エジプトの小選挙区比例代表並立制は違憲!

6月 15th, 2012 Posted by MITSU_OHTA @ 21:13:42
under メディア , 選挙制度 , 福島原発事故 No Comments 

日本の国会では6月15日、原発廃炉も決めていない段階で、「原発内の専門的知見が必要な判断」を行う権限を政治家から奪い、廃炉40年を覆す意図を明確にした原子力規制委員会法=原発温存委員会法が衆院を通過した。

一方、エジプトでは、「軍部によるクーデター」だと非難する声もあるが、日本と同じ小選挙区比例代表並立制は無所属が比例区に立候補できず機会の平等に反して違憲だとする憲法裁判所の判決で、民主主義的健全性を示している。

日本のメディアは、例によって重要法案にそっぽを向けて捕物帳や芸能ネタ、今回はオウム某の逮捕をクローズアップし、エジプト憲法裁判所の判決も「混乱」という見方しか提供できない。

6.15再稼働抗議「危険な原発やめてくれ!」官邸前で怒り爆発!
http://www.youtube.com/watch?v=iepmVN2YKww

テレビは今回、原子力規制委員会法の審議を中継すべきだったし、活字媒体も「エジプト憲法裁判所による小選挙区比例代表並立制の違憲判決は、日本における1票格差是正と選挙制度の論議に影響を与えそうだ」くらい書くべきだろう。

1票格差の是正といって、民主党支持者ないし自民党支持者としての有権者が選出する議員の選挙区が、鳥取や島根から神奈川や千葉に変わるだけの選挙区間1票格差の是正に、何の意味があるか。格差・差別の本体を放っておいて。国会の論議がまずおかしいが、それを追求しないメディアもおかしい。

それにしても、脱原発政党・社民党の重野安正幹事長が、小選挙区比例代表連用制を条件に無所属に対する差別を拡大する「0増5減」を認めるとは。原発、沖縄米軍基地、小選挙区比例代表並立制…すべての根っこにあるのが差別で、これらの突破口が脱差別だというのに。でなければ脱原発などは単なる一政策課題の選択問題に矮小化され、政治潮流の変革につながらない。

社民は「0増5減」を認めるべきでない
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/258503915.html

日本より人口の少ないエジプトの人民議会の定数は508であるのに対し、日本の衆議院の定数は480しかない。日本では国会の定数削減でなく、エジプトのように格差・差別をなくす選挙制度改正が必要なのである。
 
 
太田光征
 
 
時事ドットコム:原子力規制委法案、衆院通過=今国会で成立の見込み
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012061500047
「原発内の専門的知見が必要な判断は規制委が行い、首相は覆せない。」

「廃炉40年」に見直し規定…民自公が修正合意
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120613-OYT1T00905.htm

エジプト議会 再選挙の可能性 NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120615/k10015842511000.html
「去年11月からことし1月にかけて行われたエジプトの議会選挙を巡っては、無所属の候補者が小選挙区でしか立候補できないのに対し、政党に所属する候補者は比例代表と小選挙区の両方に立候補でき、不公平だという申し立てがありました。」
「これについて、エジプトの憲法裁判所は14日、機会の平等に反し、違憲だという判断を下しました。」
「議会が解散される可能性が出てきたことに、議会を権力基盤としてきたムスリム同胞団が激しく反発することは必至で、投票が迫った大統領選挙の行方にも影響を与えそうです。」

東京新聞:エジプト国会 選挙やり直しの可能性 憲法裁判所が違憲判断
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2012061502000102.html
「大統領選の決選投票を十六〜十七日に控え、民政移管の工程に混乱が生じることになる。」

エジプト憲法裁、議会選を一部無効と判断
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1405X_U2A610C1000000/
「再選挙を実施すれば同国の内政は一層混乱しそうだ。」

エジプト憲法裁、議会に「無効」判断 選挙違反を指摘
http://www.afpbb.com/article/politics/2884208/9117473?ctm_campaign=txt_topics
「国内の活動家や政治家らは、憲法裁判所の判断を軍部による「クーデター」だと非難している。」

大飯原発3、4号機の再稼働はできない

5月 22nd, 2012 Posted by MITSU_OHTA @ 14:01:18
under 福島原発事故 1 Comment 

福井県知事 西川一誠様
福井県原子力安全専門委員会委員の皆さま

[要旨]
・原発の通常稼働による健康被害を「安全性」論議に含めるべき
・福島原発事故の検証では、地震の影響(津波襲来前の放射線モニタリングポストの警報など)が未解明
・オール電化をいまだに進め、原発の再稼働は需給バランスに関係ないと明言する不誠実な関電と「安全性」論議は不可能

原発再稼働のことで日々悩まれていることと思います。

過酷事故が起こらなければ原発は安全だという前提で原発再稼働論議が進められていますが、私は違和感を覚えます。

15カ国の核労働者40万人以上を対象にした大規模な疫学調査で過剰死亡リスクが認められているし、米国の核施設周囲で乳がん発生率が上昇していることをJM・グールドが綿密な疫学調査で見いだしています。さらに、米国で8基の原発が閉鎖された後、各原発の風下ないし原発から64キロメートル内で地元産ミルク中ストロンチウム90濃度と乳児死亡率が急減したことをJJ・マンガーノらが実証しています。

低線量放射線による健康影響に関しては、こちらもご参照ください。

[仮称]松戸市放射能対策総合計画(案) に対する意見
http://2011shinsaichiba.seesaa.net/article/266897022.html

