民主党:歴史修正主義者の放逐という真の「身を切る」改革で自民と対抗を

6月 12th, 2013 Posted by MITSU_OHTA @ 16:39:04
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民主党:歴史修正主義者の放逐という真の「身を切る」改革で自民と対抗を

2013年6月12日

民主党執行部の皆さま

 自由民主党との差別化に苦心している様子がありありと実感されます。橋下徹大阪市長ら日本維新の会の従軍慰安婦をめぐる発言に対して攻勢的な批判が貴党から聞こえてこないのも、その苦心と理由を同じくしているように思われてなりません。

 それもそのはず。貴党の中にも従軍慰安婦制度の強制性を否定する歴史修正主義者が少なからずいるからです。

村野瀬玲奈の秘書課広報室 |民主党 慰安婦問題と南京事件の真相を検証する会(仮称)呼びかけ人国会議員 名簿 (衆議院・参議院混合、五十音順) (2007年3月7日)
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-119.html
村野瀬玲奈の秘書課広報室 |2007年6月14日 ワシントンポスト紙 従軍慰安婦(性奴隷)強制文書否定広告署名国会議員(衆議院、参議院、五十音順) (2007年6月15日作成) 和文表記
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-266.html
日本軍「慰安婦」 強制を否定/安倍首相が賛同/米紙に意見広告 4閣僚も/国内外の批判は必至/昨年11月
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-01-06/2013010601_01_0.html

 上記リストに名を連ねてはいないものの、野田佳彦前首相も、慰安婦制度の強制性を認めた河野談話に関し「強制連行したとの記述を文書で確認できず日本側の証言もないが、いわゆる従軍慰安婦の聞き取りを含めて談話ができた背景がある」(2012年8月28日産経)と述べ、橋下氏と同じ認識を一部共有しています。また、首相就任前にも「日本の首相の靖国神社参拝や歴史教科書に対して中国や韓国は必ず干渉してくる。事あるごとに中国は南京大虐殺を持ち出し、韓国は従軍慰安婦を持ち出すが、そのたびに日本政府は頭を垂れて謝罪を繰り返している有様だ」(2012年8月18日産経)とも語っています。

 この野田前首相による橋下発言批判で唯一確認できるのが、自身の公式サイトの「かわら版」に掲載した「ナショナリストを気取ったポピュリストの軽口は国益を損ねます」という認識です。これも橋下発言と通底するもので、元慰安婦の方々、沖縄県民の気持ちに寄り添う姿勢がまったく見られません。

かわら版 No.907 『56歳の決意』
http://www.nodayoshi.gr.jp/leaflet/detail/21.html

 「売春婦がウヨウヨ」「(社会民主党時代の辻元清美衆議院議員らに対して)お前が強姦されとってもオレは絶対に救っとらんぞ」の西村真悟衆議院議員も貴党の仲間でした。

 自党を含む日本の上位3政党すべてに、首相経験者・(共同)代表・党首を含め、「慰安所」を実際に設営した者、従軍慰安婦制度の強制性ないし「強制連行」を否定する歴史修正主義者がいるという悲惨な事態を認識しておられるのでしょうか。

「海軍航空基地第二設営班資料」と慰安所開設における中曽根元総理の「取計」に関する質問主意書(2013年5月16日、辻元清美衆議院議員)
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a183081.htm
安倍首相の「慰安婦」問題への認識に関する質問主意書(中曽根康弘元首相による慰安所の設立・運営、2007年3月8日、辻元清美衆議院議員)
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a166110.htm
「海軍航空基地第二設営班資料」原資料
http://fujihara.cocolog-nifty.com/tanoshi/2011/10/post-191b.html
http://fujihara.cocolog-nifty.com/tanoshi/2011/10/post-4383.html

 おそらく認識されているからこそ、また慰安婦制度以外でも多くの政策で自民党との共通点がある議員を抱えているからこそ、来る参院選に向けて本来なら格好の攻撃材料になるにもかかわらず、分家たる日本維新の会はおろか、歴史修正主義の本家本元たる自民党との差別化を図る言説に切れ味がないのです。

 本来であれば、貴党などの言論によって、自民党は維新と共に支持率が急落しておかしくないのです。そうならない状況は日本の政治にとって不幸というしかありません。これがこの先、何十年も続くというのでしょうか。

 やりきれなさ、閉塞感に包まれている理由は自民党だけにあるのではありません。「自由民主党」が自由とも民主主義とも正反対の党でありながら、 よくもぬけぬけと、本来は燦然たる輝きを放っているはずのこの大切な言葉を「乗っ取って」(アーサー・ビナード氏)いることと相似している党が、第2党の地位を占めているからです。

 自民党にも思い切って提案しました。貴党は率先して党内の歴史修正主義者を切り捨てるべきではありませんか。

 思えば日本の政治には誇りというものがありません。真の誇りとは、ドイツが全世界に示し得たように、たとえ己の恥部であろうと、 過去の事実は事実として正確に認め、 謝罪すべきところはきっぱり謝罪できる力を持つことです。この力を欠いているからこそ、不名誉の上塗りにしかならない歴史修正主義に頼るのでしょう。

 このような真の誇りを持ちえない空っぽの政治に、私たち有権者は嫌気がさし、心の底から、真に誇りある政治を渇望しているのです。

 自民党と対抗するのに、政治への絶望そのものを克服する方向へ行くのではなく、有権者の健全な欲求の発現を抑圧する形で、ポピュリズムに頼ろうと野党が競い合う様は、現在の政治を象徴していて、不幸そのものです。

石破氏「ポピュリズムだ」…野党の定数削減案に
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/news/20130602-OYT1T00533.htm

 自民党と対抗するための切り札は、結局は有権者を裏切ることになる手練手管を弄するのではなく、有権者の心の底の欲求を呼び覚ますことができるよう、世論をがらっと変える改革に打って出ることでしょう。

社会民主党執行部のみなさんへ: 世論をがらっと変える選挙協力を
http://kaze.fm/wordpress/?p=459

 党内の歴史修正主義者を切り捨て、反歴史修正主義の野党統一候補を擁立することが、貴党にとっても日本の政治にとっても再生の重要な切り札になるはずです。

 上記のリストによれば、今夏の参院選で改選を迎える歴史修正主義議員は、大江康弘(無所属、辞職して自由民主党から比例区で出馬へ)、世耕弘成(和歌山)、塚田一郎(新潟)、西田昌司(京都)、江藤晟一(比例)、義家弘介(比例)(以上、自民党)、中山恭子(比例、日本維新の会)の各氏です。比例区を除けばわずか3選挙区ですから、他の野党との選挙協力がまったく不可能とはいえないでしょう。

 橋下発言でがたがたしている日本を尻目に、ドイツは誇りある政治を黙々と執行しています。

ドイツがまたナチス被害者に賠償、日本はこれを見て恥ずかしいと思わないのか?―中国紙 (XINHUA.JP)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130602-00000020-xinhua-cn

 先の大戦の被害者が生存しているうちに成し遂げるべき課題がある中で、憲法でも何でも「対抗できない政治」で貴党がもたもたしている暇はないのではありませんか。

「平和への結集」をめざす市民の風
http://kaze.fm/

分家の従軍慰安婦発言が批判され、歴史修正主義の本家本元がお咎めなし?

6月 5th, 2013 Posted by MITSU_OHTA @ 10:15:20
under 一般 1 Comment 

分家の従軍慰安婦発言が批判され、歴史修正主義の本家本元がお咎めなし?

