那覇市長選へ向けた「4党合意」を歓迎します

7月 28th, 2008 Posted by MITSU_OHTA @ 13:21:12
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 沖縄の野党4党が、来る那覇市長選挙で平和共同候補を擁立するという合意に至りました。
 これを受けて、平和への結集・市民の風は、沖縄以外、国政選挙でも同様の合意に向けて協議していただくよう、民主党、日本共産党、社会民主党、国民新党、日本新党および新党大地に下記の要望書を郵送しました。
 9月13日には、東京で支援集会を他の団体とともに開きます。集会の詳細とカンパの呼びかけは下記をご覧ください。

那覇市長選挙、平良長政氏支援を訴えます!
http://pepop.jp/modules/piCal/index.php?smode=Monthly&action=View&event_id=0000004969&caldate=2008-9-13
 
 

那覇市長選へ向けた「4党合意」を歓迎します

●●御中

 今年の11月に行われる沖縄県の那覇市長選挙で、共産党、社民党、沖縄大衆党、民主党の野党4党が元県議の平良長政氏を野党統一候補として擁立すると合意したことを心より歓迎いたします。

 4党と平良氏は、「那覇市長選挙に臨む政治姿勢と基本政策」に合意しました。「政治姿勢」は、4党共闘の堅持、沖縄に過重な基地負担を強いる日米安保体制をあらためる、那覇市へのカジノ導入反対、当選後の市政運営は特定政党に偏らず4党で協議してすすめること、などです。「基本政策」は、憲法9条の擁護、普天間基地の即時閉鎖・撤去、名護市辺野古・東村高江への新基地建設反対、後期高齢者医療制度の廃止、教科書検定意見の撤回・記述の回復など。

 上記の政策はどれも沖縄県民にとって納得のいくものばかりといえます。同時に、「本土」の有権者にとっても切実な政治要求です。憲法9条は新聞の世論調査でも変えないほうがよいとする意見が6割を超えます。沖縄に限らず、特定の自治体に「過重な基地負担を強いる日米安保体制」にも辟易しています。世論は「4党合意」を支持しているのです。

 このような合意を沖縄以外、国政選挙でも交わすよう、協議していただけないでしょうか。

 民主党の鳩山由紀夫幹事長は本年2月11日付けの読売新聞で、「早く米軍基地が、日本の領土の中に存在しないような環境ができるような準備を何年かけても行うべきでないか。もっと日本と米国とが対等な関係でなければならない」との見解を表明されています。何年もかけてといわず、次の総選挙へ向けて、野党各党と市民の間で協議を今すぐに開始するべきではないでしょうか。

 早ければ2年後の2010年には改憲発議が可能となります。来る総選挙で当選した議員が発議するかもしれないということです。したがって、各党は次期総選挙で憲法に関する考え方を示す責任があると考えます。野党には当然、憲法、特に9条に関する世論を反映した合意をしていただきたいと思います。

 小選挙区制の下では、野党が票数の上で勝ったとしても、議席数で与党に負けることがあります。民意を歪めるこのような選挙結果を防ぐためにも、候補者を一本化する必要があるのです。「4党合意」を手本にした合意が総選挙でも可能なはずです。総選挙へ向け「平和共同候補」の擁立で合意されることを、貴党にお願いいたします。

2008年7月28日

「平和への結集」をめざす市民の風

事務局長 竹村英明

借金・多重債務の解決方法

7月 22nd, 2008 Posted by MITSU_OHTA @ 17:13:51
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2008年7月19日に千葉県柏市内の私立高校で行われた弁護士・宇都宮健児氏講演会の要旨(ビデオあり)です。印刷用ファイルを用意していますので、皆さんの周りに借金・多重債務で困っている人がいたら、印刷して配って教えてあげてください。

太田光征
http://otasa.net/

[以下、講演要旨]

 宇都宮氏は、サラ金・クレジットによる借金・多重債務の問題に30年近く取り組んできた。多重債務問題の背景には貧困があり、反貧困ネットワークを立ち上げ、運動している。「ネットカフェ難民」やホームレスなどには、多重債務者が多い。多重債務者の定義は、複数から借り入れ、自分の収入で返済できない人のこと。

反貧困ネットワーク

 社会保障の不備をサラ金などが突いてきた。人口7万人の奄美大島でも主だったサラ金が進出しており、多重債務が問題になっている。

 サラ金業界は2000年に政治団体を結成し、自民や民主の主だった政治家に献金し、出資法の貸し出し上限金利を引き上げるよう、圧力を掛け始めた。

 米系サラ金2社(ゼネラル・エレクトリック・グループに買収後のほのぼのレイク、ユニマットなどの店舗名で営業しているCFJ)や、日本のサラ金株に投資している米投資ファンドも、上限金利を引き下げないよう、米政府を通じ圧力を掛けた。

 米政府による対日要求課題を書き連ねた、規制改革に関する年次改革要望書は、郵政民営化で有名になったが、2005年段階で、「グレーゾーン金利」※の有効化も盛り込まれていた。

 ※(「みなし弁済」の例外に基づく)グレーゾーン金利:旧出資法の上限金利年29.2%と、利息制限法の制限金利(元本10万円未満は年20%、元本10万〜100万円未満は年18%、元本100万円以上は年15%)の間の金利をいう。この超過分としてのグレーゾーン金利は、「無効」だが、刑事罰・行政処分がなかった。最高裁は、利息制限法を原則とし、グレーゾーン金利を無効とする判決を出していた。

 宇都宮氏らは、消費者団体や労働運動団体にも協力を呼びかけ、金利引下げの運動を広げた。金利引下げを求める340万の署名を国会に届け、47都道府県中、43の議会で、金利引下げ決議を勝ち取り、1830ある市町村議会のうち、1136議会からも同様の決議を引き出した。

 こうして、宇都宮氏も生きている間の実現を予想していなかった、金利規制と貸金業規制を大幅に強化する画期的な新貸金業法が、2006年12月13日、成立した。公布から3年を目途(政府答弁)とする第4段階までの施行で、出資法の上限金利を年29.2%から(利息制限法の)年20%に引き下げ(違反すれば行政処分)、年収の3分の1以上を貸さない「総量規制」などが実施される。

 サラ金利用者は1400万人(8〜9人に1人)で、多重債務者は200万人以上いる。弁護士会などの相談窓口にアクセスできているのは約40万人しかいない。

 全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会が、青木ヶ原樹海に「借金の解決は必ず出来ます!」という連絡先付きの看板を昨年立てたところ、3000件以上の相談電話がかかり、自殺志願者29人以上を救うことができた(2008年2月段階)。

 2005、2006年度、貯蓄ゼロ世帯は22〜23%。1998年から、自殺者は年間3万人を超え、そのうち、経済・生活苦が原因の自殺者は約4人に1人の割合(警察庁)。病気治療代を捻出するなどのために、サラ金から借りることになる。

 サラ金業者は、債務者が夜逃げしても、10年間は住民票の異動をチェックしている(元武富士社員の証言)。

 最近、公営住宅の家賃、授業料、給食料を払えるのに払わない、ということが言われているが、多重債務者の場合、払えない。厳しい取立てをするサラ金の支払いを優先してしまう。命を守る公務員、先生が滞納金の催促でサラ金化・ヤミ金化していいのか。

 多重債務を解決することで、滞納問題が解決した事例が実際にある。今、秋田県の多重債務対策協議会の事務局長を務めている方自身が、過去に多重債務者で、県営住宅家賃の滞納対策で、先に多重債務問題に取り組んだところ、成功している。昨年から今年、一番自殺者が減ったのは、秋田県である。