西日本は福島原発事故の影響をあまり受けていないため、原発の全基停止をこのまま維持すれば、健康被害が減少することが期待されます。

「過酷事故が起こらなければ原発は安全」という前提で原発再稼働を認めるとしても、福島原発事故の検証がまったくできていません。

福島原発事故では津波が来る前に、1号機から約1500m 離れたモニタリングポストMP3で警報が鳴り、1号機では15:37に全交流電源を喪失して約2時間後の17:50に、建屋入口で検出限界を超えるほどの放射能、「シューシュー音」が確認されています。

地震による配管損傷(破断)でIC(非常用復水器)が機能せず、炉心溶融へ至った可能性
http://www.liveinpeace925.com/nuclear/fukushima1_1_ic111029.htm

これらはすべて地震の揺れによる影響であると考えられますが、政府も国会も東電も原因を明らかにしていません。いくら電源を確保したところで、冷却系配管が破壊されれば、メルトダウン事故に至ります。福島原発事故の検証で一番重要な部分が欠落しているのです。

関電には誠実さがありません。東電でさえ緊急設置電源として221万kWを確保しましたが、関電はわずかに2万kWだけです。

【関電】準備してれば足りていた。わざと停電を長引かせることも!? (テレ朝モーニングバード、5月17日)
http://www.youtube.com/watch?v=RVBAUWGt9NM

さすがに東電は福島原発事故の後でオール電化の新規営業を中止しましたが、関電はいまだに続けています。

関西電力:オール電化住宅なお促進(毎日新聞、2012年05月05日)
http://mainichi.jp/select/news/20120505k0000e020162000c.html

また関電は、原発の再稼働は需給バランスに関係ない(経営のため)と明言しています。環境エネルギー政策研究所の飯田哲也氏は、中部・北陸・中国電力は猛暑でも電力供給力に900万kW、つまり原発9基分の余剰が生じるとみています。どうやったら関電管内で停電が起きるというのでしょうか。

電気が足りないから再稼働するのではない。関電が明言(テレ朝モーニングバード、5月3日)
http://www.youtube.com/watch?v=mXoeCl5zW9c

日本でまた原発事故を起こせば、日本に対する信用は完全に地に落ちます。「電気が足りなくなる夏季限定の再稼働」ではいつまで経っても変わらないでしょう。原発を安定的に稼働させるための方便です。

原発事故を起こした側の国や電力会社が原発の再稼働を主導することは非常識です。ドイツのメルケルは福島原発事故後に倫理委員会を立ち上げて原発全廃を決めました。

原発がなければ経済が成り立たないという主張は、エネルギー量にして石油より少ないウランが枯渇すれば経済が成り立たなくなるという主張と同じで、真に受けるわけにはいきません。

独ルブミンの原発跡地:風力発電設備企業などが進出し、寂れた町は少しずつ立ち直っていった
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/268717602.html
電力会社を追い出した町(NHK「時任三郎 エネルギーの旅」、2012年4月30日)
http://www.youtube.com/watch?v=8WknCBjM0fw

電力需給見通しをコロコロ変える不誠実な関電や、まともな原発事故検証もできない政府と原発の再稼働を議論できるでしょうか。まずは市民と向き合っていただきたいと思います。

2012年5月22日

太田光征

NHKは選挙制度・定数削減、原発事故・再稼働の問題で公平・中立・多様な情報の提供を

5月 7th, 2012 Posted by MITSU_OHTA @ 21:23:18
under メディア , 選挙制度 , 福島原発事故 No Comments 

NHK御中

いつも優れた番組の制作ありがとうございます。本日は選挙制度・原発事故に関連した貴局の番組・報道について意見を述べます。

貴局は2012年4月30日に「双方向解説 そこが知りたい!『どうなる消費税・一体改革の行方は』」を放映されました。

NHK双方向解説が「議員定数削減」に反対する意見を報道せず
http://alcyone-sapporo.blogspot.jp/2012/04/nhk_30.html

上記ブログでも明らかにされているように、私も知るある方が国会議員の定数削減に反対する意見を出したものの、賛成意見のみが番組で紹介されました。このような番組運営は公平・中立・多様性を要請する放送法に反しています。

安達宜正解説委員による解説も、少数政党に不利に働く不公平な説明と言えます。

ここに注目! 「通常国会あす召集・焦点は」 | おはよう日本 「ここに注目!」 | 解説委員室ブログ:NHK(2012年01月23日)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/300/107162.html

「具体化するかどうかはこれからですが、いまの小選挙区比例代表並立制から、連用制に改めることです。簡単に言いますと、比例の選出方法を改めて、小選挙区で得た議席の少ない政党に優先的に議席を配分するという制度です。」

この説明は小選挙区比例代表連用制の本質を誤解させかねません。小選挙区比例代表連用制は、比例区の得票数を基に、議席配分を全体として比例代表制による結果に近づけるようにしたものです。考え方が小選挙区比例代表並立制とは完全に違うもので、少数政党だけを優遇することが狙いではありません。

大政党は小選挙区における議席占有率が得票率を上回る場合が多く、小選挙区では大政党に「優先的」に議席が配分されるので、小選挙区比例代表連用制の比例区では小選挙区で得た議席を比例区で得たものと見なし、大政党に対する過剰な議席配分を修正します。

