沖縄・高江ヘリパッド建設を平和裏に中止し、 不当逮捕されたアメリカ大使館要請行動参加者2人の即時釈放を求める 『「平和への結集」をめざす市民の風』の声明

2月 27th, 2011 Posted by MITSU_OHTA @ 10:20:05
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沖縄・高江ヘリパッド建設を平和裏に中止し、
不当逮捕されたアメリカ大使館要請行動参加者2人の即時釈放を求める
『「平和への結集」をめざす市民の風』の声明

悲しいことです。
我が日本国は「政権交代」を経てもなお、名目上の「多数者」が名目上の「少数者」の生活と民主主義を奪いつづけ、なおも平然としている国家であり続けています。

沖縄東村高江地区では、6基のヘリバッド建設工事が日々強行されています。防衛省沖縄防衛局は、昨年12月から大勢の職員と下請け作業員を動員し、抗議をする住民や支援者に体当たりし、抗議者の頭上から砂利袋を投げるという、危険なことを敢えて繰り返しています。

ヘリパッドの建設はSACO合意に基づくもので、米軍が北部訓練場の半分を日本に返還する見返りに防衛省が最新ヘリパッドを6基建設して米軍に献上する、というものです。防衛省は、普天間飛行場の辺野古移設と同様に、「沖縄住民負担の軽減」だと言っています。

しかし実際は、老朽化を原因とする移設である辺野古問題と同様に、基地のスクラップ&ビルドすなわち機能の充実強化そのものです。建設中の6基のそれぞれ広大なヘリパッドは、最新戦略兵器である垂直離着陸機オスプレイのために整備されるもので、従来のヘリパッドとは比べ物になりません。それらが、僅か160人の寒村である東村高江地区の人々のくらしを、これから何十年も包囲し戦闘訓練を繰り返すのです。

「辺野古移転」は今、保守革新を問わない沖縄全県の住民意思により暗礁に乗り上げています。それに対し「高江のヘリパッド建設」は、寒村であるがゆえに人々の話題にのぼる機会もすくなく、沖縄防衛局は暴走を日々繰り返しています。意図してかしないでか不明ですが、本土マスコミも沖縄・高江のことを取り上げようとしてきませんでした。そこに住民意思を踏みにじる「建設強行工事再開」が起こったのです。

高江では連日の抗議行動によって重機作業をかろうじて食い止めています。しかし住民の皆さんは生活をかかえていますし、支援者も那覇からバスで3時間往復6千円もかかります。国費を浪費した連日100人を超える防衛局の作業員動員にはかなうべくもありません。

「高江のヘリパッド建設」を食い止めるためには、運動の全国的広がりが必要です。沖縄は1972年、「平和憲法」と「戦争放棄」の適応を求め、「基地の無い島」を目指して「本土復帰」しました。しかし39年経った今になっても、米軍基地が住民の生活と民主主義を奪っています。状況が変わらないばかりか、自衛隊の沖縄進出とともに、強化されようとしています。

「平和」「憲法」「第九条」を旗印に集まった私たち『「平和への結集」をめざす市民の風』は、こうした現状を見逃すことはできません。

去る2月23日には、WWFやグリーンピースなど環境保護団体と市民平和団体が国会議員とともに、国会内で院内集会・記者会見を開き、防衛省への要請行動をおこないました。ようやく僅かながらですが、全国メディアも「高江」の文字を報じるようになりました。

高江の集落を取り囲む6基のヘリパッド建設予定地は、世界的にも貴重な自然「やんばるの森」でもあります。防衛省の蛮行には世界中の環境保護団体が抗議の声をあげています。3月からは絶滅危惧種ヤンバルクイナの繁殖期であり、環境アセス書には重機をもちいた工事の禁止が謳われています。森に騒音をこだまさせるチェーンソーによる森林伐採が、繁殖行動を阻害することはあきらかです。それにもかかわらず防衛省は工事の中止を明言していません。

余命幾ばくも無い菅内閣は、オバマ大統領への手土産として、なにがなんでも「高江工事の進捗」が欲しいのでしょうか。

実は東京でも、報道がないものの、高江と連帯する市民の運動は地道に繰り広げられてきました。新宿ど真ん中デモなどです。2月20日には、東京のアメリカ大使館への申し入れ行動デモが計画されていました。しかしあろうことか、警視庁赤坂署は直前になって、出発場所、デモルート、解散場所のすべてを人目につかない所に変更してしまいました。

暴挙はそれだけではありません。

デモ主催者は、そのような屈辱的なデモコース変更を拒否し、新橋駅前での宣伝活動とデモではないアメリカ大使館への要請行動に切り替えました。ところが警察は、アメリカ大使館との約束があった代表者6人の申請書提出すらも、警官200人が阻止線を張って妨害しました。いきなり「解散命令」を叫び、それに抗議した市民二人を「警官に抗議した罪」によって逮捕したのです。髪をつかみ髪で体をぶら下げ、得意げに市民を連行する警察官の姿は、特別公務員暴行陵虐罪(刑法195条)の証拠として映像に捉えられています。

(同20日、髪をひっぱる中国の公安警察の姿は朝日新聞が写真入りで報じていましたが、東京霞ヶ関でおきた公安警察によるもっと酷い事実は、一行も報道されていません。添付写真参照)

私たち『「平和への結集」をめざす市民の風』は、「平和」「憲法」「第九条」を旗印に集まった者として、このような力ずくでの「なにがなんでも高江工事の進捗」を見逃すわけにはまいりません。

私たちは、
1、住民の平和な生活を脅かすヘリパッド工事の即時中止を求めます。
2、希少生物の宝庫であるヤンバルの森の破壊を認めません。
3、高江の現状は、日本の民主主義、日本の憲法の現状を象徴しています。日本のタハリール広場です。民主主義と憲法を踏みにじる暴挙を許しません。
4、2月20日に不当逮捕された2人の仲間の即時解放を求めます。
5、報道機関には、高江の現状とそれに抗議する市民の姿を国民に報道するよう求めます。
6、辺野古と同様に、沖縄の声、日本全国の声としていくために、私たちは運動に積極的に参画します

以上

2011年2月26日
「平和への結集」をめざす市民の風
http://kaze.fm/

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【参照】
沖縄・高江の状況については
高江や辺野古からの発信サイト
■やんばる東村 高江の現状
http://takae.ti-da.net/
■辺野古浜通信
http://henoko.ti-da.net/

新宿ど真ん中デモについては
■沖縄を踏みにじるな緊急アクション実行委員会
http://d.hatena.ne.jp/hansentoteikounofesta09/
など

2人の不当逮捕については
■アメ大救―2・20アメリカ大使館前弾圧救援会
http://d.hatena.ne.jp/ametaiQ/
特別公務員暴行陵虐罪の動画は
■02.20アメリカ大使館前(JTビル前)での弾圧
http://www.youtube.com/watch?v=OnwiaVSQ1ig&feature=player_embedded

環境団体の声明については
■WWF、グリーンピース、日本自然保護協会、日本野鳥の会の共同声明
http://takae.ti-da.net/e3365880.html

写真:2011年2月20日15時39分にアメリカ大使館近くのJTビル前歩道にてni0615さんが写す。
へリパッド建設中止を求めるデモの呼びかけに応じて集まった市民を警察官は髪の毛をつかんで引っ張りあげるなどして連行した。直後に警察指揮車前で抗議の声があがったが、さらに男性が連行された。特別公務員陵辱罪にも問われかねないのに、達成感に満ちた警官の表情には驚かされる。