 弁護士法違反である「整理屋」が、NPO法人の資格を取って、悪徳弁護士と提携し、多重債務者を食い物にしている例がある。2000年に、弁護士の広告が自由化され、整理屋が電車内などで広告を出している。首都圏を中心にこうした悪徳弁護士が100人以上いる。弁護士会が斡旋する相談員は安全だ。

 弁護士広告といっても、債務整理の広告ばかり。弁護士広告の自由化は、日本政府の規制改革会議のほか、米国からの圧力によるもので、日本の弁護士内部からの要求はなかった。

 テレビでサラ金のCMが開始されるようになると、取り立ての酷さなど、サラ金問題が報道されなくなった。利息制限法を超える利息は違法であるから、払いたい人だけ払うように、というCMに変えるべきだ、とテレビ局に要求したが、受け入れてもらえない。テレビ局も共犯である。警察にヤミ金の相談に行くとよく言われるセリフ「借りたものは払うべきだ」は間違い。
 
 
熊本の被害者団体相談員とアイフル社員の会話
http://jp.youtube.com/watch?v=N6YkQum6rLM


 
 
 多重債務者の名簿が名簿業者を通じてヤミ金などに流れる。事件化された名簿売買では、大手サラ金の顧客情報を取り扱ったとする供述も得られている。ヤミ金の店長・従業員そのものは暴力団員ではなく、失職者などの就職弱者がリクルートされ、「巻き舌」などの訓練を受けた者達。彼らを統括しているのが暴力団。足を洗おうとすると、暴力団からリンチを受ける。
 
 
ヤミ金の取立て
http://jp.youtube.com/watch?v=RXFruPr9iuQ


 
 
 債権者が法人の場合、借金の時効は5年。滞納すると、一括請求される。この滞納開始の時点から起算し、完全滞納の5年をもって時効が成立する。裁判では出廷し、時効を主張しないと、債権者の言いなり判決になる。

 借金も財産と同時に相続されるが、相続放棄を家庭裁判所に申請すれば、借金を相続しなくて済む。

 2000年に独仏の調査を行ったが、サラ金・ヤミ金がない。銀行が消費者金融を引き受けている。日本以上にセーフティネットが発達している。独では、社会保障の広報義務がある。日本では、ホームレスは「住民票がないから生活保護を受けられない」とはねつけられるが、そんな規定はなく、弁護士・司法書士が同行して申請すると、通る。ヨーロッパの路上生活者は生活保護を受けている。

低所得者に対する低利融資の制度

(1) 社会福祉協議会による生活福祉金の貸付(年利約3%)
(2) 母子家庭貸付金制度

借金・多重債務の具体的解決方法

1 取立ての停止 

弁護士などが「介入通知」(受任通知)を債権者に出すと、取立てを止めることができる。

2 債務整理の方法

(1) 任意整理

 弁護士に依頼する。利息制限法を超える利息は払う必要がないので(元本に充当される)、元本を超えた過払い金は返還請求できる。ヤミ金は完全に違法なので、元本も返還義務がないし、支払った分は返還請求できる。債権者との交渉が決裂すると、裁判になるが、過払い金に年利5%をつけて返還することができる。

(2) 特定調停

 任意整理と同じことを簡易裁判所を通じて行う。

(3) 自己破産

 地方裁判所に自己破産の申し立てをし、免責許可決定を受ければ、債務を免除される。

(4) 個人再生手続き

 地方裁判所に個人再生手続きの申し立てをし、認可された再生計画案どおり弁済すれば、元本の一部が免除される。

借金・多重債務の全国相談窓口

(1) 日本弁護士連合会 tel 03-3580-9841
(2) 法テラス(日本司法支援センター、弁護士費用の立替・事後払い可能) tel 0570-078374
(3) 日本司法書士連合会 tel 03-3359-4171
(4) 全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会 tel 03-3255-2400

小選挙区比例代表併用制の問題点

7月 2nd, 2008 Posted by MITSU_OHTA @ 16:08:53
under 選挙制度 [1290] Comments 

 ドイツ下院の小選挙区比例代表<併用>制は、小選挙区制に反対する人の中でもかなり人気があります。確かに日本の現行制度である小選挙区比例代表<並立>制に比べれば、はるかに民意を反映できる選挙制度といえます。

 しかし、ドイツの小選挙区比例代表併用制でも、無所属候補に不利な比例代表制の性格はそのままであるし、いわゆる「超過議席」(下で説明)を認めるために、小選挙区制の弊害を排除しきれていません。

 下記文献を参考に、ドイツ型の小選挙区比例代表併用制の問題点を指摘しておきます。(印刷用ファイル

共同声明「国会議員の定数削減に抗議する」賛同募集中
 
 
改訂:2009年11月22日

[参考文献]
渡辺洋三・森英樹・広渡清吾『政治改革への提言』(岩波ブックレットNO.291、1993年)
[関連記事]
小選挙区制の廃止へ向けて
http://kaze.fm/wordpress/?p=215
中選挙区比例代表併用制を提案する
http://kaze.fm/wordpress/?p=164
 
 
【目次】
 
 
(1) ドイツの小選挙区比例代表併用制とは?
(2) ドイツ型の小選挙区比例代表併用制は政党の優先枠を設定する(無所属候補に不利)
(3) ドイツでは個人を選びうる制度として小選挙区制を併用した
(4) 超過議席を認めるドイツ型の小選挙区比例代表併用制では小選挙区制の弊害を排除できない
(5) ドイツ型の小選挙区比例代表併用制でも小選挙区では大政党への投票を誘導する
 
 

(1) ドイツの小選挙区比例代表併用制とは?

 ドイツ下院の小選挙区比例代表併用制は、大雑把にいえば、小選挙区制が組み込まれた比例代表制といえる。(仮)総定数は598で、その半数の299が小選挙区に割り当てられている。下図参照。

 有権者は1人2票をもち、1票(第1投票)を小選挙区で候補者に、もう1票(第2投票)を政党が用意する候補者名簿に投ずる。政党名簿投票に基づき、(仮)総定数の598議席が比例配分されるが、小選挙区での当選者に優先配分される。小選挙区に割り当てられた議席が比例配分の対象にならない衆院の小選挙区比例代表<並立>制とは、この点が大きく異なる。小選挙区選挙での当選は、政党名簿投票の結果に関係なく、確定する。

 例えば、A党の比例配分による議席割り当て数が30議席であるとする。小選挙区での当選者数が15人であれば、この15が30に繰り入れられ、A党の最終的な獲得議席数は30となる。この場合、政党名簿からの当選者は15人。一方、小選挙区での当選者数が35人であれば、最終的な獲得議席数は35となる。この場合、政党名簿からの当選者数はゼロ。

 後者の例のように、小選挙区での当選者数が比例配分された議席割り当て数より大きい場合でも、その差が「超過議席」として認められる。だからドイツ型の小選挙区比例代表併用制は、厳密な比例代表制とはいえない。

 

3つの選挙制度における選挙区と定数の関係

 

(2) ドイツ型の小選挙区比例代表併用制は政党の優先枠を設定する
(無所属候補に不利)

 一般に比例代表制で無所属候補が当選することは難しい。ドイツ型の小選挙区比例代表併用制では、総定数から小選挙区の定数を差し引いた議席数が、ほぼ政党の独占枠になっている。この特性は、日本の小選挙区比例代表並立制と変わらない。無所属候補に不利な制度といえる。

 