2013年6月5日

自由民主党幹事長・衆議院議員 石破茂様

 従軍慰安婦をめぐる橋下発言によって、来る参院選においては「日本維新の会」が不利となり「自由民主党」が有利になったという見かたがあります。現に渡辺「みんなの党」代表までが「独り勝ちした後の自民党の先祖返り」を懸念しているようです。
 いい気分でしょうか? これで参院選はとったとお思いでしょうか? もし本気でそう思っておられるのだとしたら、おめでたい。

(橋下発言について)「日本の過去の歴史に関し、不適切な発言を繰り返し、周辺諸国に誤解と不信を招いた」「安倍政権は、そのような発言や歴史認識にくみするものではない」(小野寺五典防衛相、時事通信 6月1日)

 貴党の橋下発言批判は「目くそ鼻くそを嗤う」のたぐいで、橋下発言の本家本元は安倍自民党なのだと炯眼の士はとうに見抜いています。炯眼の士でなくても、それくらいのことはだれにもわかります。

 根も葉もないことだと、もし仰るのでしたら、残念ながら、政党としての見識に欠けると言わざると得ない。いえ、黒を白と言いくるめる詐術にすぎないでしょう。

 貴党が橋下発言を批判するのは、諸外国、とりわけアメリカ合衆国からこの発言に対する批難が相次ぎ、わが身に火の粉が降りかかってきそうになると判断するからではありませんか。

 安倍首相は2007年、米国議会下院で慰安婦問題に関して日本政府に謝罪を求める決議案が準備されていることを受け、国内向けに「米決議があったから、我々が謝罪するということはない」(下記辻元清美衆議院議員2007年3月8日質問主意書)と語り、ブッシュ前米大統領と4月に会談した際、慰安婦問題について「ブッシュ大統領が『首相から釈明があった』と発言した」との辻元清美衆院議員の指摘を否定しておきながら、「元慰安婦の方々に、首相として心から同情し、申し訳ないという気持ちでいっぱいだ」と同前米大統領に発言したとの答弁書を決定しました(毎日新聞 5月18日)。

 ところが、米国大統領に釈明した安倍首相は2012年、多数の自民党国会議員などとともに、従軍慰安婦制度の強制性を否定する意見広告を米紙に出したのです。

日本軍「慰安婦」 強制を否定/安倍首相が賛同/米紙に意見広告 4閣僚も/国内外の批判は必至/昨年11月
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-01-06/2013010601_01_0.html
 
 2007にも既に同じ意見広告がやはり多数の貴党国会議員などによって米紙に出されています。

村野瀬玲奈の秘書課広報室 |2007年6月14日 ワシントンポスト紙 従軍慰安婦(性奴隷)強制文書否定広告署名国会議員(衆議院、参議院、五十音順) (2007年6月15日作成) 和文表記
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-266.html
 
 その後も安倍首相らは従軍慰安婦制度の強制性を認めた河野談話を見直す考えを示し、米国による批判を受けて同談話をしぶしぶ継承すると決定したのです。橋下氏が風俗店の活用発言を米国に謝罪したのも、こうした安倍首相らの精神性をそっくりなぞるものです。

 このように安倍首相らは米国向けには本音を否定して、またさらけ出すということを繰り返してきました。

 言いかえれば、貴党は、このところ「国民感情」が貴党のもともと望んでいた方向へ動きだしていることに気をよくして、かなり「思い切った」政治的発言をもって「国民感情」のいっそうの誘導をこころみてきたのではないでしょうか。橋下・石原といったひとたちの言説をも巧みにとりこみ利用してきたのではなかったでしょうか。

 そこでハプニングがおこった。おなじスタートラインに並んだ仲間からフライングする走者が出たのですね。老獪さを欠いた青二才が、血気にはやって、本来なら小出しにすべきことがらを一挙に出してしまった。正直すぎたってわけです。

 橋下発言とは、貴党の総裁である安倍晋三氏が慰安婦問題に関してくりかえし発言してきた認識に誘発されて出て来たものです。日本が国家として女性を脅迫・拉致して性奴隷にしたと諸外国から非難されるような不名誉をこうむった原因は河野談話にあるのだから、これは見なおさなければいけないなどといった発言は、安倍晋三氏の物言いを真似たというより、鸚鵡返しにくりかえしたにすぎないのではなかったか。

 実際、辻元清美衆議院議員が指摘しているように、安倍首相は第1次内閣で2007年に「軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」とする答弁書を「初めて」閣議決定した、「閣議決定を多くの人たちは知らない。河野談話を修正したことをもう一度確定する必要がある」と虚偽を述べ、この虚偽を橋下氏が借用したのです(ほぼ同じ内容の閣議決定は1997年に橋本内閣が行っている)。

橋下徹大阪市長の慰安婦を巡る発言の背景となった安倍首相の「閣議決定」に関する発言について
http://www.kiyomi.gr.jp/blogs/2013/05/23-933.html

 要するに橋下発言は自由民主党の本音を増幅吹聴してまわったにすぎません。橋下氏は貴党の拡声器だった。貴党が歴史修正主義の本家本元であり、そこを出自とする「従軍慰安婦は自ら身体を売って稼いでいた」の石原慎太郎氏、「従軍慰安婦は戦地売春婦」の平沼赳夫氏、「化けの皮がはがれた」中山成彬氏を擁する日本維新の会は、貴党の分家に他ならないのです。

 こういった解釈に、もしご不満であるのなら、貴党は、たんに橋下発言を批判するポーズをとり国民を欺くことによって、自党の支持率上昇を計ろうなどといったさもしい根性は棄てて、歴史修正主義の本家本元の店じまいを明瞭に宣言すべきではないでしょうか。

 具体的には、「軍や官憲によるいわゆる強制連行」に関して国会議員から出されている質問主意書に改めて誠実に答えるとともに(2007年の質問から6年が経過した2013年の同じ内容の質問を調査していないのは、極めて不誠実)、上記意見広告に賛同した貴党議員を除名することではないでしょうか。

安倍首相の「慰安婦」問題への認識に関する再質問主意書(「旧オランダ領東インドにおけるオランダ人女性に対する強制売春」資料、2007年4月10日、辻元清美衆議院議員)(ほぼ同じ内容の2013年の質問: http://goo.gl/kKwE0
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a166168.htm

バタビア臨時軍法会議の証拠資料と安倍首相の「慰安婦」問題への認識に関する質問主意書(2007年5月28日、辻元清美衆議院議員)(ほぼ同じ内容の2013年の質問: http://goo.gl/kKwE0
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a166266.htm

陸軍中尉による強制的な慰安婦の徴用(2013年4月23日、紙智子参議院議員の質問主意書)
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/364811549.html

「海軍航空基地第二設営班資料」と慰安所開設における中曽根元総理の「取計」に関する質問主意書(2013年5月16日、辻元清美衆議院議員)
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a183081.htm
安倍首相の「慰安婦」問題への認識に関する質問主意書(中曽根康弘元首相による慰安所の設立・運営、2007年3月8日、辻元清美衆議院議員)
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a166110.htm
「海軍航空基地第二設営班資料」原資料
http://fujihara.cocolog-nifty.com/tanoshi/2011/10/post-191b.html
http://fujihara.cocolog-nifty.com/tanoshi/2011/10/post-4383.html

「平和への結集」をめざす市民の風
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「民意と乖離しない政治・報道を求める要望書」第2回会合のお知らせ

6月 1st, 2013 Posted by MITSU_OHTA @ 16:55:47
under 選挙制度 , 定数配分の格差(1票の格差) , 96条改憲 1 Comment 

小選挙区で56%もの票が死票となり、諸々の政策で完全に民意と乖離した結果をもたらした2012年衆議院選挙を受けても、国会議員は平等な国民主権の保障に取り掛かろうとしません。それどころか、国民主権の格差を拡大する96条改憲を狙っています。メディアにしても、本来は暴走運転なのに安倍政権を安全運転と形容するなど、不公正な報道をしています。

国民主権と民主主義に背を向ける政党とメディアに対して、基礎的な要求を突き付けていくことが必要だと考え、要望書をまとめ、政党・メディアと懇談する機会を作るための取り組みを始めました。