2011年2月20アメリカ大使館前

2011年2月20アメリカ大使館前

2011年2月20アメリカ大使館前

2011年2月20アメリカ大使館前

2011年2月20アメリカ大使館前

2011年2月20アメリカ大使館前

西岡武夫参院議長・民主党・みんなの党の参院・衆院選挙制度改定案の分析と大選挙区比例代表併用制のシミュレーション

1月 9th, 2011 Posted by MITSU_OHTA @ 14:25:43
under 選挙制度 No Comments 

西岡武夫参院議長・民主党・みんなの党の参院・衆院選挙制度改定案の分析と大選挙区比例代表併用制のシミュレーション

参議院の定数削減・選挙制度改定について、各党から具体的な案が出始めました。2010年12月1日には民主党の区割り3案の概要が報道され、同10日にはみんなの党が定数削減を含む選挙制度改定案を発表し、同22日には西岡武夫参院議長が私案を各会派で作る「選挙制度の改革に関する検討会」に提示しています。

2010参院選の結果に基づくシミュレーションなどで各案を分析しました。さらに、主権の保障と主権の平等を要件に組み立てた選挙制度として提案している中選挙区比例代表併用制の説明も兼ねて、西岡議長案を基本にした大選挙区比例代表併用制についてもシミュレーションを行いました。

表1がそのまとめで、民主党衆院比例区案のシミュレーション結果なども合わせて載せています。

印刷用ファイル(PDF)印刷用ファイル(Word)

【要旨】

  • 主権の保障と主権の平等が選挙制度の要件
  • 選挙制度論に政治論を持ち込まない
  • 選挙区間1票の格差を無くしても有権者は平等にならない
  • 死票の極小化、議員得票数の平準化は不可能ではない
  • みんなの党の参院比例代表制案は実質的に中選挙区制
  • 西岡参院議長の9ブロック比例代表制案(改選定数121、政党候補のみ当選、ブロック式議席配分)は政党間1票の格差が最大2.87倍
  • 議長案の政党間1票の格差は全国一括・再配分式で1.34倍以下に低減
  • スウェーデン(国政)とドイツの比例代表制は、政党と無所属候補の平等性に無頓着
  • 政党と無所属候補の平等性を追求した中選挙区比例代表併用制
  • 西岡議長修正8ブロック参院大選挙区比例代表併用制(改選定数242、無所属30人当選、全国一括・再配分式)は議長案より選挙区間1票の格差、政党間1票の格差を低減
  • 西岡議長修正8ブロック参院大選挙区比例代表併用制(改選定数121、無所属15人当選、全国一括・再配分式)は西岡議長修正8ブロック参院比例代表制(改選定数121、政党候補のみ当選、全国一括・再配分式)より選挙区間1票の格差が低減
  • 【目次】

    1. 選挙制度について〜主権の保障と主権の平等が選挙制度の要件〜
    2. 1票の格差について
    3. 手間暇かけた選挙が許されるなら
    4. 民主党の参院選挙制度改定案
    5. みんなの党の参院選挙制度改定案
    6. 西岡武夫参院議長参院比例代表制案
    7. スウェーデンとドイツの比例代表制
    8. 中選挙区比例代表併用制
    9. 大選挙区比例代表併用制のシミュレーション

    【関連投稿】

  • 小選挙区制の廃止へ向けて
    http://kaze.fm/wordpress/?p=215
  • 2010参院選――結果分析
    http://kaze.fm/wordpress/?p=309
  •  
     
     

    表1 2010参院選の結果に基づく西岡武夫参院議長参院比例代表制案、みんなの党参院選挙制度改定案、民主党衆院比例区案、大選挙区比例代表併用制のシミュレーションまとめ
    ( ):ブロック式(各ブロックごとに議席を配分する)の場合の政党間1票の格差(2010参院選の場合は比例区と選挙区全体の政党間1票の格差)
    < >: 全国一括・再配分式(全国集計した得票数を基に各党に議席を配分し、各党ごとに各ブロックの得票数に応じて各ブロックに議席を再配分する)の場合の政党間1票の格差
    [ ]:全国一括・再配分式の場合の選挙区間1票の格差
    単なる「1票格差」は選挙区間1票の格差を表す














    2010参院選比例区得票率 31.6 24.1 13.1 6.1 3.8 13.6 1.7 2.1 2.0 -
    現行衆院議席占有率・定数180 37.8 27.8 14.4 3.9 2.2 13.9 0 0 0 -
    西岡議長参院案議席占有率・改選数121(表3) 38.0
    (1.0)
    29.8
    (1)
    13.2
    (1.2)
    3.3
    (2.3)
    1.7
    (2.9)
    <1.2>
    14.0
    (1.2)
    0 0 0 1.2
    [2.0]
    民主党衆院案議席占有率・定数100 41.0
    (1)
    29.0
    (1.1)
    14.0
    (1.2)
    2.0
    (4.0)
    1.0
    (5.0)
    13.0
    (1.4)
    0 0 0 -
    みんなの党参院案議席占有率・改選数50(表2) 42.0
    (1.1)
    34.0
    (1)
    12.0
    (1.5)
    2.0
    (4.3)
    0 10.0
    (1.9)
    0 0 0 1.43
    修正西岡議長参院案議席占有率・改選数121(表4) 37.2
    (1.0)
    29.0
    (1)
    13.2
    (1.2)
    4.1
    (1.8)
    1.7
    (2.8)
    <1.2>
    14.9
    (1.1)
    0 0 0 1.1
    [1.3]
    大選挙区比例代表併用制議席占有率・改選数121(表5) 38.7
    (1)
    28.3
    (1.0)
    14.2
    (1.1)
    3.8
    (2.0)
    <1.1>
    0.9
    (5.0)
    <1.1>
    14.2
    (1.2)
    0 0 0 1.1
    [1.3]
    大選挙区比例代表併用制議席占有率・改選数242(表6) 36.3
    (1)
    27.4
    (1.0)
    13.7
    (1.1)
    5.7
    (1.2)
    2.8
    (1.6)
    <1.1>
    13.7
    (1.1)
    0 0 0.5
    (4.9)
    <1.1>
    1.1
    [1.2]
    衆院全国一区議席数・定数180 58 44 24 11 7 25 3 3 3 -
    衆院全国一区議席数・定数100 33 25 13 6 4 14 1 2 2 -
    2010参院選議席占有率 36.4
    (1.4)
    42.2
    (1)
    7.4
    (1.7)
    2.5
    (4.0)
    1.7
    (2.2)
    8.3
    (2.1)
    0 0.8
    (2.4)
    0.8
    (2.7)
    -

     
     
     

    1. 選挙制度について〜主権の保障と主権の平等が選挙制度の要件〜

    まずは選挙制度のそもそも論について触れておきます。

    各有権者の意向を最大限に尊重するシステムが選挙制度です。選挙制度は選挙制度として独立させ、選挙制度論に政治論を持ち込んではいけません。

    政党と無所属候補の平等性を含め、主権の保障と主権の平等が選挙制度の要件です。

    2. 1票の格差について

    「1票の価値」は通常、どういうわけか、「異なる選挙区間における<当選議員>1人当たりの<有権者数>」で比較される1票の影響力のことを指します。せいぜい、異なる選挙区間で投票率、生票と死票の割合が同じ場合、当選議員1人当たりの平均的な生票数が同じであることしか意味しません。

    各議員を当選させるに要する生票数は選挙ごと、選挙区ごと、議員ごとに異なるのだから、実際の一人一人の「1票の価値」が同じであるはずがありません。上記の意味で「1票の価値」という言葉を独占することは問題です。

    有権者数と投票率が同じ2つの小選挙区(1人区)で、一方は生票率が90%、もう一方は死票率が90%だとしましょう。同じ90%でも死票を投じた有権者に1票の価値はまったくありません。生票と死票の間には明らかに1票の価値の格差が存在するのです。

    生票の間でも1票の価値は平等ではありません。2010参院選東京選挙区(定数5)で、民主党は得票率39.5%で議席占有率40.0%(2議席)、みんなの党は得票率10.8%で議席占有率20.0%(1議席)、公明党は得票率13.2%で議席占有率20.0%(1議席)、共産党は得票率9.1%で議席0などとなっており、みんなの党に投票した有権者の1票の価値はダントツ1位です。