(3) ドイツでは個人を選びうる制度として小選挙区制を併用した

 小選挙区比例代表併用制の問題点というわけではないが、小選挙区制の特性を知る上で重要だと思うので、ドイツでの事例を紹介しておきたい。

 日本では、小選挙区制の特性を政策本位・政党中心の選挙戦をもたらすものとされたが、ドイツでは、比例代表制では人物本位に選べないという批判に応えて、「個人を選びうる比例代表制」として、比例代表制に小選挙区制が併用されたという経緯がある。

 CDU/CSUの小選挙区候補は、地域利害の代表を最も重視し、党の基本政策と異なる政策を掲げることも稀ではない。候補者の決定も、党中央の関与は小さいという(自由法曹団統一ドイツ選挙調査団『選挙制度と民主主義―統一ドイツ選挙調査報告』、1991年)。

 

(4) 超過議席を認めるドイツ型の小選挙区比例代表併用制では
小選挙区制の弊害を排除できない

 超過議席の発生例としては、2009総選挙でCDU/CSUが24の超過議席を獲得した選挙が挙げられる。CDU/CSUは得票率が33.8%(前回比1.4%減)であるにもかかわらず、239議席(13増)を獲得し、議席獲得率は38.4%だった。

[参照]
ドイツの「政権交代」 —— 二大政党の退潮 2009年10月5日(水島朝穂、今週の「直言」)
http://www.asaho.com/jpn/bkno/2009/1005.html

 しかし超過議席数がその程度に収まるとは限らない。極端な例を考えてみる。3つの政党のみが候補者を立て、小選挙区すべてと政党名簿投票で、各党の得票率がほぼ同じ約3分の1とする。

 各党の比例配分による議席割り当て数は(仮)総定数598の約3分の1だから、約199となる。政党Aが、他党よりも得票率がわずかに優勢で、小選挙区の299議席すべてを独占したとする。この場合、(A党による)超過議席は約100にも上る。

 このように、小選挙区比例代表併用制であっても、超過議席を認めれば、得票率と議席獲得率の乖離を許すことになる。

 

(5) ドイツ型の小選挙区比例代表併用制でも
小選挙区では大政党への投票を誘導する

 政党名簿投票で大政党のCDU/CSU、SPDに投票した有権者の95%までは、小選挙区でも同じ政党の候補者に投票する。ところが、政党名簿投票でFDPや緑の党に投票した有権者の40〜50%は、小選挙区で大政党の候補者に投票するという統計結果が出ている。

 超過議席を認める制度ゆえの投票行動なのかどうかは分からないが、ドイツ型の小選挙区比例代表併用制でも、小選挙区では大政党に有利になっている。

 
 
太田光征
http://otasa.net/

第1回活憲政治セミナー「地球温暖化問題から取り残される日本の政治」報告

6月 5th, 2008 Posted by MITSU_OHTA @ 22:53:17
under 一般 [1412] Comments 

開催日:2008年5月31日
主催:「平和への結集」をめざす市民の風

目次

・写真
・ビデオ
・発言要旨(Wordファイル
 1 平田仁子さん(気候ネットワーク)によるレクチャー
 2 質疑応答
 3 結語

 
 
第1回活憲政治セミナー3

講師 平田仁子さん(気候ネットワーク)
第1回活憲政治セミナー1

平和への結集・市民の風事務局長 竹村英明
第1回活憲政治セミナー2

part1/3
http://video.google.com/videoplay?docid=-8442140682838451809

part2/3
http://video.google.com/videoplay?docid=6628849199553092610

part3/3
http://video.google.com/videoplay?docid=6310920924315482674


 
 
1 平田仁子さん(気候ネットワーク)によるレクチャー

世界で多発する異常気象による被害

 異常気象によって、事例を挙げるときりがないくらい多くの被害が世界中で発生している。すべてが温暖化によると断定することは難しいが、最近でも、ギリシャでの山火事、南アジアの洪水、北朝鮮の洪水、中国の洪水が相次ぎ、ミャンマー(ビルマ)で巨大サイクロンにより10万人に及ぶ死者が出ている。温暖化の影響に関する予測に符号する。日本の新聞では出ないが、英字新聞などでは気候変動に関するニュースを頻繁に伝えている。

 

IPCCの第4次評価報告書―温暖化の科学的根拠

 IPCCは2007年、第4次評価報告書を発表した。同報告書によれば、過去100年間で0.74℃気温が上昇した。21世紀末には最大で6.4℃の上昇を予測。2030年まではすでに排出された温暖化ガスの影響で、10年当たり0.2℃の上昇が不可避となる。その他、熱帯低気圧の強度の上昇、北極海の晩夏の海氷が21世紀後半までにほぼ完全消滅、海洋の酸性化の進行、などが挙げられる。

 今後100年、温暖化の傾向は変えようがない。どの程度に抑制できるかというレベルにある。2100年以降になると、グリーンランドの氷が溶けて海面6メートル上昇とか、海底のメタンが噴き出して温暖化の悪循環に陥るなどの事態も想定される。

 

IPCCの第4次評価報告書―温暖化による影響

 地球の自然環境(全大陸とほとんどの海洋)の9割以上は温暖化の影響を受けている。気温上昇が1.5〜2.5℃を超えただけでも、最大30%の動植物が絶滅のリスクを被る。1〜3℃の気温上昇を超えると、穀物生産性の低下、サンゴの白化、洪水と暴風雨の増加、熱波・洪水などによる死亡率の増加、数億人規模での水不足などが予測される。

 

IPCCの第4次評価報告書―温暖化の緩和策

 温室効果ガスの排出量をどこかの時点でピークを迎えさせ、削減していかなければならない。気温の2℃上昇が不可逆的な影響をもたらす“Point of No Return”と言われている。最低の気温上昇シナリオ(2.0〜2.4℃)でも、二酸化炭素を2000年比で50〜80%削減する必要がある。同シナリオを達成する場合、日本は1900年比で、80〜95%の二酸化炭素を削減しなければならない。

 

国際動向―京都議定書まで

 国際的には、国連の場で世界の温暖化対策が議論され決定されてきた。気候変動枠組条約(1992年採択・1994年発効)や京都議定書(1997年採択・2005年発効)である。京都議定書は、2008年から2012年までに、先進国全体で少なくとも5%の削減を義務付けた。

 しかし、ブッシュ政権になってアメリカが離脱、またオーストラリアも離脱(今年、政権交代により参加)、カナダが目標達成を断念、ロシア・東欧諸国は目標を大きく下まわる排出レベルとなった。京都議定書の取組みは、温暖化対策としては不十分だが、重要な1歩であった。

 

国際動向―京都議定書以降

 2013年以降の野心的な取組みが必要で、現在交渉中である。次の目標設定と、米・豪の参加の確保、中国・インドなどの主要排出途上国による削減、温暖化の悪影響を受ける国々への対策が求められている。

 2007年12月のバリ会議では、先進国が2020年に、1990年比で25〜40%削減という目安が示されている。次の国際枠組みの合意は2009年末の予定。

 

国際動向―主要国首脳会議(G8)

 2005年の主要国首脳会議(G8)以降、イギリスのブレア首相がきっかけとなり、G8で気候変動が主要議題になってきている。2007年G8では、ドイツのメルケル首相も熱心で、「次の国際枠組み条約について2009年に合意を図る」と前向きな合意に至った。日本の安倍首相は就任直後、温暖化問題に関心がなかったが、欧州首脳らと接するうちに重要性に気づいた様子。“Cool Earth”(美しい星へのいざない)を発表した。福田首相はある程度、良識的な関心を持っていると思う。