そのため、小選挙区比例代表連用制における比例区の議席配分では、例えば小選挙区で100議席を獲得した大政党Aは101、102、103…で得票数を割っていき、小選挙区で議席数0の少数政党Bは1、2、3…で得票数を割っていくという修正ドント式を採用するのです(A党が101議席を獲得するとして1議席当たりに要する得票数と、B党が1議席を獲得するとして1議席当たりに要する得票数を比較し、1議席当たりに要する得票数の大きい方の政党に議席を配分する。比例区定数の議席が配分されるまでこうした計算を続ける)。

しかし、小選挙区比例代表連用制でも大政党に有利であることに変わりはありません。

小選挙区比例代表連用制
http://kaze.fm/wordpress/?p=346

次に、太田真嗣解説委員による解説を取り上げます。

時論公論「どうする一票の格差・選挙制度」 | 時論公論 | 解説委員室ブログ:NHK(2011年10月25日)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/99270.html

「言うまでもなく、憲法が要請する『投票価値の平等』は、民主主義の基本にかかわるもので、最高裁の判決を踏まえ、一日も早く、格差を解消することは政治の務めです。しかし、政治への信頼が問われている今、定数削減の問題や、選挙制度そのものをめぐる議論も避けて通れないのは明らかです。」

前半部分は正しいと思いますが、小選挙区制による選挙区間1票の格差を問題とするなら、小選挙区制において生票と死票を投じる主権者の間で生じる格差をどう評価するのか、格差解消の優先度はどちらが高いのかについても、解説していただきたいものです。小選挙区Aの主権者1万人が議員1人を当選させることができる一方で、小選挙区Bの主権者1万人すべての票が死票になるような事態をもたらすのが小選挙区制であり、こちらの格差の方がはるかに問題です。

また、政治に対する信頼と定数削減の関連を当然視する見解は納得できません。公共放送による解説であれば、放送法で規定されているように、多様な論点の提示が求められます。政治的多数派の主張や国民多数の見解だけを紹介すればよいというわけにはいきません。

現在の定数削減論は大政党が主導し、少数政党を国会から排除する方向のものであり、国会活動のほとんどに責任を持つ大政党が身を切ることなく生き残り、少数政党が排除されることで政治に対する信頼性が回復されるとする論は成り立ちません。また、定数が削減されても新人議員の立候補者数を削減すればよいだけなので、国民に信頼されていないとされる現役議員の身を切ること、それによって政治に対する信頼を回復するなどということも、ほとんどあり得ません。

福島原発事故に関する番組でもまったく同様の問題があります。

2011年10月22日に「“食の安全”をどう取り戻すか」と題する市民討論会がNHKスペシャルとして実施されました。広瀬隆『第二のフクシマ、日本滅亡』(朝日選書、211ページ)によれば、「その後、私の知人たちが、ベクレル表示に要する費用は東京電力が負担するべきだ、という意見を視聴者として送っていたことも分かった。それをNHKは一切紹介しなかったのである。」

ちなみに、西日本新聞の社説なども、同様に不公平なものになっています。

衆院選挙制度 定数削減は国民の要請だ  西日本新聞2012年1月19日: 社説
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/282775
「公明党や社民党が少数政党に議席配分が有利な比例代表の連用制や併用制を主張し、みんなの党や共産党が全議席比例代表選挙の導入を求めているのも、議席を失いたくないからだ。」

西日本新聞よ、貴紙は民主のメディア支部かね 1 バランスを欠く選挙制度(議席削減)の社説 | 児玉昌己 研究室
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3053
「民主は比例制に換えれば、即座に100名以上の議席を失う。同様に、それが怖いからだ、とどうして社説氏は書かないのかね。」

もちろん、「定数削減は国民の要請だ」などと単純に断じることはできません。米軍基地の沖縄への押し付け、原発の地方への押し付けを多くの国民が要請したとしても認められないのと同様に、主権者の主権を不平等に切り崩すような選挙制度改定・定数削減は、単純な多数決で決定することができないからです。

現在、日本の原発は全基が停止しています。原発再稼働を考えるにあたっての最大の論点は(低線量)被ばくによる健康被害であると思いますが、原発の再稼働をめぐる攻防では電力の需給関係が重要な論点の1つになっています。

原発が停止した場合の電力需給がどうなるのかについて、メディアはもっぱら電力会社や政府が発表した見解をそのまま報道するだけです。この問題について貴局には、原発再稼働に反対する立場の方々の見解も交えて、独自の検証番組を制作・放映していただくようにお願いしたいと思います。

選挙制度・定数削減の問題であれ、原発事故・再稼働の問題であれ、貴局を含むメディアは民主的な決定に資するよう、公平・中立・多様な情報の提供に努めていただきたいと思います。

太田光征
http://otasa.net/

幸福なこどもの日が続くように〜芝田進午氏の復活

5月 5th, 2012 Posted by sa104927 @ 2:18:39
under 一般 No Comments 

櫻井智志

核時代38年1983年に、私達の哲学者にして平和思想家の芝田進午氏は、「マルクスの復活−核時代のマルクス」というきわめてユーモアとウイットに富んだSF風の作品を執筆なされた。この作品は、『唯物論研究』8号(1983年5月)に掲載され、さらに『核時代?文化と芸術』(青木書店、1987年7月)所収の第五部【核時代の文化としての「新しい考え方」】の中に収められている。

