共同声明「国会議員の定数削減に抗議する」

8月 4th, 2009 Posted by MITSU_OHTA @ 15:38:11
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※ 賛同募集中です。下記アドレスまでお知らせください。印刷用ファイルに賛同署名欄をつけましたので、ご活用ください。

※ 2010年9月4日 民主党の斎藤勁衆院議員に共同声明を自治労会館であった講演会で手交。

※ 2010年7月3日 渡辺治氏(一橋大名誉教授、九条の会事務局)に共同声明「国会議員の定数削減に抗議する」を同氏講演会で手交し、九条の会として定数削減反対運動にも取り組んでいただくように要望。

※ 2010年7月1日 民主党の枝野幸男幹事長に千葉県JR松戸駅前で共同声明「国会議員の定数削減に抗議する」を手交。

※ 2010年6月22日 民主党の樽床伸二国対委員長に千葉県JR松戸駅前で共同声明「国会議員の定数削減に抗議する」を手交。

※ 14日から15日にかけて、政党幹部・衆院選候補者41名、新聞社・テレビ局13社27部門に声明文と賛同者・団体リストを郵送しました。

※ 13日に野党記者クラブで記者会見を行いました。新聞社・テレビ局の皆さん、是非報道してください!

※ 11日に民主党の岡田克也幹事長に千葉県松戸市で声明・署名文書を手交しました。読んでくれそうにない様子でしたが…

2010年10月17日現在の賛同者・団体

「平和への結集」をめざす市民の風、川崎けい子(映像ディレクター)、櫻井智志(社会思想研究者)、古屋泰(日本語教師)、鶴田満彦(中央大学名誉教授)、紅林進(政治の変革をめざす市民連帯・世話人)、田島隆(ひとミュージアム上野誠版画館 館長)、平山基生(沖縄・日本から米軍基地をなくす草の根運動運営委員長)、石垣敏夫(埼玉県平和資料館を考える会 世話人)、彦坂諦(作家)、原田伊三郎、さとうしゅういち(女性と政治キャンペーン広島事務局長、民主党員)、田中純子(自営業)、浅田明(Freelance Mathematician)、浜野研三(関西学院大学教授)、林田力(『東急不動産だまし売り裁判』著者)、成見暁子(弁護士)、大津留公彦(ブロガー)、谷口信弘、酒井 信(日本図書館協会監事)、斎田直実、宮島康子(会社員)、永野 勇(市原市民)、荒井理美(自営業・祝島自然の権利訴訟原告)、佐々木耕作、佐伯昭夫(自営業)、宮坂貫司、田口ひろこ、東本高志(市民)、大脇友弘(障害者施設所長)、わしお由紀太(日野−人権・環境・平和の会)、石原将彦、長尾 昭、阿久津孝志、阿久津綾子、太田光征(松戸市民)、末次圭介(大学院生)、とみ新蔵(劇画家)、鈴木雅子、林伸子(アルバイト)、ひきこもり九条の会、田中学(自営業)、松田一樹、安田晶子、寺尾光身(元理系教員)、河 合知 義(広島市民)、紺野茂樹(哲学者)、青崎百合雄(カトリック町田教会)、へいわとふくしを見つめる会、杉山百合子、藤野龍一、井上裕子(みどりの未来会員)、中村和雄(弁護士)、片山貴夫(マスカットユニオン)、林真由美(弁護士)、本田幸子、加藤和博(市民)、鞍田 東(福島県いわき市市民)、日下部信雄(作ろう! 平和を 流山市民の会)、神谷扶左子(ピースキャンドル@鎌倉)、児玉昌己(久留米大学教授 政治学者)、タムラシゲアキ(つとめ人)、島村輝(フェリス女学院大学教員・日本社会文学会代表理事)、永戸千草(三重県鈴鹿市民)、吉岡章子、大富亮(チェチェンニュース)、上田正雄(会社員・NPO法人代表)、安藤洋(「永世中立宣言」運動センター(準備室))、千葉高教組東葛支部「ひょうたん島研究会」、平野慶次(京都市民)、石井明美、きくちゆみ(著作・翻訳家/環境・平和活動家 )、野村修身(工学博士)、上野恵子、しまざき英治(三鷹市議会議員)、かしもと けいじ(憲法を生かす会・八尾)、田辺欽也(山梨平和を語る会)、丹羽雅代、鷲尾峻一、柴田弘武(郷土教育全国協議会会員)、布施哲也(清瀬市議会議員)、柴山健太郎(労働運動研究所常任理事)、福本卓道(尺八演奏家)、遠藤富美夫(自営業)、遠藤真知子(主婦)、遠藤数馬(学生)、遠藤小夜(学生)、西岡なつゑ(無職)、高柳美知子(“人間と性”教育研究所長)、カネダ(ブロガー)、青 英権(作曲家)、松宮光興、村田由彦(ジュマ協力基金共同代表)、田口則芳(百姓)、ベースケ(ブロガー、自称アーティスト、ヘタレ左翼活動家、団体職員)、矢野芳宏(元都立高校教員)、くまがいマキ(劇作家)、奈良本英佑(教員)、義村玉朱(日本共産党尼崎市議会議員)、萩尾健太(弁護士)、豊島耕一(佐賀大学教授)、谷島光治(アンポをつぶせ!ちょうちんデモの会)、佐々木有美(ビデオプレス)、根津公子、西中誠一郎(ジャーナリスト)、石嶺和宏(市民)、荒木健次(年金&アルバイト)、石野恒雄、高野ゆう子、阿部基治(9条の会おおがきスタッフ)、八重樫好(年金&アルバイト)、村岡到(政治の変革をめざす市民連帯事務局長)、手塚弥太郎、かないたかこ、毛利子来(小児科医) 、野上慶一、岩崎信彦(神戸大学名誉教授)、辻 新一(全石油昭和シェル労組 本社支部執行委員)、林克明(ジャーナリスト)、高橋祐吉(専修大学教員)、古谷友朗、小浜健児(中学教員)、KITAJIMA(KITAJIMAのお絵かき研究所)、非国民通信(ブロガー)、平野 毅、島本保徳(西日本NTT関連労働組合副執行委員長)、古川博資(憲法サークル代表)、こたろー(独立行政法人職員)、Kenji Matabe、藤原正樹(校正者)、比企秀一(元教員)、金子康子(無職)、平野智子、吉野一彦(クリニカルラボ御影 整体院院長 )、木村幸雄、木村厚子(岐阜県)、pepita(契約社員)、山本友子、山本進、小泉章夫(札幌市民)、松本紀子(無職)、渡瀬慎一郎(会社員)、小笠原俊文(日本の市民)、樋渡由江、永瀬ユキ、豊田義信(辺野古裁判、安保無効訴訟、祝島裁判原告)、戸田清(長崎大学教授)、中田妙佳(僧侶)、ブログ春夏秋冬、宮腰直子(弁護士)、柴垣和夫(東京大学・武蔵大学名誉教授)、西崎敏男、西崎敦子、大谷康夫(自由業、省エネ支援技術者)、今村光纓、島田 広(弁護士)、山崎秀俊(北海道合同法律事務所・事務職員)、田中直子(大阪府豊中市民)、磯辺文雄(シャキット富山35・政治参画プロジェクトリーダー)、パンドラ(護憲+リアル賛同人)、田悟恒雄(リベルタ出版代表)、荻原義雅(自営業)、毛利勇二(アルバイト)、増田都子(東京都学校ユニオン委員長)、北野弘久(日本大学名誉教授)、石田玲子(主婦)、近藤ゆり子、二見孝一(みどりの未来会員)、岩崎美枝子(市川市民)、南條恵津子(大学院生)、佐藤真理(弁護士)、塩島麗子(東京都民)、久保田潤(みどりの未来会員)、山下けいき(大阪府茨木市議会議員)、鳰川 静(市原市民)、山崎弥生実(フリーランス)、向井雪子(志木市民)、プレカリアート(アフガン・イラク・北朝鮮と日本)、崎山比早子(医師)、校條均(獣医師)、辻 信一(明治学院大学教員)、松田博(大学教員)、島村正博(今村君の友人)、永井直子(日本語教師)、松澤敏彦(教員)、稲垣 豊(ATTAC Japan(首都圏))、松尾憙澄(非戦GameProducer・アースデイ・BE-IN)、LOVELINK(S.B.C)、龍眼、阿部久美子(会社員)、渡邉りよ、千葉卯京(平和への大結集・千葉 幹事)、えんぴつネットワーク、田口房雄、井黒 豊(教員)、井黒 史(保育士)、安藤純義(教員)、綿引孝夫(千葉県市原市民)、練金術師(週刊金曜日練馬読者会)、手塚弥太郎(前栃木市議会議員)、長尾 昭、鈴木孝雄、ぴーこ(憲法9条をまもる 平和共同かながわ 事務局)、山本純生(純アヒムサ会 主宰)、奥山たえこ(杉並区議会議員)、吉良歳月(活かせ9条松戸ネット会員、常盤平9条の会会員)、澤功、渡辺華子、日本国憲法第99条の会@mixi、岸野美奈子、安田晶子、田崎 透(相模原市生活と健康を守る会副会長)、大山美智子(弁護士)、野本ゆかり、箱山富美子(藤女子大学教員)、田場暁生(弁護士)、野口清人(信州の教育と自治研究所所長・ひとミュージアム)、乾 英俊(信州の教育と自治研究所)、藤井 醇(フリーカメラマン・ひとミュージアム)、鹿山邦夫(美術教師・ひとミュージアム)、轟 博子(信州の教育と自治研究所)、馬場 修(川中島九条の会)、山田定安(川中島九条の会)、板倉弘実(川中島九条の会)、橋本 博(元大学教員)、前田惠子(憲法を活かす市民の会 やまぐち)、竹村英明、吉岡滋子、吉川ひろし(千葉県議会議員)、KY生(一人PACEの会)、谷野隆(アジェンダ・プロジェクト)、古賀健二(元DJの現在ハロワ通い)、池邊幸恵(平和のピアニスト)、木村公一(日本バプテスト連盟福岡国際キリスト教会牧師)、田川英信(東京自治労連役員)、浮田久子(平和の白いリボン行動・藤沢代表)、篠原茂弥 (憲法を生かす会・松戸)、佐藤真喜子、渡辺美穂子(役者、「在日の慰安婦裁判を支える会」、「日本熊森協会」会員)、原 秀介、結柴誠一(杉並区議会議員)、新城せつこ(前杉並区議会議員)、栗原君子(新社会党委員長)、林多恵子(茅ヶ崎市民)、本多三郎(大阪経済大学教授)、伊東律子(「賞味期限切れのかぼちゃ」)、野村民夫、久野秀明(自衛隊イラク派兵差止訴訟原告)、松村紀之、勝連夕子、汐待和子(画家)、杉山三枝(柏市民)、木村 朗(鹿児島大学教員)、筒井雪江(主婦)、憲法を生かす会・松戸、平岡あきお、石井宏和(教員OB)、吉田暁(武蔵大学名誉教授)、島あけみ(鍼灸師・シャンソンシンガー)、佐藤昭夫(早稲田大学名誉教授)、田辺伸、日隅一雄(弁護士)、笠松健一(弁護士)、内田ひろき(柏市)、酒井徹(名古屋ふれあいユニオン運営委員長)、鈴木和子(主婦)、金井多賀子、みち子(千葉市民)、田中昭(社長公選制導入を進める組合費無料の新型労組 平等 世話人)、松田敏、西田照見(立正大学名誉教授)、樽美政恵(ふぇみん婦人民主クラブ東淀川支部代表委員)、曽根原鈴美(パート社員)、堀 考信(三島市会議員)、Jun(年金生活者)、福田秀志(子どもと教科書兵庫県ネット21事務局長)、高田 健(許すな!憲法改悪・市民連絡会)、金子サトシ(市民ビデオジャーナリスト)、中井智大(大学生)、龍川美紗子(日本語教師)、小岩陵右子(無職)、豊川節子(無職)、小山田英子(主婦・ヘルパー)、小山田江(事務員)、匿名の方26名 (順不同、計311)