 北海道・洞爺湖サミットは、温暖化を論議する一つの場にすぎないが、サミットが国際的な次期枠組み合意の後押しの役割を果たせるか、足を引っ張るかが注目される。アメリカがブッシュ大統領である以上、どれほどの成果が上がるかは疑問だが、日本が温暖化問題でリーダーシップを取ることで、日本が変わるきっかけになり得る。日本の福田首相は、所信表明演説でも「低炭素社会」を言い、ダボス会議へも出席して温暖化問題を訴え、「地球温暖化問題に関する懇談会」を設置してきている。もし、日本がサミットでリーダーシップをとるとすれば、日本が率先して行動しないと説得力がなくなる。

 

国際動向―地方都市など

 世界を見た場合、都市が国よりも先行して取り組んでいる事例が多い。例えばカリフォルニア州は、2050年までに1990年比80%削減を掲げており、IPCCの削減目標にほぼ沿っている。

 アメリカの連邦裁判所は、政府に対して、自動車からの二酸化炭素排出規制をしないのは大気浄化法に反するとの判決を下している。

 

日本の動向―排出量の推移

 アメリカは、世界の温室効果ガス排出量の4分の1を占め、日本は世界で4番目の排出国である。日本は京都議定書の目標を達成できていないどころか、2006年度、基準年比6.2%の増加で、−6%という目標との差は12.2%もある。

 2010年の国内削減目標は基準年比−0.6%だが、森林吸収や排出権取引などの京都メカニズムの活用、原発の積極利用、「その他」の削減により目標を達成しようとしている。しかし、原発は想定通り動かなかった場合や「その他」削減見込み量の過大評価などを考慮すると、わずか−0.6%の目標さえ達成は厳しい。

 

日本の動向―二酸化炭素排出量の内訳

 二酸化炭素排出量の内訳を日本独自の「間接排出量」で見ると、2005年度、1990年比で、産業部門は5.5%減少しており、業務部門は44.6%増加、家庭部門は36.7%増加となっている。「産業は努力しているが、家庭は努力が足らない」と見られてしまう。

 しかし、世界的な捉え方である「直接排出量」で見ると、エネルギー転換部門の排出量増加が顕著であることが分かる。2005年度、1990年比で、石炭火力発電による排出量が3倍になったからである。

 また日本では、大規模事業所が大量の二酸化炭素を排出している。わずか200事業所で日本全体の二酸化炭素排出の50%を占めている。家庭は5%、中小企業は11%、運輸(車)は17%である。これら200事業所の取組みが重要。

 

日本の国内対策(1)―京都議定書目標達成計画

 政府は、2005年に「京都議定書目標達成計画」を策定し、4度改定している。しかし過去10年間、進展はなく、小手先対策にしかなっていない。追加政策への産業界の根強い反対によって、産業界の取組みは今も「自主行動計画」にとどまっている。原子力発電所に大きく依存しているが、稼働率は見込めず、結局、化石燃料による発電で排出量が増えてしまう。排出量の抑制を直接促したり、規制したりする政策はほとんど導入されておらず、排出量取引・炭素税もない。

 

日本の国内対策(2)―啓発運動

 そこで政府は、啓発運動に傾倒。1人1日1kg削減というモットーを掲げた「国民運動」キャンペーンを展開している。これで京都議定書の目標を達成するつもりか!? 目標達成できなかったら、「国民の努力が足りなかった」ということになるだろう。まるで「1億総懺悔」。排出責任が曖昧で、政府の責任回避では? 産業界が反対するから個人に押し付けているのが実情。

 

日本の現状

 政府対策の現状として、中長期的なビジョンや数値目標がなく、炭素税や自然エネルギーの普及などの抜本的な政策が全て先送りされている。このままではIPCCの100%削減はおろか、京都議定書第一約束期間の6%削減達成も危うい。温暖化を防止しながら築くべき社会のビジョンが欠如している。

 

日本が克服すべき課題

 第一に、排出の多い工場や発電所を持つ企業に対して確実に削減を求めること。現在の「自主的な取組」まかせを放置しないことが重要。

 第二に、発電部門において石炭火力発電所を減らすこと。1990年以降、石炭火力発電所が3倍に増えている。これを一時的には天然ガス、さらに太陽光、風力などに転換すべき。

 第三に、炭素に価格をつけ、企業や個人の確実な行動を促すこと。経済システムを二酸化炭素削減型に変えることが必要。

 

世界から取り残される日本

 世界では国内の排出量取引・炭素税を制度化している国が多く、気候保護法を制定しているところもある。アメリカですら、一部州で排出量取引を導入している。世界の中で日本は、「低炭素社会(クールアース50など)」を発信しながら、いまだ国内策を講じていない“不思議な国”。

 

気候ネットワークが提案する気候保護法案

 イギリス、アメリカ、EUでもある同じトレンドを上回る法案を気候ネットワークが提案している。政治家の口約束ではなく、法律にして責任を持たせるのが狙い。

 短期・中期・長期における削減数値目標を設定し、それらを直線で結びつける排出経路の数値をもって、毎年の排出目標とする。1990年比で、中期目標は2020年に30%削減、長期目標は2050年に80%削減。

 2020年までに再生可能エネルギーの一次エネルギーに対する比率を20%とする。

 温室効果ガスの排出に価格をつけ、必要な投資を行うための仕組みとして、国内排出量取引制度や炭素税などを導入する。

 他にも、再生可能エネルギー促進政策や排出量報告の公表、民生・運輸の規制と公共交通の自治体支援などを行う。政党にも法案制定の動きが出ている。

 

日本が“失敗の10年”から脱却するために

 第一に、国際的圧力が必要になるだろう。温暖化論議が消えなかったのは、京都議定書のおかげ。次期の国際的枠組みで、より大きな総量削減目標を合意することが、国内への強い圧力となる。

 第二に、東京都千代田区などの先進自治体が率先して国を牽引することが期待される。

 第三に、個別企業の社会的責任に基づく行動が期待される。経団連は温暖化防止に反対してきたが、個々の企業の中にはそれが不利であることに気付いているところがあり、経団連の分断が見られる。

 第四に、NGO・研究者や賢明な市民の力が期待される。客観的提案を支持する大多数の市民が政治を変える。

 

MAKE the RULEキャンペーン

 今は、日本の政治を変えるチャンスだと考えられる。サミットで格好がつかないという点から、政治的に動かざるをえない状況が出てきている。経団連は変わっていないが、これからの低炭素社会を生き抜くためには規制も必要と声をあげる企業も出てきている。気候変動関係のニュースが一般市民の関心を高めているという側面もある。

 MAKE the RULEキャンペーンを構想している。関心を持つ人達をつなぎ、世論を動かし、政治を動かすことが、今なら可能なのではないか。

 そのために、NGOも変革しなくてはいけない。過去と同じ10年を過してはもはや手遅れである。10年後、悲壮感漂う影響が目に見えてくるだろう。多くの市民と力を合わせ、政治を変えていくNGOにならなくてはいけない。海外NGOの成功を見て痛感する。化学変化を起こすぐらいの心づもりでいる。分野の違いを超えてサポートし合いたい。

 
 
2 質疑応答

Q バイオ燃料は、農作物を奪うのみならず、肥料由来の窒素酸化物が二酸化炭素に比べはるかに高い温室効果をもたらすという問題がある。アメリカ上院では2022年までにトウモロコシを原料としたエタノール生産を7倍にするという法案が検討されていて、大変だ。

(平田) アメリカのトウモロコシ由来のエタノールは、石油よりも結果的に二酸化炭素を出す。バイオ燃料は世界的には軌道修正の方向にある。バイオ燃料生産地(途上国)の原住民、経済などに配慮した持続可能な生産を可能にする生産ガイドラインの制定が必要。EUなどもそれを認識している。

 

Q サマータイムはエネルギー節約になるか?