芝田進午氏は、核兵器がもたらす悲惨な事態に、学問がその事態そのものへ立ち向かう必然性と必要性とを精力的に伝えた。しかもそのアピールは、自らが「核時代」における生存とその基盤とを学問的に広範に明らかにするとともに、実践として「核時代に生きる」ために貢献した。核兵器を「人類絶滅装置体系」と意味づけた芝田氏は、「反核文化」の研究と普及に一心に取り組みつづけられた。その一環が先駆的な「ノーモアヒロシマコンサート」だった。このコンサートは、広島と東京で十数年も継続した。反核コンサートとして、この平和を願うコンサートの動きは、全国各地の先進的な文化人や平和運動家たちによって燎原の火のように広がっていった。芝田氏がご逝去された後に、ご夫人の芝田貞子氏がその志を継承し、「平和のためのコンサート」を主宰され続けた。芝田ご夫妻に共感する音楽家たちや、住宅地に強行的に移転した国立感染症研究所の実験差し止めの裁判を芝田進午氏と共に闘い、その危険性を学問上でも明らかにされた研究団体などがそれを支えた。

核時代56年2001年3月14日に芝田氏は、胆管がんと闘いながらご逝去された。そして、2011年3月11日に、東日本大震災がおき、福島原発で大事故がおこった。十年あまり後に発生した原発事故は、旧ソ連のチェルノブイリ発電所の原発事故やアメリカのスリーマイル島で起きた原発事故を上回る世界的規模の人工的大災害となった。

芝田氏が「核時代のマルクス」を想像したように、原子力発電所の悲惨な事故が起きた現在に、もしも芝田氏自らがご存命であったなら、どのように考えどのように行動なされたであろうか。
ちなみに今年も開催される「平和のためのコンサート」第13回実行委員会は、こう述べていらっしゃる。
===============================
第13回目となる“平和のためのコンサート”を今年も開催することとなりました。
月日が経つのは早いもので、本年は芝田進午先生の十三回忌にもあたります。また、2011年3月11日の東日本大震災・福島第一原発事故から1年が経ちました。
芝田進午先生は核兵器廃絶を願い、長年“ノーモア・ヒロシマ・コンサート”を主催してこられました。今、芝田先生が生きておられたら、この日本の未曾有の惨状にどんな言葉を語られるだろうか、と考えることがあります。原発は核の「平和利用」の名目で進められてきましたが、ウランの採掘、発電、廃棄物に至るまで一貫して被爆者を生み出し続ける装置でした。私たちがもっと真摯に広島・長崎の被爆者の声に耳を傾けていれば、そのからくりに気がついたはずです。そのことが残念でなりません。同時に、今、私たちの周りでは様々な分断が起きています。放射能は、震災後盛んに使われている「絆」という言葉をも破壊しているように思えます。だからこそ、私たちは音楽を通して、平和を求めていきたいと思っています。
今年は合唱曲「青い空は」の作詞としても知られる、小森香子さんに講演をお願いいたしました。コンサートの最後には、皆さんと「青い空は」を歌いたいと思っています。皆様のご参加をお待ちしております。

2012年(核時代67年)
平和のためのコンサート実行委員会
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実行委員会が明確にされたように、ひとつのサイクルとして、ウラン採掘から、最終の廃棄物に至るまで、「平和利用」とは全く無縁なものが核兵器であり原発であったのだ。 実行委員会はさらに、「様々な分断が起きていること」「震災後盛んに使われた絆という言葉をも破壊していること」を明確にされている。

悲惨な震災被災者や原発事故被災者のかたがたへの社会保障が、憲法の生きる権利とは切断されて、農業、漁業、自営業、就労など生活の基盤や土台においても「復旧」ではなく、大規模な資本集約型の産業によるリストラや弱肉強食による構造改革型の「復興」が推進されている。震災前から全国各地で進められていた過疎化による生活困難は、広域地方自治体再編成による地域生活の破壊などで始まっていたが、震災後に政府は、地域再生よりも新たな公共体管理の推進で、ますます生存競争激化型の政策へと動きつつある。

全国各地で、善意で唱えられた「絆」は、新たなナショナリズムの装いを帯びて、現実に被災にあった人々の日常生活の困難さや体内被曝の危険を解決する福祉政策とは隔たり、上からの「絆」キャンペーンによる精神的同一化を志向している。
私は、この13回コンサート実行委員会起草文書こそ、核時代第二段階と呼ぶべき今日の日本を、的確に見通し短い言葉で見通した重要な文章であると感じた。
そこに流れる思想こそ、芝田進午氏が現在日本に復活したら、きっと同じ分析をなさっていることだろう。

なお、芝田氏は核時代40年1985年に「反核コンサートの二つの課題」という論文を執筆なされている。反核コンサートの隆盛と支える献身的なかたがたへの感謝を前提とした上で、以下の二点を掲げている。端的に記すと、
?反核コンサート間で競争もうまれ、赤字になることも多くなる。新しい聴衆を開拓し、ふやし組織すること以外には解決策はない。同時にこのことは反核運動を拡大し発展させることでもある。このことは反核コンサートの運動が、やりがいのある正念場にさしかかっているといえるだろう。
?反核コンサートの可能性の一つは、合唱曲、クラシック、ポピュラー、邦楽などジャンルの多彩な音楽作品が反核という一点で統一され、演奏されうること、そのことで違和感どころかかえってジャンルをこえた相乗効果が強められる。個性のある反核音楽の作品を全体の有機的なプログラムにどう編成するか。一夜のプログラム全体の構成(コンポジション)が、字義どおり作曲(コンポジション)そのものであり、新しい課題である。