 
 
「平和への結集」をめざす市民の風では、共同声明「国会議員の定数削減に抗議する」を作成し、広く個人と団体に賛同を呼びかけることにしました。

期間が短くて済みませんが、賛同署名を8月11日まで1次集約し、総選挙の公示前に各党・メディアに届けたいと思いますので、よろしくお願いします。賛同署名はその後も9月30日(第2次集約)まで受け付けます。署名期間を当面延長しますので、引き続きよろしくお願いします。

賛同いただける場合は、下記事項をjoin@kaze.fmまでお知らせください。FAXの場合は、020−4666−8281まで。

共同声明「国会議員の定数削減に抗議する」に賛同します。

個人名(ハンドル名OK)または団体名:
肩書き:
お名前公表:可・不可

  • これまでの賛同者・団体
  • 印刷用ファイル
     http://kaze.fm/documents/teisusakugen_seimei.pdf
  • [転送・転載歓迎]

    共同声明「国会議員の定数削減に抗議する」

                                        

    2009年8月4日

     民主党は、7月27日に発表した衆選マニフェスト(政権公約)のなかで、「ムダづかい」削減のために衆議院比例区議員の定数80削減を提案した。
     自民党でも、定数削減を政権公約にしている。

     しかし、国会議員の定数削減は、議会制民主主義のもとにおける有権者の多様な意思の表明を困難にし、民主主義の精神を踏みにじるものであり、我々はこの提案に強く抗議する。

    1. 議会制民主主義のもとでは、広範な市民の多様な意思をできるだけ的確に議会に反映させること、従ってまたこのための仕組みが極めて重要である。

    2. このためには、然るべき人数の議員が必要である。
     現在の衆議院の定数、480人は決して多すぎるものではない。
     現在の選挙制度が発足した時には500人であったが、その後削減されている。

    3. ヨーロッパの主要国(独、英、仏、伊)では、人口は日本の2分の1から3分の2であるが、下院議員の定数は600人前後である。
     人口10万人当たりの定数は、独で0.74人、その他では1.0人前後である。
     これに対し、日本では0.38人と極めて少ない。

    4. 米国の連邦下院議員定数は、435人と少ないが、独特の大統領制である、州の権限が強い連邦国家であるなど、政治制度が日本と著しく異なっており、比較の対象にするのは適切ではない。
     それでも、米国の議会予算は日本より大幅に多い。

    5. 定数削減の目的は、これまで、民間のリストラ、国の行政改革に対応して、国会も人員、予算の節約を図る必要があるため、といわれてきたが、今回「ムダづかい」削減による財源確保が目的、とされている。
     しかし、国権の最高機関である国会の議員の在り方を、民間や一般公務員と同じように論ずることは基本的に間違っており、特に議員定数の一部を「ムダ」とみなしてその削減を財源確保の手段としていることは、到底容認できない。
     定数削減の結果、国会がまともに機能しなくなったら、民主主義が衰退してしまうことを無視している。

