東記者のデイル・ガヴラク氏が、ダマスカス郊外ゴウタ地区の住民や、反政府軍兵士とその家族などに数多くインタビューしたところ、反政府軍兵士が化学兵器と知らずに誤爆させたとの証言を引き出しています。

「シリア化学兵器攻撃」は反政府軍による誤爆で、化学兵器はサウジが提供――中東専門記者が現地住民にインタビュー
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/373646407.html

 CNNは2012年12月9日付の記事「米国が貯蔵化学兵器の確保でシリア反乱軍の訓練を支援」で、米国と欧州の同盟国がヨルダンとトルコで軍事請負会社を使って、シリアにおける貯蔵化学兵器の確保方法について、シリア反乱軍を訓練していると伝えています。

Sources: U.S. helping underwrite Syrian rebel training on securing chemical weapons – CNN Security Clearance - CNN.com Blogs
http://security.blogs.cnn.com/2012/12/09/sources-defense-contractors-training-syrian-rebels-in-chemical-weapons/

 アサド政権だけが化学兵器攻撃の責任を持つわけでないことを示す報道があるにもかかわらず、日本のメディアは一切伝えません。メディアは少なくとも、米国による軍事介入の前に、ガヴラク氏が引き出した証言が真実であるのかどうか、検証する責務が生じたといえます。(国連調査団の目的が化学兵器攻撃の実行者を特定することでないことはご存知でしょう。)

 メディアは米国によるシリアへの軍事介入が「限定的」でアサド政権の転覆が目的ではなく、政権による化学兵器使用能力を削ぐことが目的であるとする米国の発表をそのまま伝えています。

 しかし、8月29日付ガーディアンによれば、シリアのジハード集団(Ahrar Alsham Islamic Brigade)は当然にも、西側による空爆をアサド軍に対する攻撃に利用すると語っています。

Syrian rebels plan wave of attacks during western strikes | World news | The Guardian
http://www.theguardian.com/world/2013/aug/29/syrian-jihadi-fighters-attacks

 西側による軍事介入は明らかに政府軍の空軍能力を狙ったものであり、それが限定的であれ何であれ、効果は持続し、反政府軍を持続的に利するものです。

 表立った軍事介入が限定的であれ何であれ、西側による反政府軍への軍事支援は持続的に行われていますが、日本のメディアはこの点にほとんど触れません。

 日本のメディアがよく引用するニューヨーク・タイムズほかが数多くこの種の記事を書いていますが、日本のメディアは引用しないのです。海外での調査体制に問題があるとしても、海外メディアを引用することはできるはずです。

「CIAの支援によりシリア反政府軍への武器空輸が拡大」
Arms Airlift to Syrian Rebels Expands, With C.I.A. Aid - NYTimes.com
http://www.nytimes.com/2013/03/25/world/middleeast/arms-airlift-to-syrian-rebels-expands-with-cia-aid.html?pagewanted=all&_r=1&

「米国および欧州がザグレブ経由でのシリア反乱軍に対する武器の大規模空輸に関与」
US and Europe in ‘major airlift of arms to Syrian rebels through Zagreb’ - Telegraph
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/middleeast/syria/9918785/US-and-Europe-in-major-airlift-of-arms-to-Syrian-rebels-through-Zagreb.html

 英国が過去2年間にわたってシリアに化学兵器の原料となるフッ化ナトリウムを輸出してきたことも問題にされなければなりません。(英国議会報告書、2013年7月18日付フィガロ)

Londres vend des armes à la Syrie
http://www.lefigaro.fr/international/2013/07/18/01003-20130718ARTFIG00482-londres-vend-des-armes-a-la-syrie.php

 また、シリアの首都ダマスカス近郊ジョバルでサリンが使用されたとフランスが公式に認めた6月4日の前に、なぜフランスが抗サリン薬を自由シリア軍が支配する対トルコ国境のバブアルハワに輸送したのかも、追求されてしかるべきでしょう。(2013年6月24日付フィガロ)