    「異なる選挙区間における当選議員1人当たりの有権者数」をいくら同じにしても、有権者は平等になりません。選挙制度は、矮小化した1票の価値論を優先するのではなく、政党と無所属候補の平等性を含め、主権の保障と主権の平等を要件に組み立てる必要があります。

    3. 手間暇かけた選挙が許されるなら

    主権の保障と主権の平等を優先するなら

    ・死票を可能な限り減らし
    ・議員1人当たりの得票数を可能な限り同じにし
    ・候補者選択の自由を最大限に保障する

    必要があるでしょう。こうした観点からは、有権者を縛る選挙区の区割りという概念に役目はありません。

    投票を締め切ると、総得票数を総定数で割った値である基数、すなわち議員1人当たりの平均得票数が判明します。区割り選挙では必ず、基数を超えた得票数の候補者、基数未満の得票数の候補者が現れます。

    主権の保障と主権の平等を実現したい有権者は、ほかの有権者と相談し、超過した生票を基数未満の得票数の候補者に移譲したいと思うでしょう。超過した生票を基数未満の得票数の候補者に移譲するというプロセスは、比例代表制の本質にほかなりません。現行の比例代表制は、このプロセスを近似したものです。

    改ざんの可能性があるので望ましくはありませんが、電子投票システムならこうした希望は実現するでしょう。投票者に投票時刻順のシリアルナンバー証明書などを発行し、ある候補者について基数を達成した時刻以降に当該候補者に投票した有権者が、後日の投票で仮落選した候補者に再投票できるようにします。

    このプロセスを繰り返せば、死票を限りなくゼロにすると同時に、議員1人当たりの得票数を同じにすることが可能です。こうした観点からは、選挙区内の候補者にしか投票できない区割り制度は有権者にとって迷惑なものなります。

    こんなに手間暇かけてもいられないというのであれば、近似的な制度を考えるしかありません。優先順位付連記投票制で同じことができるのかどうか、ちょっと複雑で分かりかねます。

    4. 民主党の参院選挙制度改定案

    2010年12月1日付の毎日新聞によれば、民主党は参院選挙制度改定案として、現行定数242を200議席に減らした上で、(1)11ブロック(の大選挙区制)、(2)連記投票制(改選数2の選挙区で有権者1人が2票を投票するなど)、(3)全国47の1人区、を挙げていますが、2と3の詳細は不明です。

    (1)の案はマシな方ですが、(3)の小選挙区制は論外です。

    連記投票制の区割り選挙は、(1)同一候補に複数票を入れる、(2)複数票を同じ政党の別候補に入れる、(3)それらを組み合わせるなど、複数の投票パターンが考えられます。複数の議席があるのだから有権者は複数の票を持つべきだとする考え方は一見もっともらしいのですが、どの党の支持者も(2)のパターンのみの投票行動を取ると、単に複数の小選挙区選挙を同時に実施するだけの意味しか持ちません。

    連記投票制で小政党が議席を獲得するには、(1)のテクニックが必要になります。大政党にしても、議席数を最大化するには(2)を基本にしつつも、票の分散し過ぎを警戒する必要があります。連記投票制の区割り選挙では、同じ政党を支持する投票でも、有権者の投票の仕方で劇的に議席数が変化するのです。

    大選挙区制(中選挙区制)の問題点 〜連記投票制の落とし穴〜
    http://kaze.fm/wordpress/?p=232

    5. みんなの党の参院選挙制度改定案

    みんなの党の参院選挙制度改定案は、現行定数242を100に削減し、全国を衆院比例区と同じ11ブロックに分け、すべて「比例代表制」で選ぶというものです。半数、つまり50議席ずつ改選するので、「総定数50を11ブロックに分けた比例代表制」ということになります。定数はほとんどが5以下なので、形式的に比例代表制とはいえ、実質的には中選挙区制です。

    みんなの党の参院選挙制度改定案
    http://www.your-party.jp/news/office/000552/

    2010参院選の結果に基づく同案のシミュレーション結果を表2に示しています。みんなの党は、「議員定数削減を具現化するための選挙制度の改定における基本的な理念」として「一票の格差の是正」を掲げています。しかし共産・社民などの小政党に投票する有権者の1票の価値は、小選挙区制を含む現行制度より低下します。

    6. 西岡武夫参院議長参院比例代表制案

    西岡武夫参院議長の案は、現行定数を維持したまま、下記の9ブロックに分け、現在と同じ非拘束名簿方式(政党名でも個人名でも投票できる)の比例代表制で全議席を選出するというものです。無所属の立候補を認めるかどうかについては今後検討するとしています。

    北海道=12議席▽東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)=18議席▽北関東信越(茨城、栃木、群馬、新潟、長野)=22議席▽南関東(埼玉、千葉、神奈川、山梨)=44議席▽東京=24議席▽中部(富山、石川、岐阜、静岡、愛知、三重)=32議席▽関西(福井、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)=40議席▽中国・四国(鳥取、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知)=22議席▽九州・沖縄(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)=28議席

    議長案も「1票の格差」是正に力点を置いて選挙区間の1票の格差を1.16倍以下に抑えているものの、無所属候補の立候補をきっぱり認めておらず、「主権の保障」という観点が不十分です。主権を最大限尊重するのであれば、無所属候補を有権者が選ぶ権利を保障しなければなりません。

    さらにあらゆる面で「主権の平等」も保障する必要があります。「異なる選挙区間における当選議員1人当たりの有権者数」で比較される1票の価値だけでなく、「異なる政党に投票した有権者の間における1票の価値」、「政党候補に投票した有権者と無所属候補に投票した有権者の間における1票の価値」なども可能な限り平等にすべきです。

    表3が議長案のシミュレーション結果です。定数が少なくなるブロック制の議長案では死票が生じ、得票率と議席占有率に乖離が生じています。「当選議員1人当たりの得票数」で比較される政党間の1票の格差は、議長案の通り各ブロックごとに議席を配分するブロック式で最大2.87倍となっており、「異なる政党に投票した有権者の間における1票の価値」の平等が保障されていません。

    ブロック制の議長案でも、議席配分方式を全国一括・再配分式にすれば、政党間1票の格差は1.34倍以下に低減します。全国一括・再配分式とは、全国集計した得票数を基に各党に議席を配分し、各党ごとに各ブロックの得票数に応じて各ブロックに議席を再配分する方式です。

    ただし全国一括・再配分式の場合、北海道と東北の各ブロックの定数がそれぞれ6、9と少ないために、選挙区間1票の格差は議長案のブロック式より拡大し、北海道で最大1.95倍となります。

    そこで表4に示すように、北海道ブロックと東北ブロックを統合して全8ブロックとし、全国一括・再配分式で計算すると、政党間1票の格差、選挙区間1票の格差はともに1.34倍以下に低減します。改選定数を増やすことでも選挙区間1票の格差は低減します(表6)。

    7. スウェーデンとドイツの比例代表制

    全国一括・再配分式はドイツの小選挙区比例代表併用制でも採用されています。連邦州単位で投票するものの、全連邦州における獲得票数に基づき各党に議席を比例配分した後で、各党ごとに各州における獲得票数に応じて各州に再配分します。

    スウェーデン型比例代表制(国政)は総定数が349議席で、うち310議席を29の中選挙区で選出し、残る39議席を調整議席として、政党の全議席が全国得票数に基づき比例配分されるように各党に配分します。

    以上のように何らかの区割り選挙であっても、ある程度の定数を前提に、全国集計した獲得票数に基づいて議席を確定させる比例代表制を採用すれば、政党間1票の格差、得票率と議席占有率の乖離は生じません。こうして「異なる政党に投票した有権者の間における1票の価値」の平等は保障されます。