    6. このような危険を冒してまで議員定数を削減しても、それによる予算節約はそれほど大きいものではない。
     国会の予算は、国会図書館を除くと約1,100億円である。(この他、政党助成費が321億円ある。)
     これは、一般会計予算の0.12%であり、この一部を削減しても予算の1万分の1から2程度である。       
     因みに、米軍へのいわゆる「思いやり予算」は2千数百億円に上る。また、F−15戦闘機は一機100億円、F−2は120億円である。
     もちろん予算節約の努力は必要であるが、他方、国会の基本的な任務遂行に必要な予算は、民主主義のコストとして負担すべきである。

    7. 定数削減は、比例区の定数削減として提案されているが、この提案には、民意をより正確に反映する比例区の定数を削減し、最終的にはこれを無くして、完全な小選挙区制に変えてしまおうという意図が窺われる。マニフェストには「政権交代が実現しやすい選挙制度とする」と記されているからである。
     ただし、専門家によると、小選挙区制では政権交代が起きる可能性が高い、ということは明瞭とはいえない。

    8.小選挙区制には問題があることは広く知られているにも拘わらず、選挙制度の在り方について公に議論しないまま、定数削減によって完全な小選挙区制へと実体を変えようということは、極めて不公正、不当な政策であるといわざるをえない。

    9. 小選挙区、2大政党制は、統治する立場からは好都合といわれているが、市民の立場からは、多様な民意を的確に反映させることにはならず、不公正である。
     有権者の意思を的確に反映させるためには、少数政党への投票をも尊重する比例代表制を基礎とした制度が絶対に必要である。

    10. このように大きな問題があるにも拘わらず、定数削減という方針が尤もらしく聞こえ、一定の支持を得ているのは、ろくに仕事をしない議員が多すぎる、世襲議員が余りにも多い、などのためであろう。
     この状況を改めるのは、定数削減ではなく、望ましくない議員を落選させ、真っ当な人物を選ぶことである。

    11. 参議院議員の定数については、今回は触れない。参議院の在り方を議論する過程で慎重に検討すべきである。
     衆参合わせて何割削減などという粗雑な議論は、問題外である。

     以上の理由により、我々は国会議員の定数削減という政策の撤回を強く求める。

    「平和への結集」をめざす市民の風
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    民主党の比例区勝ち過ぎを修正することで、政権交代が確実になる

    7月 20th, 2009 Posted by MITSU_OHTA @ 16:22:45
    under 一般 [108] Comments 

     2007参院選のデータを使って、衆院選比例区で民主党の票を他野党に移譲した場合、野党全体の比例区議席数がどのように変化するかをシミュレーションしました。(2007参院選比例区での民主党の得票率は39.5%で、2009東京都議会議員選挙での民主党の得票率は40.8%。)

     民主党の比例区票を80%他野党に移譲すると、野党全体の比例区議席数は変化せずに、民主党と他野党全体のそれぞれで、比例区得票率と全国議席獲得率が一致するようになります。

     投票パターンがそのようにシフトすることで、民主党以外の支持者が小選挙区で民主党候補に投票するモチベーションが高まり、政権交代がより確実になるでしょう。民主党単独ではない、野党連合政権が誕生することで、政策面で民意を反映できるメリットも、当然あります。

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    【目次】

    1. 民主党の比例区票を他野党に移譲すると、野党全体の比例区議席が増えることがある
    2. 小数野党の比例区票を少々民主党に移譲しても、野党全体の比例区議席は数議席しか増加しない
    3. 民主党の比例区票を他野党に移譲しても、野党全体の比例区議席は数議席しか減少しない
    4. 2007参院選小選挙区――民主党の17勝6敗だが、民主党の実力は7勝16敗以下だった
    5. 完全比例代表制を基準にすると、民主党は約70議席を超過獲得し、他野党は約70議席を獲り損ねる
    6. 民主党の比例区票を80%他野党に移譲すると、民主党と他野党全体で比例区得票率と全国議席獲得率が一致する
    7. 民主党支持者が比例区で努めて小数野党に投票することで、政権交代が確実になる

    【関連投稿】

  • 2009東京都議会議員選挙――結果分析
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  • 比例区定数が100に削減された場合の衆院選比例区シミュレーション
     http://kaze.fm/wordpress/?p=229
  • 2007参院選――結果分析
     http://kaze.fm/wordpress/?p=140
  •  
     

    表1 衆院選比例区シミュレーション:
    各党の獲得議席数
    (2007参院選比例区データ使用)





















    北海道 2 5 1 0 0 0 0 0 0 0 0 8
    東北 5 7 1 1 0 0 0 0 0 0 0 14
    北関東 6 9 3 1 1 0 0 0 0 0 0 20
    南関東 7 10 3 1 1 0 0 0 0 0 0 22
    東京 5 8 2 2 0 0 0 0 0 0 0 17
    北陸信越 4 6 1 0 0 0 0 0 0 0 0 11
    東海 6 11 3 1 0 0 0 0 0 0 0 21
    近畿 7 12 5 3 1 0 1 0 0 0 0 29
    中国 4 5 2 0 0 0 0 0 0 0 0 11
    四国 2 3 1 0 0 0 0 0 0 0 0 6
    九州 7 9 3 1 1 0 0 0 0 0 0 21
    55 85 25 10 4 0 1 0 0 0 0 180
    議席獲得率 30.6 47.2 13.9 5.6 2.2 0 0.6 0 0 0 0 -
    得票率 28.1 39.5 13.2 7.5 4.5 2.2 3.0 0.3 0.5 0.3 1.1 -
    得票率x定数 50.5 71.1 23.7 13.5 8.1 3.9 5.4 0.5 0.8 0.5 2.1 -
    全国一括式 52 73 24 13 8 3 5 0 0 0 2 180

     
     

    表2 衆院選比例区(現行ブロック式)シミュレーション:
    野党間の票移譲による野党議席数の変化
    (2007参院選比例区データ使用)

    No 野党議席の
    増減数
    野党間の票移譲パターン 議席の増減が起こる比例ブロック
    1 9増 民主・共産・社民・国新・日本の票を統合 東北・北関東・南関東・東京・北陸信越・東海・近畿・中国・九州
    2 2増 民主・共産・社民の票を統合 南関東・中国
    3 2増 民主・国新・日本の票を統合 北関東・南関東
    4 1増 民主から共産・社民へ50%ずつ移譲(民主党票ゼロ) 南関東
    5 1増 民主・共産の票を統合 南関東
    6 1増 民主・国新の票を統合 南関東
    7 1増 民主・日本の票を統合 南関東
    8 0増0減 民主・社民の票を統合
    9 1増1減 民主から共産・社民・国新・日本へ20%ずつ移譲(民主党票80%減) 増:南関東;減:北関東
    10 1減 民主から共産・社民へ25%ずつ移譲(民主党票半減) 北関東
    11 1減 民主から共産・社民・国新・日本へ25%ずつ移譲(民主党票ゼロ) 北関東
    12 1増3減 民主から国新・日本へ25%ずつ移譲(民主党票半減) 増:南関東;減:北海道・北関東・中国
    13 1増4減 民主から共産・社民・国新・日本へ12.5%ずつ移譲(民主党票半減) 増:南関東;減:北海道・北関東・四国・九州