さて、第13回のコンサートは、6月9日(土)午後二時開演(開場一時半)である。会場は例年どおり、牛込箪笥区民ホールである。全席自由で2200円。
問いあわせは、電話ファックスともに03−3209−9666芝田様方である。
第13回平和のためのコンサート
http://www.biohazards.jp/index-c.htm
が詳細を伝えている。なお、コンサート後の様子も例年ホームページで親切に伝えて下さっている。

パブリックコメント:食品中の放射性物質に係る基準値の設定

2月 5th, 2012 Posted by MITSU_OHTA @ 0:38:05
under 一般 No Comments 

食品安全基準についてはチェルノブイリ事故の研究成果や、3・11福島事故後の最新研究などに基づくようにお願いします。

また、文部科学省の放射線審議会の会長を務める丹羽太貫京都大名誉教授は抗がん剤企業バイオメディクスの代表取締役社長であり、ストレステスト意見聴取会と同様、利益相反が疑われます。

同審議会は適切な委員で再構成してください。乳児用食品と牛乳の基準を50Bq/kgから100Bq/kgに緩めないようにお願いします。

米国の研究者が3.11後に自国における死亡者数の増加を報告している。

Radiation and Public Health Project
http://www.radiation.org/
http://www.radiation.org/reading/pubs/HS42_1F.pdf
AN UNEXPECTED MORTALITY INCREASE IN THE UNITED STATES FOLLOWS ARRIVAL OF THE RADIOACTIVE PLUME FROM FUKUSHIMA:IS THERE A CORRELATION?
International Journal of Health Services, Volume 42, Number 1, Pages 47–64, 2012
Joseph J. Mangano and Janette D. Sherman

米疾病管理予防センター(CDC)に登録された国内122都市の死亡者数データ(速報値)によれば、3.11後の14週にかけて、全死亡数が前年同期比で4.46パーセント増加した。一方、3.11前の14週は前年同期比で2.34パーセントしか増加していない。乳幼児に限ってみると、3・11前の14週が前年同期比8.37パーセント減であるのに対して、3・11後の14週は同1.80パーセント増であった。全米では1万3983人の全死亡数、822人の乳幼児死亡数が過剰死と推定される。

同じ現象はチェルノブイリ事故後も起こっていて、事故後4カ月間(5〜8月)の全死亡数は前年同期比で2.3パーセント増加した。事故後4カ月間の乳幼児死亡数は0.1パーセントの増加で、事故前4カ月間は2.3パーセントの減少(確定値)。

米環境保護局(EPA)のデータによれば、チェルノブイリ後の5月から6月にかけて、米国におけるミルクのCs137濃度は前年同期比で平均3.6倍であった。示されているデータで一番高いのはシアトルで、15.0倍となる39.33pCi/l=1.45Bq/l(1ピコキュリー=0.037ベクレル)であった。

同様の報告は『死にいたる虚構―国家による低線量放射線の隠蔽―』(ジェイ・M・グールド、ベンジャミン・A・ゴルドマン著、肥田舜太郎、斎藤紀訳、2008年、PKO法『雑則』を広める会)にもあり、米国各地でミルク中のヨウ素131濃度と全死亡率の増加率に相関関係が見られ、線量反応関係は上に凸の形であった。ミルク中ヨウ素131の最高濃度はカリフォルニア州、ワシントン州でわずか44pCi/l=1.6Bq/lだった。

EPAが定める飲料水基準は、ヨウ素131が3pCi/l=0.111Bq/l、Cs137が200pCil/l =7.40Bq/lとなっている。

Drinking Water Contaminants | Drinking Water Contaminants | US EPA
http://water.epa.gov/drink/contaminants/index.cfm#Radionuclides
http://www.epa.gov/ogwdw/radionuclides/pdfs/guide_radionuclides_table-betaphotonemitters.pdf

ICRPがPubl. 111でチェルノブイリ周辺地域における放射能摂取量や、摂取量と体内放射能の関係などを報告している。

「ICRP Publ. 111 日本語版・JRIA暫定翻訳版」
http://www.jrias.or.jp/index.cfm/6,15092,76,1,html
原文:
http://www.icrp.org/publication.asp?id=ICRP%20Publication%20111
http://www.icrp.org/docs/P111(Special%20Free%20Release).pdf

事故から20年後、周辺汚染地域における典型的成人のCs137の1日当たり平均摂取量は10〜20Bqの範囲であった(翻訳版21ページ)。

バンダジェフスキーよれば、ベラルーシの子どもたちのCs137体内蓄積量が10Bq/kg程度で心筋異常が発生している。

放射性セシウムが 人体に与える 医学的生物学的影響〜チェルノブイリ 原発事故被曝の病理データ〜(Y・I・バンダジェフスキー著、久保田護訳、合同出版)

Y・バンダシェフスキー教授「チェルノブイリ事故による放射性物質で汚染されたベラルーシの諸地域における非ガン性疾患」
http://peacephilosophy.blogspot.com/2011/09/non-cancer-illnesses-and-conditions-in.html

この10Bq/kgという値は、体重10Kgの子どもなら100Bqということになるが、ICRP Publ. 111(21ページ、図2.2)によれば、Cs137を1日当たり1Bq摂取すると、約200日で到達する。

http://yocaki.tumblr.com/post/10719162869/icrp-publication
放射性セシウムの一回摂取と長期摂取による体内残存量の経時推移 (ICRP)