第1回目の相談会を2月に開催しましたが、下記の要領で第2回を開催します。皆さんのご参加を呼び掛けます。

第1回目の後、要望書案の内容を修正しました。主に2点あります。

まず、「定数是正訴訟」(マスメディア用語で「1票の格差訴訟」)の広島高裁岡山支部判決で、「『国民の多数意見と国会の多数意見の一致』をもって国民主権が保障できる」と判断されたことから、この考え方を援用しています。また、小選挙区制の下で改憲発議要件を緩和すると国民主権の格差が拡大する理由を詳細に説明しました。

日時 : 2013年6月8日(土)午後6時30分〜9時
会場 : 明石町区民館5号室

住所 : 東京都中央区明石町14番2号
TEL : 03-3546-9125
アクセス : 東京メトロ日比谷線築地駅下車3番出口 徒歩7分
東京メトロ有楽町線新富町駅下車4番出口 徒歩10分
都バス
「東15甲・乙 東京駅八重洲口−深川車庫」
聖路加病院前下車 徒歩1分
中央区コミュニティバス(江戸バス)
[南循環]聖路加国際病院5番 3分程
地図:http://chuo7kuminkan.com/about/akashi.html
日比谷線築地駅の場合、3番出口を出て、日刊スポーツ新聞社と聖路加国際病院を通過し、信号を渡り直進、区立リサイクルハウス「かざぐるま」の奥隣り。

呼び掛け :民意と乖離しない政治・報道を求める要望書実行委員会準備会

連絡先:
「平和への結集」をめざす市民の風
〒271-0076 千葉県松戸市岩瀬46-2 さつき荘201号
http://kaze.fm/
join@kaze.fm
tel/fax:047-360-1470

「民意と乖離しない政治・報道を求める要望書」案

ファイル(Word)はこちら:
「民意と乖離しない政治・報道を求める要望書」案(6月1日)
http://kaze.fm/documents/Request%20to%20Parties%20and%20Media(20130601).doc

要望書タイトルに「僕も私も無視された」を追加する案も。

タイトル案:政党とメディアに対する要望書:96条改憲による国民主権の格差の拡大より平等な国民主権の保障を/民意からの「迷走」内閣にふさわしい報道を

要旨:

[政党へ]

2012年12月の衆院選は、原発・憲法・消費税などの最重要政策に関して民意と結果がことごとく乖離した異常な選挙。小選挙区での死票率は56.0%で、投票者2人に1人以上の票の価値がゼロ、すなわち平等な国民主権が保障されていない。

「国民の厳粛な信託」(憲法前文)を越えた権限の行使が、一般法の立法プロセスから改憲プロセス(改憲発議)にまで拡大されようとしている。現選挙制度のまま改憲発議要件を緩和することは、改憲発議における国民主権と「国民の厳粛な信託を受けた議員権限」の乖離、従って国民主権の格差をさらに拡大してしまう(1.24倍から2.02倍へ)。

政党・国会議員は、真っ先に平等な国民主権の保障(選挙制度と公職選挙法の抜本的な改正)に取り掛かり、脱原発などの民意を反映した政治を行うべき。

[メディアへ]

民主党の前首相らに対しては「迷走」「嘘つき」、安倍現首相に対しては「アベノミクス」「安全運転」。安倍政権は既に脱原発という大民意からの「大迷走」であり「大噓つき」(公明党は脱原発の公約を選挙後に脱原発依存に変更)の「暴走」状態にある。メディアは不公正なレッテルやイメージ言語の提供ではなく、多様で公正な見解の提供に努めるべき。

「自民圧勝」の事前予測が選挙結果に与えた影響などについて、独自に検証を行うべき。

自民党改憲案が国防軍の新設や発議要件の緩和だけでなく、1)平和的生存権、2)国民主権、3)基本的人権、4)天皇制、5)立憲主義、6)地方自治など、広範な事項に及び、現憲法の基本的な考え方に根底的変更を加え、国民生活に広く影響を与えるものであることを、参院選の前から批評していくべき。

本文:

2012年の衆議院選挙は、異常な選挙でした。戦後最低の投票率(小選挙区)59.3%が強調されていますが、小選挙区での死票率が56.0%という異常な数値を示したことこそ、民主主義政治の基盤をゆるがすものとして、もっと強調されるべきであると考えます。

自民党の比例区得票率は27.6%で、民主党にぼろ負けした2009年衆院選のときの26.7%とほとんど変わっていません。これでは、自民党が有権者の支持を回復したなどとは言えないでしょう。にもかかわらず政権奪取を成し遂げることができたのは、民主党政権に対する国民の幻滅に加えて、小選挙区制の弊害が新党の増加といった外的事情で増幅され、民意をはるかに超える議席を獲得したからです。

選挙直後の世論調査でも「自民の政策を支持」はわずか7%しかなく(12月18日付朝日新聞)、最も重要な政策(原発推進、憲法9条の改変、集団的自衛権に関する政府解釈の変更、憲法改正要件の緩和、消費税増税、公共事業費の増額、米軍普天間飛行場の辺野古への移設、オスプレイの沖縄への配備など)に関しては民意と選挙結果がことごとく乖離しています。

直近の世論調査でも同様で、朝日新聞が2013年5月2日付で発表した憲法世論調査の結果によれば、96条改憲反対、9条改憲反対、非核3原則の見直し反対、武器輸出の拡大反対、武力行使を伴う国連軍への自衛隊の参加反対、自衛隊の国防軍化反対、集団的自衛権の行使反対、定数配分の格差(マスコミ用語では1票の格差)が是正されないままでの改憲発議反対が、民意なのです。

2012年衆院選は憲法前文が要請する「正当な選挙」や「国民の厳粛な信託」という議会制民主主義を保障する選挙の本質から完全に逸脱しています。

このように悲惨な結果を2012年衆院選がもたらした後であっても、なお、現行の選挙制度を改正して主権者に平等な国民主権を保障しようといった機運は、メディアが盛んに報道しているような政党からは、いっこうに出てきません。

選挙制度それ自体だけではありません。公職選挙法は、立候補の段階から選挙運動までがんじがらめに制限しています。インターネット選挙「解禁」でも有権者の権利は制限されたままになっています。国民主権が極度に毀損されているのです。

こうした状況で、投票者の2分の1の支持も得ていない政党が一般法を成立させることだけでも問題なのに、まして、投票者の3分の2の支持を得ていない政党が、改憲発議を行うための要件(衆参各院議員の3分の2以上の賛成を要するという要件)の緩和を狙うとはなにごとでしょう。

憲法とは、国家運営の要路にある権力者たちが民意に背かないように、国民が国家(の要路者)に与える命令です(立憲主義)。このように重要な法であるからこそ、それを変更しようとする改憲発議には各院議員の3分の2以上の賛成を要するという厳しいハードルを敢えて設けて(硬性憲法規定96条)、改憲プロセスには立法プロセスより厳格な国民主権原理の適用を求めているのです。

にもかかわらず、一部の政党・議員は、平等な国民主権の保障(選挙制度と公職選挙法の抜本的な改正)はほったらかしにしたまま、「国民の厳粛な信託」を越えた権限の行使を一般法の立法プロセスから改憲プロセス(改憲発議)にまで拡大しようとしています。

広島高裁岡山支部は2012年衆院選の「定数是正訴訟」で、「『国民の多数意見と国会の多数意見の一致』をもって国民主権が保障できる」と判断しました。

「国民の多数意見と国会の多数意見の一致」という条件は、憲法前文にある「国民の厳粛な信託」を客観化・定量化した1つの条件といえ、この条件を満たさない小選挙区制は国民主権を保障しない、ということになるでしょう。