     
     
    1. 民主党の比例区票を他野党に移譲すると、野党全体の比例区議席が増えることがある

     比例区では、民主党による票の取り過ぎ現象が発生することがあります。一種の死票です。

     表2を見てください。これは、2007参院選のデータ(表1)を(次期)衆院選に当てはめ、民主党の比例区票を他野党に移譲した場合、野党全体の比例区議席数がどのように変化するかを示したシミュレーションです。

     例えば南関東ブロック。民主党から16万票弱を共産・国民新党・新党日本のいずれかに移譲することで、民主党の議席数を変化させずに、野党は自民から1議席を奪うことができます。No5〜7に対応します。

     
     
    2. 小数野党の比例区票を少々民主党に移譲しても、野党全体の比例区議席は数議席しか増加しない

     共産・社民には常日頃、民主党に票を譲るべきだ、とする圧力がかけられています。比例区で共産・社民の票を民主党に統合したらどうなるでしょうか(No2)。野党の比例区議席は2議席増えるだけに過ぎません。

     国民新党と新党日本に対してはそうした声をほとんど聞きませんが、これら2党の比例区票を民主党に統合した場合も計算してみましょう(No 3)。やはり、野党の比例区議席は2議席増えるだけです。

     野党の比例区議席数を最大にする方法は、明らかに、民主党など1つの政党に票を集中させることです(No1)。さすがにこのような要求をする野党支持者は小数派でしょうが、最大で9議席、野党全体の比例区議席が増加します。

     
     
    3. 民主党の比例区票を他野党に移譲しても、野党全体の比例区議席は数議席しか減少しない

     では、比例区で野党票を民主党に統合する代わりに、民主党の比例区票を他野党に移譲したら、野党全体の比例区議席はどう変化するでしょうか(No9〜13)。民主党の比例区票を他野党に移譲しても、野党全体の比例区議席は、最大でも3議席程度しか減少しません。

     以上から、政策を犠牲にして野党の議席数を稼ぐために、比例区で民主党に票を集中させるメリットはないことが確認できます。

     
     
    4. 2007参院選小選挙区――民主党の17勝6敗だが、民主党の実力は7勝16敗以下だった

     「2007参院選――結果分析」をご覧ください。29ある小選挙区で、自民党と民主党が直接対決した選挙区は23あります。民主党が17勝6敗と、11選挙区で勝ち越しています。ところが、そのうち10選挙区で、民主党の比例区票は自民党の小選挙区票を下回っていました。
     

  • 2007参院選――結果分析
     http://kaze.fm/wordpress/?p=140
  •  
     各党の比例区獲得票は、党の実力を最もよく示すデータなので、基礎票と呼ぶことができます。上記の10小選挙区で、民主党の基礎票は自民党の小選挙区票を下回っていたにもかかわらず、民主党は自民党に勝利することができました。

     このことは、この10小選挙区で、民主党以外の支持者から民主党候補に票が流れたことを示しています。民主党単独の実力で勝負すれば、7勝16敗以下だったのです。

     2007参院選では小選挙区に限らず、「民主党の比例区票が自公(および与党系無所属)の選挙区票を下回っていた」選挙区は、47選挙区中、24もありました。「民主党の比例区票が自公の選挙区票をわずか数万票しか上回っていなかった」8選挙区と合わせると、32選挙区にも上ります。

     
     
    5. 完全比例代表制を基準にすると、民主党は約70議席を超過獲得し、他野党は約70議席を獲り損ねる

    2007参院選の比例区で民主党の得票率は39.5%でした(表1)。2009東京都議会議員選挙での民主党の得票率は40.8%だから、2007年からほとんど変わっていません。次期衆院選でも2007参院選と同じ比例区得票率を仮定しましょう。

     衆院選は、比例区の定数が180、小選挙区の定数(選挙区数)が300で、総定数は480。もしも完全比例代表制ならば、民主党の議席数は、480×39.5%≒190議席となるでしょう。現行ブロック式の比例区では、表1に示すとおり、85議席を獲得できる見込みです。

     では、民主党は次期衆院選の小選挙区でどのくらい議席を獲得できるでしょうか。2007参院選の29ある小選挙区で、民主党は17勝しています。議席獲得率は58.6%です。これを衆院選の小選挙区定数300に掛ければ、約175議席と見積もることができます。

     結局、次期衆院選で民主党は比例区で85議席、小選挙区で175議席、合計で過半数の260議席を獲得できると推測されます。完全比例代表制の場合より、70議席も超過しています。

     同様に、共産・社民・国民新党・新党日本の獲得議席数を推測してみます。これら4党の2007参院選比例区における得票率は、全体で17.0%です。この得票率を仮定すると、完全比例代表制であれば、4党全体で480×17.0%≒82議席を獲得できるはずです。

     4党は、2007参院選の小選挙区でわずか1議席しか獲得できませんでした。次期衆院選の小選挙区でも近似的にゼロと見なせます。現行ブロック式の比例区では、表1に示したように、4党全体でも15議席程度しか獲得できないと推測されます。したがって小数4野党の場合、民主党とは逆に、70議席近くを取り損ねる事態が予想されます。この不公正を“修正”できないでしょうか。

     
     
    6. 民主党の比例区票を80%他野党に移譲すると、民主党と他野党全体で比例区得票率と全国議席獲得率が一致する

     70議席といえば、民主党が比例区で獲得を見込める85議席の約80%に当たります。そこで、民主党の比例区獲得票の80%を共産・社民・国民新党・新党日本の各党に均等に移譲してみましょう(表2 No9)。すると見事に、民主党の比例区獲得議席から70議席を小数4野党に移譲することができます。野党全体の比例区獲得議席数に変化はありません。

     その結果、民主党と小数4野党全体のそれぞれで、比例区得票率と全国議席獲得率がほぼ一致するようになります。つまり、比例代表制に近い結果が実現するのです。

     
     
    7. 民主党支持者が比例区で努めて小数野党に投票することで、政権交代が確実になる

     民主党は、小選挙区で他野党支持者の票に大きく依存することで、得票率を超える議席獲得率を実現しています。

     政権交代の決め手は、野党が共倒れせず、小選挙区を制することです。民主党支持でない有権者が民主党候補に票を投じるのは、そのためです。

     小選挙区制ではこのように、民主党以外の支持者が一方的に、不公正かつ合理的な投票行動を強制されています。したがって民主党支持者には、この事情を考慮して、公正な投票行動が期待されます。比例区では努めて小数野党に投票することが求められるのです。

     こうして不公正が修正されることで、民主党以外の支持者が小選挙区で民主党候補に投票するモチベーションが高まり、政権交代がより確実になるでしょう。選挙区すみ分け投票は、政権交代を重視する民主党支持者にとっても合理的な投票パターンです。

  • 選挙制度改正運動としての選挙区すみ分け投票の勧め
     http://kaze.fm/wordpress/?p=268
  •  
     
    太田光征
    http://otasa.net/

    2009東京都議会議員選挙――結果分析

    7月 14th, 2009 Posted by MITSU_OHTA @ 22:59:40
    under 一般 [10] Comments 

    2009東京都議会議員選挙は民主党の「圧勝」で終わりましたが、中身を分析してみましょう。(印刷用ファイル準備中)