(平田) 環境省が二酸化炭素の削減見込み量を計算上は出しているが、ライフスタイルがどう変化するのか分からず、温暖化にどういう影響を与えるかは読めない。

 

Q 『成長の限界』が出版された1972年に地球温暖化は言われていなかったのか?

(平田) 二酸化炭素の観測データが蓄積され、一部の研究者の間で認識が生まれていたが、まだ共有認識ではなかった。それは1980年代になってからで、さらに国際政治のステージに上ってくるのが80年代後半ということになる。

 気候変動枠組み条約ができた1992年に科学者の話しを聞いていれば、今とは違った社会を築けていたかもしれず、苛立たしい。“Too Late”もう手遅れだと断定する人もいる。しかし何をなすべきか分かっている。行動するだけだ。秒針の一歩手前くらいにはあると思う。

 

Q 日本の太陽光パネルのメーカーは海外で工場を建設するなど活発だが、日本国内ではどうか?石油燃料による発電と比べた場合のコストは?民主党ではどんな動きがあるのか?

(竹村) 太陽光のほうがまだ高い。風力は石油に太刀打ちできるくらいに安くなっているが、政策的に邪魔されている。太陽光はコンピュータと原料(シリコン)の取り合いで、この3〜4年は値段が下がっていない。むしろ去年から今年は上がっている。ヨーロッパでは需要が大きくなって供給が足らない状況が続いていることが背景にある。

 供給が少ないのは、設備投資が遅れたことによる。設備投資が完了すれば劇的に価格も下がるだろう。グリーンピース・ジャパンが1997年に行った世論調査によると、一軒(3〜4KW)あたり、100万円を切れば爆発的に普及するとの結果が出ている。現在、1KWあたり60万円前後。

 政府は、一般家庭への補助を去年、打ち切ってしまった。ヨーロッパでは固定価格買い取り制度があり、風力だと3倍、太陽光では4倍で買い取ることが電力会社に義務付けられている。10年でもとがとれると事業として成立し、ヨーロッパでは爆発的に普及した。

 太陽光パネルは、去年までシャープがトップだったが、去年、ドイツのキューセルに抜かれた。来年は、中国のサンテックにも抜かれる。

 環境エネルギー政策研究所では、「1億人のグリーンパワー」という運動を企画している。自然エネルギーの割合を10〜20%にすることは必須で、ヨーロッパでは実現している。風力や太陽は「きれいな電気」なのに、日本では蔑まれている。価値に見合った価格になっていない。「グリーンパワー(きれいな電力)」はそういう電気の価値を正しく評価、普及しようという運動。

 現在、こうした電力を買っているのは主に大企業で、200社程度。市場は10億円規模。仕組みづくりにはソニーや東京電力なども関わっている。環境エネルギー政策研究所などが、その「グリーンパワー」を供給する発電機(風力、太陽光)を設置し、事業として成立している。通常の1.5倍で売れるので、コスト回収が早まる。

 ドイツは2030年までに45%を自然エネルギーでまかなおうとしている。中国も2020年までに20%にまでしようとしている。ところが、日本は2014年までに1.63%だ。この値は、1.3億人が1ヶ月当たり1日10KWHの電力を節約ないし「グリーンパワー」で代替するのに等しい。したがって政府目標の達成は難しくない。

 キャンペーンとしては、専用のサイトを立ち上げ、そこで購入契約以前の意思表示(クリック)をしてもらい、その集積で1.63%、160億KWHを一気に達成したい。

(平田) 民主党は地球温暖化を時期総選挙での争点の一つにしたいようだ。気候ネットワークに似た法案を考えている(先日、提出した)。長期の削減目標を60%以上と低く設定しているが、排出量取引制度などを盛り込んでいる。他野党も作るのではないか。ただ、ガソリン税を下げた今回の対応は、炭素税の考え方と対立しており、党内がまとまっているとはいえない。自動車関係労組への配慮などもあり、民主党が政権を取ればこの問題で万全の対策ができるというわけではないだろう。

 

Q 石炭液化・ガス化の現状は?
 
(平田) 経済産業省では力を入れている。排出される二酸化炭素を地中、海底に埋める技術とセットで開発されている。EU指令、アメリカの法案、日本でも、排出二酸化炭素を埋める技術とセットでなければ石炭火力は認めない、というシグナルを与えており、実用化すれば、この流れに向かう可能性がある。

 しかし、温暖化対策はこれまで脱化石燃料の動きとしてあったのであり、自然エネルギーをおろそかにするのは優先順位を覆す。ただ、トレンドは地中埋め立てに向かっている。

 

Q 「持続可能な発展」ではなく「持続可能な撤退」が必要であるとの主張がある。ある程度は、地中埋め立てのようなこともやっていかなくてはならないのか?

(平田) 応急措置として原発回帰がヨーロッパでも起こっており、地中埋め立ても環境影響評価を前提にし方がないとするNGOもある。好きな対策ばかりを選ぶことはできず、諸対策のリスクを比較した上で選択しなければならないのかもしれない。だが、対策とそのリスクの選択肢が私達に説明されないまま、偏った技術(原発、埋め立て)に税金が既定路線のようにつぎ込まれている。

(竹村) 自然エネルギーのキャパシティはどれくらいあるか。ドイツでは既に10%が達成されている。日本の風力発電協会は、少なく見積もって風力で10%程度はまかなえるだろうと言っている。太陽光は諸説あるが、分散型であるので、日本の5分の1の屋根につければ太陽光だけでまかなえると、NEDOが1970年代に試算している。

 

Q 自然エネルギー事業に対する妨害とは?

(竹村) 新エネルギー利用特措法(RPS法)を境に風力発電の設置件数は激減した。同法は、固定買い取り制度ではなく、自然エネルギーの一定割合(1.63%)の供給を電力会社に義務付ける内容。 例えば北海道電力はすでに義務量をクリアしていたので、それ以上の自然エネルギーを買わなくなった。

 ヨーロッパでは自然エネルギーで発電された電気を電力会社が買い取ることが義務付けられている。しかし日本ではそうした法律がなく、風力事業者が風車を立てても、送電線との連結や電池の設置を風力事業者が自己負担しなければならない。ヨーロッパに比べ高いコストを強いられ、事業が促進されない。

 

Q NGOが社会を変えるということについて

(平田) イギリスで気候変動法が成立した際、国際環境NGO・FOE による“Big Ask”という大掛かりなキャンペーンがその成功の原因になった。有名なRadio Headというロックバンドを引き込んだりして、幅広い支持を集めることに成功した。日本のNGOにはそうした力がない。サポート会員が少なく、政治を動かせない。今後は寄付を集めることなどにも積極的に取り組む必要がある。それが成功すればNGO元年になるだろう。

 

Q 政党に申し入れた際、共産党や社民党の反応はどうだったか?

(平田) 前向きである。早いうちから連携することができなかったが、働きかけを始めた。今は法案を持っていないが、今後、作ってくれるのではないか。各党議員を招いての話でも、(共産の)笠井氏、(社民の)福島氏も前向きだった。

 温暖化防止で民主党案、NGO案、共産・社民の案が競争し、法案の形には出てこないかもしれないが、自民も福田ビジョンで何か言ってくる可能性がある。これらをどう波に乗せていけるかだ。

 

Q 原油高は温暖化防止を後押ししているか?