読売新聞は4日付の社説で、新規制値で低減できるのは0・008 mSvで効果がごくわずかだとしている。

食品の放射能 厚労省は規制値案を再考せよ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20120203-OYT1T01190.htm

しかし、チェルノブイリ事故から20年後、周辺の子どもたちの典型的なCs被ばく量は、0.03〜0.05mSv/yであり(ICRP Publ. 111、20ページ、図2.1)、意味がないとはいえない。

太田光征
http://otasa.net/

消費税アップと定数削減は民主政治の破壊――民主党の「財源を生み出す努力」はまだ不足している

1月 31st, 2012 Posted by MITSU_OHTA @ 3:21:25
under 一般 1 Comment 
2012年1月31日

1 消費税アップの問題

 消費税アップについては民主党のマニフェストに記載されていない。消費税の導入は歴代の自民党が主張し、これまで野党の反対を押し切り、現在の消費税5%を実現してきた。今回の民主党の消費税アップは自民党路線を踏襲することになる。

 民主党のマニフェストでは「税金のムダづかい」を再生産している今の仕組みを改め、新たな財源を生み出す、とある。

 民主党は現在、消費税に代わる財源をどこにも生み出せないと判断し、見通しのなさを認めたことになる。

 ではなぜ見通しが誤っていたのか、どのような努力をしてきたのか、今もしているのかを明らかにし、政権担当任期中に総括し、国民に謝罪すべきである。

 民主党が新たに消費税アップを主張するのであれば、国民に謝罪し、公正な選挙制度を創出した上で、解散総選挙に臨み、公正な議席構成の国会で熟議することである。途中での変更は許されない。

 マニフェストから離れても、そもそも多くの国民が否定している消費税アップをごり押しすることは、民主政治の破壊である。

2 私たちは財政収入が減ったのは過去の自民党の政策にある、と考えている。財政悪化の原因は法人税減税、高所得者減税にある。

 1990年代以降、日本の国民所得はほとんど伸びていない。1989年度から2010年度までの21年間に、国民所得の増加は8%弱に過ぎなかった。この期間に、国税収入は16.7兆円減った。法人税は10兆円、所得税は8.4兆円の減収であった。この間に法人税率は40%から30%に、所得税は最高税率が50%から1999 年〜2006 年にかけて37 %、2007年から40%に減税されたことの影響が大きい(1974年から10年間、最高税率は75%であった)。またこの21年間に消費税は5.9兆円増加した。この結果、企業の内部留保金は1989年の136兆円から2010年では2.7倍の368兆円となった。こうしてできた収入減による財政赤字を消費税アップで補い、貧富の格差をさらに広げようとしている。

 民主党政権はまず、法人税減税と高所得者減税をもとに戻すこと、これを消費税アップより先に行うことである。これは「国民の生活第一」を掲げたマニフェストに合致することである。

 米政府のオバマ大統領は富裕層の税金をアップして、中間層の所得を確保すると述べている。野田首相は富裕層の増税を明言せず、低所得者層にとって重税となる消費税アップを明言し、オバマ大統領と180度の違いを示している。

3 議員歳費削減は正論だが定数削減は誤り

 民主党は議員定数削減をマニフェストに掲げているのでそれを実現する、と主張するだろうが、マニフェストの内容すべてに有権者が賛同したわけではない。ましてマニフェストに掲げていない消費税アップなど国会で提案すべきではない。

 民主党幹部や評論家は、消費税アップを実現させるためには「政治家が自ら身を切る」必要があると述べ、議員定数削減をその例に挙げているが、これは誤りである。議員定数は国民、有権者がその代表を選ぶ権利を行使するに十分なだけ確保されなければならない。議員の歳費削減は一部の国民の要求としてあるが、定数削減は多様な民意を人為的に切り捨て、国民の声を反映させる機会を縮減するもので、民主主義の否定となる。これは誤った歳費削減方法であり、政治を少数者で支配しようとする財界的発想である。私たちは、多額の報酬をあてにせず国民に奉仕する議員が多く選出されることを望んでいる。私たちは消費税アップを実現させるために、政治家が自ら身を切る、議員定数を減らす、というまやかし、策略に反対する。

 なお、小選挙区制の枠組みを残したまま0増5減などにより「1票格差是正」を行ったとしても、小選挙区制という巨大な格差そのものの前に、ほとんど意味を成さないことを指摘しておきたい。

4 福島原発事故は定数削減が無駄削減にならないことを示している

 政府が1960年に原発事故の被害額を試算したところ、現在の価値に換算して約200兆円という結果を出した。福島原発事故の被害すべてを東電が補償したとしても、東電の顧客である市民が負担することになるのである。最終的な被害額は不明だが、政府・国会が原発政策を進めてきた結果、途方もない負担を国民に押し付けることになった。

 国会が少数意見であったとしても反原発の意見を大事に反映するものであったならば、今回のように膨大な財政負担を避けることができたかもしれない。議員定数を削減することで民意を削る、民主主義を切り崩すことが、経費削減どころか膨大な経費増大、国民負担をもたらし得ることを福島原発事故は不幸な形で示した。

 このような教訓を国会議員は学ばなければならないはずなのに、沖縄に基地、地方に原発を押し付ける前に身を切るべきだ、などとは一切語ったことのない国会議員が、原発事故に伴って既に膨大な財政負担を強いられている状況下で、消費税アップという負担をお願いする前に限って身を切ると偽り、有権者の意見を切り捨てるなどということは、国民を冒涜していることになる。