    残る問題は、「政党候補に投票した有権者と無所属候補に投票した有権者の間における1票の価値」の平等をどう保障するかです。それにはまず、無所属候補の立候補そのものを保障する必要があります。

    スウェーデン型比例代表制の調整議席は政党独占枠なので、スウェーデン型比例代表制を無所属候補にも広げて適用すると、政党と無所属候補の間で不平等が生じます。

    ドイツの小選挙区比例代表併用制の総定数598議席はいわば準比例区定数で、うち半数の299議席が小選挙区に割り当てられます。小選挙区での当選は無条件に確定し、比例代表名簿からの獲得議席数が小選挙区での獲得議席数を上回れば、小選挙区での当選者に上乗せする形で、比例代表名簿の候補に議席が割り当てられます。

    通常、ドイツの大政党は小選挙区での獲得議席数が比例代表名簿からの獲得犠牲数より多く、いわゆる超過議席が発生するので、議席占有率は得票率を上回ります。従って、ドイツ型比例代表制も格差を生み出す制度です。

    小選挙区比例代表併用制の問題点
    http://kaze.fm/wordpress/?p=220

    ドイツで1人の比例代表名簿が認められているのかどうか確認していませんが、そもそも無所属候補に比例代表制を適用することには無理があります。

    無所属候補の場合、議席1人分だけの平均得票数(基数)を獲得することはなく、比例代表制を適用する政党以上の確率で余剰生票ないし死票が発生します。これは有権者の平等な主権を脅かす問題です。

    政党に比例代表制を適用する場合、複数の候補が“幅”のある得票パターンと余剰生票・死票の移譲を通じて、有権者の平等な主権を近似的に保障できますが、無所属候補に単純比例代表制を適用しても、これができません。

    単純比例代表制下では、政党候補に投票する有権者と無所属候補に投票する有権者の間に不平等が存在するのです。

    スウェーデン(国政)とドイツの比例代表制は、政党と無所属候補の平等性に無頓着で、主権の保障と主権の平等という考え方に立っていません。

    8. 中選挙区比例代表併用制

    主権の保障と主権の平等を尊重するのであれば、比例代表制と合わせ、何らかの区割り選挙で無所属候補を当選させるしかないと考えられます。

    大選挙区では大政党の票割り(候補者数調整と選挙区内地区への割り当て)が難しく、大規模な共倒れの可能性が伴ないます。これは松戸市議会選挙など直近の地方議会選挙で実際に起きていることです。その結果、無所属候補などに不平等に有利な状況が生まれます。

    2009東京都議会議員選挙の8人区でも、民主党は得票率40.5%に対して議席占有率31.3%と、得票数と議席占有率にかなりの乖離がみられます。従って区割り選挙の規模としては、中選挙区が適当ではないでしょうか。

    2009東京都議会議員選挙――結果分析
    http://kaze.fm/wordpress/?p=274

    政党と無所属候補の平等性を含め、主権の保障と主権の平等を要件に組み立てた選挙制度として提案しているのが、中選挙区比例代表併用制です。全国を中選挙区に区割りし、政党候補、無所属候補ともに中選挙区、比例区の両方で競い、主に中選挙区で無所属候補の当選を確定させ、総定数から無所属候補の当選者数を差し引き、残りの議席を得票数に応じて各党に配分するというものです。

    中選挙区比例代表併用制を提案する
    http://kaze.fm/wordpress/?p=164


    9. 大選挙区比例代表併用制のシミュレーション

    中選挙区比例代表併用制を説明し、それと西岡議長案を比較するためにも、中選挙区比例代表併用制の中選挙区を西岡議長案の修正8ブロックに置き換えた大選挙区比例代表併用制をシミュレーションしました(表5表6)。使用データは2010参院選の結果です。

    大選挙区比例代表併用制(改選定数121の場合)シミュレーション:
    政党候補と無所属候補が大選挙区の各ブロックで競い、無所属候補15人が当選したとする。無所属候補15人は各ブロックの有権者数に応じて各ブロックに配分した。政党候補は無所属候補とともに各ブロックを比例区とする比例代表制選挙も戦うが、無所属候補は獲得議席数をゼロとする。政党については、各ブロックごとに議席を比例配分するブロック式と、全国集計した得票数を基に各党に議席を配分し、各党ごとに各ブロックの得票数に応じて各ブロックに議席を再配分する全国一括・再配分式の2つでシミュレーションした。政党候補の全国レベルの当選枠は、改選定数121から無所属候補の当選議席数15を差し引いた106議席。北海道・東北ブロックなら、定数15から無所属の2議席を引いた13議席が政党の取り分。全国一括・再配分式の場合、各ブロックの定数は仮定数の意味しかない。

    西岡議長修正8ブロック参院比例代表制(改選定数121、表4)では、全国一括・再配分式による選挙区間1票の格差、政党間1票の格差はともに1.34倍以下です。

    西岡議長修正8ブロック参院大選挙区比例代表併用制(改選定数121、表5)では、選挙区間1票の格差が最大1.27倍(全国一括・再配分式)、政党間1票の格差が最大1.92倍(全国一括・再配分式、議席数1の国民新党)、議席数2以上の政党の1票の格差が1.18倍(全国一括・再配分式)以下となっています。

    政党間1票の格差を小さくする全国一括・再配分式の採用を前提に、無所属候補をまんべんなく当選させることで選挙区間1票の格差が低減していることは、注目に値します。

    西岡議長修正8ブロック参院大選挙区比例代表併用制(改選定数242、表6)では、選挙区間1票の格差が最大1.15倍(全国一括・再配分式)、政党間1票の格差が最大1.85倍(全国一括・再配分式、議席数1の女性党=表6では同じく議席数1の創新党の1.55倍と統合し1.70倍としている)、議席数3以上の政党の1票の格差が1.25倍(全国一括・再配分式)以下となっています。

    このように改選定数を242とする西岡議長修正8ブロック参院大選挙区比例代表併用制の全国一括・再配分式なら、西岡議長案より選挙区間1票の格差も、政党間1票の格差も低減させることが可能です。

    無所属候補の当選選挙区に偏りが生じた場合は、全国一括・再配分式を前提に選挙区間1票の格差は拡大します。それを防ぎたいのであれば、議席配分において「各ブロックの得票数」を比例区ではなく、選挙区の各党得票数にすればよいでしょう。

     
     
     

    表2 みんなの党参院選挙制度改定案
    単なる「1票格差」は選挙区間1票の格差を表す
    議席配分表























    一ブ






















    北海道 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1.38 2
    東北 2 2 0 0 0 0 0 0 0 0 1.16 4
    北関東 2 2 1 0 0 1 0 0 0 0 1.15 6
    南関東 2 2 1 0 0 1 0 0 0 0 1.31 6
    東京 2 1 1 0 0 1 0 0 0 0 1.28 5
    北陸信越 2 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1.25 3
    東海 2 2 1 0 0 1 0 0 0 0 1.21 6
    近畿 3 2 1 1 0 1 0 0 0 0 1.27 8
    中国 2 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1.24 3
    四国 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1=基準 2
    九州 2 2 1 0 0 0 0 0 0 0 1.43 5
    21 17 6 1 0 5 0 0 0 0 - 50
    議席占有率 42.0 34.0 12.0 2.0 0 10.0 0 0 0 0 0 100
    政党間一票格差 1.06 1=基準 1.54 4.31 - 1.92 - - - - - -
    得票率 31.6 24.1 13.1 6.1 3.8 13.6 1.7 2.1 2.0 0.8 - -
    全国一括式 17 12 7 3 2 7 0 1 1 0 - 50

     
     