(平田) 定量的なことは言えないが、コスト削減のために対策が行われている面がある。しかし、原油は価格が変動するので、炭素税と同様に安定的な効果があるかというと、分からない。

(竹村) 木質バイオマス(木から作るペレット燃料など)については、石油より安くなっているが、ストーブやボイラーが高価であるため、今一つ普及していない。それらを購入しても、元は取れるのだが。温室栽培を行っている農家には注目されている。

 ピークオイル(生産頂点)がすでに来ているという説がある。すでにないので投機資金が値上がり率を倍増させているのだろう。投機活動のみが高騰の原因ではない。

 世界的には石油代替燃料の生産が必要だという流れにある。また、アメリカにおける食物由来燃料の生産は、穀物産業が生産に必要な特許技術を売り込むためという側面がある。

 

Q 地球温暖化防止のためには、原発などあらゆるものを取り入れる必要があるのではと思うと、つらくなるが。

(平田) 原発や地中埋め立てが良いと言っているわけではない。2030年に30%削減という目標の場合、経済スタイルの変更などで、原発や地中埋め立てに依存せずに目標達成が可能。グリーンピースの試算では、自然エネルギーと省エネで75%削減は可能としている。2050年の80%以上削減という目標が迫られる段階になれば、原発や地中埋め立ての検討が必要になるのかもしれない。しかし現在、そこに至るまでに取るべき対策を取っていない。

 
 
3 結語

結語(平田さん)

 地球温暖化の問題は、きわめて政治の問題であり、きわめて私たち当事者の問題であり、平和の問題でもある。この問題によって物理的にたちゆかなくなる前に、社会パニックが来るのではないかと思う。みなさんが地域で輪を広げていくことを期待している。

結語(竹村さん)

 日本社会でよく指摘される「タコツボ」ではなく、視野を拡げて、政治につなげることが大事。今日は横のつながりを作る第一歩になったのではないかと思う。

 
 
太田光征
http://otasa.net/

小選挙区制の廃止へ向けて

5月 26th, 2008 Posted by MITSU_OHTA @ 17:19:14
under 選挙制度 [15436] Comments 

 小選挙区制の致命的な問題点、「神話」は、すでに1993年の時点で故石川真澄氏などが明らかにしていたが、1994年、小選挙区比例代表並立制が導入されてしまった。

 どの選挙制度にも一長一短がある、とよくお茶を濁される。しかし、少なくとも単記投票制の単純小選挙区制に関しては、選挙制度を名乗ることはできないのではないか。なにしろ、得票第一党が議会第一党になることすら保証しないのだから。

 来るべき選挙制度改革の再論議に備えて、小選挙区制の問題点をまとめてみました。(印刷用ファイル

共同声明「国会議員の定数削減に抗議する」賛同募集中
 
 
[参考文献]
石川真澄『選挙制度』(岩波ブックレットNO.172、1990年)
石川真澄『小選挙区制と政治改革』(岩波ブックレットNO.319、1993年)

[関連投稿]
中選挙区比例代表併用制を提案する
http://kaze.fm/wordpress/?p=164
小選挙区比例代表併用制の問題点
http://kaze.fm/wordpress/?p=220
大選挙区制(中選挙区制)の問題点 〜連記投票制の落とし穴〜
http://kaze.fm/wordpress/?p=232
比例区定数が100に削減された場合の衆院選比例区シミュレーション
http://kaze.fm/wordpress/?p=229

【追記:6月27日】 「小選挙区制ではなぜ得票率と議席獲得率が一致しないか?」を新たに追加し、その他の項目を微修正しました。
【追記:7月14日】 「小選挙区制の過半数偽装効果と三乗法則」を追加しました。
 
 
【目次】
 
 
(1) 汚職・腐敗議員は小選挙区制でないと排除できないか?
(2) 小選挙区制でしか金権選挙はなくせないか?
(3) 小選挙区制は政権交代の可能性を高めるか?
(4) 小選挙区制ではなぜ得票率と議席獲得率が一致しないか?
(5) 小選挙区制は多数派を偽装する
(6) 小選挙区制の過半数偽装効果と三乗法則
(7) 小選挙区制の下では得票多数派が議会多数派になるとは限らない
(8) コンドルセのパラドックス
(9) オーストラリア下院の小選挙区制(優先順位付連記投票制)でもコンドルセのパラドックスは解消されない
(10) 選挙制度は政党制や政権交代を規定するためにあるのではない
(11) 小選挙区制が政権交代を促す保証はない
(12) 「小選挙区制→二大政党制→単独過半数政権」という神話の解体――G・サルトーリの実証研究
(13) 単独過半数政権の安定性神話――L・C・ドッドの実証研究
(14) 選挙区制と政党制に厳密な相関関係はない――「小選挙区制→二大政党制→単独過半数政権」の日本における反証例
 
 

(1) 汚職・腐敗議員は小選挙区制でないと排除できないか?

 中選挙区制では問題候補を落選させることができず、小選挙区制ならそれが可能だと主張されたが、そうともいえない。選挙区が小さいほど、地盤選挙、後援会選挙が機能するので、問題候補の当選をむしろ保証しかねない。

 また小選挙区制では政策幅が切り縮められ(2005年の“郵政民営化国民投票選挙”など)、同時に有権者は候補者の当選可能性を考慮しなければならない。こうして有権者の選択肢は限定されるので、問題候補に対立する(当選可能な)候補が政策的に良識的な候補とも限らない。

 比例代表制(政党の得票率と議席獲得率がほぼ一致)でも、拘束式名簿(政党が用意する当選順位つきの候補者名簿)に問題候補が上位に登録されることは難しいし、非拘束式名簿(当選順位なしで、得票数順で当選)なら、政策と候補者の多様な選択肢を確保しつつ、有権者は問題候補を排除できる。

 

(2) 小選挙区制でしか金権選挙はなくせないか?

 中選挙区制では同じ政党の候補どうしが争うため、有権者に対するサービス合戦を招き、そのために多額の選挙資金を必要とし、不適切な資金の獲得に手を染めやすい、という主張もあった。これも、中選挙区制から小選挙区比例代表並立制に変える際に使われた理屈の1つ。

 金権選挙には様々な形態がある。有権者に不適切なサービスを提供するケースばかりではない。選挙資金の多寡が当選を大きく左右する限り、金権選挙はどの選挙制度でも根絶しがたい。むしろ有権者の選択幅を狭める小選挙区制でこそ、金権選挙が高度に機能する。

 いい例が米国。民主・共和両党はいずれも軍需企業などから多額の政治献金を受けて選挙戦を勝ち抜き、二大政党以外の政党を排除し、異常な軍事政策を固定化する壮大な金権選挙を合法的に続けている。

 小選挙区制は金権選挙を排除できないが、政策と政党の多様性を排除する。

 

(3) 小選挙区制は政権交代の可能性を高めるか?