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「放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針骨子案」等に対する意見

10月 25th, 2011 Posted by MITSU_OHTA @ 3:18:30
under 一般 No Comments 

環境省 報道発表資料−平成23年10月17日−「放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針骨子案」等に対する意見の募集(パブリックコメント)について(10月26日まで!)
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=14327
 
 
[意見1]

・意見の対象([2])

・意見の該当箇所

2.汚染状況重点調査地域の指定の要件 【法第32 条第1項関係】
3.除染実施計画を定めることとなる区域の要件 【法第36 条第1項関係】

・意見の要約

「その区域における放射線量が一時間当たり0.23 マイクロシーベルト以上」という要件と、その基となる「追加被ばく線量年間1ミリシーベルトの考え方」(平成23 年10 月10 日災害廃棄物安全評価検討会・環境回復検討会 第一回合同検討会の参考資料2の別添2)を採用しないこと。

・意見及び理由

「追加被ばく線量年間1ミリシーベルトの考え方」は外部被ばくしか考慮しておらず、不適切。

フィンランドにおいてはチェルノブイリ原発事故の直後となる86年5月の線量がわずかμSvレベル(6.6〜137.9μSv)であっても、線量が高いほど死産率がその後、一時的に上昇している。下記参照。

市民・科学者国際会議 放射線による健康リスク〜福島「国際専門家会議」を検証する〜(2011年10月12日)
http://www.crms-jpn.com/art/140.html
真実を見極める チェルノブイリ、ドイツ、フクシマ:セバスチャン・プフルークバイル(物理学博士、ドイツ放射線防護協会会長)
http://www.ustream.tv/recorded/17826285
Scherb und Weigelt:Bericht Nr.24(2003) des Otto Hug Strahleninstituts

チェルノブイリ事故後は米国でも同様。米国各地でミルク中のヨウ素131濃度と全死亡率の増加率に相関関係が見られ、線量反応関係は上に凸の形であった。ミルク中ヨウ素131の最高濃度はカリフォルニア州、ワシントン州でわずか44pCi/l=1.6Bq/l(1ピコキュリー=0.037ベクレル)だった。下記参照。

『死にいたる虚構―国家による低線量放射線の隠蔽―』(ジェイ・M・グールド、ベンジャミン・A・ゴルドマン著、肥田舜太郎、斎藤紀訳、2008年、PKO法『雑則』を広める会)

ちなみに、ヨウ素131に関する日本の飲料水暫定基準値は300Bq/lと異常に高いが、米国の基準値は0.111Bq/lで、上記事実から納得できる。

ウクライナ・ナロジチ地区の年間線量は外部被ばく、内部被ばく合わせて1.3mSv(1991〜2004年の平均)であったが、住民の健康被害は年々拡大して、最新の調査を行った2008年が最大となり、ICRPの予測をはるかに上回っている。下記参照。

FUKUSHIMA of チェルノブイリ救援・中部
http://www.chernobyl-chubu-jp.org/pg244.html
南相馬市放射線量率マップ(2011年7月版)
http://www.chernobyl-chubu-jp.org/_userdata/msoumasokutei.pdf

[意見2]

・意見の対象([1])

・意見の該当箇所

<国際放射線防護委員会(ICRP)の2007 年基本勧告、原子力安全委員会の「今後の避難解除、復興に向けた放射線防護に関する基本的な考え方について」(平成23 年7 月19 日原子力安全委員会)等を踏まえて、目標値を設定すること。>

・意見の要約

ICRP勧告と原子力安全委員会「基本的な考え方」には従わないこと。

・意見及び理由

原爆傷害調査委員会(ABCC)とそれを引き継いだ放射線影響研究所は、広島・長崎に投下された原爆による初期外部放射線の人体に対する影響を調査するために設立されたもので、内部被ばく者を対象群に用い、内部被ばくの影響を切り捨てた。下記参照。

市民・科学者国際会議 放射線による健康リスク〜福島「国際専門家会議」を検証する〜(2011年10月12日)
http://www.crms-jpn.com/art/140.html
実態とかけ離れた放影研の被爆者研究:沢田昭二(物理学博士、名古屋大学名誉教授)
http://www.ustream.tv/recorded/17827015

ICRPはこれら組織の研究成果を基に内部被ばくの影響を外部被ばくの影響から外挿によって推定しており、その勧告は科学的根拠を持たない。下記参照。

ECRR(欧州放射線リスク委員会)2010年勧告
http://www.jca.apc.org/mihama/ecrr/ecrr2010_dl.htm

原子力安全委員会「基本的な考え方」はやたらに経済的因子を強調し、「心理、政治等の側面」など意味があいまいな記述もあり、人体と環境に対する影響を極力抑えるという思想に立脚しているとは思われない。

[意見3]

・意見の対象([1])

・意見の該当箇所

<現行の廃棄物処理法に基づく廃棄物の処理体制、施設等を可能な範囲で積極的に活用>

・意見の要約

放射性廃棄物(以下、廃棄物)は処理ではなく隔離を基本とする。廃棄物処理は表面処理に集中する。廃棄物処理の施設は専用とする。

・意見及び理由

廃棄物の対策については、生活環境からの隔離を基本とし、焼却処理などによる二次汚染を引き起こさないことが重要。放射性物質は廃棄物の表面に付着しているので、廃棄物処理は廃棄物表面の処理に集中する。廃棄物処理施設が必要な場合、二次汚染を引き起こさないよう専用施設を利用すべき。