    表3 西岡武夫参院議長9ブロック参院比例代表制(改選定数121)
    各ブロックごとに議席を配分するブロック式と、全国集計した得票数を基に各党に議席を配分し、各党ごとに各ブロックの得票数に応じて各ブロックに議席を再配分する全国一括・再配分式の2つでシミュレーションした。カッコ内の数値は全国一括・再配分式の場合。カッコがない場合、両方式の値は同じ。単なる「1票格差」は選挙区間1票の格差を表す。
    議席配分表

















    西


























    北海道 3
    (2)
    2
    (1)
    1
    (0)
    0 0 0 0 0 0 0 1=基準
    (1.95)
    6
    (3)
    東北 4
    (3)
    3
    (2)
    1 0 0 1 0 0 0 0 1.12
    (1.40)
    9
    (7)
    北関東信越 4 4
    (3)
    1 0 0 2 0 0 0 0 1.12
    (1.19)
    11
    (10)
    南関東 8
    (7)
    5 3 1
    (2)
    1 4 0 0
    (1)
    0 0
    (1)
    1.12
    (1=基準)
    22
    (24)
    東京 5
    (4)
    3 1 1 0
    (1)
    2 0 0 0 0 1.16
    (1.13)
    12
    中部 6 5
    (4)
    2 0
    (1)
    0 3 0 0 0
    (1)
    0 1.14
    (1.04)
    16
    (17)
    関西 7 5 3 2 0
    (1)
    3 0 0 0
    (1)
    0 1.14
    (1.01)
    20
    (22)
    中国

    四国
    4
    (3)
    4
    (3)
    2 0 0 1 0
    (1)
    0
    (1)
    0 0 1.13
    (1.10)
    11
    九州 5
    (4)
    5
    (4)
    2
    (3)
    0
    (1)
    1 1 0
    (1)
    0 0 0 1.11
    (1.00)
    14
    (15)
    46
    (40)
    36
    (30)
    16 4
    (7)
    2
    (4)
    17 0
    (2)
    0
    (2)
    0
    (2)
    0
    (1)
    - 121
    議席占有率 38.0
    (33.1)
    29.8
    (24.8)
    13.2
    (13.2)
    3.3
    (5.8)
    1.7
    (3.3)
    14.0
    (14.0)
    0
    (1.7)
    0
    (1.7)
    0
    (1.7)
    0
    (0.8)
    - -
    政党間一票格差 1.03
    (1=基準)
    1=基準
    (1.02)
    1.22
    (1.04)
    2.28
    (1.10)
    2.87
    (1.22)
    1.20
    (1.01)
    -
    (1.08)
    -
    (1.34)
    -
    (1.27)
    -
    (1.07)
    - -
    得票率 31.6 24.1 13.1 6.1 3.8 13.6 1.7 2.1 2.0 0.8 - -
    全国一括・再配分式 40 30 16 7 4 17 2 2 2 1 - 121

     
     

    表4 西岡武夫参院議長修正8ブロック参院比例代表制(改選定数121)
    各ブロックごとに議席を配分するブロック式と、全国集計した得票数を基に各党に議席を配分し、各党ごとに各ブロックの得票数に応じて各ブロックに議席を再配分する全国一括・再配分式の2つでシミュレーションした。カッコ内の数値は全国一括・再配分式の場合。カッコがない場合、両方式の値は同じ。単なる「1票格差」は選挙区間1票の格差を表す。

    議席配分表

















    西




























    北海道

    東北
    6 4 2 1 0
    (1)
    2 0 0
    (1)
    0 0 1=基準
    (1=基準)
    15
    (17)
    北関東信越 4 4
    (3)
    1 0 0 2 0 0 0 0 1.04
    (1.30)
    11
    (10)
    南関東 8
    (7)
    5 3 1
    (2)
    1 4 0 0
    (1)
    0 0
    (1)
    1.05
    (1.09)
    22
    (24)
    東京 5
    (4)
    3 1 1 0 2 0 0 0 0 1.08
    (1.34)
    12
    (11)
    中部 6 5
    (4)
    2 0
    (1)
    0 3
    (2)
    0 0 0
    (1)
    0 1.06
    (1.20)
    16
    (16)
    関西 7
    (6)
    5
    (4)
    3 2 0
    (1)
    3 0 0 0
    (1)
    0 1.07
    (1.21)
    20
    (20)
    中国

    四国
    4
    (3)
    4
    (3)
    2 0 0 1 0
    (1)
    0 0 0 1.05
    (1.31)
    11
    (10)
    九州 5
    (4)
    5
    (4)
    2 0 1 1 0
    (1)
    0 0 0 1.03
    (1.26)
    14
    (13)
    45
    (40)
    35
    (30)
    16 5
    (7)
    2
    (4)
    18
    (17)
    0
    (2)
    0
    (2)
    0
    (2)
    0
    (1)
    - 121
    議席占有率 37.2
    (33.1)
    29.0
    (24.8)
    13.2 4.1
    (5.8)
    1.7
    (3.3)
    14.9
    (14.0)
    0
    (1.7)
    0
    (1.7)
    0
    (1.7)
    0
    (0.8)
    - -
    政党間一票格差 1.02
    (1=基準)
    1=基準
    (1.02)
    1.19
    (1.04)
    1.77
    (1.10)
    2.79
    (1.22)
    1.10
    (1.01)
    -
    (1.08)
    -
    (1.34)
    -
    (1.27)
    -
    (1.07)
    - -
    得票率 31.6 24.1 13.1 6.1 3.8 13.6 1.7 2.1 2.0 0.8 - -
    全国一括・再配分式 40 30 16 7 4 17 2 2 2 1 - 121

     
     

    表5 西岡武夫参院議長修正8ブロック参院大選挙区比例代表併用制(改選定数121)
    政党候補と無所属候補が大選挙区の各ブロックで競い、無所属候補15人が当選したとする。無所属候補15人は各ブロックの有権者数に応じて各ブロックに配分した。政党候補は無所属候補とともに各ブロックを比例区とする比例代表制選挙も戦うが、無所属候補は獲得議席数をゼロとする。政党については、各ブロックごとに議席を比例配分するブロック式と、全国集計した得票数を基に各党に議席を配分し、各党ごとに各ブロックの得票数に応じて各ブロックに議席を再配分する全国一括・再配分式の2つでシミュレーションした。政党候補の全国レベルの当選枠は、改選定数121から無所属候補の当選議席数15を差し引いた106議席。北海道・東北ブロックなら、定数15から無所属の2議席を引いた13議席が政党の取り分。全国一括・再配分式の場合、各ブロックの定数は仮定数の意味しかない。単なる「1票格差」は選挙区間1票の格差を表す。

    議席配分表

















    西


































    北海道

    東北
    6
    (5)
    4
    (3)
    1 1 0
    (1)
    1 0 0
    (1)
    0 2 1=基準
    (1.08)
    15
    (17)
    北関東信越 4
    (3)
    3 1 0 0 2 0 0 0 1 1.04
    (1.24)
    11
    (10)
    南関東 7
    (6)
    5
    (4)
    3 1 0
    (1)
    3 0 0
    (1)
    0 3 1.05
    (1.13)
    22
    (24)
    東京 4
    (4)
    3
    (2)
    1 1 0 2 0 0 0 1 1.08
    (1.27)
    12(11)
    中部 6
    (5)
    4 2 0
    (1)
    0 2 0 0 0
    (1)
    2 1.06
    (1.08)
    16
    (16)
    関西 6 4 3 1
    (2)
    0
    (1)
    3 0 0 0
    (1)
    3 1.07
    (1=基準)
    20
    (20)
    中国