 小選挙区比例代表並立制の導入に使われた理屈はまだある。1989年の参院選1人区で自民が惨敗したことから、小選挙区制が政権交代の可能性を高めるとされた。

 しかしこれは俗論。1人区以外の2〜4人区、比例区でも自民は過半数割れを起こしていたので、そのような主張に根拠はない。

 2007年の参院選も同様。1人区では自民が6勝23敗とやはり惨敗した。しかし同時に、比例区と3人区、5人区でも与党は野党に負けている。比例区では野党27に対して与党21議席。3人区と5人区では野党12に対して与党8議席。2人区はその特性から民主12、自民11、無所属1議席と、ほぼ自民と民主が独占的に痛み分け。

 小選挙区制は、与野党支持率の差異を、偽装的な議席数の差に増幅するに過ぎない。与野党支持率の逆転によって与野党の議席数が逆転する際、議席数の開きを他の選挙制度より過剰に演出しているだけ。

 小選挙区制が与野党支持率の逆転をもたらすわけではなく、またそのようなことが許されてよいはずもない。

 多党制下にあっては、政権交代を可能にするどころか、阻害するのが小選挙区制。小選挙区制は、支持率・得票率で絶対的には多数といえない政党が政権に居座り続けることを許す。下記例を参照。

 

(4) 小選挙区制ではなぜ得票率と議席獲得率が一致しないか?

 例えば、与党A候補の得票率が35%、野党B候補の得票率が33%、野党C候補の得票率が32%とする。定数1の小選挙区では、与党A候補が得票率35%で100%の議席を獲得することになる。このようにして小選挙区制では大量の死票が発生してしまう。

 

(5) 小選挙区制は多数派を偽装する

 英国では1945年から1992年の間、第一党が得票率50%を超えたことはないが、保守・労働党のいずれかが議席獲得率50%に達しなかったことは、1974年2月の1回のみ。

 例えば、サッチャー首相率いる保守党が83年、60%を超える議席を獲得した地すべり的勝利を収めたときでさえ、得票率は42.4%に過ぎなかった。

 日本での多数派偽装は2005年の郵政選挙で際立った。小選挙区でみると、与党は過半数に満たない得票率49%で、76%もの議席を獲得した。 

 日本の第8次選挙制度審議会の答申は、小選挙区制の特性として、「政権の選択について国民の意思が明確な形で示される」点をあげた。しかしこれは捻じ曲げで、小選挙区制は、「政権の選択について国民の意思を巧妙な形で偽装する」のが実際。

 

(6) 小選挙区制の過半数偽装効果と三乗法則

 小選挙区制については、得票率と議席数の関係に関して、「三乗法則」といわれる経験則が指摘されている。例外が実際にはある。

 「小選挙区制で、全国的な二大政党が争うと、両党の議席は、両党の得票率の三乗に比例する」「このような三乗法則は、イギリスの統計学者によって、両党の各選挙区における得票率が、ある数学的性質を充たす場合は、成立することが証明された」(西平重喜『比例代表制』、 中公新書、1981年)。

 二大政党AとBがあって、Aの全体得票率が50%未満であっても、Aが過半数の選挙区でトップ当選すれば、議席の過半数を獲得できる。

 このように、小選挙区制の「多数派偽装」効果は、第一義的に、全体得票率が50%未満でも、各選挙区での得票率が相対的にトップの候補だけを当選させることに起因する「過半数偽装」効果といえる。これが小選挙区制の致命的効果であって、三乗法則は、「全国的な二大政党」が争った場合の、議席の過半数を超える部分に関する定量的な表現に過ぎない。

 三乗法則の有無に関わらず、小選挙区制であっても、政党が議席の過半数を制するには、過半数の選挙区で得票率がトップになる必要がある。

 善良な政党連合と悪辣な政党連合があり、前者の支持率・得票率が後者のそれよりも低いとする。この場合、悪辣政党連合が候補者を一本化せず、分裂選挙をすることで、統一候補を立てた善良政党連合が過半数を獲得できる場合がある。これを、「全国的な二大政党」の存在を前提とする三乗法則の効果に起因すると考えるのは、間違い。そうではなく、単に、上述の過半数偽装効果による。

 小選挙区制が過半数偽装効果でもって善良政党連合に有利になることはあるが、分裂選挙は善良政党連合にも起こり得るので、小選挙区制が善良な選挙制度であるとはいえない。

 

(7) 小選挙区制の下では得票多数派が議会多数派になるとは限らない

 小選挙区制は、一応、多数代表制というべき選挙制度に分類されるが、得票第一党を議会第一党にする保証はない。これも過去に英国での実例がある。1951年、得票率は労働党が48.78%、保守党が47.97%と、労働党が上回っていたが、議席獲得率は、保守党が51.4%、労働党が47.2%と逆転し、保守党が戦後初めて政権を奪回することとなった。

 

(8) コンドルセのパラドックス

 小選挙区制が「有権者から最も好まれた候補者を選出」する制度とは必ずしもいえない。例えば、A、B、Cの3候補が立候補した場合、(第一選好の)「得票順」がA > B > Cとなっても、「選好順」はC > B > Aとなる場合がある。

 一見不思議だが、「第一選好票」の単純多数で当選を決定する単記投票制ゆえのパラドックス。中選挙区制でも同じようなパラドックスが発生する。

 上記の極端な例で説明する。A、B、Cの得票率はほとんど変わらないとする。つまり、それぞれ約3分の1の票を得たとする。さらに、Aが一番好きだとする有権者の中では、BよりCが好きだという有権者が100%。Bが一番好きだとする有権者の中でも、AよりCが好きだという有権者が100%。Cが一番好きだとする有権者の中でも、AよりBが好きだという有権者が100%であったとする。

 この場合、BよりCが好きだという有権者が約3分の2、AよりBが好きだという有権者も約3分の2いる。したがって、「選好順」はC > B > Aとなる。

 

(9) オーストラリア下院の小選挙区制(優先順位付連記投票制)でも
コンドルセのパラドックスは解消されない

 オーストラリア下院の選挙制度は完全小選挙区制だが、優先順位付連記投票制を取り入れている。有権者は候補者すべてに順位をつける。第一選好票で過半数を獲得した候補がいなければ、最下位候補を落選させ、その最下位候補に投票した有権者の第二選好票を上位候補に配分する。過半数を得る候補が現れるまで、同様の操作を繰り返す。

 この制度では、第一選好票のみを考慮して最下位候補をまず機械的に落選させる。したがって、オーストラリア下院の小選挙区制でも、選好順位の民意は反映されない。

[参考]
オーストラリア下院の選挙制度は優れているか?
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/89557778.html

 

(10) 選挙制度は政党制や政権交代を規定するためにあるのではない

 二大政党制を誘導し、単独過半数政権を実現するというのが、小選挙区制論者の表向きの主な動機になっている。しかしそもそも選挙は、国民の代表を選ぶのが第一義。憲法第43条には、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」とある。多数派のみが全国民を代表するとはいえない。

 民意の正確な反映(得票率と議席獲得率の一致)を重視するのが、代表性に関する憲法解釈の傾向。詳しくは渡辺良二『近代憲法における主権と平等』(法律文化社、1988年)を参照。

 

(11) 小選挙区制が政権交代を促す保証はない

 米国下院も小選挙区制だが、1932年以来60年間にわたり、2期4年間を除き、民主党が第一党の地位を占めていた。

 英国の北アイルランドでも、ユニオニスト党の一党優位の状態が1993年の時点で50年間も続いていた。

 

(12) 「小選挙区制→二大政党制→単独過半数政権」という神話の解体
――G・サルトーリの実証研究

 小選挙区制が二大政党制を誘導する傾向にあることは確かだが、民意を強制的に完全な二党に集約することは難しい。また二大政党制の下で単独過半数政権が生まれるとも限らない。

 G・サルトーリは『現代政党学』(岡沢憲芙・川野秀之訳、早大出版部、1980年)で、「小選挙区制→二大政党制→単独過半数政権」という神話を英国の実例で解体している。