  • 党派別得票数
     http://www.senkyo.janjan.jp/senkyo_flash/0907/0907120890/1.php
  • 選挙区・候補者別得票数
     http://www.senkyo.janjan.jp/election/2009/13/00008783.html
  • 共同声明「国会議員の定数削減に抗議する」賛同募集中
     
     

    【目次】

    1. 民主党の過剰得票で自公候補29人を落選し損ねた
    2. 中選挙区制(大選挙区制)でも非自公勢力は過半数を確保できる
    3. 中選挙区制(大選挙区制)が比例代表制に近いとはいえない

    【関連投稿】

  • 民主党の比例区勝ち過ぎを修正することで、政権交代が確実になる
     http://kaze.fm/wordpress/?p=275

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    1. 民主党の過剰得票で自公候補29人を落選し損ねた

    「2007参院選投票指針」では、複数定数区で民主党候補に票を集中し過ぎないよう注意を促しました。民主党候補に票が集まり過ぎることで、当選できるはずの野党候補が当選できなくなるからです。こうした現象は同参院選で実際に起こっています。

  • 2007参院選投票指針
     http://kaze.fm/wordpress/?p=133
  • 2007参院選――結果分析
     http://kaze.fm/wordpress/?p=140
  • そして今回の都議選でも、民主党に票を集中し過ぎることの弊害が極めて顕著に現れました。表1は、票を過剰に取り過ぎた民主党候補から、落選した非自公候補に票を移譲した場合、移譲先候補が当選するケースをリストしたものです。

     
     

    表1 2009東京都議会議員選挙結果分析
    〜民主党当選候補からの票移譲でどのくらい非自公候補を当選できるか〜

    選挙区 定数 票の移譲元
    当選者
    票移譲で
    当選する落選者
    票移譲で
    落選する当選者
    新宿区 4 民主現 無所属新 自民新
    文京区 2 民主現 共産現 自民元
    墨田区 3 民主現 共産新 公明新
    江東区 4 民主現 無所属新 自民新
    品川区 4 民主現または新 共産新 自民現
    目黒区 3 民主現 民主新または共産新 公明新
    大田区 8 民主新2人 民主現2人および共産新のうち2人 自民現2人
    世田谷区 8 民主新、民主現2人のうち1人 諸派(行革110番)現 公明現
    渋谷区 3 民主現 共産新 自民現
    中野区 4 民主新または民主現 共産現 自民現
    杉並区 6 民主現2人 生活者ネット新 公明現
    豊島区 3 民主現 共産新 自民現または公明現
    北区 4 民主現または元職 共産現 公明現
    練馬区 6 民主現および/または新 共産現、生活者ネット新、社民新のうち1名 自民現
    足立区 6 民主現および新 無所属新 公明現
    葛飾区 4 民主現または新 共産新 自民現
    江戸川区 4 民主新 共産現 自民現
    八王子市 4 民主現または新 無所属新 自民現
    三鷹市 2 民主新 無所属現 自民現
    府中市 2 民主新 無所属現 自民現
    町田市 3 民主現 共産新または無所属新 自民現
    小平市 2 民主現 共産新 自民現
    日野市 2 民主新 共産現 自民現
    西東京市 2 民主現 共産新 自民現
    西多摩 2 民主新 共産新 自民現
    北多摩
    第一
    3 民主現 共産新 自民新
    北多摩
    第三
    2 民主現 共産新 自民現
    北多摩
    第四
    2 民主現 共産新 自民現

     
     
    そのような選挙区は28にも上り、計29名の非自公候補が追加当選することができました(表中の票移譲で当選できる無所属候補が明らかに自公系であるかどうかについては、JANJANの資料からは確認できなかった)。その内、共産党候補は最大で20名を占めます。民主党に票が集中し過ぎなければ、自公の獲得議席数は61からほぼ半減していたことになります。民主党に投票した東京都有権者が潜在的にどのくらい共産党候補などに投票し得るのか明らかではありませんが、驚くべき数字です。

    自民党は現有48議席から10議席減らしています。「圧勝」した民主党ですが、民主党の反自公部分での功績は、この10議席のみといえます。民主党が現有34議席から増やした20議席のうち10議席は、共産党や生活者ネットから奪った水太り部分です。これが民主党候補に投票した東京都有権者の民意なのかどうか、非常に疑問です。

    今回の結果から、来る総選挙での民主党の勝ちすぎが懸念されます。比例区では民主党にまったく投票しなくとも政権交代は十分に可能です。


     
     
    2. 中選挙区制(大選挙区制)でも非自公勢力は過半数を確保できる

    3〜8人区で自公は計45議席、民主・共産・ネットは計42議席を得ているが、4〜8人区では自公が計35議席、民主・共産・ネットが計37議席を得ている。中選挙区制(大選挙区制)でも非自公勢力が過半数を獲得できることを実証しています。


     
     
    3. 中選挙区制(大選挙区制)が比例代表制に近いとはいえない

    下の図と表2は、選挙区群ごとに各党の得票率と議席獲得率(%)を比較したものです。比例代表制に近い結果を出すといわれることがある中選挙区制(大選挙区制)ですが、得票率と議席獲得率は明らかに大きく乖離しています。

    自公はどの選挙区群でも議席獲得率が得票率を上回り、票割り――政党が最適な数の候補者を立て(各地域で投票すべき候補者を支持者・有権者に指示することで)、最小の票数で最大の候補者の当選を図ること――のうまさを示しています。

    特に公明は際立っていて、定数8群では自民より得票率が約7ポイント低いものの、議席獲得率では自民と肩を並べています。逆に民主は定数8群で、議席獲得率が得票率より約10ポイントも低くなっています。

    このように得票率と議席獲得率が大きく乖離しているということは、投票先の政党が違うことで、有権者の1票の価値が大きく異なること、したがって主権格差の存在を意味します。小選挙区制はこの主権格差が0か1かの露骨な制度です。中選挙区制(大選挙区制)での票割りは候補者側や有権者にしてみれば当然で、平等な主権を保障する選挙制度に修正する行為といえます。もっとも、すべての政党・候補者・有権者がする必要がありますが。

    2009東京都議会議員選挙――選挙区群別得票率・議席獲得率

    表2 2009都議選――選挙区群別得票率・議席獲得率(%)

    自由民主党 民主党 公明党 日本共産党 東京・生活者ネットワーク その他の党派 無所属
    1〜8人区 得票率 25.88 40.79 13.19 12.56 1.96 1.17 4.45
    議席獲得率 29.92 42.52 18.11 6.30 1.57 0.00 1.57
    2〜8人区 得票率 25.05 40.72 13.95 12.94 2.07 1.22 4.04
    議席獲得率 30.83 40.83 19.17 6.67 1.67 0.00 0.83
    3〜8人区 得票率 22.92 39.06 18.19 12.24 1.74 1.61 4.24
    議席獲得率 26.14 37.50 25.00 9.09 1.14 0.00 1.14
    4〜8人区 得票率 23.25 38.74 17.59 11.96 2.10 1.89 4.48
    議席獲得率 24.66 38.36 23.29 10.96 1.37 0.00 1.37
    5〜8人区 得票率 22.92 38.81 17.55 10.94 3.00 2.60 4.18
    議席獲得率 24.49 36.73 22.45 12.24 2.04 0.00 2.04
    6〜8人区 得票率 22.71 37.83 16.81 10.04 4.48 3.65 4.48
    議席獲得率 23.53 35.29 23.53 11.76 2.94 0.00 2.94
    8人区 得票率 23.05 40.50 16.38 9.91 4.14 4.91 1.10
    議席獲得率 25.00 31.25 25.00 12.50 6.25 0.00 0.00