小選挙区制のもとでは、国民主権と「国民の厳粛な信託を受けた議員権限」の乖離(客観的指標は各党の議席占有率を比例区得票率で割った値)が生じるのです。国民の間どうしから見れば、「国民主権の格差」が存在する、ということになります。

「国民の厳粛な信託」を越えた権限は、「違憲権限」というべきです。

このように平等な国民主権を保障しない法のもとで、はたして、民主主義政治が成り立つでしょうか。

特に、小選挙区制を中心とする現行選挙制度のまま改憲発議要件を緩和することの意味は、重層的に深刻です。違憲権限の行使の領域が立法プロセスから改憲プロセス(改憲発議)へと拡大するにとどまらず、改憲発議における国民主権と「国民の厳粛な信託を受けた議員権限」の乖離、従って国民主権の格差が拡大してしまうからです(理由は最後に詳述)。

このような改憲発議はまさに「壊憲」発議とも言うべきでものであり、国民主権をさらに切り縮めるという点で、首長の権限を著しく強化しようという動きと軌を一にするものではないでしょうか。

各党のみなさん、国会議員のみなさんにお願いします。なによりもまず、国民主権の平等性を保障してください。公職選挙法の全面改正に取り掛かってください。と同時に、脱原発などの民意を政治に反映させてください。

なお、議員定数の削減について申し上げるなら、国民の多様な意思を国会にできるだけ的確に反映させるためには、しかるべき議員定数が必要であり、日本の議員定数は国際比較すると大幅に少ないことから、定数削減の必要性はまったくありません。

現行制度のまま小選挙区の定数を削減するなら無所属候補(およびその支持者)に対する差別を拡大することに他ならず、比例区での削減なら少数政党(およびその支持者)に対する差別の拡大に他なりません。このように差別を押し付けるやりかたは、よしんば民意であるとしても、民意とは認められません。

国会議員自身が率先して「身を切らなければならない」などといった議論があります。政治家の「身切り論」は虚偽であり、身を切られるのは、代表を選ぶ権利を縮減されてしまう一般国民の方です。こうした「身切り論」が日本国以外の国々から、いったい、どのように見られているのか。このような点についてもご配慮をお願いしたいものです。

メディアも必要な情報をきちんと国民に伝えているとは言えないのではないでしょうか。なるほど、選挙区がどこかによって「1票の重み」に格差があるという問題点は指摘することがあっても(ちなみに、これは「地域」を代表する上での格差であって、「主権者」における1票の格差とは、厳密には言えないでしょう)、もっと本質的な問題すなわち政党間の1票格差(議員1人を当選させるために必要な票数の違いとして定義され、たとえば、2012年衆院選の比例区では、社民党が自民党の4.87倍)や、 生票と死票との間の1票格差などを強調することはありません。

仮に選挙区のあいだでの1票格差が解消したとしても、小選挙区制を中心とする現行選挙制度をこのまま放っておくなら、主権者の間に1票の格差のある状態も、国民主権と乖離した政治が行われていく問題も、決して解決されはしないのです。

日本新聞協会は1月15日の「軽減税率を求める声明」で「多様な意見・論評を広く国民に提供する」のが新聞の役割であるとしていますが、各紙は選挙制度や1票格差の報道に限っても、上記のように重要な論点を提示できていません。

軽減税率を求める声明||声明・見解|日本新聞協会
http://www.pressnet.or.jp/statement/130116_2234.html
http://www.pressnet.or.jp/statement/pdf/keigen_zeiritsu.pdf

さて、この「声明」は、新聞が「民主主義社会の健全な発展と国民生活の向上に大きく寄与」するとして、新聞などに対する「知識課税強化」に反対するものです。

しかしながら、たとえば消費税増税の必要性に関して説得力のある論評がどこにも見あたらないなかで、「知識課税強化」に対してだけ反対するというのでは、その姿勢はきわめてバランスを欠いていると言わざるをえないのではないでしょうか。

原発に関する報道でも、マスメディア各社は、電力の供給が需要に追いつかないという、政府や電力会社からリリースされた情報だけを、各社独自の検証を併記することなく、何度も何度も流して、電力不足を煽ったではありませんか。

米軍普天間飛行場の県外・国外移設も脱原発も、広範な民意の支持を得ていたにもかかわらず、これらを推進しようとした鳩山由紀夫首相(当時)と菅直人首相(当時)の辞任とともに道連れにされ、うやむやになってしまいました。この問題でもメディアが一定の役割を果たしたことは否定できません。

野田住彦前首相による国会解散すなわち実質的辞任についても同じことが言えるでしょうが、しかし、この場合には、逆に、民意の支持を受けていない消費税増税法の成立が許された後のことです。なんという対照でしょうか。

「民主主義を支える公共財として一定の要件を備えた新聞」(「声明」)と自認されるのなら、民主主義に反した政策の誘導に手を貸していないか、自ら検証してしかるべきでしょう。

世論調査に基づき事前に何回も「自民圧勝」と報道したことによって、非自民支持者の投票意欲をそいで史上最低の投票率を招き、また逆に勝ち馬に乗ろうという心理も引き出して、「自民圧勝」の誘因となったのではないでしょうか。メディア各社による選挙の世論調査報道が世論誘導につながっていないかどうかについても、検証が必要だと考えます。

メディアは、民主党の前首相らに対しては「迷走」「嘘つき」などといった常套語を繰り返し流し、ネガティブキャンペーンと言っていい状態を作り出していました。

脱原発という大きな世論を受けて前民主党政権が決定した「2039年までの脱原発」との方針を、安倍新政権はあっさりと捨て去りました。公明党は公約で「可能な限り速やかに原発ゼロを目指します」と謳っていたのに、自民党との連立協議の結果、「可能な限り原発依存度を減らす」と変えてしまいました。これでは単に依存度を減らすことにしかならず、明らかな公約違反です。

それなのに、メディアは、民主党政権時の前首相らに繰り返し投げつけていた「迷走」や「嘘つき」といったレッテル貼りはしません。それどころか、安倍政権は今夏の参院選までは「安全運転」を続けるだろうなどといった言い方をします。あたかも安倍政権が現在、国民にとって安全な状態にあるかのようなポジティブイメージを与え続けています。安倍政権が、実際には、脱原発などの大民意からの「大迷走」であり「大噓つき」の「暴走」状態にあるにもかかわらず、です。

メディアは、選挙制度や原発、消費税などの重要政治課題に関しては核心部を避けて報道し、自民党・公明党などに有利な方向へ世論を誘導する姿勢を取ってきたと言わざるを得ません。

参院選に向けては、この他にも、メディアは「アベノミクス」などといった言葉を繰り返し用いて安倍政権の経済政策に対してポジティブイメージを与えようとしています。そういったイメージ言語を提供するのではなく、安倍政権の政策の中身についての分析・批評を、また、自民党・公明党と他の党派の経済政策の異同を解説してくださるようお願いします(違わないのなら「アベノミクス」などとまるで特別な政策であるかのような呼称を使用しても意味がない)。

自民党改憲案の内容に関しても、メディアは、国防軍の新設や発議要件の緩和といった問題ばかりを伝えていますが、この改憲案は、実は1)平和的生存権、2)国民主権、3)基本的人権、4)天皇制、5)立憲主義、6)地方自治など広範な事項にわたって、現憲法の基本的な考え方に根底的変更を加え、国民生活に広く影響を与えるものです。メディアには、これらを参院選前から批評していく公共的な責任があるのではないでしょうか。

メディア各社には、「声明」にあるように、「多様な意見・論評を広く国民に提供することによって、民主主義社会の健全な発展と国民生活の向上に大きく寄与」されることを願っています。