 英国は1885年に小選挙区制に切り替わった。「先ず1885〜1910年期。この期の大政党は保守党と自由党であった。総選挙は8回あったが、そのうち6回は真の単独政権を生まなかった」「戦間期(1918〜35年)、労働党が第二党になった。しかし自由党はレリヴァントな第三党として生き残った。この期の特徴は不安定と連合政権であった。それ故、イギリスが二党制の古典的なルールに従って行動したのは第二次世界大戦以後だけということになる」。

 

(13) 単独過半数政権の安定性神話――L・C・ドッドの実証研究

 ドッドの『連合政権考証』(岡沢憲芙訳、政治広報センター、1977年)によれば、単独過半数政権のみが安定政権をもたらすという説は、L・ローウェルの『ヨーロッパ大陸の政府と政党』(1896年)で広まり、デュヴェルジュらが無批判に受け入れてきた。

 ドッドは、欧州と大洋州の17カ国について、第二次世界大戦前約20年間と戦後約30年間の内閣の寿命を調べた。

 平均値では、「二大政党下の政府は平均五五ヵ月続いたが、多党制下の内閣の平均寿命は二六ヵ月であった」。しかし基準を変えると違ってくる。「五〇ヶ月以上かそれ以上も続いたすべての内閣のうち、約六〇%(四〇ヶ月以上続いた内閣の八〇%)は多党制議会から生まれた内閣であった」。

 

(14) 選挙区制と政党制に厳密な相関関係はない――「小選挙区制→二大政党制→単独過半数政権」の日本における反証例

 日本の場合はどうか。1890年の第1回衆議院総選挙から1898年の第6回総選挙までは、小選挙区制(1人区214、2人区43の総定数300)で行われた。2つの大きな政党が形成される傾向は認められたが、複数の小党が並存し、どの党も単独過半数を獲得したことがなかった。

 1902年の第7回総選挙から17年の第13回総選挙までは、1人区(46)から13人区まである大選挙区制(総定数369)で行われた。この期間は、二大政党と30人以下の中小党2〜4という構成であった。

 第14回(1920年)と第15回(1924年)の総選挙は、1919年に原敬内閣によって復活させられた小選挙区制(1人区295、2人区68、3人区11、総定数464)で行われた。第14回は、立憲政友会が278議席、憲政会が110議席(政友会の半数未満)、その他となり、第15回は憲政会152、政友本党111、立憲政友会102、その他となった。つまり典型的な二大政党は形成されていない。

 1925年に中選挙区制となった。それ以来1942年の翼賛選挙まで6回行われた総選挙のうち、第16〜18回(1928、30、32年)は立憲政友会、立憲民政党のほぼ完全な二大政党の構成になった(その他の党の当選者は6人以下)。第19回(36年)、第20回(37年)は社会大衆党が37議席を獲得して、政友党・民政党とのいわば2・5党制になる。

 このように、選挙制度史を眺めてみれば、小選挙区制が典型的な二大政党を形成し、単独過半数政権を誕生させるという法則性は、成立しない。

 
 
太田光征
http://otasa.net/

小選挙区制を見直す集会へ参加のお願い(野党国会議員への要請第2回)

5月 23rd, 2008 Posted by MITSU_OHTA @ 21:52:18
under 一般 [40] Comments 

「風」では小選挙区制を見直すセミナーを企画しています。このセミナーに参加していただく国会議員を募るため、4月に野党国会議員の皆さんに要請文を送付しました。

ところが応じていただける議員がいませんでしたので、5月23日、再度、以下の要請文を野党国会議員にFAXとメールで送付しました。

小選挙区制を見直す集会へ参加のお願い
第1回活憲政治セミナー
「地球温暖化問題から取り残される日本の政治」のご案内

野党国会議員の皆様

 4月23、24の両日にわたりお送りした要請文「小選挙区制を見直す集会へ参加のお願い」はお読みいただけましたでしょうか。

 与野党の一部からは相変わらず政界再編へ向けたと思われる動きが伝えられています。例えば、平沼赳夫氏は、「自民、民主の橋渡し」を目指した保守系新党の結成を公然と示唆しています。いわば「大連立を見かけ上の野党の立場」から促進しようとする動きといえます。

 こうした誘いを野党が断固拒否するという空気は伝わってきていません。平沼氏の動きは、野党の信頼性を損なう働きといえ、そのような誘いに野党が動くならば、有権者は再度、野党に対して不信の目を向けることになるのではないでしょうか。

 最近言われだしている選挙制度改定は、こうした政界再編がらみの思惑、ないしは自公の生き残りを狙いとしたものと思われ、民意を反映したものではありません。

 有権者が野党に期待しているのは、民意を反映した政権交代です。そのためには、野党を分断し、民意をゆがめ、自公に勝利をもたらす小選挙区制を廃止し、同時に、大連立や自公延命のための選挙制度改定をも阻む必要があります。

 改めて、小選挙区制を見直す集会へのご参加を検討していただきたく思います。よろしくお願い申し上げます。

 なお、5月31日には、第1回活憲政治セミナー「地球温暖化問題から取り残される日本の政治」を行います。ご参加の上、発言、提言をしていただければ幸いです。詳細は公式サイトでご確認をお願いいたします。

2008年5月23日

「平和への結集」をめざす市民の風

太田光征

小選挙区制を見直す集会へ参加のお願い(野党国会議員への要請第1回)

5月 23rd, 2008 Posted by MITSU_OHTA @ 21:35:02
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「風」では小選挙区制を見直すセミナーを企画しています。このセミナーに参加していただく国会議員を募るため、4月23、24の両日にわたり、以下の要請文を野党国会議員にFAXとメールで送付しました。

小選挙区制を見直す集会へ参加のお願い

国会議員の皆様

 2005年郵政選挙の見せ掛け上の「圧勝」にも関わらず、その後の2007参院選でも退潮傾向が明らかになった自民党と公明党の与党連合は、小選挙区比例代表並立制では民意をゆがめた勝利が不確実になったと判断していることでしょう。現在の与党の枠組みを超えた政界再編を見込んで、新たな党略的生き残りのための選挙制度を模索する動きもあるようです。

 自民党と公明党が提唱する中選挙区制といっても、定数は3以下であると予想され、得票率を上回る議席獲得率を得る仕掛けを何が何でも狙ってくると思われます。

 得票率で示される与野党の力関係は、野党が優勢になっていると見られますので、死票の出ない、民意を反映した選挙制度ならば、野党連合の勝利はますます確実になってきました。今となっては、小選挙区制は、民意を逆転させる自公の延命装置にもなり、野党を分断させる危険な選挙制度になっています。

 反民主的な選挙制度で現在の与党の延命に手を貸すのか、それとも民主的な選挙制度改正で当然の政権交代を実現するのか、問われていると思われます。

 民意を反映した民主的な選挙制度は、与野党問わず受け入れられるべきものであり、政権交代も担保するものです。「平和への結集」をめざす市民の風は、独立した小選挙区制に反対し、民意を反映した選挙制度改正を実現する立場から、そのような趣旨のシンポジウム/政治セミナーを企画したいと考えています。

 付きましては、上記の趣旨にご賛同し、シンポジウム/政治セミナーにご参加いただける国会議員の皆様を募らせていただきたいと思います。集会の実施日時は皆様の都合に合わせます。下記連絡先までお知らせいただければ幸いです。ご検討よろしくお願い申し上げます。

2008年4月24日

「平和への結集」をめざす市民の風

太田光征