     
     

    下の図と表3は、選挙区定数別に各党の得票率と議席獲得率の違いを見たものです。選挙区定数群別より折れ線が込み入って見にくいですが、やはり得票率と議席獲得率の乖離が確認できます。

    特に公明は、定数2以上の選挙区すべてで議席獲得率が得票率を上回っています。(2010年5月20日追加)

    定数3の選挙区では、自公の得票率がほぼ同じ21%、民主の得票率が40%と自公のほぼ2倍ですが、議席獲得率では3党ともまったく同じ33%です。定数3が自公民の指定席制度であることをよく示しています。

    それ以外の定数では、定数5と6で得票率と議席獲得率の乖離が比較的少ないものの、定数4と8では最大10ポイント近く差が開いています。

    今回の結果では比較的民意を反映している定数5ですが、(100 - x) ÷ 5 > x を解けば分かるように、x = 15%の得票率でも議席を獲得できない場合があります。中選挙区比例代表併用制なら、この死票をある程度生かすことができます。

    1人区と2人区では、得票率と議席獲得率の乖離は論外です。

     
     
    2009東京都議会議員選挙――選挙区定数別得票率・議席獲得率

     
     

    表3 2009都議選――選挙区定数別得票率・議席獲得率(%)

    自民 民主 公明 共産 ネット その他 無所属
    1人区 得票率 40.31 42.10 0.00 5.83 0.00 0.13 11.64
    議席獲得率 14.29 71.43 0.00 0.00 0.00 0.00 14.29
    2人区 得票率 31.16 45.46 1.81 14.97 3.02 0.10 3.48
    議席獲得率 43.75 50.00 3.13 0.00 3.13 0.00 0.00
    3人区 得票率 21.28 40.67 21.14 13.61 0.00 0.25 3.05
    議席獲得率 33.33 33.33 33.33 0.00 0.00 0.00 0.00
    4人区 得票率 24.01 38.58 17.68 14.31 0.00 0.24 5.17
    議席獲得率 25.00 41.67 25.00 8.33 0.00 0.00 0.00
    5人区 得票率 23.35 40.78 19.05 12.78 0.00 0.45 3.59
    議席獲得率 26.67 40.00 20.00 13.33 0.00 0.00 0.00
    6人区 得票率 22.44 35.66 17.16 10.14 4.75 2.63 7.23
    議席獲得率 22.22 38.89 22.22 11.11 0.00 0.00 5.56
    8人区 得票率 23.05 40.50 16.38 9.91 4.14 4.91 1.10
    議席獲得率 25.00 31.25 25.00 12.50 6.25 0.00 0.00

    太田光征
    http://otasa.net/

    「国会議員の定数削減について」(国民新党代表代行・亀井静香氏宛て)

    7月 6th, 2009 Posted by MITSU_OHTA @ 14:48:47
    under 一般 [4433] Comments 

    平和への結集・市民の風として、国民新党代表代行の亀井静香衆議院議員に、国会議員の定数削減に関する下記の要望書を送りました。(印刷用ファイル

    国会議員の定数削減について
    2009年6月26日

    拝啓

    国民新党代表代行・衆議院議員 亀井静香様

     国会活動いつもありがとうございます。歯に衣着せぬ発言で野党連合をリードする貴職の活躍に期待しております。

     先日、衆議院で憲法審査会規程が与党による強行採決で成立しました。まさに数の暴挙による強行採決です。

     現在の自民党および公明党の衆議院議員は、まったく民意を反映しない2005郵政選挙により選出されました。小選挙区で見ると、両党は得票率が49%しかないにもかかわらず、76%もの議席を獲得しています。

     国民投票法や憲法審査会規定の強行採決で見られる数の暴挙は、民意を反映しない小選挙区制が背景となっています。

     衆議院憲法審査会の委員定数は、同規程によれば、わずか50名です。このような定数が意味することは重大です。貴党を含む小数政党の委員がどれほど同審査会に選出されるのでしょうか。失礼ながら、皆無という可能性も排除できません。

     このことは、小数政党に投票した膨大な数の主権者が、最も重要な主権の行使機会である改憲案の討議・作成の場にすら、自らが選好する議員を国会に代表として送り込むことができないことを意味します。

     小選挙区制で選出された議員から成る国会には、憲法が規定する正当に選挙された全国民の代表たる議員(主権者の代理人)が不在なのです。一部国民の代表しか存在しません。憲法が真っ先に謳う主権の侵害に他ならないと考えます。

     残念なことに、貴党のパートナーである民主党は、衆議院の比例区定数を80削減する方針を出しました。これは小選挙区制の強化を意味します。さらに致命的な数の暴挙を可能にし、国民主権を一層切崩すものです。

     民主党は定数削減の根拠に、「行政改革」の一環として自らの身を削るということを挙げています。しかし、身を削られるのは、貴党を含む小数政党です。

     国民が求めてもいない膨大な税金を浪費する改憲国民投票が実施されるならば、定数削減の理由とされる「行政改革」にも反します。2つの政党だけで民意を反映した「行政改革」ができるとは考えられません。

     もっと分かりやすい例はアメリカでしょう。アメリカは、二大政党制の下、格差・貧困そっちのけで膨大な軍事予算を維持し続けています。二大政党制では、政策の固定化により、財政支出の無駄も固定化されてしまいかねません。小数政党と民意を意図的に排除する政党に、格差・貧困問題を解決できるのでしょうか。

     議員定数の削減で税金を浮かすことのメリットよりも、民意を削ることで無駄な政策領域が温存されるデメリットの方が甚大でしょう。民意を反映した議会がなければ、真の行政改革はできません。

     民主党の鳩山代表は先日、「連立解消」に言及しました。岡田幹事長が謝罪しましたが、民主党の姿勢をうかがわせるものです。貴党の活躍の場を民主的に保証するためにも、民主党に対して比例区定数の削減方針を見直すよう、連立協議の中で働きかけるべきと考えますが、貴職のお考えはいかがでしょうか。できれば貴党の公約案を含む国会議員定数の削減について、懇談の機会を設けていただければ幸いです。

    敬具

    「平和への結集」をめざす市民の風
    選挙制度問題担当 太田光征

    全野党・議員に向けての2009「平和への結集」アピール

    6月 28th, 2009 Posted by MITSU_OHTA @ 21:57:55
    under 一般 [127] Comments 

    平和への結集・市民の風は、野党連合による政権交代を求めた「2008アピール」を発展させて、野党連合政権の樹立を求める「2009アピール」を公表します。(印刷用ファイル
     
     

    全野党・議員に向けての2009「平和への結集」アピール
    平和・環境・福祉・地方分権・選挙制度改革を柱に
    野党連合政権の樹立を

     私たちは、来たる総選挙で、野党連合による政権交代と野党連合政権の樹立を強く望みます。

     自民党・公明党政権の政治は、日本社会に大きなダメージを与えてきました。「痛みのともなう改革」の下、非正規雇用などの不安定雇用が増加し続ける一方で、医療、介護、福祉などは抑制され、格差、貧困、医療難民など深刻な問題が発生し、多くの人びとを苦しめ悲しませています。日本社会の活力は回復するどころか、社会の基盤が掘り崩されています。