    四国
    4
    (3)
    3 2
    (1)
    0 0 1 0
    (1)
    0 0 1 1.05
    (1.25)
    11
    (10)
    九州 4
    (3)
    4 2 0 1 1 0 0 0 2 1.03
    (1.20)
    14
    (13)
    41
    (35)
    30
    (27)
    15
    (14)
    4
    (6)
    1
    (4)
    15 0
    (1)
    0
    (2)
    0
    (2)
    15
    (-)
    - 121
    政党間議席占有率 38.7
    (33.0)
    28.3
    (25.5)
    14.2
    (13.2)
    3.8
    (5.7)
    0.9
    (3.8)
    14.2 0
    (0.9)
    0
    (1.9)
    0
    (1.9)
    - - -
    政党間一票格差 1=基準
    (1.01)
    1.04
    (1=基準)
    1.13
    (1.05)
    1.98
    (1.14)
    4.98
    (1.08)
    1.18
    (1.02)
    -
    (1.92)
    -
    (1.18)
    -
    (1.12)
    -
    (-)
    - -
    政党間得票率 31.6 24.1 13.1 6.1 3.8 13.6 1.7 2.1 2.0 - - -
    全国一括・再配分式 35 27 14 6 4 15 1 2 2 - - 106

     
     

    表6 西岡武夫参院議長修正8ブロック参院大選挙区比例代表併用制(改選定数242)
    政党候補と無所属候補が大選挙区の各ブロックで競い、無所属候補15人が当選したとする。無所属候補15人は各ブロックの有権者数に応じて各ブロックに配分した。政党候補は無所属候補とともに各ブロックを比例区とする比例代表制選挙も戦うが、無所属候補は獲得議席数をゼロとする。政党については、各ブロックごとに議席を比例配分するブロック式と、全国集計した得票数を基に各党に議席を配分し、各党ごとに各ブロックの得票数に応じて各ブロックに議席を再配分する全国一括・再配分式の2つでシミュレーションした。政党候補の全国レベルの当選枠は、改選定数242から無所属候補の当選議席数30を差し引いた212議席。北海道・東北ブロックなら、定数30から無所属の3議席を引いた27議席が政党の取り分。全国一括・再配分式の場合、各ブロックの定数は仮定数の意味しかない。単なる「1票格差」は選挙区間1票の格差を表す。
    議席配分表


















    西


































    北海道

    東北
    11
    (10)
    8
    (7)
    3 1 1 3 0 0
    (1)
    0 0 3 1=基準
    (1.06)
    30
    (29)
    北関東信越 7
    (6)
    6
    (5)
    2 1 0
    (1)
    3 0 0 0 0 3 1.04
    (1.11)
    22
    (21)
    南関東 13
    (12)
    9
    (8)
    5 2
    (3)
    1
    (2)
    7 0 0
    (1)
    1 0
    (2)
    6 1.05
    (1=基準)
    44
    (47)
    東京 8
    (7)
    5
    (4)
    2 2 1 3 0 0 0
    (1)
    0 3 1.08
    (1.15)
    24
    (23)
    中部 11
    (10)
    8
    (7)
    3 1 1 4 0 0 0
    (1)
    0 4 1.06
    (1.12)
    32
    (31)
    関西 12
    (11)
    8
    (8)
    6 3 1 5 0
    (1)
    0
    (1)
    0
    (1)
    0 5 1.07
    (1.04)
    40
    (42)
    中国

    四国
    7
    (6)
    6 3 1 0 2 0
    (1)
    0
    (1)
    0 0 3 1.05
    (1.03)
    22
    (23)
    九州 8
    (7)
    8
    (7)
    5
    (4)
    1 1 2 0
    (1)
    0 0 0 3 1.03
    (1.13)
    28
    (26)
    77
    (69)
    58
    (52)
    29
    (28)
    12
    (13)
    6
    (8)
    29 0
    (3)
    0
    (4)
    1
    (4)
    0
    (2)
    30
    (-)
    - 242
    政党間議席占有率 36.3
    (32.5)
    27.4
    (24.5)
    13.7
    (13.2)
    5.7
    (6.1)
    2.8
    (3.8)
    13.7 0
    (1.4)
    0
    (1.9)
    0.5
    (1.9)
    0
    (0.9)
    - - -
    政党間一票格差 1=基準
    (1=基準)
    1.01
    (1.01)
    1.10
    (1.02)
    1.24
    (1.03)
    1.56
    (1.05)
    1.14
    (1.02)
    -
    (1.25)
    -
    (1.15)
    4.89
    (1.10)
    -
    (1.70)
    -
    (-)
    - -
    政党間得票率 31.6 24.1 13.1 6.1 3.8 13.6 1.7 2.1 2.0 1.6 - - -
    全国一括・再配分式 69 52 28 13 8 29 3 4 4 2 - - 212

     
     

    太田光征
    http://otasa.net/

    イハ洋一氏勝利に向けた呼びかけ

    11月 21st, 2010 Posted by MITSU_OHTA @ 23:31:01
    under 一般 No Comments 

    沖縄県政

    安里タケシ

    安里タケシ オフィシャルサイト

     
     

    イハ洋一氏勝利に向けた呼びかけ

    沖縄県知事選に心を寄せる皆様へ

    イハ洋一候補勝利のためには気を抜けない情勢が続いていると思います。ご承知のように仲井真氏は「県内移設反対」は言明せずに県外移設をにわか作りで主張しています。このことは大変重要なことであり、「県内移設反対」を明確にしているイハ洋一候補とのスタンスの違いは明らかであると、多くの方が指摘しています。さらに最近になってイハカラーのイエローを採用したりするなど、したたかな選挙戦術を実践しています。

    候補者以外の情勢では、国民新党と新党日本がイハ氏を推薦したことで、イハ票が逃げるとする見方や、投票率の低下により組織票を持つ創価学会などの影響力が際立ってくるのではないかという見方もあります。

    さて、いわずもがなの感はありますが、改めてイハ氏勝利に向けて日本に住むすべての人ができると思われることを提起してみたいと思います。

    1つは、沖縄にコネを持っている方がさまざまなルートで情報発信をし、沖縄の知人・友人に直接働きかけをするということです。

    2つ目はインターネットの活用です。イハ公式ブログはリンク用バナーを用意しています。これをサイト、ブログに貼ることは簡単です。例えば下記をコピーして貼り付けるだけです。基調カラーをイエローにすることも考えられます。

    新しい沖縄へ。伊波洋一
    http://ihayoichi.ti-da.net/

    <center><div style="font-size:10px;width:468px"><a target="blank" href="http://ihayoichi.ti-da.net/"><img src="http://img03.ti-da.net/usr/ihayoichi/468.jpg" width="468" height="60" border="0" alt="伊波洋一ブログ"></a><a target="blank" href="http://ihayoichi.jp/">伊波洋一</a></div></center>

    上記タグを必要な箇所に貼り付けると、下記のように表示されます。

    3つ目は献金です。いくつかの金融機関に加え、楽天のサイトでも献金を受け付けています。

    伊波洋一オフィシャルサイト|献金のごあんない
    http://ihayoichi.jp/bank.html

    沖縄銀行 県庁出張所 普通1282096
    琉球銀行 県庁出張所 普通177455
    沖縄海邦銀行 県庁内出張所 普通0076375
    沖縄県労働金庫 県庁支店 普通3218002
    ゆうちょ銀行(ゆうちょから)  01740-5-122219
    ゆうちょ銀行(他行から)  一七九店 当座0122219

    伊波洋一(いはよういち) - 無所属 - 【楽天政治】ネットで政治献金
    http://seiji.rakuten.co.jp/syllabary/info/%E4%BC%8A%E6%B3%A2%E6%B4%8B%E4%B8%80/001895

    そのほかにも、沖縄県外の街頭でイハ氏勝利を呼びかけるための行動も可能です。例えば「憲法共同ネット」(http://www.cscreate.net/kenpou/)が実際に11月14日、渋谷駅前で街宣活動を行なっています(添付ファイルのチラシ参照)。11月21日に千葉県でイハ氏勝利の街宣活動を行なう千葉県民有志もいます。