御党、御社より本要望書に対してご見解をいただければ幸いです。

<小選挙区制の下で改憲発議要件を緩和すると改憲発議における国民主権と「国民の厳粛な信託を受けた議員権限」の乖離、従って国民主権の格差が拡大する理由>

自民党・日本維新の会・みんなの党は2012年衆院選で総定数の76.25%となる366議席を獲得しましたが、比例区得票率の合計は57.72%に過ぎません。自民党単独では比例区得票率27.62%で総定数の61.25%となる294議席を獲得しています。

およそ想像がつきますが、3党が衆院で3分の2(66%)の320議席を獲得するには、どのくらいの比例区得票率(投票での支持率)が必要でしょうか。

2012年衆院選の結果をもとに、3党が同じ割合で比例区得票率と小選挙区得票率を落として、3党が計320議席を獲得できるような場合の自民党の比例区の得票率Zを推計してみましょう。

小選挙区での得票率Xと議席占有率Y(X、Y、Zはいずれも%)の関係を自民党と民主党のデータを使って直線で近似すると、次のようになります。

Y=3.4653X - 70.045

3党の比例区議席数は比例区得票率に応じて減り、自民党の小選挙区議席数は上記の式に従い、維新とみんなの小選挙区での獲得議席数は昨年と変わらず18議席と仮定します。

昨年、自民党は小選挙区得票率が43.01%、比例区得票率が27.62%で、3党の比例区における獲得議席数は計111議席でした。小選挙区の定数は300です。

(Z/27.62) x 111 + [(Z/27.62) x 3.4653 x 43.01 - 70.045] / 100 x 300 + 18 = 320

この式を解くと、Zは25.34%となり、対応する3党全体の比例区得票率は52.96%となります。

つまり、3党が衆院の議席の3分の2を獲得するには、比例区選挙でほぼ2分の1の支持を得るだけよいのです。発議要件「3分の2以上」を「2分の1以上」に緩和したいといっても、小選挙区制を中心とする現行選挙制度のもとでは、有権者の支持という点で、既に「2分の1以上」が実現しているのです。

議席占有率66%を比例区得票率52.96%で割ると1.24倍となり、これが多くの政党・議員の賛成を求める硬性憲法規定96条の下での改憲発議における国民主権と「国民の厳粛な信託を受けた議員権限」の乖離、従って国民主権の格差の目安となります。

次に見るように、小選挙区制のもとで発議要件を「2分の1以上」に緩和すると、有権者の4分の1にも満たない支持でも発議できるようになり、国民主権の格差はさらに拡大します。

自民党は比例区得票率27.62%で比例区・小選挙区全体の61.25%の議席を獲得しました。

上記と同様に、自民党が衆院の議席の2分の1となる240議席を獲得する場合の自民党の比例区の得票率を推計すると、24.66%となります。

議席占有率50%を比例区得票率24.66%で割ると2.02倍となり、これがたった1つの政党による発議を許してしまう発議要件「2分の1以上」の下での「国民主権の格差」の目安です。「1票の格差」訴訟(定数是正訴訟)で違憲の目安とされる2倍を超えています。

自民党などが単独で投票者の4分の1未満の支持でも発議できるようになる一方で、投票者の4分の1超の支持を得ている政党連合(2012衆院選でいえば公明党、共産党、社民党、旧未来など)でも改憲発議できなくなります。これは明白な「改憲発議権の格差」「国民主権の格差」です。

安倍首相は96条改憲の理屈として、「2分の1に変えるべきだ。国民の5割以上が憲法を変えたいと思っても、国会議員の3分の1超で阻止できるのはおかしい」(4月16日付読売新聞)と述べ、いかにも国民の権利を思ってのように語ります。

安倍首相は「国民の多数意見と国会の多数意見の一致」が見られないことを問題にしているわけですが、小選挙区制を中心とする現行選挙制度によって既にそのような事態が生じていることを、まず問題視しなければりません。

国民の7割以上が脱原発を望んでも、比例区でたった28%の支持しか得ていない自民党が民意の実現を阻止しているのです。現在、国民の5割以上と国民の5割以上の支持を得た国会議員が共に支持している改憲条項はないでしょう。

国民主権を尊重するなら、国民主権の格差を拡大する96条改憲ではなく、小選挙区制を中心とする現行選挙制度を真っ先に改正しなければなりません。

民意と乖離しない政治・報道を求める要望書実行委員会準備会

連絡先:
「平和への結集」をめざす市民の風
〒271-0076 千葉県松戸市岩瀬46-2 さつき荘201号
Tel/fax:047-360-1470
http://kaze.fm/
join@kaze.fm

虫が良すぎるみんなの党

5月 31st, 2013 Posted by MITSU_OHTA @ 10:31:09
under 橋下徹従軍慰安婦発言 1 Comment 

虫が良すぎるみんなの党

2013年5月31日

みんなの党の議員のみなさま

橋下徹氏を上回る差別主義者の石原慎太郎氏を擁する日本維新の会と選挙協力できたのはなぜ?
歴史修正主義の本家本元である自由民主党にすり寄るかのような姿勢が見られますが?
◇ 浅尾慶一郎政調会長の懸念「みんなの党と維新がどちらも反米保守だと見られる」は維新と同じ対米従属・沖縄差別の表れでは?

貴党は、橋下大阪市長の「慰安婦制度は必要であった」という発言を貴党の価値観と違うということで、来る参院選に向けての日本維新の会との選挙協力を解消すると決定しました。

ただ、貴党の方針が解せないのは、渡辺喜美代表が山梨選挙区については自ら維新に要請して引き続き同党と協力する方針を示したこともありますが、橋下氏を上回る差別発言を行ってきた石原慎太郎氏を擁する維新と、昨年の衆院選で選挙協力を行ってきたからです。

石原氏は昨年の選挙前にも元従軍慰安婦の方々を侮辱し、英エコノミスト誌からは「右翼のゴロツキ」とまで評されています。貴党が知らないはずはありません。

石原氏 従軍慰安婦は「自ら身体を売って稼いでいた」
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0828&f=politics_0828_024.shtml
英エコノミスト誌の石原慎太郎批判 - 「右翼のゴロツキ」
http://critic5.exblog.jp/19191726/

例によって、メディアは石原氏の差別発言には寛容で、今回の橋下発言ほど問題視しなかったことをいいことに、貴党は上り調子の維新と組むことが得策だと判断したのではないですか。

今回の橋下発言で問われているのは、軍人に女性を差し出すという差別思想そのものです。

貴党は公党としてこの差別思想を政治の場から放逐するために努力する責任があります。維新との選挙協力を解消して表面的に橋下氏と距離を置いて見せれば済むという話ではありません。

それだけであれば、維新との選挙協力を解消した理由が、選挙対策にあるのではないかと疑わざるを得ません。落ち目の維新と組むのは得策ではない、と。

石原慎太郎衆院議員以外にも「売春婦がウヨウヨ」の西村真悟衆院議員、「化けの皮がはがれた」中山成彬衆院議員など、トンデモ議員が勢ぞろいの維新の宣伝あるいはそうした議員の当選に一定の貢献をしたことの責任を脇に置いて、これから維新と選挙協力しません、というのは虫が良すぎませんか。

5月27日には貴党の浅尾慶一郎政調会長が「日本の改革勢力であるみんなの党と維新がどちらも反米保守だと見られることが、どれだけ国際環境の中でマイナスか。あえて対外的なメッセージで判断をした」と述べました。

みんな浅尾氏、維新との選挙協力解消は「対外的なメッセージ」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130527/stt13052723570012-n1.htm

この「反米保守」の意味するところは必ずしも明確ではありません。

橋下大阪市長は、その手段を風俗店の活用としているところが問題ではあるものの、在日米軍に対して米兵による性犯罪の防止に真剣に取り組むべきだと発言しています。この程度の当然の要求をもって、あるいは米国による戦時・占領時女性利用を日本が批判することをもって、浅尾氏や貴党は維新を「反米保守」と評し、従って貴党はそのような「反米」的な要求や主張を行わない、という意味でしょうか。