     「改憲」をめざした安倍内閣は、国民投票法制定、教育基本法改悪などを強行して支持を失い、福田内閣は環境問題と外交に活路を求めたものの支持率低迷で投げ出し、麻生政権は選挙目当てのバラマキ予算に終始しても、さらに史上最低の支持率となりました。ここに来て、参議院での野党優勢の中で法案審議もろくに行わずに、衆議院の大量議席による再議決連発という乱暴な国会運営を行なっています。未曾有の世界的経済危機や人びとの不安に対し、自民党・公明党政権が打ち出す政策は場当たり的な対策ばかりで迷走を続け、未来への展望は少しも開けません。 

     オバマ米国大統領がプラハで核廃絶に向けた演説をしましたが、イラクやアフガニスタンでの戦乱は続き、東アジア情勢も不安定で、今後の世界情勢は未だ予断を許さない状況です。米国に追従し、日本国憲法を無視して海外派兵を行い、偏狭な歴史認識に固執してきた自民党・公明党政権には、近隣アジア諸国との友好関係は築けず、まして、環境や軍縮・和平の取り組みで世界をリードすることも期待できません。

     私たちは、このような自民党・公明党政権に終止符を打ち、国の政治の抜本的転換をはかるため、全野党間の選挙協力が強化されることを強く望みます。来たる総選挙で、野党第一党に投票を集中させるべきだという考えだけでは、市民間の多様な意見を政策に反映させることができず、場合によっては市民間の対立が拡大し、政権交代が困難になることも予測されます。また、少数意見が切り捨てられるという、アメリカ合衆国のような二大政党制の罠に落ちることが危惧されます。大連立の画策について報道されたこともありますが、そうした悪しき談合政治と訣別するためにも、部分的な選挙協力を超えた、幅広い野党間の連合を考えるべきではないかと思います。

     私たちは、全野党が市民とともに対話・協議を積み重ね、野党共通の政策を練り上げ、更には新しい日本の政治システムの創造をめざして活動する「野党連合」により総選挙に臨むことが必要だと考えます。それは、単なる選挙協力にとどまらず、憲法に示された平和や人権など共通の価値を基盤にして、憲法を守り、憲法の理念を活かすという点で共同できる勢力の連合となるべきだと思います。深刻な課題に直面している今日、大切なのは、お互いの意見の違いを強調することではなく、お互いの意見の共通点に着目して歩み寄ることではないでしょうか。かりに総選挙前にそのような野党連合が結成できないとしても、総選挙後の野党連合政権の樹立を見据えた野党間・野党と市民間の対話・協議が開始されることを望みます。

     私たちは、平和(憲法9条を活かして、世界の平和と軍縮をリードする積極的外交。)、環境(環境税や自然エネルギー導入等による地球温暖化防止と雇用の拡大。)、福祉(憲法25条にもとづく、格差・貧困問題、年金問題、医療崩壊などの解決。市民参加型の新たな福祉社会。)、地方分権(国と地方の間で、権限も税源も大胆に入れ替える根源的改革。)、選挙制度改革(死票が多く少数意見を切り捨て、野党の共倒れを招く小選挙区比例代表並立制を廃止し、民意を反映する新たな選挙制度の実現。国会議員定数を削減しない。)の5つが野党連合政権の政策の柱になると考えます。

     私たちは、「何かが変わる」ことを待つのでなく、私たちが「何を変える」かを考え、行動したいと思います。日本と世界の政治が大きな分岐点にある現在、市民と野党の協力こそが平和の危機や社会的混乱から日本社会を救う道であることを確信しています。

    2009年6月21日

     
    「平和への結集」をめざす市民の風
    http://kaze.fm/

    横須賀市長選 呉東正彦 応援レポート

    6月 17th, 2009 Posted by MITSU_OHTA @ 19:19:09
    under 一般 [9] Comments 

    横須賀市長選挙はいよいよ6月28日が投票日です!

    kawaruyokosukaさんの呉東さんビデオをご紹介します。

    ごとうさん決意表明6月11日文化会館(前半)
    http://www.youtube.com/watch?v=Ky6h5Uj4GJI
    ごとうさん決意表明6月11日文化会館(後半)
    http://www.youtube.com/watch?v=4PR4y1vPccw
    ごとうさん駅頭アピールリレー6月7日
    http://www.youtube.com/watch?v=XvqvIEna4tM
    宇都宮健児氏対談3の1−新人時代のエピソード6月11日横須賀文化会館
    http://www.youtube.com/watch?v=u5BbwJP9By0&feature=related
    宇都宮健児氏対談3の2(反貧困ネットワーク)6月11日横須賀文化会館
    http://www.youtube.com/watch?v=b1XYKLMNrw0&feature=related
    宇都宮健児氏対談3の3(首長のすべきことは)6月11日横須賀文化会館
    http://www.youtube.com/watch?v=Cf_YfcPoNac&feature=related

    応援レポート、続々追加しています…

    横須賀市長選 呉東さん応援のお願い 女性ファン必見♪
    横須賀市長選 候補者ごとうさん 人物レポート
    横須賀市長選 ごとう正彦さん応援レポート<告示日>

    【6月20日追記】

    演説:呉東正彦(ごとうまさひこ)弁護士
    日時:2009年6月19日
    場所:京急久里浜駅前
    撮影:太田光征(http://otasa.net/

    横須賀市長選 呉東正彦が訴える 1/4
    http://www.youtube.com/watch?v=0dLwi7VwE9o
    横須賀市長選 呉東正彦が訴える 2/4
    http://www.youtube.com/watch?v=ve2I_BqjIBY
    横須賀市長選 呉東正彦が訴える 3/4
    http://www.youtube.com/watch?v=hwi6UG8kk64
    横須賀市長選 呉東正彦が訴える 4/4
    http://www.youtube.com/watch?v=CBiVYSLIqEA

    6月11日に行なわれた、
    「市民の力で、変わる横須賀・大集会」に参加してきました。

    この集会は、「市民みんなの力で市政をつくる会」のが、
    6月28日投票の横須賀市長選挙候補者として擁立した、
    市民の弁護士・呉東正彦(ごとう まさひこ)さんの決起集会です。

    集会は大成功でした!

    同じ会場で行なった他の立候補予定者
    吉田氏の集会は入場者500、蒲谷氏は800と聞いていますが、
    呉東さんの集会にはおよそ1000人の人が集まりました!
    が、問題は中身。でもこれがとても良くて・・・
    配布してもらうために用意したマニフェストも
    机に用意したものがあっという間になくなり、
    在庫を求めて走り回るほどでした。

    さて、問題の中身。
    感動のエピソードを中心にご紹介します。
    ====================
    「市民の力で、変わる横須賀」大集会
    6月11日(木)18:30〜20:10
    横須賀市文化会館 大ホール

    プログラムは、
    八丈太鼓 まごめ会の太鼓演奏ではじまり、
    マニフェスト(09.06.11版)発表、
    ごとう正彦を応援する議員紹介、
    呉東さん応援歌「横須賀 あなたのいる町」(よろずピースバンド)演奏、
    グループ別活動報告、
    行動提案、と進み、
    対談 ごとう正彦・宇都宮健児、
    ごとう正彦の決意表明へ。

    呉東さんと宇都宮健児さんの対談、最高でした。

    宇都宮さんは、「反貧困ネットワーク」代表、
    「年越し派遣村」名誉村長としても有名な
    多重債務問題のエキスパート、あの宇都宮健児さんです。

    その宇都宮さんが始められた、
    “貧困弁護士事務所(多重債務者相手の仕事で経営難)”に
    始めて入った弁護士が呉東さん。
    だから呉東さんは宇都宮さんにとっても「一番弟子」なんだそうです。

    宇都宮さん曰く、
    呉東さんは「裏表のない熱血漢」
    「その人柄にはお墨付きを与えます!」。
    それを裏付けるエピソードとして、次のような話をしてくれました。

    80年代、旅行好きの呉東さんは、
    旅先の、当時はまだソ連・中央アジアのどこかの国で暴漢に遭い、
    顎にヒビが入る大怪我をしたのだそうです。
    けれど呉東さん、それに気づかず東欧に入り、
    「東欧のパンは硬いな〜」と思っていたとか・・・。
    意外と豪傑?、それとも??
    いえ、すごいのはその先の話です。

    日本に戻って数日後、怪我が判明。顎を固定し、流動食生活に。
    しかーし、なんと呉東さん、
    満足にしゃべることもできない、その体で相談者と面談し、
    1日も休まず働き続けたんだそうです。
    流石、筋金入りの「市民の弁護士」!