    投票日の11月28日まで残すところ1週間となりました。「日米安保」の負の部分を沖縄に押し付けるのは「本土人」として恥ずかしいと思います。それぞれにできることをやり切ろうではありませんか。

    2010年11月21日

    「平和への結集」をめざす市民の風
    http://kaze.fm/

    選挙制度改革について政党に聞く会

    11月 1st, 2010 Posted by MITSU_OHTA @ 23:29:59
    under 一般 No Comments 

    選挙制度改革について政党に聞く会

    日時:11月7日(日)午後6時より(開場:午後5時45分)

    会場:文京区民センター 2A(地下鉄「春日駅」「後楽園駅」下車)
    地図:http://www.b-academy.jp/faculty/c04_01_j.html?area=mainColumn

    司会:河内謙策(弁護士)、北村肇(『週刊金曜日』発行人、前編集長)

    政党発言
       高橋俊次(新社会党中央執行委員) 
       保坂展人(社民党前衆議院議員)  各20分
     
    質疑討論

    協賛団体発言 各6分

    参加費:700円

    主催:小選挙区制廃止をめざす連絡会(代表:佐藤和之)
        連絡先:東京都文京区本郷2-6-11 3F
             URL:http://www3.ocn.ne.jp/~syouhai/ 
             Eメール:syouhairen@utopia.ocn.ne.jp

    協賛団体: 9条改憲阻止の会  草の実アカデミー  週刊金曜日
           政治の変革をめざす市民連帯
           平和に生きる権利の確立をめざす懇談会
           平和への結集をめざす市民の風

     菅直人首相は、10月1日、国会開会日の所信表明でも「国会議員の議員定数について年内に方針を」決めると述べた。昨年8月の総選挙の数字で類推すると、「衆院比例80議席削減」となれば、民主党は3分の2の議席を独占することになり(42%の得票で68%の議席獲得)、小政党は議席ゼロとなってしまう。民意の歪曲、極まりである。

     「国会議員自身が身を切る」と菅首相は言うが、一人7000万円かかる議員報酬(秘書の賃金も含む)を11%減らせば、議員80人分となる。なぜ、定数削減と短絡するのか。320億円の政党助成金を削減(廃止)すれば済むことである。各種審議会が100以上もある。議員を減らせば、関与する機会は少なくなる。官僚を国会議員が監視・指導する機会も減る。「政治主導」に逆行するものだ。イギリスの人口は日本の半分だが、下院は650議席である。国会議員の数は多くないのだ。

     選挙制度の改革について、各政党はどう考えているのか。直接、説明を聞く場を設けることにしたので、ぜひ参加して、各党への意見もぶつけて討論を起こそう。

     私たち小選挙区制廃止をめざす連絡会は9月の集会に続いて、今度は協賛団体も増やして開催します。ぜひ、参加しよう!

    「議員定数削減・小選挙区制反対!」の意見広告が皆様からのカンパにより『週刊金曜日』9月3日号に続き、10月15日号にも掲載されました。
    http://www3.ocn.ne.jp/~syouhai/frame/body6.html
    ご協力ありがとうございました。

    なお今後の活動のため、カンパは引き続き募集しています。
    郵便振込:00150-6-615943  小選挙区制廃止をめざす連絡会

    ※連絡会の佐藤和之代表の意見「小選挙区制はこうしてなくそう」が 『週刊金曜日』10月1日号の特集「民意を消す小選挙区制」に掲載されました。
    http://www3.ocn.ne.jp/~syouhai/frame/body1.html#Anchor-49575

     「平和への結集」をめざす市民の風・活動方針

    10月 10th, 2010 Posted by MITSU_OHTA @ 13:54:32
    under 一般 No Comments 

    2010年10月3日の第6回総会で採択した 「平和への結集」をめざす市民の風・活動方針です。

     改憲を巡る情勢はどうでしょうか。2007参院選では、相対的に護憲派の多かった民主党が勢力を伸ばしたことで、安倍改憲の危機をしのぐことができました。しかしその後の2009衆院選では民主党内の改憲派割合が増加しています。さらに2010参院選では民主党が後退し、自民党とその分派であるみんなの党が復調・躍進したため、参院の改憲派割合は増加に転じました。民主・自民が国会の多数派である以上、改憲の危機は慢性的に続きます。

     新たな改憲ルートの開発が模索されており、注意が必要です。自民党は財政規律の確保を憲法に盛り込む意向ですが、これは国会議員の定数削減で理屈の1つに使われているのと同じ「無駄削減」という発想で、国民受けする可能性があります。自分で借金だらけの国にして、それを改憲に利用する。自党を律した方がいいでしょうに。

     一方、鳩山前首相は地域主権ルートの改憲を構想しています。「今考えられるベストな国のあり方のための憲法を作りたいという気持ちがある。必ずしも9条の話ということではなく、地方と国のあり方を大逆転させる地域主権という意味における憲法の改正だ」(2009年12月27日付読売新聞)。

     このように環境権以外にもいわゆる加憲のメニューは増えていくでしょう。

     加憲を餌にしてそれと抱き合わせでまず狙われるのは改憲発議要件の緩和であり、国会議員の定数削減と目の付け所・目的がまったく一致しています。いずれも本命改憲のお膳立てとして機能するものです。

     改憲の切迫した危機がないからといって、今それに対抗する手を打つ必要がないというわけにはいきません。財政規律や地域主権の論議は、橋下大阪府知事の人気などと相まって、改憲につながる可能性を持っています。

     また今回の尖閣諸島沖漁船衝突事件も、この事件を軍事的に処理しようとする機運を生み出しかねず、9条改憲の世論を高める危険性があります。今9条を守ろうとする勢力がこの問題を平和的に解決せよ、と関係各国の政府に強く要求するのでなければ、9条がないがしろにされ、国民の間で「最後は実力しかない。これが国際政治だ」との声が大きくなることも懸念されます。

     普天間基地問題では、民主党政権が最終的に辺野古案に回帰しました。5月28日の日米外務・防衛閣僚合意は、辺野古新基地を自衛隊と共同運用したり、思いやり予算をグアムの環境対策にまで充てたりする可能性を盛り込んでおり、自公政権の移設案よりひどい内容になっています。鳩山前首相は国民主権と地域主権を踏みにじる決断をせざるを得ませんでした。

     改憲と沖縄の基地問題は切っても切れない関係にあります。現行憲法95条は、特定の地方公共団体に対する差別的な法律の制定を阻止するために住民投票を義務付けていますが、自民党の「新憲法草案」ではこの95条がバッサリ削除されています。自民党流の改憲が実現すれば、「沖縄差別恒久法」のようなものを堂々と成立させることができるのです。

     95条削除はもちろん、沖縄や米軍基地だけの問題ではなく、あらゆる自治体に差別が及ぶ事態を可能にするもので、誰にとっても他人事ではありません。特に放射性廃棄物処分場の建設などで生きてくる可能性が想定されます。

    さらに国会議員の定数削減も、まやかしの「身切り論」を弄しようが、国民主権のさらなる切り崩しであることは明瞭です。

     このように国会多数派が「差別」「民意・国民主権の切り捨て」という政治原理を貫いている以上、主権者は主権者の政治を強く求めなければなりません。

     官僚主導と政治主導の対立が演出されていますが、主権者を踏みつける主導権が別の権力に移譲されるだけでは困ります。マニフェストの一部にすばらしい政策が書かれていても、一方でかつての労働者派遣法や後期高齢者医療制度のような差別法制が制定されてはたまりません。

     主権者としてもいわば景品に騙されず製品本体に対する目を肥やさなければならないということでしょう。製品本体とは要するに民主主義のことです。製品本体政治のないところで景品政治に目を奪われると、主権者が振り回されます。「政治主導」や「マニフェスト」や「政治改革」…などを言う前に、政党は民主主義政治を誓約する必要があります。