日本維新の会は沖縄県民の民意を踏みにじって米軍普天間飛行場の辺野古への移設(機能強化)と欠陥輸送機オスプレイの沖縄配備という日米政府の方針を忠実に守ろうとする対米従属の立場にあり、決して「反米」などではあり得ません。

在日米軍にとってちっぽけな普天間飛行場を諦めよ、と強く要求できない政治姿勢こそ、従軍慰安婦制度と完全に通底する沖縄差別そのものです。

貴党に求められるのは、後付で自党は「反米保守」ではありませんと、米軍の怒りを忖度した27日の橋下釈明会見をなぞることではなく、例えば、同会見をひっくりかえした会見をしていただくことでしょう。

つまり、安倍首相に見習って国家意思による拉致などの「狭義の強制性」の有無だけが問題であると争点外しを行い、従軍慰安婦制度が元慰安婦の外出・廃業の自由を認めなかった性奴隷制度であることを認めない橋下氏のような認識をひっくり返し、元慰安婦や沖縄の方々を差し置いて米国への感謝と謝罪を優先させる卑屈さをひっくり返すような会見を対置することこそが、必要なのではありませんか。

渡辺代表は下記記事で、橋下発言で維新が来る参院選で不利となり、逆に自民が有利になったという認識を示し、「独り勝ちした後の自民党の先祖返り」を懸念されています。

特集ワイド:維新と絶縁、みんなの党・渡辺代表 橋下さん、冗舌で自縄自縛− 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/feature/news/20130527dde012010010000c3.html

橋下氏が手本とする安倍首相は同記事が指摘しているような「歴史修正主義を転換」とはほど遠いでしょう。「先祖返り」の懸念にはまさに従軍慰安婦制度などをめぐる歴史修正主義が含まれるはずで、橋下氏に対する批判の一局集中で難を逃れている安倍首相ら、日本維新の会以外の歴史修正主義者を批判していく責務が、貴党にあると考えます。

歴史修正主義の維新との選挙協力を解消して歴史修正主義の本家本元の自民を躍進させたのでは、元も子もないでしょう。維新との選挙協力を解消するだけでは、維新との決別を意味しません。

今、自民党との同質性を指摘している場合でしょうか。

<みんなの党>渡辺代表が「維新が自民党よりも『右』に行って」 (毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130528-00000003-maiall-pol
「安倍内閣が(参院)選挙前に『(消費)増税凍結』と言っちゃうと非常に我々は困る。(自民党との)差別化は原発(政策)と電力自由化ぐらいしかなくなってしまう」

さんざん批判してきた民主党と1人区のすみ分けとはいえ選挙協力する方針を決定したこともいかがなものでしょうか。

民主党の中にも無視できない数の歴史修正主義者がいます。

村野瀬玲奈の秘書課広報室 |2007年6月14日 ワシントンポスト紙 従軍慰安婦(性奴隷)強制文書否定広告署名国会議員(衆議院、参議院、五十音順) (2007年6月15日作成) 和文表記
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-266.html

米「スターレッジャー」紙への 「慰安婦」否定意見広告連名者/ハイナンNETの日常 から - 薔薇、または陽だまりの猫
http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/886f0823c16907f85317dd62cbee8d7b

こうした歴史修正主義者を批判して国会から駆逐してくのが、貴党の仕事ではありませんか。

橋下氏に下記の要求書を送りました。ご参考まで。

橋下徹大阪市長、安倍首相を道連れに差別政治と決別を
http://kaze.fm/wordpress/?p=456

「平和への結集」をめざす市民の風
http://kaze.fm/

原発運転期間の延長などに関するパブコメ

5月 31st, 2013 Posted by MITSU_OHTA @ 1:32:50
under 福島原発事故 , パブリックコメント No Comments 

原子力規制委員会設置法の一部の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令(仮称)案に対する意見募集について
http://www.nsr.go.jp/public_comment/bosyu130501_01.html

以下の意見は、「参考資料:原子力規制委員会設置法の一部の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令(仮称)案 新旧対象表」についてのものです。

◇ 5、6ページ「第三章原子炉の設置、運転等に関する規則 第一節試験研究用等原子炉の設置、運転等に関する規則」について

「船舶に設置する原子炉」(「外国原子力船に設置した原子炉」)という概念が第三章「第二節発電用原子炉の設置、運転等に関する規則」から抜け落ち、「船舶に設置する原子炉」については、規制対象が「船舶に設置する研究用等原子炉」のみになっています。「船舶に設置される原子炉」は発電用もそれ以外も規制対象にしてください。特に米原子力空母の発電用原子炉を規制対象にしてください。

◇ 10ページ(発電用原子炉の運転の期間の延長に係る期間の上限)「第二十条の六法第四十三条の三の三十一第三項に規定(新設)する政令で定める期間は、二十年とする」について

意見・理由:

浜岡原発5号機が2009年に発生したM6.5の駿河湾地震で制御棒駆動装置30本を故障させています。着工から10年しか経っていません。原子炉等規制法第43条の3の31第1項の40年原則を守るべきであり、「第二十条の六法第四十三条の三の三十一第三項に規定(新設)する政令で定める期間は、ゼロ年とする」としてください。

◇ 12ページ「(届出を受理した場合における通報等)」について

意見・理由:

現行の「四 船舶に設置する原子炉」が改正案では「四 船舶に設置する試験研究用等原子炉」に変わっています。船舶に設置する発電用原子炉も規制対象にしてください(14ページの「五」と「九」についても同様)。

◇ その他のページにおける「船舶に設置する試験研究用等原子炉」について

意見・理由:

現行の「船舶に設置する原子炉」を「船舶に設置する試験研究用等原子炉」に変えることで「船舶に設置する発電用原子炉」を規制対象から外さないでください。

◇ パブリックコメント対象文書の説明について

意見・理由:

本パブコメサイトにおいて、パブコメの正式対象文書(政令改正案)を「(また、御意見の提出にあたっては、上記の資料のほか、以下の)参考資料」と称し、正式対象文書の概要説明を「(御意見募集案件…詳細は)資料」と称し、あたかも概要説明がパブコメ案件のような書き方になっています。このような書き方を次回以降、改めてください。改正案の一部についてだけパブコメにかけたいというのであれば、それは不当です。

太田光征

社会民主党執行部のみなさんへ: 世論をがらっと変える選挙協力を

5月 30th, 2013 Posted by MITSU_OHTA @ 13:58:14
under 2013年参議院選挙 No Comments 

社会民主党執行部のみなさんへ

世論をがらっと変える選挙協力を

2013年5月30日

 社会民主党が民主党と選挙協力をすることになったということを報されましたが、懸念を感じています。

民主と社民、競合ない選挙区での協力合意
http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/news/20130522-OYT1T01066.htm?from=ylist
「社民党の推薦候補が出馬予定の大分選挙区(改選定数1)で、民主党は候補擁立を見送る。社民党は同党が候補を立てない選挙区では「民主党候補の支援を前向きに検討する」とした。
 参院選の目標として〈1〉与党の過半数獲得阻止〈2〉憲法改正に積極的な自民党と日本維新の会による3分の2以上の獲得阻止――を目指すことでも一致した。」

 選挙協力は、個々の事案や政策案についての協力・共同行動とは質のちがう問題なのではないでしょうか。しかも、わたしたちの代表としての国会議員を選出する選挙制度そのものにおいて極端な不平等性を改正することができないままでおそらくは実施されるであろう参議院選挙において、この国の行く末をきめる決定的な問題についての賛否が問われているのです。

 なによりも、日本国憲法の三大基本原則――基本的人権の尊重、国民主権、戦争放棄――のすべてを私たちから奪おうとする改憲ならぬ壊憲の意図をあからさまに広言してはばからない政治家集団との対決において敗北するかいなかの瀬戸際に私たちが立たされていることは、だれよりもよくわかっておいでのことだと、私たちは信じているのですが、そうではないのでしょうか?