[意見4]

・意見の対象([1])

・意見の該当箇所

<廃棄物の再生利用>

・意見の要約

徹底的に除染した廃棄物のみ再利用すること。

・意見及び理由

コンクリートくずなどは洗浄などにより徹底的に除染し、二次汚染を引き起こさない場合のみ、再利用すべき。

[意見5]

・意見の対象([1])

・意見の該当箇所

<処理等に伴い周辺住民が追加的に受ける線量が年間1ミリシーベルトを超えないようにすること。>
<処分施設の周辺住民が追加的に受ける線量が年間10マイクロシーベルト以下>

・意見の要約

廃棄物処理行為、そうでない行為の両方による追加被ばく線量が年間1ミリシーベルトを超えないようにすること。処分施設の周辺住民が追加的に受ける線量を「年間10マイクロシーベルト以下」より厳しくすること。

・意見及び理由

通常の生活環境から受ける追加線量に加え、廃棄物処理行為に関係する追加線量が年間1ミリシーベルト以上あってはならない。

廃棄物再利用製品が年間181マイクロシーベルトという例が実際にある。下記参照。

どうなる放射能汚染物の処理【5】次々明らかになる「安全」のウソ
http://eco.nikkeibp.co.jp/article/report/20110909/108322/

[意見6]

意見の対象([1])

・意見の該当箇所

<平成24年3月末までを目途に仮置場への移動を行う。また、土壌等の除染等の措置に伴って発生する廃棄物については、当該措置の進捗と整合を図りながら処理を行うこと。>

・意見の要約

廃棄物は発生場所での処理を基本とし、降雨などを活用した除染を行い、仮置場などをなるべく利用しない。「当該措置の進捗」を考慮しなければならない処理方法は採用しない。

・意見及び理由

二次汚染を引き起こさないよう仮置場はなるべく利用すべきではなく、廃棄物は人体と環境に対する影響を考慮して処理すべき。

[意見7]

・意見の対象([1])

・意見の該当箇所

<指定廃棄物の指定基準については、放射性物質による汚染のレベルに応じて求められる処理方法及び平常時に廃棄物処理を行っている市町村の処理技術、処理施設等の能力などの実態を勘案し、設定すること。>

・意見の要約

指定廃棄物の指定基準は、処理施設能力などではなく、人体と環境に対する影響を考慮して設定すること。

・意見及び理由

処理施設能力が足りなければ獲得できるようにすべき。

[意見8]

・意見の対象([1])

・意見の該当箇所

<法第36 条第3 項の協議会を設置する場合には、放射性物質、除染等の措置等の専門家を入れ、必要な知見を取り入れること。国は、計画策定者が協議会を設置する場合には、自ら管理する土地等に係る除染等の措置等を実施する立場として参加するのみならず、必要な科学的・技術的知見を提供すること。>
<国は、迅速な土壌等の除染等の措置の推進のため、費用対効果が高くかつ効果の実証された除染方法を標準的な方法として示すこと。>

・意見の要約

国などの福島原発震災原因者は、除染に関する専門家・知見・方法を直接に派遣・提供・提示すべきではない。

・意見及び理由

国は福島原発震災を引き起こした原因者であるので、それが派遣・提供・提示しようとする専門家・知見・方法は、人体と環境に対する影響を考慮したものである保証はなく、脱原発の見解、除染についての厳しい見解、内部被ばくの影響を重視する見解を持つNPOや専門家などの見解を反映したものでなければならない。

[意見9]

・意見の対象([1])

・意見の該当箇所

<国は、独立行政法人日本原子力研究開発機構をはじめとする様々な研究機関の取組の支援及びこれらの研究機関との連携の確保を行うなど>

・意見の要約

日本原子力研究開発機構が除染に関わる研究開発を行う場合、外部による承認が必要。

・意見及び理由

日本原子力研究開発機構は原子力推進機関なので、人体と環境に対する影響を考慮した研究開発をする保証はない。同機構の行う研究開発については、脱原発の見解、除染についての厳しい見解、内部被ばくの影響を重視する見解を持つNPOや専門家などによる承認を必要とする。

[意見10]

・意見の対象([1])

・意見の該当箇所

6.その他事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関する重要事項

・意見の要約

国や地方自治体、東京電力などの事業者が専門家の派遣、リスクコミュニケーションの実施、環境汚染への対処の実施内容及びその効果に関する周知、知識を得る機会の提供、専門家の派遣、必要な情報の提供などを行う場合、脱原発の見解、除染についての厳しい見解、内部被ばくの影響を重視する見解を持つNPOや専門家などによる承認を必要とする。

・意見及び理由

国や東京電力などは福島原発震災の原因者なので、人体と環境に対する影響を考慮した専門家や情報を派遣・提供する保証はない。自治体の中には煮る、焼くという調理方法で放射能対策になるとする見解の放射線医学総合研究所研究員を講師とする講演会を実施したところがあり、外部からのチェックが必要。

[意見11]

・意見の対象([2])

・意見の該当箇所

1.汚染廃棄物対策地域の指定の要件 【法第11 条第1項関係】
○ 警戒区域又は計画的避難区域である地域

・意見の要約

汚染廃棄物対策地域の指定の要件は警戒区域、計画的避難区域のみとすべきでない。

・意見及び理由

廃棄物は警戒区域、計画的避難区域の外にもある。
 
 
太田光征
http://otasa.net/