     国会多数派は、明らかに民主主義政治と主権者に対立しています。こうした政治状況においては、民主主義政治を求めているはずの少数派諸政党の間で、政党連合を作って活動する意義は小さくないし、その条件もあるのではないか、と思われます。政党連合で合意できるのであれば、小選挙区制下においては選挙共同が有効な手段となります。

     政党連合、特に選挙共同では政党がどの範囲の個別課題で合意を得るか、それを「支持者」にどう説明するか、ということが問題とされます。しかし製品本体以外の個別課題は、「主権者」との間で個々に合意するものではないでしょうか。民主主義政治、製品本体政治の土台を固めることが優先されるべきです。

     慢性的な改憲の危機という状況の中では、安倍元首相の時のように差し迫った改憲の危機があった時に比べ、平和共同候補の重要性は強く意識されませんが、改憲の危機が差し迫った段階で平和共同候補運動に取り組んだのでは手遅れになります。

     平和への結集・市民の風は当初、少なくとも2007参院選とその後の衆院選で平和共同候補の擁立を目指すとしました。その後情勢の変化はありましたが、改憲危機の顕在化に備えるとともに、国会多数派が民主主義政治に敵対して国民要求を切り捨てている状況に対抗するため、市民が政党に選挙レベルまで踏み込んで要求していく運動の意義は、失われていません。

     従って、平和への結集・市民の風は今後も存続し、差し当たっては主として国会議員の定数削減を食い止める運動を個人・団体・政党とともに実践していきながら、さらに広範な市民・政党共同を目指していきたいと思います。

    2010年10月3日

    「平和への結集」をめざす市民の風
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    普天間問題・改憲・定数削減は他人事でない

    9月 21st, 2010 Posted by MITSU_OHTA @ 23:47:26
    under 一般 No Comments 

     

    共同声明「国会議員の定数削減に抗議する」賛同募集中

     
    普天間飛行場問題と自民の「新憲法草案」、国会議員の定数削減を合わせて考えると、「差別が第一」の厳然たる政治潮流を痛感します。

    現行憲法95条は、特定の地方公共団体に対する差別的な法律の制定を阻止するために住民投票を規定していますが、「新憲法草案」ではこの95条がバッサリ削除されています。これでは「沖縄差別恒久法」のようなものが国会だけで成立させることができるでしょう。

    一方、民主と自民は沖縄差別に加え、国会議員の定数削減で主権格差を一層拡大しようとしています。

    貫かれているのは「差別が第一」の政治です。「国民の生活が第一」とは言えても、決して「差別の解消が第一」は掲げません。

    「新憲法草案」では「公益=国益」で基本的人権を制限することができるようになっていますから、95条削除などと合わせ、例えば放射性廃棄物処分場の建設強行などがやりやすくなるでしょう。

    「差別が第一」は例外の政治原理ではなく、不断に深化が図られ、改憲で普遍化が狙われているものです。「差別が第一」の政治を放置すれば、「普天間問題のような差別は自分には関係のないことだ」とは言えない状況が作り出されることになります。

    普天間問題・改憲・定数削減は他人事でありません。共同声明「国会議員の定数削減に抗議する」にぜひご賛同ください。
     
     
    太田光征
    http://otasa.net/

    定量的な国会定数論――国会議員数は増やすべき

    8月 18th, 2010 Posted by MITSU_OHTA @ 17:03:14
    under 一般 [3] Comments 

     

    共同声明「国会議員の定数削減に抗議する」賛同募集中

     
    【要旨】

    下記2条件を満たす国会議員数(一院の定数)は最低でもドイツ下院並みの500人台となる。

    1. 政党議席占有率3%を下限に、小政党でも掛け持ちせず全委員会に委員を配置できる
    2. 委員数割り当ての比例性を担保する

     
     
    常任委員会定数から国会議員数を考える

    現在は委員会の委員数が国会議員数よりも多いため、比較大政党でも1人の議員が複数の委員会を掛け持ちしている場合があります。民意を反映し、膨大な法案を処理しなければならない国会議員の負担を最小限に抑えるため、小政党でも掛け持ちせず全委員会に委員を配置できるくらいの国会議員数を確保することは合理的です。これが、国会議員数を決めるための1つの定量的な基準になるでしょう。

    民主党は委員の専門性を高めるために複数委員会の掛け持ちを避けるべきだとして、委員会定数の削減を主張していますが、これは邪道です。少数会派を締め出すことで、国会審議の体を成さなくなる恐れがあるからです。

    例として、定数35の常任委員会が17必要な場合(衆議院は定数20〜50人の常任委員会が17あり、35は定数の中間値)を考えます。国会議員数は35×17=595人が必要だということになります。これはドイツ下院定数(基本議席)の598人とほとんど同じです。

    このように定数35の常任委員会に掛け持ちせず委員を配置するという条件を設定すると、現在の国会議員数は少ないといえます。
     
     
    政党議席占有率の下限について
     
     
    「小政党でも掛け持ちせず全委員会に委員を配置できるくらいの国会議員数を確保する」といった場合の小政党とはどのくらいの規模が適切でしょうか。あまりにも議席占有率が低い政党にもこの条件を適用すると、必要な国会議員数は膨大なものとなります。

    2010参院選の結果、小政党の改選議席における議席占有率は共産が2.48%、社民が1.65%などとなっています。そこで必要な国会議員数の最低数を見極める観点から、共産のものより少し高い議席占有率3%を考えてみましょう。つまり、議席占有率3%の会派が17ある各常任委員会に最低1人の委員を持つ、という条件を設定します。

    すると、委員会の最低委員数は33.3人以上、議員総数は33.3×17=566.6人以上となります。
     
     
    委員数割り当ての比例性を担保する
     
     
    常任委員会の適切な定数について別の条件を考えます。委員会の委員数は会派の議席占有率に応じて各会派に最大剰余法で比例配分されます。実際は、全委員会の委員数を各会派に割り当ててから、各委員会の割り当てを決めます。

    委員会採決の公平性を担保するためには、ある程度の定数を確保して、委員数割り当ての比例性を担保しておく必要があります。衆院比例区ブロックのように、定数が少ないと名ばかり比例配分となります。

    2010参院選で改選議席における各党の議席占有率が確定したので、これを使って委員会定数の変化で各党(会派)の委員会占有率がどう変化するかみてみましょう。共産・社民などの比較小政党では、議席占有率と委員会占有率の乖離が大きくなることは明瞭なので、比較中政党のみんなの党や公明党を例に取ります。2010参院選の結果、みんなの改選議席における議席占有率は8.26%、公明のそれは7.44%となりました。

    委員会定数20では、 みんなと公明の委員数は1ないし2となりますが、委員数1の場合、両党の委員会占有率はわずか5%となり、議席占有率と委員会占有率の間にみんなの場合で3ポイント以上の乖離が発生してしまいます。

    委員会定数25では、みんなの委員数は2ないし3となり、委員数3の場合は、委員会占有率が12%となり、議席占有率と委員会占有率の間にやはり3ポイント以上の乖離が発生します。公明は委員数1の場合に、委員会占有率が4%となります。

    委員会定数30では、みんなと公明の委員数は2ないし3となり、委員数2の場合は、両党とも委員会占有率が6.7%、委員数3の場合は、委員会占有率が10%となります。

    以上の例からして、公平な比例配分を担保するためには、委員数は最低でも30必要だと考えられます。従って国会議員数は30×17=510以上となります。
     
     
    結論
     
     
    まとめると、下記2条件を満たす国会議員数(一院の定数)は最低でもドイツ下院並みの500人台となります。

    1. 政党議席占有率3%を下限に、小政党でも掛け持ちせず全委員会に委員を配置できる
    2. 委員数割り当ての比例性を担保する
     
     
    太田光征
    http://otasa.net/