 社会民主党の福島瑞穂党首は、戦争と原発と死刑とに通底するのは国家が国民の生命を奪うことであると明言し、安倍自由民主党をはじめ生命をないがしろにし滅ぼす政治家集団とは根底的に対決する姿勢を公表しているではありませんか。

 その社会民主党が民主党と選挙協力をするという報せにあたって、合意事項に懸念、物足りなさを感じます。考えてもみてください、民主党には、「(「慰安婦」は)『性的奴隷』ではない。彼女らは当時世界中のどこにでもある公娼制度の下で働いていた」などと、旧「大日本帝国軍隊」による「慰安婦制度」の創設・強制性を否定する意見広告を、自由民主党党首安倍晋三、「もんじゅ」を所管する下村博文、こどもたちに嘘の歴史を教える教科書をつくっている藤岡信勝・西尾幹二などといった人達が2012年にアメリカ合衆国の『スターレッジャー』紙に出したさい賛同人として名を連ねた国会議員が11人もいる(うち一人は参議院議員)のですよ。2007年に『ワシントン・ポスト』に同様の意見広告を出したさいは13人の民主党議員が賛同人となっていました。

 このよう人達がいかに女性を蔑視し基本的人権を踏みにじってやまないかが、たまたま、橋下徹「日本維新の会」共同代表のマスメディアに向けての発言によって暴露されているこの時期に、今述べたような党員議員をかかえる民主党と選挙協力をするということが、私たち国民の目にどのように映るかを、熟慮したうえでの御決断であるのなら、なにも、もう、申しません。社会民主党支持者が離反する可能性を検討されたのでしょうか。

 もし、政治的分析を踏まえたうえでどうしてもいま民主党との選挙協力が必要かつ有効であるとお考えなのであれば、せめて、上記意見広告に賛同するような国会議員とりわけ参議院議員の民主党からの排除を選挙協力の条件になさってはいかがでしょう。そのような押しの強さが現在の状況に必要だと確信します。

 社会民主党、共産党をはじめ、私たちの生命を尊重し、生命を奪おうとする政治勢力に反対するすべての政治勢力、日本国憲法の精神を活かし、原発依存からの脱出を目指す参院選候補者が、来るべき参議院で三分の一以上の議席を占めてくれるよう、私たちは切望しています。そのためにこそ奮闘しています。

 民主党にはこの私たちとともにたたかうことのできる人達もいますし、自由民主党、公明党をはじめとする生命蹂躙の諸党の勢力をすこしでも殺ぐためには民主党の勢力回復をも望んでいます。

 けれど、民主党候補を立てない選挙区で「民主党候補の支援を前向きに検討する」とはいえ、政策的な条件を押し出さない選挙協力を社会民主党ともあろう党があっさり行うことは容認しかねます。なぜなら、選挙協力は貴党の数少ない推薦候補の当選に寄与することはあっても、例えば、維新支持の急落が同類の自民党の急落に結び付かないような世論状況を克服することなしに、いささかの選挙協力程度で今日の困難な政治状況を克服することができないからです。

 世論をがらっと変える選挙協力に打って出るのでなければ、貴党の存在意義はいつまで経っても顕在化しないのではないでしょうか。もう一度、熟慮をお願いします。

「平和への結集」をめざす市民の風

米国にのみ謝罪する橋下徹氏「私の認識と見解」は元慰安婦と沖縄の方々を新たに侮辱するもの

5月 29th, 2013 Posted by MITSU_OHTA @ 13:49:05
under 橋下徹従軍慰安婦発言 No Comments 

米国にのみ謝罪する橋下徹氏「私の認識と見解」は元慰安婦と沖縄の方々を新たに侮辱するもの

大阪市長 橋下徹殿

2013年5月29日

橋下徹大阪市長は、5月13日の「従軍慰安婦制度は必要であった」「風俗店の活用を」という発言の「真意」を説明する文書を公表しました。当初の発言とは似ても似つかないものです。

朝日新聞デジタル:橋下徹氏の「私の認識と見解」全文(2013年05月26日)
http://digital.asahi.com/articles/OSK201305260021.html?ref=reca
橋下徹氏:「私の認識と見解」 日本語版全文− 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20130526mog00m010012000c.html

26日の「私の認識と見解」では、いわば今日の現実に光を当てるという意図が説明されています。

「私の発言の真意は、兵士による女性の尊厳の蹂躙の問題が旧日本軍のみに特有の問題であったかのように世界で報じられ、それが世界の常識と化すことによって、過去の歴史のみならず今日においても根絶されていない兵士による女性の尊厳の蹂躙の問題の真実に光が当たらないことは、日本のみならず世界にとってプラスにならない、という一点であります。」

ところが、13日の発言では、日本が間違った事実認識に基づく特殊性によって日本だけが非難されているという侮辱を解消することに重点が置かれていると感じざるを得ません。

橋下徹大阪市長「米軍の風俗業活用を」はいかなる文脈で発言されたのか(2013年5月13日) | SYNODOS -シノドス-
http://synodos.jp/politics/3894
Part 2
http://synodos.jp/politics/3894/2
「ただ事実と違うことでね、我が日本国が不当に侮辱を受けているようなことに関しては、しっかり主張はしなくては行けないと思っています。」
「レイプ国家だというところで世界は非難してるんだっていうところを、もっと日本人は世界にどういう風に見られているか認識しなければいけないんです。」
「そりゃそうですよ、あれだけ銃弾の雨嵐のごとく飛び交う中で、命かけてそこを走っていくときに、そりゃ精神的に高ぶっている集団、やっぱりどこかで休息じゃないけども、そういうことをさせてあげようと思ったら、慰安婦制度ってのは必要だということは誰だってわかるわけです。ただそこで、日本国が欧米諸国でどういう風に見られてるかというと、これはやっぱりね、韓国とかいろんなところの宣伝効果があって、レイプ国家だって見られてしまっているところ。ここが一番問題だからそこはやっぱり違うんだったら違うと。」
「いや、意に反した、意に即したかということは別で、慰安婦制度っていうのは必要だったということですよ。意に反するかどうかに関わらず。軍を維持するとか軍の規律を維持するためには、そういうことが、その当時は必要だったんでしょうね。」
「今はそれは認められないでしょう。でも、慰安婦制度じゃなくても風俗業ってものは必要だと思いますよ。」
「だけど風俗業ありじゃないですか。これ認めているんですから、法律の範囲でね。」
「そういうのをやっぱりおさえていくっていうためには一定の慰安婦みたいな制度っていうものが必要だったということも厳然たる事実だと思いますよ。そんな中で、なぜ日本がね、世界から非難されているのかっていうことをね、もっと日本国民は知っておかなければいけないわけでね。慰安婦制度を全部否定するとか、正当化するってのは、それはダメなわけですよ。それは戦争の悲劇の中で生まれたものだから、それはね、慰安婦の方に対してはしっかり配慮を持って接しなければいけないけれども。」
「一番の問題点は、世界から日本がどこを非難されているかといったら、政府が拉致して暴行脅迫で無理矢理そういう仕事に就けさせてね、レイプ国家だって言う風に言われているわけですよ、日本は。」

「旧日本兵の慰安婦問題を相対化」(「私の認識と見解」)するつもりはないと説明されますが、そのような思いが滲み出ているのが、13日の発言です。

橋下市長は13日、誰から聞かれたわけでもないのに、軍の規律維持、兵士の休息、性病管理と、慰安婦制度が必要である理由を幾つも挙げているのであり、当時は慰安婦制度が必要であったとあなたが考えていたことは、それこそ誰だって分かるというものです。