Un camion de médicaments français contre le gaz sarin
http://www.lefigaro.fr/international/2013/06/24/01003-20130624ARTFIG00573-un-camion-de-medicaments-francais-contre-le-gaz-sarin.php

 さらに、8月28日付フィガロ・ブログが、西側外交筋の話として、米国当局者が国連に対して化学兵器調査団の活動を延長しない方がよい、と伝えたと書いています。この問題もメディアは追求すべきです。

Syrie: les Américains ont demandé à l’ONU de ne pas poursuivre sa mission − De Bagdad à Jérusalem : L’Orient indiscret
http://blog.lefigaro.fr/malbrunot/2013/08/syrie-les-americains-ont-deman.html

 8月29日付ガーディアンは、予定よりも早い国連武器調査団の出国は、米国のサダム・フセイン体制に対する空爆が差し迫っているという西側諜報当局の情報を受けて、10年以上前にイラクから同様に急いで出国したことを想起させる、と書いています。まさにその通りです。

UN orders its inspectors out of Syria in anticipation of strikes | World news | The Guardian
http://www.theguardian.com/world/2013/aug/29/un-inspectors-syria-strikes

 8月27日付ガーディアン記事「シリアに対する攻撃は戦争と殺戮を拡大するだけだろう」で、Seumas Milne氏は明確に軍事介入に反対しています。このような論調が29日の英国議会による軍事介入否決につながったと考えます。日本のメディアに求められるのもまさにこれです。

An attack on Syria will only spread the war and killing | Seumas Milne | Comment is free | The Guardian
http://www.theguardian.com/commentisfree/2013/aug/27/attack-syria-chemical-weapon-escalate-backlash

 Milne氏は、シリア人権監視団が8月21日の「化学兵器攻撃」による死亡者数を322人とした一方で、エジプト(軍事政権)が2日間で1295人以上を殺害したことを取り上げ、ケリー米国務長官はエジプト軍が民主主義を回復しているとして、オバマは米国が肩入れしないと言明したことを指摘しています。

 米国による軍事介入が恣意的であることを指摘する論調が、日本のメディアではあまり見られません。

 加えてMilne氏は、英国政府による開戦プロセスを解説するのではなく、反政府軍が神経ガスのサリンを使用したことが具体的に強く疑われると国連人権理事会調査官のカルラ・デル・ポンテ氏が指摘し(8月以前の攻撃について)、その後すぐにトルコの保安当局がシリアへ向かっていたアルカイダ系アル・ヌスラからサリンを押収したこと、反政府軍がシリア北東部からイラク国境にかけて数多くのクルド人に対して民族浄化を働いていることを指摘し、読者に判断材料を与えています。

 シリア民衆の独裁体制に対する蜂起が宗派間・地域代理戦争に変質してしまっているというMilne氏の基本的な認識さえ、日本のメディアでは押さえられていないようです。

 「人道に対する犯罪」を罰しないままにしておく訳にはいかないという米国の理屈は成り立ちません。Milne氏も記事の中で取り上げている劣化ウラン弾や白リン弾、枯れ葉剤を使用してきた米国が人道介入を語る資格がないのは明白です。

 サダム時代の方がマシだったと一部が語る現在のイラク。この10年間にイラクで殺された外国部隊の兵士(約4800人)とほぼ同じ人数の市民が毎年、命を奪われています。このような事態を招く「人道介入」などあり得るわけがありませんが、このような指摘も日本のメディアではほとんど見られません。

 シリア情勢をめぐる報道では、海外のメディアと日本のメディアで明らかに落差があり、日本のメディアは本来の使命を果たしているとは思えません。日本政府をして軍事介入への「支持表明」に向かわせる世論作りに貢献しているように見えてしまいます。

 日米政権の意向だけを伝えるのでなく、調査報道にさらに力を割かれ、読者がシリア情勢を理解することでシリアに対する軍事介入の是非を判断できる材料を提供していただきたいと思います。

「平和への結集」をめざす市民の風