    でも、呉東さんはどうして、そんなにも頑張る人なんだろう?
    このあとの決意表明を聞いて、その謎が解けました。

    呉東さんは、横須賀生まれの横須賀育ち。
    高校は栄光学園、大学は東大法学部。
    実はこれだけ見ると、現職の蒲谷氏と全く同じなんです。
    もちろん、
    経歴と人柄が相関関係にあるのかどうかはわかりませんが、
    経験が人を育てていくのは事実です。

    呉東さんには大学生のとき、人生を変える経験がありました。
    病を患い、7ヶ月間もの入院生活を余儀なくされたのです。
    そのとき呉東さんは、
    「立ってる世界(健常者)と、寝ている世界(病人・弱者)は、
     こんなにも違うのか」と思ったそうです。
    「寝ている世界は苦しい、不自由。」
    しかも、
    「そのことを“立ってる世界の人”には伝えられない もどかしさ」。

    また、生死をかけた闘病の中、横須賀の空を見ながら
    「横須賀はいい町だ」と思ったのだそうです。
    「この町で一生を過ごしたい。」
    「この町の人の助けになりたい。」

    病を克服してから、猛勉強の末、弁護士資格を取得。
    宇都宮弁護士の事務所で8年間修行を積んだのち、
    呉東さんは横須賀の町に帰ってきました。

    横須賀での15年の活動で、
    借金に苦しむ相談者と話し、マンション問題に悩む人と共に闘い、
    わかったこと、
    それは、
    「市は市民の問題から逃げている」。
    だから呉東さんは
    「市民の傘となるため、立候補を決意した」のだそうです。

    呉東さんはこうも言っていました。
    「困っているのは、もうひとりの私です」
    「ほんとうに苦しんでいる人の力になりたい」と。

    おっと、
    長くなってしまいました。

    集会は、その後
    御礼の挨拶で終了・・・したはずです。
    (私は一足早くロビーに出なければなりませんでした)

    以上
    ここまで読んでくださって、ありがとうございます。

    呉東さんに興味をもたれた方へ・・・

    呉東さんのブログ
       http://goto-masahiko.seesaa.net/

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     ⇒ http://kawaruyokosuka.web.fc2.com/koenkai.html
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    ☆呉東さんへの応援メッセージを送る
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                                       hal

    野党分裂選挙と不毛な対立を民主的に終わらせるには

    5月 31st, 2009 Posted by MITSU_OHTA @ 21:46:46
    under 選挙共同の結集軸としての選挙制度改正 [20] Comments 

     首長選挙を含む全ての1人区選挙で採用されている単純小選挙区制は、最も好まれた候補者の選出さえ保障しない虚構の制度です。単純なコンドルセのパラドックスというカラクリに由来するものですが、政治史上長いこと無視されてきました。

     2009年千葉県知事選挙の例で説明しましょう。森田氏の得票率は45%でした。森田氏以外に投票した残る55%の人全てが、森田氏よりも吉田氏を好んだと仮定します。吉田氏より森田氏を好きだとする投票者は、したがって、全体の45%しかいないことになります。この場合、森田氏の当選は明らかにひっくり返ります。

     このように、森田氏がウソをつかなかったとしても、当選が正当であったか疑問です。現行の単純小選挙区制は、過半数を超える得票率を獲得する候補者が現れない限り、真の選好順位を測定できないのです。

     私たちは、選挙でも何でもない小選挙区選挙に延々と付き合わされてきました。選挙制度の改正はまったなし、最優先の政治課題です。

     議会選挙は、主権者1人ひとりの代理人を選ぶ機会であるべきだから、小選挙区制を議会選挙に適用することも不合理です。全野党は、議会選挙における小選挙区制の廃止と、首長選挙における単純小選挙区制の改正を統一政策に掲げるべきです。そして野党連合で総選挙に勝利し、選挙制度を改正しなければなりません。

     選挙制度を改革する責任は全野党にあります。選挙制度改革への結集が必要です。一番単純なモデルは、「選挙制度改革内閣」でしょう。選挙制度改革のみを総選挙で問い、選挙制度を改正したら即解散し、総選挙を行うものです。

     選挙制度改革への結集という潮流が、野党分裂選挙と不毛な対立を終わらせることにもつながるでしょう。民主党が正当に小選挙区制の廃止を公約すれば、共産党や社民党が選挙方針を変える可能性があるからです。

     民主党の議会勢力は、民意を反映したものではなく、小選挙区制により水増しされたものです。民主党は小選挙区で「無条件に勝って当然だ」「議席数を水増しして当然だ」という民意は存在しないか、あっても合理性に欠きます。

     民主党候補を小選挙区で「やむを得ず勝たせる」のは、自公に勝つためであって、民意に反して民主党の議席数を水増しさせるためではありません。野党支持者の民意は、政権交代を果たすと同時に、民主党が不当に獲得した議席を小数政党に返還することにあるのです。この2つの要請は、選挙区すみ分け投票で実現します。またこれが政権交代の最も確実な方法であり、野党連合を形成することで小選挙区制廃止への道筋をつけることにもなるでしょう。

     共産党や社民党は小選挙区で「無条件に候補者を立てるべきではない」とする見解は、小選挙区制の偽装性と民主党の議席水増しを容認し、野党支持者の民意を矮小化するものです。差別がここに存在します。

     共産党などに小選挙区で候補者を立てるなという要求を突きつけるのであれば、民主党にも、小選挙区制の廃止を公約せよとか、小数政党に正当な議席数を保証するために比例区枠を小数政党に移譲せよ、などと要求すべきでしょう。それが野党支持者の民意に適うことです。

     民主党にも分裂選挙を回避する責任があります。共産党などに対する圧力一辺倒は、民主党を免責し、選挙制度改革の必要性を覆い隠す働きをします。民主党に対して選挙制度改革への結集を要求することで、野党支持者の民意を反映した全野党選挙共同への展望が開かれるでしょう。
     
     
    太田光征
    http://otasa.net/

    [参考]

    選挙制度改正運動としての選挙区すみ分け投票の勧め
    http://kaze.fm/wordpress/?p=268
    2009千葉県知事選――森田氏「偽装勝利」の可能性を残す単純小選挙区制のカラクリ
    http://kaze.fm/wordpress/?p=265
    小選挙区制の廃止へ向けて
    http://kaze.fm/wordpress/?p=215

    印刷用ファイル