あなたの「当時の軍は」という言葉を付け加える手法は、他人の発言だとかこつけて高齢女性を「地球にとって非常に悪しき弊害」とした石原慎太郎氏の「ババア発言」とほとんど同じです。

ババア発言 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%90%E3%82%A2%E7%99%BA%E8%A8%80

旧日本軍による従軍慰安婦制度の問題だけでなく、他国の兵士による被害女性に光を当てているのは、他でもない旧日本軍の元慰安婦の方々です。下記ビデオをご覧ください。

「橋下氏は辞任を」〜抗議集会に女性結集
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1587

日本の従軍慰安婦制度の特殊性は、何百人もの被害者が名乗り出ているのに、日本政府が開き直っていることが世界中から非難されている点です。これも上記集会で指摘されています。

次に、「風俗店の活用」発言について。

橋下市長の13日の発言は、ボーリングやバーベキューと風俗店を比較し、米兵の性欲をコントロールする上で風俗店が優れている、という判断を示したと解する他ありません。

ところが26日の「私の認識と見解」では、次のように述べられています。

「また、沖縄にある在日アメリカ軍基地を訪問した際、司令官に対し、在日アメリカ軍兵士の性犯罪を抑止するために風俗営業の利用を進言したという報道もありました。これは私の真意ではありません。私の真意は、一部の在日アメリカ軍兵士による犯罪を抑止し、より強固な日米同盟と日米の信頼関係を築くことです。一部の在日アメリカ軍兵士による犯罪被害に苦しむ沖縄の問題を解決したいとの思いが強すぎて、誤解を招く不適切な発言をしてしまいましたが、私の真意を、以下に説明いたします。」
「日本の安全保障にとって、米国との同盟関係は最も重要な基盤であり、在日アメリカ軍の多大な貢献には、本当に感謝しています。」

「より強固な日米同盟と日米の信頼関係を築くこと」という「真意」は、13日の発言から微塵もうかがい知ることができないだけでなく、女性を米兵に差し出すことの意図を別の面から説くものに他なりません。

「一部の心無い在日アメリカ軍兵士をしっかりとコントロールして欲しい、そのような強い思いを述べる際、『日本で法律上認められている風俗営業』という言葉を使ってしまいました。この表現が翻訳されて、日本の法律で認められていない売春・買春を勧めたとの誤報につながりました。さらに合法であれば道徳的には問題がないというようにも誤解をされました。合法であっても、女性の尊厳を貶(おとし)める可能性もあり、その点については予防しなければならないことはもちろんのことです。」
「今回の私の発言は、アメリカ軍のみならずアメリカ国民を侮辱することにも繋(つな)がる不適切な表現でしたので、この表現は撤回するとともにお詫び申し上げます。」(26日「私の認識と見解」)

沖縄の女性に対する侮辱を謝罪するのでなく、米国の怒りを忖度して「在日アメリカ軍の多大な貢献には、本当に感謝しています」と述べるというところに、米国への従属と沖縄への犠牲を認める思想が表れています。

「私の認識と見解」は風俗店の活用という考え方そのものを撤回するものにはなっていません。

風俗店発言の真意は、5月25日付毎日新聞が松井一郎大阪府知事の話として伝えているところが本当でしょう。

「風俗業の活用の表現は日米で文化も違い、米国文化の中では全く異質なものと取り上げられている。誤解される発言については撤回し、おわびをする」

あくまでも表現の受け止め方を考慮して発言を撤回するというもので、その意図は「私の認識と見解」の「アメリカ軍のみならずアメリカ国民を侮辱することにも繋(つな)がる不適切な表現」という表現に込められています。

また同記事では、従軍慰安婦が必要であったという発言の意図が「悲惨な戦時下で慰安所があったという事実であり『二度と戦争を起こさないように』とのメッセージのつもりだった」と説明されています。

そのようなメッセージは13日発言に微塵も感じませんが、反戦論を釈明には使えないと判断し、「私の認識と見解」で「日米同盟」強化論に切り替えたのではありませんか。

「しかしながら、多くの在日アメリカ軍基地がある沖縄では、一部の心無いアメリカ軍兵士によって、日本人の女性や子どもに対する性犯罪など重大な犯罪が繰り返されています。こうした事件が起きる度に、在日アメリカ軍では、規律の保持と綱紀粛正が叫ばれ、再発防止策をとることを日本国民に誓いますが、在日アメリカ軍兵士による犯罪は絶えることがありません。同じことの繰り返しです。」
「私の真意は、多くの在日アメリカ軍兵士は一生懸命誠実に職務を遂行してくれていますが、一部の心無い兵士の犯罪によって、日米の信頼関係が崩れることのないよう、在日アメリカ軍の綱紀粛正を徹底してもらいたい、という点にあります。その思いが強すぎて、不適切な表現を使ってしまいました。」(「私の認識と見解」)

綱紀粛正が在日米兵による犯罪の防止に役立ってこなかったと認めながら「在日アメリカ軍の綱紀粛正を徹底してもらいたい」という「真意」は、「風俗店の活用」提案とかけ離れているだけでなく、犯罪防止の提案として何らの真剣味を持っていないことをむしろ露呈しています。

「多くの在日アメリカ軍兵士は一生懸命誠実に職務を遂行してくれています」という認識に怒らないイラク人はいないでしょう。

「一部の心無い在日アメリカ軍兵士」が犯罪を起こすのではなく、占領意識丸出しの米軍駐留という構造が犯罪を引き起こすのです。

標的の村  琉球朝日放送 
http://www.dailymotion.com/video/xvjmcv_yyyy_shortfilms#.UaG5sdK8BtM

次に日韓関係について。

「しかし、1965年の日韓基本条約と「日韓請求権並びに経済協力協定」において、日本と韓国の間の法的な請求権(個人的請求権も含めて)の問題は完全かつ最終的に解決されました。」(「私の認識と見解」)

このような理屈は、日米が日本国憲法95条の精神を踏みにじって沖縄にオスプレイなどを沖縄県民の頭ごなしに押し付ける決定をし、あなたと日本維新の会もそれを容認しているのと同じで、元慰安婦の方々には何ら関係のないことです。

「韓国政府自身が日韓請求権並びに経済協力協定の解釈について国際司法裁判所等に訴え出るしかないのではないでしょうか?」(「私の認識と見解」)

このような突き放した態度は、被害者個人に対する謝罪と補償を真剣に考えていない証です。

既に「日本政府は法的責任を認め、補償を行い、資料を公開し、謝罪し、歴史教育を考え、責任者を可能な限り処罰すべき」と勧告した1996年1月のクマラスワミ報告書付属文書と、国連人権委員会による同年4月の同報告書付属文書に留意するとの決議があります。

慰安婦問題とアジア女性基金 国連等国際機関における審議
http://www.awf.or.jp/4/un-00.html

これらに従って日本政府が主体的に被害者個人に対して法的責任を取ればよいだけではありませんか。

中曽根康弘元首相の責任を追及することは、その1つです。

アジア女性資料センター - 中曽根元首相の「慰安所」設置関与資料を発見
http://ajwrc.org/jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=682

以上のように、「私の認識と見解」は元慰安婦と沖縄の方々を新たな表現で侮辱するものに他なりません。

弁解を試みるのではなく、メディアに注目される中で差別政治との決別を明瞭に宣言し、安倍首相などを道連れに政界を去ることで、「私の拠(よ)って立つ理念と価値観」で列挙された「基本的人権、自由と平等、民主主義の理念」(なぜか国民主権や平和主義がない)や「女性の尊厳」がこの日本で一気に前進するはずです。

橋下徹大阪市長、安倍首相を道連れに差別政治と決別を
http://kaze.fm/wordpress/?p=456

「平和への結集」をめざす市民の風